アメリカンフットボール アメリカンフットボールの概要

アメリカンフットボール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 08:55 UTC 版)

アメリカンフットボール
ボールを持って走ろうとしたところを、タックルで倒された瞬間
統括団体 国際アメリカンフットボール連盟
通称 アメフト、フットボール、米式蹴球
起源 1869年
アメリカ合衆国ニュージャージー州
特徴
身体接触 フルコンタクト
選手数 グラウンド上:11人
男女混合
カテゴリ 屋外競技
ボール 楕円形
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パスをキャッチするラリー・フィッツジェラルド(2009年)

概要

名称

その名の通り、アメリカで盛んに行われているフットボールであり、アメリカで単に「フットボール」というときは、アメリカンフットボールのことを指すことが一般的である[注 1]北米以外の地域では、サッカーなど他のフットボールと混同を避けるために、略さずアメリカンフットボール[1]と呼ぶことが多い。オーストラリアでは、グリッドアイアン・フットボール(en:gridiron football)とも呼ばれている。「グリッドアイアン」(en:Gridiron (cooking))とは焼き網の意であり、フィールドの5ヤード毎の白線が焼き網に似ていることによる呼称である。

日本では、一般的にフットボール[2]と呼ばれたり、アメフトと略されることが多いがアメフットも使われており、同じ報道機関でも統一されていない[3]。過去にはアメラグ(アメリカンラグビーの略)や アメリカン とも呼ばれており、希に使われる[4][5]。日本語表記では、アメリカンフットボールを直訳した米式蹴球、または、よろいを髣髴させる装備をしていることから鎧球がいきゅうと表記される。なお、混同されやすいが「ア式蹴球」はソシエーション・フットボール(サッカー)を指す。

他のスポーツとの類似点・相違点

1895年の試合風景
2003年の試合風景

アメリカンフットボールは、ボールを蹴り込んで得点するフットボールに分類され、特に楕円形のボールを使う、タックルにより相手の前進を止めるなど、古いラグビーを源流としているため共通する要素を持つが、互いにルールが何度も変更されているため現代では、基本的な競技特性が異なる競技となっている。

特徴や他のスポーツとの比較は以下に示す。具体的なルールについては、試合とルールの項で詳述する。

  • 2チームがそれぞれ、ボールを確保する攻撃側(オフェンス)と、守備側(ディフェンス)に明確に分かれゲームが進行する。特殊な場合を除き、得点する機会は攻撃側だけにある。
  • 自由交替制を採用しており、一度交替した選手でも再びプレーに参加することができるため、オフェンスとディフェンスで選手を大幅に入れ替えることができる。
  • ラグビーと同じく基本的に体格の大きな選手が有利であるが、上記の理由でよりポジションに応じたパワー、スピード、スタミナ、捕球力などの役割、適性が明確であり、選手はほぼ自分の役割に特化した専門選手である。
  • 基本的にすべてのプレーがセットプレーであり、両チームが向かい合った静止状態からひとつのプレーが始まり、タックルなどによりボールの前進が止まったときにプレーが終了する。1プレイはだいたい10秒以内で終了し、また仕切り直して次のプレーを開始する。このような短いプレーの積み重ねによりゲームが進行する。
  • 試合全体で時間が決まっており(正規で60分)、ルールで細かく決められた時間を流す・止めるルールでカウントダウンする計時方式を採用している。そのため、公式のタイムがゼロになったら試合終了である。時計と勝負するスポーツとも言われる。試合終盤に勝ち越しているチームが攻撃権を得た時には、あえてプレーせずに時間を進めることを選択する場合もあり、勝ち越しているチーム(を応援する観客)がカウントダウン・コールをする場面がある。同じフットボールであるサッカーやラグビーでは時計は止めずに審判の裁量でロスタイムが積算され、試合時間が増える。そのため、サッカーやラグビーでは試合終盤に負けているチームが得点を取れそうになった場合は試合が続行される。
  • 激しいコンタクトが多い。当初はラグビーと同様にジャージでプレーしていたが安全に配慮してヘルメットやプロテクターなどの防具を装備することが義務づけられている。それでも脳震盪[6]CTE慢性外傷性脳症)を発症する選手が続出していることから、危険性の認識、また適切な処置を求め、NFLと元選手約4000人が係争中[7]である。
  • ビデオ判定が導入されており、NFLなどでは判定に不服がある場合、コーチ(監督)が審判団にビデオ判定を求めることができるチャレンジや一部の選手との無線通信が許可されているなど、技術革新に対して柔軟である。ただし、日本ではチャレンジシステムは社会人リーグにおいて採用されているが、無線は採用されていない。

人気

アメリカ

アメリカの世論調査
順位
最も好きなスポーツ
1 アメリカンフットボール 37%
2 バスケットボール 11%
3 野球 9%
4 サッカー 7%
5 アイスホッケー 4%
出典:ギャラップ[8]

アメリカでは非常に人気の高いスポーツである。歴史的に人気が高かった野球に取って代わり、アメリカの“国技”、“国民的娯楽”であるという意見が主流を占めるまでに至った[9][10]

アメリカの大手世論調査会社ギャラップが2017年12月に調査した結果によると、「最も観戦するのが好きなスポーツ」では1位はアメリカンフットボール(37%)である[8]。2位にバスケットボール(11%)、3位に野球(9%)、4位にサッカー(7%)が続いた[8]。また、アメリカのワシントン・ポストが2017年に発表した人気スポーツの世論調査によると[11]、 「最も観戦するのが好きなスポーツ」では1位はアメリカンフットボール(37%)である。2位にバスケットボール(11%)、3位に野球(10%)、4位にサッカー(8%)が続いた。アメリカ大手世論調査会社ハリス・インタラクティブの2015年12月時点での調査[12]によると、最も好きなスポーツのトップはプロアメリカンフットボール(33%)であり、2位に野球(15%)、3位に大学アメリカンフットボール(10%)が続いた。プロと大学を合計した場合、アメリカンフットボールは43%であり、15%の野球に対して圧倒的な差をつける結果となった。この調査は1985年から開始されており、1985年時点ではプロアメリカンフットボール(24%)と野球(23%)は僅差であったが、それ以降その差は広がる傾向にある。

プロリーグであるNFL(ナショナルフットボールリーグ)は、北米4大プロスポーツリーグの中で最も人気のあるリーグであり、新型コロナウイルス感染症の世界的流行以前は1試合平均観客動員数が6万7000人を超えていた。経済的に世界最大のプロスポーツリーグでもあり、2019年シーズンの収益は160億ドルを記録した[13]。アメリカの経済誌フォーブスによる2021年のスポーツ選手長者番付において、競技別でアメリカンフットボール選手が最も多くランクインしている[14]。また最も価値があるスポーツチーム50選のランキングにて、毎年最も多くのチームがランクインしており、2021年にはダラス・カウボーイズが首位である[15]。NFL王座決定戦であるスーパーボウルは、アメリカ最大のスポーツイベントであり、全米テレビ番組史上視聴者数トップ10のほとんどを占めている。レギュラーシーズンの視聴率も非常に高く、数多くの試合が(シーズン中の単なる1試合にもかかわらず)ワールドシリーズNBAファイナルの視聴率を上回る。2013年の全米視聴率ランキングにおいても、上位10番組の中でNFLが9つを占めた[注 2][16]。また、同年のスポーツ番組の全米視聴者数トップ50の中でNFLの試合が46を占めた[17]

大学リーグであるカレッジフットボールも非常に人気が高い。ESPNの調査によると、熱狂的なファンの数はメジャーリーグベースボールなどを上回り、NFLに次ぐ2位のスポーツリーグである[18]。特に大学生を中心とした若年層やハーバード大学など多くの名門大学も参加することから、高学歴層の関心が高い[12]。シーズンの観客動員数は約5000万人であり[19]ミシガン大学のスタジアムが200試合連続で10万人以上の観客動員数を記録するなど、多くの強豪チームが1試合平均8万人以上の観客動員数を誇る。1月に行われるカレッジフットボールの全米王座決定戦も視聴率が非常に高く、ワールドシリーズやNBAファイナルの視聴率を上回る場合がほとんどであり、2013年はNFLを除いて全米で最も視聴者数の多いスポーツコンテンツであった[17]。練習環境を求めて海外から留学するプロ志望者も多い[20]

その反面、競技人口は2006年の約1010万人をピークに減少しており、2011年には約900万人となっている[21]。野球の約1230万人、バスケットボールの約2610万人に比べて少ない[22]

日本

スーパーボウルをはじめとしたNFLの主要ゲームや、国内でも学生・社会人のチャンピオンシップ戦である甲子園ボウルジャパンXボウル、日本一のチームを決定するライスボウルといったボウルゲームでは地上波やBSで中継がある。またその他のNFL、社会人のXリーグ、関西学生リーグ、高校選手権クリスマスボウルのCS中継、関西ローカルで学生・社会人の地上波TV中継も一部ある。国内試合は伝統的に関西地区での人気が高く、80年代の京都大学ギャングスターズの全国制覇以後は、秋期の関西地区の主要ゲームには万単位の観客が集まっている。


注釈

  1. ^ ただし、カナダでの場合はカナディアンフットボールを含む。
  2. ^ NFL以外ではアカデミー賞授賞式中継番組が唯一トップ10にランクイン。
  3. ^ ラグビーに限りなく近かったが、これが事実上、初めてのアメリカン・フットボールの試合だったと言えるのかもしれない。
  4. ^ 子供の頃から虚弱体質を克服するためボクシングに取り組んでいたが、1904年に左目を打たれて視力が悪化しており、スポーツの危険性には敏感であった。なお回復せずに1908年には失明している。
  5. ^ ルーズベルトの母校。
  6. ^ このルール委員会が後のNCAA(全米大学体育協会)に発展し、大学スポーツの管理が始まった[23]
  7. ^ プロテクター類。初期のものは薄手で軽いものだったが、時代とともに頑丈になって行った。
  8. ^ この歴史的ゲームは陸軍士官学校を舞台とした映画「長い灰色の線」の中で、当時最強チームの陸軍士官学校が無名のノートルダム大学に、まさに見たこともない新戦術によって大敗して呆然とするというエピソードで取り上げられている。
  9. ^ シカゴの地元新聞に顔写真付きの記事がある。
  10. ^ チャレンジのインスタント・リプレイ中に副次的に反則の有無に関する証拠が発見された場合は、反則の有無の判定が覆る。たとえば、ライン際のパスの成否に対してチャレンジを行い、ボールをキャッチした選手がボールに触る前にアウト・オブ・バウンズに出ていたことが発見された場合、イリーガル・タッチが適用され5ヤードの罰退でプレイが再開される。逆に言えば、審判が反則を見逃してもそれ自体に対してチャレンジはできないが、関連するプレイに対するチャレンジ(先ほどの例で言えば「パスの成否に対するチャレンジ」)という形でなら、間接的に反則の有無に対してチャレンジすることができる。

出典

  1. ^ : American Football
  2. ^ 通常フットボールは国や地域でもっとの人気があるものを示す言葉である。日本とドイツではサッカーが人気であるが、フットボールは外来語としてアメリカンフットボールを意味する。
  3. ^ アメフット:関学監督と選手父コメント 日大選手会見受け - 毎日新聞
  4. ^ 川淵氏、悪質タックルに嘆き「なんと愚かな日大アメラグ選手の行為か」 - デイリースポーツ
  5. ^ スポーツ庁が異例の調査へ 日大のアメラグ反則プレー - 教育新聞
  6. ^ Concussion Watch|FRONTLINE
  7. ^ Coll, Steve, "Is Chaos a Friend of the N.F.L.?", The New Yorker, December 26, 2012. Citing the Times.
  8. ^ a b c Football Still Americans' Favorite Sport to Watch Gallup.com 2018年1月16日閲覧。
  9. ^ America’s National Sport:Baseball or Football? Move Over, Baseball:Bloomberg Politics Poll Shows 67% of Americans Now Say Football Is National PastimeBloomberg 2015年11月21日閲覧。
  10. ^ America’s National Sport:Baseball or Football?PRRI 2015年11月21日閲覧。
  11. ^ Q:What is your favorite sport to watch? Washington Post 2017年9月7日閲覧。
  12. ^ a b ハリス・インタラクティブによるアメリカでの人気スポーツの世論調査(2016年1月公表)
  13. ^ The NFL has more than 16 billion reasons to carry on amid COVID-19 Yahoo!sports 2021年4月25日閲覧。
  14. ^ Highest-Paid Athletes 2021: All-Time Highs For NFL, NBA And Soccer Players, And More Numbers To Know Forbes com. 2021年6月4日閲覧。
  15. ^ Most valuable sports franchises 2020: Cowboys top world at $5.5 billion, NFL features 27 of top 50 teams CBS 2021年4月25日閲覧。
  16. ^ Top 10 TV Programs of 2013 nielsen.com 2014年1月13日閲覧。
  17. ^ a b The 50 Most-Watched Sporting Events of 2013sportsmediawatch.com 2014年1月13日閲覧。
  18. ^ College football wins more fans and ad dollars
  19. ^ カレッジフットボールの観客動員数のデータ
  20. ^ ジャンボ尾崎の孫、なぜ軍服に? 米国で目指す大きな夢:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2021年4月10日閲覧。
  21. ^ Homepage”. NBC Sports (2015年8月23日). 2021年4月10日閲覧。
  22. ^ NSGA 2011 Sports Participation
  23. ^ a b c d e タック牧田「フットボールのルーツ」『FOOTBAALL LOVE CALL』、南雲堂、1992年8月、 70-71頁。
  24. ^ : Intercollegiate Football Association
  25. ^ a b c d e f g h i 久保田薫「1. アメリカのNo.1スポーツはサッカーだった?」『改定新版 パーフェクトアメリカン・フットボール』、南雲堂、1989年1月、 293-294頁。
  26. ^ a b 種子田穣 『史上最も成功したスポーツビジネス』毎日新聞社、2002年、51-58頁。ISBN 4-620-31578-8 
  27. ^ a b c d 久保田薫「Chapter 9 プロスポーツの王者、NFLの世界」『改定新版 パーフェクトアメリカン・フットボール』、南雲堂、1989年1月、 225-233頁。
  28. ^ : National Football League
  29. ^ : American Proffessional Football Association
  30. ^ 「限りなき前進 日本アメリカンフットボール五十年史」(1984年9月)日本アメリカンフットボール協会、32、33、74、75、90頁
    「1934フットボール元年 父ポール・ラッシュの真実」井尻俊之、白石孝次共著、ベースボール・マガジン社、1994年、21、41-43、50-58、97、98、107頁
    山梨県清里高原 キープ協会|日本アメリカンフットボールの殿堂 |日本アメリカンフットボールの熱き継承[リンク切れ]
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    スポーツ発展のカギとなった人物 - 牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
    歴史が眠る多磨霊園 小川徳治
  31. ^ NCAA football 2011 and 2012 rules, FR-118, Field Diagrams。NFLでは数字の下端がサイドラインから12ヤード (2012 Official Playing Rules, iv, Plan of the Playing Field)。
  32. ^ : ball on ○○, △yards
  33. ^ アメフトのポジションの役割を紹介”. 【SPAIA】スパイア (2016年12月1日). 2020年11月15日閲覧。
  34. ^ : official
  35. ^ : referee
  36. ^ : umpire
  37. ^ : head linesman
  38. ^ : line judge
  39. ^ : back judge
  40. ^ : field judge
  41. ^ : side judge
  42. ^ NCAA rule 2 section 7, NFL rule 3 Section 7
  43. ^ 助走距離を短くして相手選手にぶつかるスピードを下げて、怪我する危険性を下げる狙い
  44. ^ : 1st down
  45. ^ : 2nd down
  46. ^ : 3rd down
  47. ^ : 4th down
  48. ^ : chain crew
  49. ^ : previous spot
  50. ^ point after touchdown
  51. ^ レイブンズKタッカーがNFL記録となる66ヤードのフィールドゴールに成功
  52. ^ 2009 Official NCAA Division I Records Book, 23頁 Longest Field Goal Made
  53. ^ 2009 Official NCAA Division I Records Book, 24頁 Longest Field Goal Made without use of a kicking tee
  54. ^ シーホークスのフェイクFG、成功の鍵はパッカーズのLBジョーンズ - アメフトNewsJapan・2015年1月20日
  55. ^ NFL、スタジアムの観客に審判と同じリプレイ映像提供”. NFL JAPAN (2012年7月6日). 2012年7月14日閲覧。
  56. ^ : decline






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