風都探偵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/13 06:22 UTC 版)
風都探偵 | |
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漫画 | |
原作・原案など | |
作画 | 佐藤まさき |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | ビッグコミックスピリッツ |
レーベル | ビッグスピリッツコミックス |
発表号 | 2017年36・37合併号 - |
発表期間 | 2017年8月7日 - |
巻数 | 既刊18巻(2025年3月現在) |
アニメ | |
原作 | 石ノ森章太郎 |
監督 | 椛島洋介 |
シリーズ構成 | 樋口達人 |
キャラクターデザイン | 蛯名秀和 |
メカニックデザイン | 大河広行、有澤寛 |
音楽 | 中川幸太郎、鳴瀬シュウヘイ |
アニメーション制作 | スタジオKAI |
製作 | 「風都探偵」製作委員会 |
配信サイト | U-NEXT |
配信期間 | 2022年8月1日 - 10月17日 |
話数 | 全12話 |
映画:風都探偵 仮面ライダースカルの肖像 | |
原作 | 石ノ森章太郎 |
監督 | 椛島洋介 |
脚本 | 樋口達人 |
キャラクターデザイン | 蛯名秀和 |
メカニックデザイン | 新妻大輔、森木靖泰 |
音楽 | 中川幸太郎、鳴瀬シュウヘイ |
制作 | スタジオKAI |
製作 | 「風都探偵」製作委員会 |
配給 | 東映ビデオ |
封切日 | 2024年11月8日 |
上映時間 | 82分 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画・アニメ |
ポータル | 漫画・アニメ |
『風都探偵』(ふうとたんてい[注釈 1])は、原作:石ノ森章太郎、脚本:三条陸、作画:佐藤まさきによる日本の漫画作品。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)2017年36・37合併号(2017年8月7日発売)より連載中[1]。単行本はビッグスピリッツコミックスから刊行されており、2023年10月時点の累計部数は250万部を突破している[2]。
2009年から2010年にかけて放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』の続編であり、脚本や怪人のデザイナーなどに当時のスタッフが続投している[3]。「風都」で活動する私立探偵の左翔太郎と相棒のフィリップが街を守るヒーロー「仮面ライダーW(ダブル)」に変身し、平和を脅かす超人「ドーパント」と戦う姿を描いている。本作では翔太郎の助手として記憶喪失の女性ときめが登場するほか、『W』では描けなかった大人向けの描写も盛り込まれている。
同作品の連載を記念し、2017年9月20日発売の『TV Bros.』9月23日号(東京ニュース通信社)では三条と佐藤、監修の塚田英明と担当編集者・有井大志の対談記事や、同作品の解説記事がそれぞれ掲載された[4]ほか、同年10月2日発売の『週刊ビッグコミックスピリッツ』44号では桐山漣と菅田将暉がテレビシリーズ当時をイメージした衣装での変身ポーズで表紙に登場し、グラビアや対談記事も掲載された[5]。また、発売当時の放送作品『仮面ライダービルド』までの歴代平成仮面ライダーの紹介記事、三条と塚田の対談記事、吉田戦車と二ノ宮知子のエッセイ漫画も掲載された[6]。
あらすじ
風都で人間を超人「ドーパント」に変える道具「ガイアメモリ」を製造していた組織「ミュージアム」は、街を守るヒーロー「仮面ライダー」によって壊滅したが、ガイアメモリは未だに出回っていた。仮面ライダーの変身者である、鳴海探偵事務所に勤める私立探偵の左翔太郎と相棒のフィリップは、変わらず探偵および仮面ライダーとして活動していた。
ある日翔太郎は、記憶喪失の女性ときめと出会う。翔太郎たちはドーパント絡みの事件に巻き込まれていたときめを助け、鳴海探偵事務所の探偵助手として雇う。そして彼女と行動をともにする中で、翔太郎たちは風都で暗躍する組織「裏風都」の存在を知る。
制作
上記の『TV Bros.』の対談記事によれば、同作品は仮面ライダージョーカーのVシネマ企画に端を発しており、ウェブコミック配信サイト『やわらかスピリッツ』でのコミカライズ企画を経て、『週刊ビッグコミックスピリッツ』での連載につながったという[7]。当初は、『W』の終盤でフィリップが姿を消してから帰還するまでの1年間の話を描く予定だったが、この時期は主人公の翔太郎が精神的に落ちており、そのようなものを毎週読みたくないだろうとの判断や、翔太郎とフィリップの掛け合いで成り立っている面のある『W』を翔太郎単独で描くのは制作側としても厳しいことから、続編を描くこととなった[8]。
作品名に「仮面ライダー」が入っていないのは三条の提案による[9]。これは平成仮面ライダーが広く人気を得ていると言っても、成年誌の読者には抵抗があるのではないかと考えられたためで、『W』で塚田が『探偵物語』のようなものを志向していたことから四字熟語のような名称にすることになり、『風都探偵』に決定した[9]。アオリや次号予告などでも第5話まで「仮面ライダー」という単語を使用しないようにした[9]。
三条は『W』の作法は固まっているといい、本作も同様の作風で描かれている[9]。それを踏まえて漫画でなければできないことをしようと考えており、クリーチャーデザインの寺田克也から実写ではできないデザインを提供されたことで、その狙いは加速したという[9]。ただし漫画ではWの色が表現できず台詞で説明するしかないため、その点だけは最初から諦めている[9]。
『W』では物語の縦軸をフィリップが担当していたが、本作では翔太郎が縦軸になっており、その相棒としてときめが登場することになった[10]。翔太郎とフィリップは「似顔絵になっちゃダメだ」というこだわりから、それぞれ俳優のままではなく独特の容姿となっている[4][7][注釈 2]。
第3巻は実写ならオールロケになる状況、酒がテーマ、土曜ワイド劇場を連想させる描写、液体が入ったようなデザインのドーパントといった、大人向けや漫画でしかできない要素が多数あり、三条は関係者たちがやりたいことを始めた時期ではないかと述べている[11]。
原作の仮面ライダースカルのエピソードは他作品との共演シーンがある映画で描かれているため、『W』だけのビギンズナイトを作りたいという思いから第6巻のエピソードが作られた[10]。少年時代の翔太郎のエピソードは、2作目の『MOVIE大戦』制作時に持ち上がった、漫画とのタイアップ企画用に制作されたプロットを使用したものである[10]。
評価
このマンガがすごい!2019ではオトコ編第15位にランクインした[3]。
全国書店員が選んだおすすめコミック2019では第8位にランクインした[12]。
書誌情報
- 三条陸(脚本)、佐藤まさき(作画) 『風都探偵』 小学館〈ビッグスピリッツコミックス〉 、既刊18巻(2025年3月28日現在)
- 2018年3月30日発売 ISBN 978-4-09-189849-4
- 2018年3月30日発売 ISBN 978-4-09-189850-0
- 2018年6月29日発売 ISBN 978-4-09-189890-6
- 2018年10月30日発売 ISBN 978-4-09-860075-5
- 2019年2月28日発売
ISBN 978-4-09-860225-4
- 『ライドウォッチ、ガンバライジングカード付き限定版』 2019年2月28日発売 ISBN 978-4-09-943037-5
- 2019年6月28日発売 ISBN 978-4-09-860318-3
- 2019年11月29日発売 ISBN 978-4-09-860488-3
- 2020年3月30日発売 ISBN 978-4-09-860567-5
- 2020年10月30日発売 ISBN 978-4-09-860714-3
- 2021年3月30日発売 ISBN 978-4-09-860870-6
- 2021年8月30日発売 ISBN 978-4-09-861128-7
- 2022年2月28日発売 ISBN 978-4-09-861252-9
- 2022年8月29日発売 ISBN 978-4-09-861397-7
- 2023年4月28日発売 ISBN 978-4-09-861397-7
- 2023年11月30日発売 ISBN 978-4-09-862645-8
- 2024年4月30日発売 ISBN 978-4-09-862762-2
- 2024年10月30日発売 ISBN 978-4-09-863069-1
- 2025年3月28日発売 ISBN 978-4-09-863219-0
Webアニメ
2021年4月3日、仮面ライダーシリーズ初となるシリーズアニメ化が発表された[13][14]。2022年8月1日から10月17日にかけて毎週月曜0時にU-NEXTで独占配信[15][16]。また、同月8日から10月24日にかけてTOKYO MXで毎週月曜22時より、サンテレビで同日23時30分から11月12日にかけて、BS11で同年10月1日から毎週土曜22時より、東映チャンネルで同年12月より放送された[15][17]。
制作(Webアニメ)
エグゼクティブプロデューサーの塚田英明によれば、アニメ化の企画はADKエモーションズの古谷大輔の提案である[18]。時期は単行本第1・2巻が増刷されたころで、そこから約2年後にスタジオKAIで制作したいという話が入って座組が決まっていった[18]。
翔太郎、フィリップ、亜樹子、照井役の担当声優はゲーム『KAMEN RIDER memory of heroez』で同役を担当したキャストが起用されている[出典 1]。監督の椛島洋介によれば、ゲームのキャストは気にしなくていいという話だったが、同作での翔太郎とフィリップのキャスティングを見事だと感じたこと、椛島自身2人を演じた細谷佳正と内山昂輝が好きな役者であることから、他のキャストも含めゲームから引き続き起用された[20]。さらに、後述する『スカルの肖像』では『KAMEN RIDER memory of heroez』で変身態のテラー・ドーパント、タブー・ドーパント、クレイドール・ドーパントを演じた宝亀克寿、佐藤聡美、M・A・Oが変身前の園咲琉兵衛、園咲冴子、園咲若菜を演じている。例外として、ミックは原作で変身態のスミロドン・ドーパントを演じた高戸靖広が担当している。
椛島によれば、当初は『W』と同様に1エピソード2話とする予定だった[20]。この構成なら単行本5巻くらいまで収録でき、そのうえで残り2話をオリジナルの展開にするという案があったほか、大事な話だけ3話構成にする案もあった[20]。しかし原作は事件解決後の答え合わせなどを丁寧に描くことで雰囲気を作っていたため、それを考慮して3話構成になった[20]。3話構成だと単行本4巻くらいしか入らなくなり、また縦軸となるときめの成長を追いかけるため5巻まで描きたかったことから第4巻が削られた[20]。ただし第4巻のエピソードがなかったことになったわけではなく、第1話や第4話で第4巻の事件について示唆されている[20]。
スタッフ(Webアニメ)
- 出典[出典 2]
-
- 原作 - 石ノ森章太郎
- 企画 - 吉村文雄、柴田邦彦、古澤圭亮、春山ゆきお、加藤和夫
- エグゼクティブプロデューサー - 塚田英明
- プロデューサー - 内藤恵、古谷大輔
- シリーズ構成 - 樋口達人
- 脚本監修 - 三条陸
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 蛯名秀和
- 総作画監督 - 小松原聖
- 仮面ライダー・ドーパントアニメーター - 椛島洋介、山根理宏
- メカニックデザイン - 大河広行、有澤寛
- メインアニメーター - 式地幸喜、冨永一仁、横屋健太
- 美術監督 - 渡辺幸浩
- 美術設定 - 青木智由紀、森岡賢一
- 色彩設計 - 横山さよ子
- 株式会社unknownCASE
- CGディレクター - 加島裕幸
- CGアニメーションディレクター - 崎山敦嗣
- 株式会社ジェットスタジオ
- 3Dモデル監修 - 石井貢
- iPSアニメーションスタジオ株式会社
- CGプロデューサー - 岩片裕一
- CGラインプロデューサー - 森野浩典
- 撮影監督 - 志村豪、竹沢裕一
- 2Dグラフィックス - 影山慈郎
- 編集 - 髙橋歩
- 音響監督 - 明田川仁
- 音楽 - 中川幸太郎、鳴瀬シュウヘイ
- 音響制作 - マジックカプセル
- 音楽プロデューサー - 飯田真由(avex trax)
- アニメーション制作統括 - 金子文雄
- アニメーションプロデューサー - 増尾将史
- アニメーション制作 - スタジオKAI
- 副監督 - 種村綾隆
- 監督 - 椛島洋介
- 製作 - 「風都探偵」製作委員会
主題歌(Webアニメ)
- 「Private Eye」[15]
- Big Gadgets ft.上木彩矢 w TAKUYAによるオープニング曲。作詞は藤林聖子、作曲は中川幸太郎。
- インストゥルメンタル楽曲。第12話ではオープニングは省略され、挿入歌として使用された。
- 「罪と罰とアングラ」[15]
- 松岡充による主題歌。作詞は松岡、作曲は吉川晃司、編曲は菅原弘明、ストリングスアレンジは大島ミチル。
- エンディングテーマ位置で使用される。
- 「W-G-X 〜W Goes Next〜」[22]
- 上木彩矢 w TAKUYAによる挿入歌。作詞は藤林聖子、作曲は鳴瀬シュウヘイ。
- 「Let's go ahead」
- 風祭メグ(Machico)による挿入歌。作詞は藤林聖子、作曲は鳴瀬シュウヘイ。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 画コンテ | 演出 | 作画監督 | 仮面ライダー |
総作画監督 | 初配信日 |
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第1話 | tに気をつけろ / 魔女に恋した男 | 樋口達人 | 椛島洋介 | 種村綾隆 |
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椛島洋介 | 蛯名秀和 | 2022年 8月1日 |
第2話 | tに気をつけろ / 犯人はそこにいる | 種村綾隆 | 佃泰佑 |
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小松原聖 | 8月8日 | ||
第3話 | tに気をつけろ / 仮面の守護神 |
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成田巧 |
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蛯名秀和 | 8月15日 | ||
第4話 | 最悪のm / 死を呼ぶ羽音 | 瀬藤健嗣 | 球野たかひろ |
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小松原聖 | 8月22日 | ||
第5話 | 最悪のm / 密告者 | 相浦和也 | 和田裕一 |
|
宇田早輝子 | 8月29日 | ||
第6話 | 最悪のm / 白い牙 | 徳田大貴 |
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徳田大貴 | 蛯名秀和 | 9月5日 | ||
第7話 | 閉ざされたk / 名コンビ遭難 | 冨岡淳広 | 麻宮騎亜 | 小野勝巳 |
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9月12日 | |
第8話 | 閉ざされたk / 連鎖する悪意 | 徳田大貴 |
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小松原聖 | 9月19日 | |
第9話 | 閉ざされたk / 究極は二人で一人 | 大塚健 | 鈴木拓磨 |
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9月26日 | ||
第10話 | 超人r / 裏風都へのパスポート | 根元歳三 | 瀬藤健嗣 |
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蛯名秀和 | 10月3日 |
第11話 | 超人r / つながりを求めて | 平野宏樹 |
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10月10日 | |||
第12話 | 超人r / 終焉、そして…… |
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種村綾隆 |
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10月17日 |
短編SDアニメ
アニメ『風都探偵』のエンディング終了後に挿入される短編SDアニメ。
スタッフ(短編SDアニメ)
- 演出 - 種村綾隆
- SDキャラクターデザイン - りお
- 担当制作 - 村松瑠奈
各話リスト(短編SDアニメ)
話数 | サブタイトル | 画コンテ | 作画監督 | 初配信日 |
---|---|---|---|---|
第1話 | 亜樹子の危険な遊戯 | 種村綾隆 | 桐谷真咲 | 2022年 8月1日 |
第2話 | - | 平野宏樹 | 8月8日 | |
第3話 | ハードボイルド妄想日記 もしもときめがアメーバだったらぁぁぁ!! |
種村綾隆 | 8月15日 | |
第4話 | ハードボイルド妄想日記 もしも、俺がフィリップでフィリップが俺だったらぁぁぁ |
椛島洋介 |
|
8月22日 |
第5話 | ヒーリングプリンセスNEO | 増尾将史 | 桐谷真咲 | 8月29日 |
第6話 | 9月5日 | |||
第7話 | - | 平野宏樹 | 9月12日 | |
第8話 | ヒーリングプリンセスNEO | 本間絵美 | 9月19日 | |
第9話 | 亜樹子の危険な遊戯 | 種村綾隆 | 9月26日 | |
第10話 | ドーパント妄想日記 もしも、裏風都ドーパントがロックバンドだったらああああ!! |
10月3日 | ||
第11話 | さぁ、火がついちまった! | 平野宏樹 | 10月10日 | |
第12話 | ハードボイルド妄想日記 もしも、みんなが戦国武将だったらぁぁぁ!! |
平野宏樹 | 10月17日 |
放送局
![]() |
プロジェクト:放送または配信の番組#放送に基づき、本放送期間内の放送局および配信サイトのみを記載しています。
|
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 [23] | 備考 |
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2022年8月8日 - 10月24日 | 月曜 22:00 - 22:30 | TOKYO MX | 東京都 | |
月曜 23:30 - 翌0:00 | サンテレビ | 兵庫県 | ||
2022年10月1日 - 12月17日 | 土曜 22:00 - 22:30 | BS11 | 日本全域 | BS放送 / 『ANIME+』枠 |
2022年10月8日 - 11月12日 | 土曜 2:25 - 3:25(金曜深夜) | 熊本放送 | 熊本県 | 2話連続放送[24] |
配信開始日 | 配信時間 | 配信サイト |
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2022年8月1日 | 月曜 0:00 (日曜深夜)更新 | U-NEXT(独占配信[25]) |
関連書籍
- アニメーション製作:「風都探偵」製作委員会 / 原作:石ノ森章太郎 / 原作:三条陸 『アニメ「風都探偵」公式ガイドブック』 小学館〈ビッグコミックス〉、2023年4月28日発売、 ISBN 978-4-09-861669-5
評価(Webアニメ)
第45回アニメグランプリでは「グランプリ作品部門」で第26位にランクインした[26]。
劇場アニメ
2024年11月8日からは劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』(ふうとたんてい かめんライダースカルのしょうぞう)が期間限定で公開された[27]。原作漫画第6巻をアニメ化している[28]。
入場者プレゼントとして、翔太郎の探偵助手時代を描く漫画「sたちの肖像/探偵の必需品」などを収録した冊子「風都探偵 第6.5集」が配布される[29]。
制作(劇場アニメ)
劇場版の企画は三条陸によれば、Webアニメ版が好評だったため次もやりたかったが、スタジオKAIのスケジュールの都合ですぐにはできなかったという[30]。椛島洋介はスタジオKAIの制作部長である古谷大輔と話した際に、シリーズ化は大変なため原作1巻を映画かOVAとして上映したいと希望したといい、そこから劇場アニメ化を前提にシナリオが制作された[30]。企画が立ち上がった当初はWebアニメ版で描かれなかったパズル・ドーパントが登場する第4巻や、仮面ライダーアクセルが活躍する第7巻を原作とする案があったが、劇場に客を呼び込めるもっとも強い要素は仮面ライダースカルの登場であると判断されて第6巻のアニメ化となった[31]。
本作ではクライマックスの場面で、仮面ライダーW ファングジョーカーがミュージアムから脱出する際に、原作に登場しなかったオーシャン・ドーパントとの戦いが描かれている[32]。これは中盤でバトルシーンが終了し、終盤は撤退になるため、クライマックスがボリューミーでなければ観客の満足感が低くなるのではないかと考えられたことによる[32]。翔太郎たちが海に出ることから、敵はオーシャンに設定された[32]。オーシャンのデザインは寺田克也が担当[32]。通常寺田へのデザインは、役どころは言わずに名前とイメージだけ指定しているが、オーシャンは役割を説明して発注したため、ラストボスにふさわしいデザインになった[32]。オーシャンの変身者である大嶋凪は、園咲霧彦以前の「冴子の男」という方向性で設定された[32]。
オーシャンとの戦いではWebアニメ版の挿入歌である「W-G-X 〜W Goes Next〜」を使用するはずだったが、翔太郎とフィリップの初戦闘であることから急遽『仮面ライダーW』の主題歌である「W-B-X 〜W-Boiled Extreme〜」に差し替えられた[32]。
最後のサプライズとして登場するサイクロンスカルは、当初は原作と同様にシルエットで登場するはずだったが、『W』でスカルをデザインした小林大祐により初映像化となった[32]。
主題歌(劇場アニメ)
- 「似合う男になれ」
- 鳴海荘吉(実写版で同役を演じた吉川晃司)による劇場版主題歌[33]。作詞は鳴海荘吉・jam、作曲は鳴海荘吉、編曲は菅原弘明。
- 「Forevermore」
- メリッサ(小松未可子)による挿入歌。作詞は瀧尾沙、作曲・編曲は中川幸太郎。
- 「Nobody's Perfect」
- 鳴海荘吉による挿入歌。作詞は松井五郎、作曲は鳴海荘吉、編曲は菅原弘明。
- 「W-B-X 〜W-Boiled Extreme〜」
- 上木彩矢 w TAKUYAによる挿入歌。作詞は藤林聖子、作曲は鳴瀬シュウヘイ、編曲はTAKUYA・鳴瀬シュウヘイ。
評価(劇場アニメ)
Filmarks発表の11月第2週公開映画の初日満足度ランキングで第1位となった[34]。2024年11月8日から10日の全国映画動員ランキングで初登場第5位となった[35]。
ライターの桐沢たえは、本作だけでエピソードが完結していることから『W』や『風都探偵』を知らなくても見やすく、むしろ本作から「Wワールド」に入るのもおすすめとしている[28]。
舞台
『風都探偵 The STAGE』のタイトルで、2022年12月から2023年1月にかけて東京・大阪で上演[36]。
当初は三条陸によるオリジナル脚本になる案もあった[37]。客層は特撮ファンの男性・特撮ファンの女性・2.5次元ファンがそれぞれ3分の1ずつで、三条は「見たことがない客層」と言われたという[37]。
キャスト(舞台)
- 左翔太郎 - 和田雅成[36]
- フィリップ - 木津つばさ[36]
- 鳴海亜樹子 - 生駒里奈[38]
- 照井竜 - 上野凱[38]
- ときめ - 能條愛未[38]
- 刃野幹夫 - なだぎ武[38]
- 真倉俊 - 相澤莉多[38]
- 立川蓮司 - 松本寛也[38]
- サブ - 梅澤裕介[38]
- 坪崎忠太 - 伊藤孝太郎[38]
- 万灯雪侍 - 君沢ユウキ[39]
- 井坂仁美[40]
- 池田優樹[41]
スタッフ(舞台)
脚注
注釈
出典
- ^ 二人で一人の“彼ら”の新しい物語。その名も『風都探偵』 週刊ビッグコミックスピリッツで8月連載スタート! 東映 2017年7月3日
- ^ 「風都探偵」『ビッグコミックスピリッツ』2023年48号、小学館、2023年10月30日、10頁、ASIN B0CKZVFSVV。
- ^ a b 『このマンガがすごい!2019』宝島社、2019年、55頁。 ISBN 978-4-8002-9001-4。
- ^ a b 「仮面ライダーW」続編マンガ特集がブロスに、脚本家&作画家、監修&編集の対談 - コミックナタリー
- ^ 行くぜ、相棒!スピリッツで「仮面ライダーW」桐山漣、菅田将暉が久々の共演 - コミックナタリー
- ^ 桐山漣×菅田将暉「仮面ライダーW」表紙のスピリッツ発売「また変身してみっか?」 - 映画ナタリー
- ^ a b 『TV Bros.』2017年9月23日号、p.20-21。
- ^ 事件ファイル 2023, p. 170.
- ^ a b c d e f HERO WORKS 2023, p. 111.
- ^ a b c “「一緒に作る人たちとの“雰囲気”は大事にしたいと思っています」――『仮面ライダーW』を手掛けた三条陸さんが語る、王道に“威力”を宿す作品づくりと決め台詞が生むドラマ性|劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』インタビュー”. アニメイトタイムズ. アニメイト. p. 2 (2024年11月9日). 2025年8月12日閲覧。
- ^ “「一緒に作る人たちとの“雰囲気”は大事にしたいと思っています」――『仮面ライダーW』を手掛けた三条陸さんが語る、王道に“威力”を宿す作品づくりと決め台詞が生むドラマ性|劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』インタビュー”. アニメイトタイムズ. アニメイト (2024年11月9日). 2025年8月12日閲覧。
- ^ “第3位は話題の『アクタージュ act-age』、第1位も「週刊少年ジャンプ」連載作品! 「全国書店員が選んだおすすめコミック2019」発表”. 超!アニメディア. イード (2019年2月6日). 2025年8月10日閲覧。
- ^ “風都探偵 アニメ化決定!”. 仮面ライダーWEB【公式】. 東映. 2021年3月28日閲覧。
- ^ 宇宙船YB2023 2023, pp. 12–13, 「風都探偵」
- ^ a b c d “仮面ライダーW:吉川晃司、松岡充がアニメ「風都探偵」主題歌 OPで上木彩矢 w TAKUYAがコーラス”. MANTANWEB (MANTAN). (2022年5月3日) 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b “アニメ『風都探偵』、2022年8月より「U-NEXT」での独占配信、 さらにTOKYO MXでの放送が決定!! メインキャラクター集結のティザービジュアル/ティザーPV/キャストを一挙公開!! 〜キャスト6名からは意気込みコメントが到着〜”. 仮面ライダーWEB【公式】. 東映 (2022年2月26日). 2022年2月26日閲覧。
- ^ a b c 宇宙船177 2022, pp. 104–105, 「風都探偵」
- ^ a b 事件ファイル 2023, p. 167.
- ^ a b 宇宙船176 2022, p. 41, 「風都探偵」
- ^ a b c d e f 事件ファイル 2023, pp. 116–118.
- ^ アニメ「風都探偵」監督は椛島洋介、「どうしても自分が務めたかった」と熱い思い語る - コミックナタリー
- ^ “『風都探偵』第3話で上木彩矢とTAKUYAによる挿入歌 『W-G-X 〜W Goes Next〜』が解禁!”. 仮面ライダーWEB【公式】. 東映 (2022年8月15日). 2022年8月15日閲覧。
- ^ テレビ放送対象地域の出典:
- 政府規制等と競争政策に関する研究会 (2009年10月9日). “放送分野の動向及び規制・制度(資料2)” (PDF). 通信・放送の融合の進展下における放送分野の競争政策の在り方. 公正取引委員会. p. 2. 2018年10月24日閲覧。
- “基幹放送普及計画”. 郵政省告示第六百六十号. 総務省 (1988年10月1日). 2022年5月11日閲覧。
- “地デジ放送局情報”. 一般社団法人デジタル放送推進協会. 2022年8月5日閲覧。
- ^ アニメ『風都探偵』、RKK熊本放送の放送日が決定!! 10月7日(金)26時25分より第一話・第二話を放送開始! - アニメ「風都探偵」公式サイト、2022年9月29日
- ^ アニメ「風都探偵」トップページ - アニメ「風都探偵」公式サイト
- ^ 『アニメージュ』 2023年8月号、徳間書店、2023年、57頁。
- ^ “「風都探偵」劇場アニメ化!「仮面ライダーW」誕生の夜描いたビギンズナイトが映画に”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年6月30日). 2024年7月1日閲覧。
- ^ a b “『ビギンズナイト』を愛する者たちへ。『劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」』レビュー”. U-NEXT SQUARE. U-NEXT (2024年11月8日). 2025年8月12日閲覧。
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出典(リンク)
参考文献
- 『宇宙船』vol.176(SPRING 2022.春)、ホビージャパン、2022年4月1日、 ISBN 978-4-7986-2796-0。
- 『宇宙船』vol.177(SUMMER 2022.夏)、ホビージャパン、2022年7月1日、 ISBN 978-4-7986-2862-2。
- 「宇宙船vol.180特別付録 宇宙船YEARBOOK 2023」『宇宙船』vol.180(SPRING 2023.春)、ホビージャパン、2023年4月1日、 ISBN 978-4-7986-3133-2。
- 『アニメ 風都探偵 公式ガイドブック 鳴海探偵事務所 事件ファイル』小学館、2023年。 ISBN 978-4-09-861669-5。
- 『三条陸 HERO WORKS』集英社、2023年5月24日。 ISBN 978-4-08-790117-7。
外部リンク
- 「風都探偵」 - ビッグコミックBROS.NET
- 「風都探偵」公式 (@fuutokoushiki) - X
- アニメ「風都探偵」公式サイト - 東映「仮面ライダーWEB」
- アニメ「風都探偵」公式 (@anime_Fuuto) - X
- 「風都探偵 The STAGE」公式サイト
- 風都探偵 The STAGE (@stage_fuuto) - X
風都探偵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:23 UTC 版)
「仮面ライダーシリーズ」の記事における「風都探偵」の解説
2022年8月1日配信および地上波放送予定。U-NEXT配信。地上波はTOKYO MX(8月8日 - (予定))ほか。
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