園地とは? わかりやすく解説

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えん‐ち〔ヱン‐〕【園地/×苑地】

読み方:えんち

自然公園で、公園施設設けた区域

公園・庭園などになっている土地

律令制で、口分田(くぶんでん)のほかに、や漆を植えるために、私有財産として与えられていた土地


園地

読み方:エンチ(enchi)

古代や漆などを播種させた不輸租地。


園地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/27 22:52 UTC 版)

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園地(えんち)とは、

  1. 公園庭園などの敷地の総称。
  2. 日本古代の律令制において、主にを栽培するために支給された、宅地に付属した土地を指す。蔬菜(野菜類)や果樹類も栽培された。

ここでは、後者の例について解説する。

概要

田令によると、班田収授法と並んで、土地の広さに応じて各戸に均給されたが、絶戸の場合は還公といって返却する必要があった。実態は不明で、不輸租地であったが、面積など班給の基準は定まっていない[1]。田の賃租は1年限りであったが、園は任意に賃租、及び、売却することができ、官司に報告し、承認を得ることで、子孫への世襲・他人への永買や賃租が可能であった[2]。そのため、土地の私有が発展するよりどころになっている[3]

寺への施入や売買は禁止されていたが、実際には行われていた。『続日本紀』によると、天平18年(746年)には

諸寺の、百姓の墾田と園地とを競ひ買ひて、永く寺の地とせむことを禁ず

とある[4]

 神護景雲2年(768年)9月の称徳天皇の勅でも「大宰府が観世音寺の墾田を収公し、人民に班給した」ことを問題とし、人民に班給してあった開墾の進んだ田12町4段を寺に施入し、園地36町を従来通り公地としたとある[5]延暦2年(783年)6月の桓武天皇の勅によると、「京師や畿内の定額寺の数には限りがあり、ひそかに寺を作り、営むことについては制度を立てているが、近年規制がゆるやかになっており、このまま年代が立てば寺でない土地はなくなるであろう。厳しく禁断を加えるように。今後は私で寺を建造したり、田や家や園地を喜捨したり、それらを売却・交換して寺に与えたりしたら、主典以上の官人は現職を解任し、その他の官人は蔭・贖の特権にかかわりなく、杖80叩きの刑に処す」となっている[6]

以上のような禁令がしばしば発せられたが、効果はなかった。中世には園(その)に発展し、年貢はなく、公事のみが義務づけられた[3]

特徴

上述の禁令に共通している点として、ともに寺院に関する地目としてのみ現れている。令の配列からすると、田令15条の次に16条「桑漆条」が配列されており、

上戸に桑300根、漆100根以上。中戸に桑200根、漆70根以上。下戸に桑100根、漆40根以上を5年で植え終えるように、土地が桑漆の栽培に適していない場合、及び、狭い郷では、数通りでなくてもよい。

と定められている。このことからも、園地には桑漆が植えられることが前提となっていることが分かる。ただし、実態としては野菜や果実も植えられていたようである[7]

上記の天平18年の史料で、競買の対象とされているのは、墾田と園地であり、墾田との関係で園地の景観上の特色を叶えると、宅地に園地が存在しないことが分かる。弥永貞三の説によると、園地には私有地としての性格の強い畠地(私園圃)が中核に存在するが、他方で公私共利の場としての園地があり、園地にはこの2種類があったのではないか、としている[8]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 「田令」15条「園地条」
  2. ^ 「田令」19条「賃租条」
  3. ^ a b 『角川第二版日本史辞典』
  4. ^ 『続日本紀』巻第十六、聖武天皇 天平18年5月9日条
  5. ^ 『続日本紀』巻第二十九、称徳天皇 神護景雲2年9月11日条
  6. ^ 『続日本紀』巻第三十七、桓武天皇 今皇帝 延暦2年6月10日条
  7. ^ 吉村武彦「律令制的班田制の歴史的前提について」井上光貞博士還暦記念会編『古代史論叢』中
  8. ^ 「律令制土地所有」『日本古代社会経済史研究』

参考文献

  • 『角川第二版日本史辞典』p127、高柳光寿竹内理三:編、角川書店、1966年
  • 『岩波日本史辞典』p138、監修:永原慶二岩波書店、1999年
  • 『続日本紀』3新日本古典文学大系15 岩波書店、1992年
  • 『続日本紀』4新日本古典文学大系15 岩波書店、1995年
  • 『続日本紀』4新日本古典文学大系15 岩波書店、1998年
  • 宇治谷孟訳『続日本紀(中)・(下)』講談社講談社学術文庫〉、1992年・19955年

関連項目


園地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 09:12 UTC 版)

造園」の記事における「園地」の解説

造園でいう園地(えんち)とは、ある敷地建物等建っていない造園された個所、場所、空間のことをいうが、厳密な定義はない。公園庭園はむろん含まれるし、線地や緑地帯オープンスペースなども該当するが、それらの総称厳密に公園ではないが、公園風に造園された場所などの呼称として使用されるたとえば、愛知県田原市には日出園地(ひいえんち)がある。

※この「園地」の解説は、「造園」の解説の一部です。
「園地」を含む「造園」の記事については、「造園」の概要を参照ください。

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