園咲家
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「仮面ライダーWの登場キャラクター」の記事における「園咲家」の解説
自らを「地球に選ばれた家族」と称する、風都への多大な影響力を持つ富豪一家。裏の顔として秘密結社ミュージアムを設立しており、財団Xによる支援のもと、ガイアメモリの研究およびそれを人々に供給してドーパントによる事件を誘発させる根源的存在でもある。一家の裏の顔を知るごく一部の人間を除き、側に仕える専属のメイドたちでさえ仕事以外では関わってはならないとされ、風都署はおろか警察自体すら園咲家の詮索は不可能である。 「理想の社会の構築」を目的とし、風都とその住民を「地球の記憶」の巨大な実験場にしている。ただ、琉兵衛にその野心が芽生える前はごく普通の裕福な家庭であり、家族で楽しい一時を過ごしていたらしいことが回想シーンで描写されている。 当初、翔太郎たちは直接対峙した霧彦や冴子以外は組織の幹部であることを知らなかったが、中盤に組織を抜け出した山城諭の告白により、その存在が明らかとなった。 第46話にて仮面ライダーWおよびアクセルとテラー・ドーパントとの激戦の末に園咲邸は炎上し、琉兵衛の死と共に壊滅する。 最終話では来人を除く4人で地球の未来を来人に託すことを選択し、成仏する描写がなされている。琉兵衛の妻・文音についてはシュラウド、長男・来人についてはフィリップの項を参照。 各自、園咲家の者にしか使用できない上位種のガイアメモリ・ゴールドメモリとガイアドライバーにより、一般のドーパントを凌駕する能力を誇る幹部級のドーパントに変身する。 ネーミングには日本一有名な家族アニメをもじったものがいくつかある。 園咲 琉兵衛(そのざき りゅうべえ) / テラー・ドーパント 演 / 声 - 寺田農 園咲家の家長で、ミュージアムの創設者にして首領。一人称は「私」。 風都博物館館長という表の顔を持つ。表面的には笑顔を絶やさず穏やかで、家族には優しく食事など団欒に興じるが、その本性は園咲家が風都の頂点に立つことを当然と認識し、自身の行いによる市民の被害も意に介さない非情さを見せ、家族でさえも自身の意に沿わなくなれば笑いながら始末する冷酷な人物。家族の中では絶対的な権力を持っており、いかなる揉めごとも制止させる。 ケーキなどの甘味に目がなく、有能なパティシエの作った菓子を楽しむことを日課とする。また、自身も料理の腕前は高いらしく、園咲家の最後の晩餐では手料理を振る舞っている。 元は家族とともに星降谷で多くの遺物を発掘していた考古学者であったが、ガイアゲートに来人が転落して死亡し、データの塊として復活した彼が「地球の記憶」と繋がる力を得たことを知ったことで、地球の全てを知ることで園咲家を人類を進化へと導く「地球に選ばれた家族」にし、神の領域に登り詰めるためにガイアメモリを扱う組織を結成したのである。 実は最初から冴子ではなく若菜をミュージアムの後継者(女王)にするつもりだったらしく、Wの登場や冴子の造反は若菜に決意を促す「火付け役」としてあえて黙認していたに過ぎず、Wのエクストリームへの覚醒すらクレイドールの進化のための布石だったと発言している。終盤にて最終計画ガイアインパクトにより、人類そのものを地球と一体化させることで非絶滅種族にしようと企てていたことが判明する。 最終作戦ではテラーの力で翔太郎の戦意を喪失させ、発狂死寸前まで追い込んだうえでフィリップを制御プログラムにし、若菜をガイアインパクトで完全な「神の巫女」へ昇格させようと目論んだが、フィリップとの「約束」を思い出すことで恐怖を乗り越えて復帰した翔太郎がWの変身システムを利用してフィリップを呼び戻したことでガイアインパクトに失敗した上に、Wとアクセルの共闘や連携攻撃にテラーの特性の欠点(後述)を突かれて敗北する。その後はテラードラゴンの墜落で炎上する屋敷内へ入り、若菜が地球の記憶を受け継いだことを確認した後、幸せだったころの家族との思い出を回想しながら炎の中でダンスを続け、崩れゆく屋敷と運命を共にする。 フィリップが若菜に蘇生させられたときは、ガイアスペースで以前の穏やかな息子想いの父親に戻っており、「この星の中からお前を見守っている」と言い残して家族と共に消えた。 『仮面ライダーディケイド』の光栄次郎とは、「栄ちゃん」「琉ちゃん」と親しく呼び合う友人関係にあり、屋台で酒を酌み交わしたり駄弁ったりしている。なお、栄次郎と接する際は園咲家の家族の前での威厳に満ち溢れた様子とは打って変わって軽妙でラフな話し方をしており、孫娘の教育談義に熱が入るなど、素は結構軽い性格をしていることが分かる。 『仮面ライダーゴースト 伝説! ライダーの魂!』では、フレイによって呼び出された怪人としてテラー・ドーパントが登場。恐怖を乗り越えたスペクターを見て、以前にも乗り越えた者がいたことを示唆する発言をしている。ダブル魂となったスペクターに敗れ「家族の元へ帰る」と言い残し爆散した。 園咲 冴子(そのざき さえこ) / タブー・ドーパント / Rナスカ・ドーパント 演 / 声 - 生井亜実 園咲家の長女。30歳。一人称は「私」。 ミュージアム傘下でガイアメモリを製造販売するIT企業「ディガル・コーポレーション」の女社長で、メモリ流通の最高責任者を務めている。冷徹な経営能力と卓越した戦闘能力を持つ。性格は冷酷非情で、ビジネス面で自分の利益となる話でなければ聞く耳すら持たず、一度無能・用済みと判断した者は容赦なく切り捨て、目的のためならば身内であろうと犠牲や利用も平然と行う。彼女が経営する会社は、「遅刻者はクビよ」と言い出したり、開発チームが立てたプランを彼女にダメだと言い出したらその開発チーム全員をクビにしたりするなど、厳しい社風だとうかがえる。 幼少より一家の跡継ぎとしてスパルタ教育を受けており、父への憎しみから琉兵衛を倒して自分がミュージアムを統括するという野望を抱いている。若菜に対しては自由奔放に育てられていたことを目の敵にし、憂さをぶつけていた。 フィリップ(来人)奪回の失敗などにより新型のガイアメモリの開発が難航し、琉兵衛から釘を刺され焦りを浮かべ、新たに自分の利益になると判断して井坂に接近するが、さらに彼と関わり続け、自分の心を見透かす井坂に惹かれていく。彼の真意を聞いたことで結託、琉兵衛を追い落とそうとミュージアムを離反するが、井坂の死によって計画は予想外の失敗に終わり、反逆者としてミュージアムから追われることとなる。 その後も逃亡を続けていたが、ミックの奇襲でガイアドライバーは破損し、タブーメモリも失ってしまう。その後、加頭に保護され、彼に協力関係を結ぶよう申し込まれるが、それを拒否。掃除婦に偽装してまで亡き夫の「ナスカメモリ」を入手し、自身の意地のみで家族や仮面ライダーたちへ復讐する道を選んだ。 若菜との激しい戦いでナスカメモリをブレイクされた後、「ミュージアムの新しいトップ」として加頭に身柄を狙われることとなった。憎しみの中にも自分を認めさせたかった父を失ったことで何かが吹っ切れたのか、翔太郎たちに協力的な態度を見せており、彼らに財団Xの存在や加頭の拠点「CHARMING RAVEN」の場所を知らせるヒントを教えた。 フィリップを失いたくないゆえにWに変身せず、単身でユートピア・ドーパントに立ち向かい、殺されそうになっていた翔太郎を助け、ユートピア / 加頭を攻撃するもNEVERである彼を倒せず、逆に若菜ともども拉致される。 その後も園咲の人間としてのプライドから加頭に反抗し、若菜を逃がすためにタブーに変身して戦うが、圧倒的な力を持つユートピアには敵わず倒されてしまう。そして、「最も憎んでいた妹を救おうとして死ぬ」という自らの皮肉な運命を自嘲しながら、駆けつけた翔太郎の前で息を引き取った。 ガイアスペースではフィリップや若菜に対して優しい昔の性格に戻っており、フィリップに「風都を守る風でいなさい」と励まし家族と共に消えた。 園咲 若菜(そのざき わかな) / クレイドール・ドーパント 演 / 声 - 飛鳥凛(幼少期:笠菜月) 園咲家の次女。21歳。一人称は「私」。 ラジオ局「WIND WAVE」の人気番組「園咲若菜のヒーリング・プリンセス」のDJ。風都では絶大な人気を誇るアイドルで、ファンからは「若菜姫」と呼ばれる。刃野やフィリップも彼女のファン。姉の冴子と違って表向きは人当たりが良いが、裏では周囲のあらゆる人間を見下しており、気に入らないことがあると露骨に不快な顔をして舌打ちするなど、裏表の激しい性格である。その際の口癖は「何で私を怒らせるの!?」。 スパルタ教育を受けていた冴子に比べると甘やかされて育てられ、子供のころに冴子から八つ当たりで酷い苛めを受けている。それが前述の性格を形成した要因となり、冴子に対してことあるごとに突っかかりや因縁をつけ、彼女が失態を犯した時には陰でせせら笑い、霧彦や井坂といった冴子が見染めた男性もことごとく嫌っている。しかし、自分を慕っていた弟・来人には愛情を持っていたため冷徹な心の中にも良心や優しさは残っており、彼女自身が弟の面影を重ねるフィリップとの交流を通し、そんな自分と向き合うようになる。 冴子の離反と、彼女の代わりに後を継ぐことになったせいで前以上に不安定な状態が顕著になっていき、迷った末にフィリップと駆け落ちを図るも琉兵衛に阻止され、フィリップの素性を明かされた上で「この星のため」と説得を受け、一転してミュージアム後継の道を選ぶことになる。組織の中核としての才覚は冴子よりも優れており、彼女がミュージアムを指揮監督するようになってから、計画の進行の遅延が改善している。 ガイアインパクトの実行のためにフィリップを制御プログラムとして地球の意思に接続しようとしていたが、翔太郎の復活により失敗。その身に地球の記憶が宿った状態で、一命は取り留めたが、加頭に連れ去られる。データ化した状態で財団Xの持つ人工衛星にダウンロードされるところだったが、冴子によって阻まれ、フィリップの依頼によって、その場に現れた翔太郎に救出される。その際、自分を憎んでいたはずの姉に助けられたことに衝撃を受けていた。 Wとユートピアの最終決戦の後は、警察病院にその身柄を保護されたが脱走し、その際に聞いた翔太郎の話から、自分のためにフィリップが消滅してしまったことを知る。その後は父や地球のためではなく、今の自分が本当に望むことは何かを考える。そして、母・シュラウドの下を尋ねて教えを請い、自らの身体をフィリップ復活のための代価として使うことを決意した(本人は「私なりのガイアインパクト」と称している)。その身体はエクストリームメモリとして再構成され、メモリの内部空間で約一年かけてフィリップの身体を構築した。 園咲 霧彦(そのざき きりひこ) / ナスカ・ドーパント 演 / 声 - 君沢ユウキ 旧姓は須藤(すどう)。黒スーツ姿に妹・雪絵(ゆきえ)が婚約祝いに贈った、白地の中央に一点血が滲んだような配色のスカーフを着けている。一人称は「僕」もしくは「私」。 元はディガル・コーポレーションに勤務する一介の「闇のセールスマン」だったが、史上最多の販売実績を冴子が見初めて園咲家の婿養子として街の名士に成り上がり、組織の幹部入りを果たす。婿入り後は冴子直属の部下としてガイアドライバーとガイアメモリを授けられ、商談や戦闘などの第一線に立っていたが、それを常に妨害するWに興味を持ち、その正体が翔太郎であることを知って幾度となく挑戦する。 キザな性格で自信家ゆえに得意げに話す癖があり、余裕と営業用の笑みを常に絶やさないが、陰での鍛錬も欠かさない。ガイアメモリについては人間を素晴らしい存在に進化させる理想的な手段との見解を持つが、同時にガイアメモリの危険性も理解し、相応に分別や矜持へのこだわりを持つため、未来を担う子供たちにはガイアメモリを売らない主義を頑なに貫く姿勢を持つ。 風都への純粋な愛着は同じ風都育ちの翔太郎と同様であり、小学3年当時には風都のイメージキャラクターふうとくんをデザインしてコンクールで優勝している。物語中盤、散髪中にたまたま隣に座っていた翔太郎と意気投合し、その直後に相手の正体を知って戦うことになるが、互いに街を愛するものと認識し合う。また、そのことから唯一の肉親である雪絵には、何かあったら鳴海探偵事務所を頼るよう言い遺していた。 ミュージアムが子供たちや自分を含めた風都の全住人を実験対象としか見ていなかったことを知り、園咲家から離反してWと共闘した後、メモリの副作用ゆえに自分の寿命が長くないことを悟りつつ、翔太郎にふうとくんのキーホルダーと街の未来を託して立ち去る。その後、冴子に離反を持ちかけるも用済みと判断されて処刑され、灰塵と化して消滅する。表向きには事故死とされたその報道は、翔太郎に「風都を愛する者同士」として虚無感を覚えさせた。後ろ手を組むポーズは、霧彦役の君沢の提案によるもので、心理学的に自信の現れという意味合いとなっている。そのため、第4話で琉兵衛と対峙する際には後ろ手を組んでいない。 『W&ディケイド』 「死人還り」を行うドーパントの力に目を付け、彼と戦うWを襲撃する。偶然琉兵衛と屋台にいた栄次郎を「死人還り」を起こした者と予測していた。DC版で三人一緒に変身するシーンが追加される。 ミック / スミロドン・ドーパント 園咲家の飼い猫。品種はブリティッシュショートヘア。 琉兵衛がフィリップ=来人の3歳当時に買い与えた猫で、名付け親もフィリップ。猫ではあるが琉兵衛に寵愛され、園咲家では晩餐会に参加するなど親族同然の扱いを受け、メモリと首輪型のドライバーを与えられている。気性が荒く、家族には懐くが、霧彦や井坂にはまったく懐かない。食事の時には琉兵衛に抱かれている。 ミュージアムへの反逆者や失態を犯した構成員の抹殺を行う処刑人の役目を担っており、琉兵衛の命令であれば霧彦や冴子であろうとも容赦なく抹殺の対象として追跡・始末するが、あくまでも命令にしか応じないうえに自らの意志で戦うことも無く、状況の突然の変化には対応できない。 少なくとも14歳以上とかなりの老齢ながらまだ元気で、普段は猫らしく屋敷内や街を自由気ままに徘徊している。知能は非常に高く(あくまで猫としては)、琉兵衛直属の用心棒を務めており、猫ならではの隠密性を活かした標的の追跡・捕獲、要人の護衛といった諜報活動も行っている。 終盤でWやアクセルと最終計画のキーアイテム・イーヴィルテイルの争奪戦を繰り広げるが、園咲家のデータを閲覧したフィリップによる園咲家での特別な御馳走をもらう際の独特な仕草を利用した術中にはまり、左右に細長いもの(メタルシャフト)を振り、移動させたい場所を指されたことで鎮座し、メタルスタッグブレイカーでドライバーを破壊されてメモリブレイクされる。その場はテラーの出現を受けて逃亡したが、ミュージアムの壊滅後はフィリップの「依頼」により翔太郎が保護する。最終的には鳴海探偵事務所の飼い猫となり、新たな飼い主の亜樹子らにもすぐに懐いている。 テレビシリーズ最終話には登場しないが、冒頭で翔太郎がキャットフードを購入しているシーンがあるため、存命していることがうかがえる。演じるネコは品種名から名づけられた「ブリトニー(ブリちゃん)」。2021年3月時点でも生存しており、『風都探偵』のインタビューでは寺田と再会を果たして彼を感動させている。寺田によれば、テレビシリーズ撮影当時はなかなか言うことを聞いてくれずスタッフも苦労させられており、抜け毛が多いことから1カット撮り終えるたびに衣装担当が掃除してくれたという。 『風都探偵』 鳴海探偵事務所へは気が向いた時にしか戻ってこないが、その際には「街」による風都の異変を感知して翔太郎たちを導くなど、かつて経験したガイアメモリの影響による知性の高さをフィリップに分析されている。新たに事務所の一員となったときめには亜樹子の時よりも即座に懐いており、彼女を驚かせている。 なお、事務所で飼われているという設定を踏まえ、ドアの下部にはミック専用のペットドアが追加されている。
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