炭水化物 炭水化物の代謝

炭水化物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/13 02:26 UTC 版)

炭水化物の代謝

食事摂取基準

人間が1日に必要とする炭水化物は総エネルギー必要量の50%から70%を目標にすべきとされる[17]

の代謝を考慮するとグルコースとなる炭水化物の最低必要量は100g/日と推定されるが、これ以下の摂取であっても肝臓における糖新生によりグルコースが供給される場合がある[18]

食物繊維の望ましい摂取量は、成人男性で19g/日以上、成人女性で17g/日以上である[18]

またWHO/FAOの2003年のレポートで、砂糖は総エネルギー必要量の10%未満にすべきだと勧告されている[19]

炭水化物の摂取基準
標準男性 標準女性
生活強度 低い[注釈 4] 普通[注釈 5] 高い[注釈 6] 低い 普通 高い
18-29(歳) 288-400g 331-464g 381-534g 219-306g 256-359g 294-411g
70以上(歳) 200-280g 231-324g 263-368g 169-237g 194-271g 219-306g

一日のエネルギー必要量は、男性では2660(kcal)、女性では1995(kcal)であり、炭水化物のエネルギー量は4 kcal/gであり、仮に60%の値を当てはめると、以下のとおりとなる。

  • 男性では、2660 kcal/日 x 0.6 / 4 kcal/g =400 g/日(白米3.3/日に相当)
  • 女性では、1995 kcal/日 x 0.6 / 4 kcal/g =300 g/日(白米2.5合/日に相当)
白米、短粒種、生
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,496 kJ (358 kcal)
80.3 g
糖類 0.1 g
食物繊維 0.7 g
0.8 g
5.95 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

日本における標準的な一日あたりの基礎代謝量(男子:1450 kcal : 女子: 1210kcal)に白米を主食として当てはめると100g辺り358kcalで80gが炭水化物なので、人間が1日に必要とする炭水化物は総エネルギー必要量の60%を目標にされており、以下のとおりとなる。

  • 男性では、1450 kcal x 0.6 = 870kcal
    • 白米 ( 870kcal / 358kcal ) x 100g = 243g
    • 白米の炭水化物 ( 870kcal / 358kcal ) x 80g = 194g
  • 女性では、1210 kcal x 0.6 = 726kcal
    • 白米 ( 726kcal / 358kcal ) x 100g = 203g
    • 白米の炭水化物 (726kcal / 358kcal ) x 80g = 162g
  • 日本における1日に必要とする炭水化物の摂取基準をもとにした白米の量 : 男子:243g : 女子: 203g
白米を主食とした摂取エネルギー量の例
標準男性 標準女性
生活強度 低い 普通 高い 低い 普通 高い
炭水化物の摂取エネルギー(総摂取エネルギーの60%) 978-1170kcal 1170-1360kcal 1360-1560kcal 834-1002kcal 1002-1170kcal 1170-1338kcal
白米の量 273-326g 326-382g 382-436g 233-280g 280-326g 326-373g
白米の炭水化物の量 218-261g 261-306g 306-348g 186-306g 224-261g 261-298g
白米の食物繊維 1.9-2.3g 2.3-2.8g 2.8-3.1g 1.6-2.0g 2.0-2.3g 2.3-2.6g

日常の生活強度に合った食事をする必要がある。目安は、

  • 総エネルギー量(kcal)= 標準体重(kg) × 生活活動強度指数(kcal)
    • 生活活動強度指数
      • 軽労働(主婦・デスクワーク):25-30 kcal
      • 中労働(製造・販売業・飲食店):30-35 kcal
      • 重労働(建築業・農業・漁業):35-40 kcal
日本における平均身長
国名 男子 女子 年令範囲 調査年
日本 171.82 cm 158.84 cm 20-24 2010[20]

厚生労働省による栄養素配分の適正は、以下のとおりとなる。

  • 炭水化物:総エネルギー必要量の60%
  • 食物繊維:25g以上

脚注


注釈

  1. ^ 2015年時点で砂糖の摂取量が低い母集団に関する疫学研究が不足しているため、WHOは5%未満ないし一日25g未満への抑制は「条件付き」の推奨であるとしている。
  2. ^ 栄養表示基準において「食品の重量から、たんぱく質脂質灰分及び水分の量を控除して算定」した値と規定されている。従って、体内での働きが一般の炭水化物とは異なる成分、例えばクエン酸なども炭水化物の含有量として表示される事に注意が必要である。
  3. ^ 正式には「食品の重量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除して算定」した値と規定されている。
  4. ^ 低い:生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
  5. ^ 普通:座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
  6. ^ 高い:移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 生化学辞典第2版、p.908 【糖質】
  2. ^ 渡邊昌『運動・からだ図解 栄養学の基本』2016年、92頁。 
  3. ^ 食事バランスガイド 厚生労働省・農林水産省決定 フードガイド(仮称)検討会報告書』(PDF) 第一出版、2005年12月。ISBN 4-8041-1117-4
  4. ^ Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation 2003
  5. ^ BURKITT D.P, TROWELL H.C Refined Carbohydrate Foods and Disease: Some Implications of Dietary Fibre, 1975 . ISBN 978-0121447502
  6. ^ Marquart L, Jacobs DR Jr, Slavin JL. "Whole Grains and Health: An Overview" Journal of the American College of Nutrition Vol.19(90003), 2000, pp289-290. PMID 10875599
  7. ^ Burros, Marian; Warner, Melanie (2006年5月4日). “Bottlers Agree to a School Ban on Sweet Drinks (Published 2006)” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2006/05/04/health/04soda.html 2021年2月27日閲覧。 
  8. ^ Guidelines on reducing sugar in food published for industry” (英語). GOV.UK. 2021年2月27日閲覧。
  9. ^ WHO guideline : sugar consumption recommendation” (英語). www.who.int. 2021年2月27日閲覧。
  10. ^ 生活習慣病予防のための各学会のガイドラインの整理 (PDF) (厚生労働省)
  11. ^ 「食料の世界地図」p78-81 エリック・ミルストーン、ティム・ラング著 中山里美・高田直也訳 大賀圭治監訳 丸善 平成17年10月30日発行
  12. ^ 山田和彦、「炭水化物の消化・吸収・発酵とその利用」『栄養学雑誌』 2001年 59巻 4号 p.169-176, doi:10.5264/eiyogakuzashi.59.169
  13. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p.122-141、第6章 2.消化digestionと吸収absorption
  14. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.148-151、第7章 2.生体内の物質代謝 1)糖質
  15. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p.379、第17章 ホメオスタシスと生体リズム 1.ホメオスタシス 4)血糖値blood suar(blood glucose)調整
  16. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p.337、第14章 内分泌 2.内分泌器官の構造と機能 4)肝臓のランゲルハンス島Langerhans isletの構造とホルモン (1)インスリン
  17. ^ 日本人の食事摂取基準(2005年版) (厚生労働省)
  18. ^ a b 「日本人の食事摂取基準」(2010年版)厚生労働省 (PDF)
  19. ^ Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases 2003
  20. ^ 体力・運動能力調査 2010年度”. 政府統計の総合窓口 (2011年10月11日). 2012年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月13日閲覧。


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