ウルグアイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/23 08:53 UTC 版)
経済

IMFの推計によると、2013年のウルグアイのGDPは約557億ドルである。一方、一人当たりのGDPでは16,421ドルとなり、これは世界平均の1.5倍を超え、南米では最も高い水準である。[9] メルコスール、南米共同体の加盟国であり、モンテビデオにはメルコスールの事務局がある。
ウルグアイの経済は国内市場が小さく、アルゼンチン、ブラジルとの貿易によって国の収支が大きく左右されるため、この二国の経済情勢の影響を大きく受ける。また、現在は南米で最も物価が高いと言われている。歴史的には19世紀から需要の高かった羊毛や牛肉の輸出により世界でも富裕な国となったが、1930年代から始まった重工業化は国内市場の小ささや化石資源の不足などの問題からあまり成功せず、朝鮮戦争が終わるころから代替技術の発展により世界市場でもウルグアイの農牧産品の需要が減り、畜産品モノカルチャー経済だったウルグアイはバッジェの福祉国家体制の支出を維持できずに破綻した。
農牧業

農牧業は国の主産業であり、独立後長い間牛馬や羊の産品のモノカルチャー経済が続き、今も経済は農牧業に頼るところは大きい。今日においてはGDPの約10%ほどを占め、未だに主要な外貨の稼ぎ頭となっている。また、それだけには留まらず農牧業は20世紀の半ばまで、エスタンシア文化をはじめとするウルグアイの歴史的なアイデンティティにも繋がっていた。
ウルグアイの農牧業は他国に比べ、農業従事者に対する保護(手当て、農業機械などの援助)が弱く、それゆえヘクタール当たりの収益が少ないが、その分生産された農牧産品は「有機(オーガニック)食」「自然食」といった市場に適している。
牛肉はウルグアイの輸出総額の6分の1を占める主要輸出品である[10]。
日本はウルグアイから、食肉の安全を守る技術を学ぶ研修員を1978年から受け入れており[10]、東日本大震災の際にウルグアイ政府は、「日本の皆様が元気になりますように」との日本語のメッセージが書かれた特別包装のコンビーフ缶4600個を被災者に送っており、ウルグアイ食肉協会は「研修事業を通じて日本への愛着が培われた」と話している[10]。
ウルグアイ産の牛肉は2000年に口蹄疫の発生から長らく日本に輸出されていなかったが、2019年に日本への輸出が解禁された[11]。
東部のブラジルとの国境付近の県では米が栽培されている。北部は亜熱帯に近くなり、アルティーガス県では砂糖黍栽培が盛ん。
近年では産業としてエスタンシア観光が成長しつつあり、ウルグアイの伝統的なエスタンシアを見学しながら、ガウチョのフォルクローレなどを楽しむことが出来るようになった。
鉱業
瑠璃、アメジスト、石灰岩などを産出するが、国土が平原と丘陵で高山がないため、鉱業自体があまり盛んとはいえない。
林業
前述のように森林資源に乏しい国である[8]。天然林は伐採禁止でありユーカリや松類を主体として人工林が利用される[8]。用途は薪炭用・建築用・パルプ用など多岐にわたっている。消費の場として国内市場は規模が小さいため主に輸出されているが[8]、国内に加工技術や品質管理基準がないために[8]、輸出先の一方的な条件で取引されがちな状況である[8]。近年ユーカリによる林業の成長が期待され、そのためのサムライ債が発行された。
注釈
出典
- ^ a b “UNdata”. 国連. 2021年10月11日閲覧。
- ^ a b c d “World Economic Outlook Database, October 2018” (英語). IMF (2018年10月). 2018年12月8日閲覧。
- ^ a b 松岡正剛. “反米大陸”. 松岡正剛の千夜一夜・遊蕩篇. 2012年4月7日閲覧。
- ^ “CPI Index 2018”. トランスペアレンシー・インターナショナル. 2019年9月6日閲覧。
- ^ Chile and Uruguay least corrupt countries in Latam 2009-03-25 閲覧
- ^ ウルグアイ大統領選 元ゲリラの左派候補当選(スポニチアネックス09年11月30日記事) http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20091130016.html[リンク切れ]
- ^ http://www.elpais.com.uy/100301/ultmo-474061/ultimomomento/mujica-asumio-como-presidente(スペイン語)
- ^ a b c d e f g パラグアイ国とウルグアイ国の木材事情 西村勝美 (森林総研) No.17 Page.23‑25 1995年10月 JST資料番号 : L1770A ISSN : 1347‑9504
- ^ “World Economic Outlook Database, October 2014” (英語). IMF (2014年10月). 2015年1月3日閲覧。
- ^ a b c 堀内隆 (2011年4月8日). “〈世界から被災地へ〉元気になるコンビーフ”. 朝日新聞. オリジナルの2017年5月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ 輸入牛肉に新興勢 ウルグアイ産 19年ぶり登場 – 日本経済新聞2019年6月3日付記事 2019年6月23日閲覧
- ^ “Atlas Sociodemografico y de la Desigualdad en Uruguay, 2011: Ancestry” (PDF) (Spanish). National Institute of Statistics. p. 15. 2014年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月30日閲覧。
- ^ 井上忠恕、後藤信男(著)『ビバ! ウルグアイ』STEP pp.20-28
- ^ “Population”. カントリースタディ. オリジナルの2011年4月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ “定期報告(ウルグアイ内政・外交:2014年12月)” (PDF). 外務省. (2015年1月). オリジナルの2021年8月10日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「最も貧しい大統領」の温情がアダ…南米小国が助けたシリア難民「出国させろ」の皮肉”. 産経新聞. (2015年11月10日). オリジナルの2016年8月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「最も貧しい大統領」の温情がアダ…南米小国が助けたシリア難民「出国させろ」の皮肉”. 産経新聞. (2015年11月10日). オリジナルの2016年3月20日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「最も貧しい大統領」の温情がアダ…南米小国が助けたシリア難民「出国させろ」の皮肉”. 産経新聞. (2015年11月10日). オリジナルの2016年2月20日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「最も貧しい大統領」の温情がアダ…南米小国が助けたシリア難民「出国させろ」の皮肉”. 産経新聞. (2015年11月10日). オリジナルの2016年2月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ 内田みどり「ウルグアイの新しい社会と女性 先進国の憂鬱」『ラテンアメリカ新しい社会と女性』国本伊代:編、新評論 2000年3月
- ^ https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/uy.html 2009年3月30日閲覧
- ^ “世界の学校を見てみよう ウルグアイ東方共和国(Oriental Republic of Uruguay)”. 外務省. (2012年12月). オリジナルの2015年11月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ “ODAメールマガジン第205号”. 外務省. (2011年5月25日). オリジナルの2020年11月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=242 2014年12月20日閲覧
- ^ http://www.anzen.mofa.go.jp/manual/uruguay.html 2014年12月20日閲覧
- ^ “マフィア滅ぼす合法大麻 ウルグアイ、世界初の法案可決”. MSN産経ニュース. (2013年12月12日). オリジナルの2013年12月12日時点におけるアーカイブ。 2022年9月3日閲覧。
- ^ a b “「気高い動物」を食用処理 ウルグアイで馬救出の取り組み”. www.afpbb.com. 2023年1月25日閲覧。
- ^ 2010 FIFAワールドカップ ウルグアイ対ガーナ FIFA.com
- ^ ウルグアイ、南米を制した偉大なチームの可能性 -スポーツナビ: 2011年7月29日
ウルグアイと同じ種類の言葉
- ウルグアイのページへのリンク