主要品種と特徴
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品種名登録年育成地(機関)元となる品種収穫時期特徴備考ふじ1939年農研機構 国光×デリシャス(Red Delicious) 10月中旬 - 年間生産量約1230万tで、日本・世界的にも最も多く生産される品種。農林省の新津宏らが戦前に青森県で始めた育種の努力が実を結び、1958年に「東北七号」と仮称命名され、1962年に「ふじ」と命名された。品種名の由来は、育成地である青森県藤崎町(ふじさき)に因み、「富士山」にもかけているほか、育種者の一人が山本富士子のファンだったことも由来の一つ。甘みが強く歯ごたえも良く日持ちもする。 レッドデリシャス(Red Delicious)1870年アメリカアイオワ州 偶発実生 9月中旬- 10月上旬 年間生産量約930万t。日本では単に「デリシャス」と呼ばれることもある。1913年に岡山県「花房省吾」が導入したとされるが、1911年カリフォルニア州より北海道大学が導入 との説もある。似た名前にゴールデンデリシャスがあるが、系統的には無関係。 ゴールデンデリシャス1914年アメリカウェストバージニア州 グライムスゴールデン×GoldenReinette 9月中旬- 10月上旬 年間生産量約880万t。1923年日本に導入された。 王林(おうりん)1952年福島県伊達郡桑折町大槻只之助 ゴールデンデリシャス×印度 10月中旬 - 緑色に斑点のついた外見が特徴の晩生品種で香りと甘みが強い。貯蔵性が非常に優れており、春先まで出荷される。緑や黄色の状態で流通するのが一般的だが、果実が赤く色づくこともある。 紅玉(こうぎょく)英名:Jonathan(ジョナサン)1800年頃アメリカニューヨーク州リック農園 偶発実生 9月下旬- 10月中旬 1871年に開拓使によって導入され、1900年に邦名を紅玉と命名されたその名の通り艶やかな深紅のリンゴで、やや小玉で酸味が強く、果肉のきめは細かく芳香もある。戦前は美味しいリンゴの代名詞として、国光とともに一世を風靡。戦後は酸味の強さから後継品種に追われるが、煮崩れしにくいうえに酸味ゆえに加糖調理でも風味を失わない特性があり、アップルパイなど焼き菓子には最適な品種のため、製菓用として根強い需要がある。 陸奥(むつ)英名:Crispin(Mutsu)1930年青森県 ゴールデンデリシャス×印度 大きさは、比較的大振り。贈答用の飾りりんごとしても用いられる。命名の由来は、同名の旧地名より。緑や黄色の状態で流通するのが一般的だが、果実が赤く色づくこともある。 国光 (こっこう)アメリカバージニア州原産 不明 10月下旬 - 1871年日本に導入。戦前から1950年代にかけては「紅玉」と並ぶ日本では最もポピュラーな品種であった。原名はRall's Janet.果皮は黒ずんだ赤色で、果肉はかたく、甘みは少なく比較的さっぱりした味わい。「ふじ」などの交配親として利用された。現在[いつ?]は黒石市でネット販売のみである。 つがる1930年青森県りんご試験場 1975年種苗登録 ゴールデンデリシャス×紅玉 8月下旬- 9月中旬 果汁が多く、甘みが強いが果肉は比較的柔らかい。1970年に「青り2号」と仮称命名され、1973年に「つがる」と命名された。 千秋(せんしゅう)1966年秋田県果樹試験場1980年種苗登録 東光×ふじ 9月中旬- 10月中旬 果汁が多い深紅のリンゴ。千秋公園の名から品種名がとられた。 アルプス乙女(アルプスおとめ)1964年長野県松本市波多腰邦男 ふじ×紅玉偶発実生 9月下旬- 11月中旬 ヒメリンゴの一種で、最小級の大きさのミニりんご。実の重さは30 gほどである。 姫小町(ひめこまち)1988年長野県上伊那郡中川村 (有)小町園(民間育種) アルプス乙女実生 7月下旬- 8月上旬 ヒメリンゴの一種で鮮紅色、実の重さ約80g - 100gの大きさのミニりんご。アルプス乙女に比して1か月以上早く、初夏に実をつける。観賞・生食兼用種で、実生時期と適度な実の大きさから縁日のりんご飴に好んで用いられる。 世界一(せかいいち) (Sekai Ichi)1930年青森県りんご試験場 デリシャス×ゴールデンデリシャス 9月中旬- 10月上旬 最大級の大きさ(500 - 1000 gほど)の品種。 印度(いんど)1875年弘前市 不明 9月中旬 - 水分が少なく歯ごたえに欠けるが、甘味が強くて酸味はほとんどない。戦後、高級リンゴとして出回ったが、他品種が広がると共に一時姿を消す。2002年頃より再び出荷されるようになった。料理用として焼きリンゴに向く。品種名の由来はインドではなくインディアナから。 旭(あさひ)英名:McIntosh(マッキントッシュ)1870年カナダアラン・マッキントッシュ農園 偶発実生 10月中旬 北米ではポピュラーな品種。早生で強い芳香があるが、日持ちがしない。日本では、ほとんど生産がされないが、積雪に強いことから北海道でわずかの農家で栽培されている。 ジョナゴールド (Jonagold)1943年アメリカニューヨーク州立農業試験場 ゴールデンデリシャス×紅玉 9月中旬- 10月上旬 1970年に秋田県果樹試験場によって日本に導入された。シャリシャリ感がある果肉で酸味と甘みのバランスが良く(比較的酸味が勝る)、生食の他、酸味があるため、菓子や料理に向く。 祝(いわい)アメリカ 7月中旬- 8月上旬 早生の小玉リンゴ。8月下旬に熟するが、8月上旬に未熟な状態で収穫される。青リンゴ・供物用のりんごとして売られている。 フラワー オブ ケントFlower of Kent 俗称、ニュートンのリンゴ。落ちる実を見て、ニュートンが万有引力の法則についてヒントを得たという逸話(後述)で知られる。落果しやすい性質を持ち、生食用ではなく、料理用として使われる。味は渋みと酸味が強いが追熟させると甘く、酸の利いた味になるという。 シナノスイート1978年長野県果樹試験場1996年品種登録 ふじ×つがる 10月中旬 果汁が多く、甘さも強く、香りも良い。「つがる」と「ふじ」の間を埋める品種として開発された。 シナノゴールド長野県果樹試験場1999年品種登録 ゴールデンデリシャス×千秋 10月中旬- 11月中旬 黄色く色付く。果汁が多く、甘さと酸味のバランスが良く、濃厚な味わいが楽しめる。蜜が入らないことから貯蔵性に非常に優れる。日本国内よりヨーロッパでの評価が高く、2007年12月27日SKズードチロルへの栽培許諾の契約がなされた。 秋映(あきばえ)1993年品種登録長野県中野市小田切健男 千秋×津軽 9月下旬- 10月上旬 甘さと酸味のバランスがよく、濃厚な味わいが楽しめる。色は濃厚な赤色。リンゴの産地でも比較的温暖で低標高な地帯でも栽培に適す。つがるの特性を引き継いで、果肉がしっかりしていることと、食味が優れている。 ぐんま名月(ぐんまめいげつ)1971年群馬県1991年品種登録 あかぎ×ふじ 9月下旬- 10月下旬 果汁が多く蜜入、糖度は15度程度で食味も良好。 陽光(ようこう)群馬県1981年品種登録 10月中旬- 10月下旬 大玉で甘さと酸味のバランスがよく、濃厚な味わいが楽しめる。大玉な上に日持ちがよいため、贈答品としても使われる。歯ざわりが良く、食味が優れている。 紅の夢(くれないのゆめ)青森県2010年品種登録 紅玉×赤肉系の無名品種 果肉まで赤い品種。赤肉品種でありがちな渋味がなく、生食にも向く。弘前大が育成した。果実に光を当てずに育てると、皮は白くて果肉が赤い「逆転リンゴ」となる。着色料を使用せずに赤いリンゴ加工食品が作れるので、ジュースやジャムなどへの利用が試みられている。2010年に品種登録された。品種改良の作業中に、「紅玉」に予定していた花粉とは別の花粉が付いたことにより偶然に得られた。花粉の出所になったリンゴの木は「エターズゴールド」だとされていた品種であったが、その後の調査でその木は「エターズゴールド」ではなく、品種不明のリンゴであることが明らかとなった。コルクスポットという斑点が出やすいという欠点もある。 茜(あかね)- 皮は、赤色。大きさは、比較的小振りで酸味が強い。 北上(きたがみ・きたかみ)- 皮は、赤色。大きさは、比較的小振り。命名の由来は、同名の地名より。 金星(きんせい)- 皮は、黄色系クリーム色。大きさは、比較的大振り。命名の由来は、同名の惑星より。 昂林(こうりん)- 皮は、赤色。大きさは、比較的小振り。「ふじ」の自然交配から生まれた品種。 スターキング - 皮は、黒味の強い赤色。大きさは、比較的小振りで酸味もあるが甘味が強い。蜜入りのものもある。 北斗(ほくと)- 皮は、斑模様の赤色。大きさは、比較的大振りで甘味と酸味のバランスが良く甘い。 黄王(きおう)- 「王林」と「はつあき」この交配種。その姿から「黄色い王様」→「黄王」と名付けられる。黄白色の果肉でやや硬め。甘みと酸味に富んだ味わいとサクサクとした歯ごたえ。 シナノレッド -「つがる」に「ビスタベラ」を交配育成した品種。長円形の中玉で、甘みと酸味のバランスがよい。 紅ロマン - 岩手県の江刺リンゴというブランドの新しい品種。程よい酸味があり、真っ赤なのが特徴。 星の金貨 -「ふじ」と「あおり3号」の交配種。2005年に青森県で名称登録された。黄色の薄い皮が特徴。「ふじ」より甘みがある。 トキ -「王林」に「紅月」を交配育成したとされ、2004年に品種登録された、遺伝子型解析から、王林とふじの交配であれば矛盾なく説明できることが分かった品種。400 g前後あり比較的大きく、甘みと酸味のバランスがよい。10月上旬から収穫できる。 さんさ - ニュージーランド国立科学産業研究所において1969年(昭和44年)に農研機構(旧農林省園芸試験場盛岡支場)から送られた「あかね」の花粉を「ガラ」と交配させ生まれた実生。翌年盛岡支場に送られた実生を育成し、「盛岡42号」の系統名で系統適応性検定を受け、1986年(昭和61年)年に農林水産省育成農作物新品種。 レッドゴールド - 早生種・10月中旬収穫。蜜が入り、甘味が強く、食味が良い。実は硬めで多汁、250 g前後の円形果。濃い紅色の品種。種子親「ゴールデンデリシャス」×花粉親「リチャードデリシャス」 姫神(ひめかみ)- 種子親「ふじ」x花粉親「紅玉」甘味と酸味のバランスが良く生食にも料理用にもできる。色は濃い赤で蜜が入りやすい。農研機構(旧果樹試験場盛岡支場)が育成。名前の由来は名峰「姫神山」から。 ハックナイン - 中生種・10月中旬収穫。甘酸適和で食味良好だが比較的柔らかく多汁。大きさは350 - 400 g程で長円形。果皮は赤色の縞状に着色。種子親「ふじ」×花粉親「つがる」1986年に種苗登録。北海道産りんご品種の第一号。 ブレイバーン (Braeburn) - 甘みが強く歯ごたえも良く日持ちもする。甘味と酸味のバランスが良く甘い。皮は、赤色。大きさは、比較的小振り。グラニースミス (Granny Smith) × レディハミルトン (Lady Hamilton) の2種類のリンゴを交配したものと考えられている品種。 ピンクレディ (Pink Lady) - レディウィリアムズ('Lady Williams') × ゴールデンデリシャス ('Golden Delicious') の2種類のリンゴを交配した品種。 ロイヤルガラ (Royal Gala) - キッズオレンジレッド ('Kidd's Orange Red') × ゴールデンデリシャス ('Golden Delicious') の2種類のリンゴを交配した品種。 ジャズ (Jazz) - ブレイバーン ('Braeburn') × ガラ ('Gala') の2種類のリンゴを交配した品種。 レッドデリシャス (Red Delicious) - 赤林檎系の品種。日本では単に「デリシャス」と呼ばれることもある。 ゴールデンデリシャス (Golden Delicious) - 黄林檎系の品種。'Golden Reinette' × 'グライムスゴールデン' が偶然掛け合わさってできた品種だと考えられている。 グラニースミス (Granny Smith) - 青林檎系の品種。Malus domestica × M. sylvestrisが偶然掛け合わさってできた品種だと考えられている。アップルパイを作るのに向いている。 ジョナサン(Jonathan、和名:紅玉)- 偶発実生種。強い酸味と滑らかな舌触りを特徴とする中型種。 ジョナゴールド (Jonagold) - ゴールデンデリシャス ('Golden Delicious') × ジョナサン ('Jonathan') の2種類のリンゴを交配した品種。津軽の姉妹品種。 カメオ (Cameo) - レッドデリシャス ('Red Delicious') × ゴールデンデリシャス ('Golden Delicious') の2種類のリンゴを交配した品種。世界一 (Sekai Ichi) の姉妹品種。 ブレナムオレンジ Blenheim Orange ジェイムスグリーブアップル James Grieve apple ノビーラセット Knobby Russet シナノリップ - 長野県果樹試験場が開発し、2018年2月に品種登録された品種。「千秋」と「シナノレッド」の交配種。出荷時期が8月中下旬と早く、強い甘みと酸味、果汁の多さが特徴で、高温でも色づきが良く、赤くなる。 アルプス乙女 ぐんま名月 王林 白いリンゴ
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主要品種と特徴
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ワサビの上品な味と香り、辛味、苦味、甘みについて、国内の交通が急激に変化した明治から大正時代にかけて研究されており、日本国内の主要産地ごと、また近年では外食チェーンで多用される中国産などでかなりの違いが認められる。多くの栽培品種があるが、「真妻」「だるま」「島根3号」が3大品種と云われ、その他の品種はこれらが育種母体として利用されていることが、DNA鑑定の結果判明した。これらと野生在来種を交配選抜して栽培効率や耐病性、食味、保存性などを向上させた改良品種が数多く存在し、近年ではほとんど辛みのないものも栽培・流通している。 真妻(まずま)- 旧・真妻村(現・和歌山県印南町川又)が発祥地の品種。品質が優れていたため静岡県内を中心に栽培が広がった。現在、印南町の農家が発祥の地復活を目指し、一度は途絶えた生産出荷に向け取り組んでいる。正緑(まさみどり)- 親品種は眞妻。耐病性と大型化を改良。 達磨(だるま)- 大正時代末期から昭和初期にかけて静岡県において導入された半原種(神奈川県原産)の中から突然変異株として優れた系統を発見し、選抜された。1965年頃から急速に退化現象が現れ、原種に近いものはほとんどなくなり、静岡では代わりに前述の「真妻種」が主力品種となった。ふじだるま 島根3号(しまねさんごう)- 島根県農事試験場の野津六兵衛が、1925年以降全国各地から集めたワサビと、島根在来種との自然交配による実生を育て、さらに横木国臣の協力を得て1936年に選抜し、1942年に公表した。一時日本を席巻し、京都の高級料亭ではよく使用された品種とされる。徳育1号 - 「島根3号」の種子から優良株の選抜を複数繰り返し、山口県が開発した。 半原(はんばら) - 別名「丹羽山」。 みどり - 主にわさび漬けの材料用品種。 グリーンサム - 辛みが強いが、病気にかかりやすい。 岩泉1号 - 岩手県に多い品種。畑ワサビ 静岡17 高井(たかい) - 長野県に多い品種。 長野23号 - 大きくなるが、病気にかかりやすい。 三鷹大沢わさび - 東京都三鷹市大沢で少数現存し、株の老化や絶滅が危惧されている。開発で湧水が減る前の昭和初期までは商業栽培されて、神田青果市場や築地市場に出荷されていた。江戸時代後期、伊勢(現在の三重県)出身の箕輪政右衛門が豊富な湧き水に着目し、郷里の五十鈴川上流で自生していたワサビを婿入りに際して持ち込んだと伝わる。野生種や絶えた古い栽培種を受け継いでおり、近縁種との交配による復活・保全が進められている。
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