アラブ首長国連邦 国民

アラブ首長国連邦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 14:35 UTC 版)

国民

国籍 2010年
アラブ首長国連邦国籍
  
13%
外国籍
  
87%
人口推移
人口±%
195070,000—    
196090,000+28.6%
1970232,000+157.8%
19801,016,000+337.9%
19901,809,000+78.1%
20003,033,000+67.7%
20107,512,000+147.7%
出展:国連 世界人口推計[22]

住民は、在来のアラブ人からなるアラブ首長国連邦国籍の国民(英語でエミラティス英語版と呼ばれる)は全体の13%を占めるに過ぎない。その他は外国籍の住民であり、他のアラブ諸国から来た人々や、イラン人、南アジア系50%(インド人140万人、パキスタン人バングラデシュ人スリランカ人)、東南アジア系(フィリピン人)、欧米系、東アジア系の人々などがいる。これらの外国籍の多くは、石油収入によって豊かなアラブ首長国連邦に出稼ぎとしてやってきた人々である。しかし、単身が条件で家族を連れての居住は認められていない。長期在住者でも国籍取得は大変難しく、失業者は強制送還するなど、外国人へは厳格な管理体制がなされている。

外国人への厳しい管理体制と裏腹に、旧来のUAE国民とその子孫(UAEナショナルと呼ばれる)へは、手厚い支援体制がとられている。教育は無料で、所得税もなく、民間に比べて高給である公務員への登用が優先的になされる。このため、UAEナショナルの労働人口のかなりの部分が公務員によって占められている。国民同士が結婚すれば国営の結婚基金から祝い金が交付され、低所得者や寡婦などには住宅や給付金などの保障が手厚くなされる。これは国民への利益分配の面のほかに、全住民の8分の1に過ぎない連邦国民の増加策の面もある。

しかし政府はあくまでも現在のUAE国民とその子孫の増加を望んでいるため、UAE国民以外の国籍取得は大変難しい。一般の長期在住者がUAEの国籍を取得する資格を得るには、30年以上の継続した国内在住を要する。アラブ系国家出身であれば条件は緩和され、7年の継続居住で国籍取得申請ができ、兄弟国とも言えるカタール、バーレーン、オマーン出身者であれば3年の継続居住で国籍取得申請は可能である。また、帰化しても市民権にはいくつかの制約が設けられる。例えば、カタール、バーレーン、オマーン出身者を除く帰化市民には選挙権は与えられない[23]

また、近年では若年層人口の増加により公務員の仕事を全ての希望する国民に割り振ることができなくなる可能性が指摘されており、政府は外国人によって占められている職場に自国民雇用義務を導入し、労働力の自国民化を目指している。しかし、厳しい競争に晒されてきた外国人に比べて、これまで保護されてきたUAEナショナルは高給だが能力に劣ることが多く、高福祉を頼みに厳しい仕事を嫌って無職のままでいる国民も多い。

ユダヤ人

2004年にアラブ世界で初めてとなるダイヤモンド取引所がUAE政府によって認可され、ダイヤモンドは歴史的にユダヤ人業者が得意としてきた産業として知られ、世界に散らばるユダヤ人の一部が、ドバイに移住する一つのきっかけになった[24]

言語

言語はアラビア語公用語である。日常会話は湾岸方言となる。ただし、イギリスの植民地であったことと、外国人労働者が大半を占めるために、共通語として英語もよく用いられるほか、ペルシャ語ヒンディー語ウルドゥー語マラヤーラム語タガログ語なども広く使われている。

宗教

イスラム教国教とする。しかし、他の湾岸諸国と違って戒律規制は緩く、信教の自由が認められており、イスラム教以外の宗教を信仰することも宗教施設を建設することも可能である。外国人労働者が多いため、ヒンドゥー教キリスト教仏教なども信仰されている。一方、イスラム教の戒律に関しては、最も自由で開放的なドバイ首長国から、最も敬虔で厳格なシャールジャ首長国に至るまで、各首長国によって態度に違いがある。たとえば、ドバイでは女性はアバヤなどを着ずともよく、肌を露出させた服装でも良く、酒類の販売も可能である。一方アブダビはやや保守的であり、シャールジャでは服装にも厳格で、酒類販売は原則的に禁止されている。ただし、過激ではなく、女性の教育や就労も認められている。大学進学率は女性のほうが高く[25]、学業を終えると多くの女性が就職し、公務員は半分以上が女性である。


  1. ^ a b UNdata”. 国連. 2021年10月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e IMF Data and Statistics 2021年10月13日閲覧([1]
  3. ^ 変異株に水差された大阪万博PR デジタル活用カギ”. 産経ニュース (2021年12月11日). 2021年12月11日閲覧。
  4. ^ アラブ首長国連邦基礎データ” (日本語). Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2022年2月20日閲覧。
  5. ^ Poll opens for first UAE elections Al Jazeera, 16 December 2006
  6. ^ ただし、必ずしも民主化や人権問題と無縁ではない。“「アラブの春」 無縁ではないUAE”. 産経新聞. (2011年11月12日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/111112/mds11111212000002-n1.htm 2011年12月1日閲覧。 
  7. ^ 中国、親米UAEと急接近 米に代わり中東で存在感”. 日本経済新聞. 2022年3月12日閲覧。
  8. ^ “UAEの港、中国が軍事用施設を秘密裏に建設…米が懸念伝え作業停止に”. 読売新聞. (2021年11月22日). https://www.yomiuri.co.jp/world/20211122-OYT1T50176/ 
  9. ^ UAE、F35調達交渉中断を通告 米アラブ同盟関係に溝”. 日本経済新聞. 2022年3月12日閲覧。
  10. ^ “UAEが中国製戦闘機を12機購入 米中対立の舞台に”. 朝日新聞. (2022年3月1日). https://www.asahi.com/articles/ASQ2X5TK9Q2SUHBI06D.html 
  11. ^ “A detainee says China has a secret jail in Dubai. China’s repression may be spreading.”. ワシントン・ポスト. (2022年6月10日). https://www.washingtonpost.com/opinions/2021/08/22/detainee-says-china-has-secret-jail-dubai-chinas-repression-may-be-spreading/ 
  12. ^ 米の採決直前までの説得工作実らず、UAEまで棄権…理事国の結束にはつながらず”. 読売新聞オンライン. 2022年3月12日閲覧。
  13. ^ サウジとUAEの首脳、バイデン氏との電話会談を拒否”. WSJ Japan. 2022年3月12日閲覧。
  14. ^ “焦点:原油急落させたUAE声明、存在感誇示の裏に対米不信も”. Reuters. (2022年3月11日). https://www.reuters.com/article/ukraine-crisis-gulf-usa-idJPKCN2L80JC 
  15. ^ “In peace between Ethiopia and Eritrea, UAE lends a helping hand”. ロイター. (2018年8月8日). https://af.reuters.com/article/topNews/idAFKBN1KT1TP-OZATP 2019年7月6日閲覧。 
  16. ^ “イスラエル・UAE、国交正常化に合意 米発表”. 日本経済新聞. (2020年8月14日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62630790U0A810C2000000/ 2020年8月14日閲覧。 
  17. ^ イスラエル「和解」道半ば アラブ諸国と国交1年/進む経済交流■「パレスチナ」はしこり『読売新聞』朝刊2021年9月22日(国際面)
  18. ^ “李明博政権、UAEと秘密軍事条約…「憲法違反」の波紋”. ハンギョレ. (2018年1月10日). http://japan.hani.co.kr/arti/politics/29457.html 2019年7月7日閲覧。 
  19. ^ “UAE Building its First Naval Base in Eritrea?”. TesfaNews. (2016年4月15日). https://www.tesfanews.net/uae-building-naval-base-eritrea/ 2019年7月5日閲覧。 
  20. ^ “UAE deploys Wing Loong II UAV to Eritrea”. ジェーン・ディフェンス・ウィークリー. (2018年8月15日). https://www.janes.com/article/82382/uae-deploys-wing-loong-ii-uav-to-eritrea 2019年7月5日閲覧。 
  21. ^ a b “The UAE’s Military and Naval Reliance on Eritrea Makes the War in Yemen Even Riskier for the U.S.”. Just Security. (2017年5月31日). https://www.justsecurity.org/41450/uaes-military-naval-reliance-eritrea-war-yemen-riskier-u-s/ 2019年7月5日閲覧。 
  22. ^ World Population Prospects: The 2010 Revision
  23. ^ 松尾昌樹『湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ』(講談社 2010年8月10日第1刷発行)pp.122-124
  24. ^ 「歴史的」と言われたイスラエルとUAEの急接近、トランプ氏だけの成果ではなかった” (2021年2月12日). 2021年2月28日閲覧。
  25. ^ a b アラブ首長国連邦(UAE)の高等教育事情 -教育に多額を投資して国民の高学歴化を実現-”. 日本学生支援機構. 2022年7月31日閲覧。
  26. ^ a b 2014 Global Cities Index and Emerging Cities Outlook (2014年4月公表)
  27. ^ IMF2016年1月2日閲覧。
  28. ^ 県民経済計算内閣府 2016年1月2日閲覧。
  29. ^ 「アラブ首長国連邦」外務省
  30. ^ 「都道府県別県内総生産(名目、10 億円) 」内閣府
  31. ^ 「1.2 名目GDP(国内総生産)及び一人当たりGNI(国民総所得)順位」外務省
  32. ^ 細井長編著『アラブ首長国連邦(UAE)を知るための60章』(明石書店 2011年3月18日初版第1刷発行)p.263
  33. ^ 女性のほうが高いUAEの大学進学率。仕事もオシャレも楽しんでます!”. online.sbcr.jp. 2022年7月30日閲覧。
  34. ^ Top 10 Popular Sports in United Arab Emirates (U.A.E) neoprimesport.com 2019年7月18日閲覧。






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