自立編(第137回〜第185回)
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「おしん」の記事における「自立編(第137回〜第185回)」の解説
田植えの一番忙しい時期。おしんは身重の体を押して田植えをする。清は身重の篤子を連れ帰り、ぜんざいを食べさせ、一番風呂に入れる。同じ妊婦のおしんをこき使い、自分の娘を甘やかす清に憤る竜三をおしんは止める。おしんは文句を言われるのは結局私なのだからと宥めるが、竜三はおしんから頼られていないのかと拗ね、以後口出ししなくなる。ふじから手紙とおしめと産着が届く。やがておしんは野良仕事が終わると眠気で立てなくなる。洗い物をしながら居眠りをするおしんを見た福太郎は、もう働くのは無理だと意見する。大五郎のはからいで、おしんは仕事を休むが、家事も雄の子守りもさせてもらえず、居場所がない。昼食のうどんを食べようとすると、清は働かず食べるのかと激しく口激。翌日からおしんは何があっても仕事を休まなかった。 やがて、稲刈りの季節を前にして産み月になる。清はお産は不浄なので、篤子は家の納戸、おしんは裏の納屋代わりの離れを使えと指示。恒子は魔除けの麻の葉を刺した出産用の厚地の木綿の下敷きをおしんに渡す。稲刈りから帰宅した夕刻、篤子が産気づき、竜三が町の産婆を呼びに行く。夜、離れにいたおしんも産気づくが一人耐える。篤子はひどい難産で、見るに堪えない清は部屋を飛び出し「みんなおしんのせいだ」と叫ぶが、大五郎は清を突き倒し「二度とそんなこと言ったら叩き出す」と怒鳴りつける。産婆から手に負えないので町の医者を呼んでくれ、朝までに産まれなければ赤子をあきらめねばならないと言われ、竜三が真夜中の雨の中走り出す。 陣痛に苦しむおしんは、離れから竜三を呼ぶが入口で倒れてしまう。朝方、医者が到着し、篤子は無事出産。竜三がやっと離れの方へ行くとおしんが気を失っていた。目を覚ましたおしんは、女の子を産んだ、お乳をやりたいと言うが、竜三はごまかす。清は母屋で近所の女衆を招いて篤子の出産祝いをする。清たちの笑い声に、竜三はいらだち、怒鳴り込む。竜三に代わり、大五郎がおしんに産んだ子は死んでいたと告げる。おしんは子どもに愛と名付けたのだと叫ぶ。 死産のショックでおしんは放心状態となり、ものも言わず、ただ乳が出るばかり。一方篤子は乳の出が悪い。清はおしんに乳を分けてもらえないかと言うが、篤子は嫌がり、竜三も激怒。恒子はおしんのためになるかもと竜三を説得。おしんは自分の子ではない赤子を抱き黙ってお乳をやる。清はおしんは慈母観音のようだと感激する。正気に返ったおしんは死産を受け入れ、死んだ愛の代わりに生まれた篤子の子に乳をやりたいと言う。清はおしんに手をついて感謝し和解する。 清は篤子の子に愛と名付けた。おしんは愛に乳をやり、今まで遠ざけられていた雄の守りをする平穏な日々を送る。竜三たちはおしんが清から嫁として認められたと安堵する。生後33日目の愛の宮参り。篤子と愛は嫁ぎ先に帰る。佐和からおしんに手紙が届く。手紙には東京で無事に暮らしを立てていることが綴られていた。おしんは竜三に家を出て東京に行くと打ち明ける。死産してから家を出ると考えていたが愛に乳をやるため留まっていた、ここでは失うばかりで何も残らなかった、黙って行かせて下さいと言われ竜三はうろたえる。おしんは大五郎と清に、明日、雄と二人で出ていくと伝える。清は激昂し雄は田倉の子だと譲らない。竜三も清に同調する。 翌早朝、雄を一緒に連れて行くことを半ば諦め、荷物をまとめて挨拶にきたおしんに恒子が清に隠れて雄を連れ出してきてくれると言う。おしんはその意外な申し出に戸惑うが恒子の言葉を信じ、源右衛門の墓の前で待った。恒子は清の留守を狙い雄を連れ出しておしんに手渡す。おしんは恒子の思いがけない機転と心配りに感謝して佐賀を離れ東京へ向かった。 おしんは、再建した髪結長谷川に身を寄せ、たかに佐賀での日々を打ち明ける。さっそくたかはおしんに試しに自分の髪結いをさせるが、おしんの右手はまだ力が入らず、熱したコテがたかの頭皮に当たってしまい、やけどをさせそうになる。佐賀での怪我のこと、そのことで右手が不自由になったことを話すとたかはおしんに大いに同情しできることだけやってくれればいいと言うが、おしんは髪結ができない以上居候するわけにはいかないと思う。 佐和からの手紙を頼りにおしんは佐和の仕事先を訪ねる。佐和は住み込み女中として働いておりおしんに借りた汽車賃を返すが、ここでは子供と一緒に働くことは出来ないと言う。長谷川に来た健はおしんの事情を知り、露天商を勧める。たかは反対するが、自活したいおしんの意思を認める。おしんは健が用意したどんどん焼きの屋台を始める。健はおしんに頼まれ、母子で住む長屋を見つけてくる。おしんは髪結長谷川を出ることをたかに言っておらず、たかは寂しがる。屋台の仕事に忙しく明け暮れる中、大正14年(1925年)1月、おしんは佐賀の竜三に手紙を出すが、手紙は清が受け取り破り捨てる。恒子はその一部始終を見ていたが清に口止めされる。 健はおしんと雄のため細々と世話を焼く。それを見たたかは世間の口はうるさいとおしんに忠告するがおしんは「健さんとはそんな関係ではない」と気にもとめない。夜遅く健がいつものようにおしんを長屋まで送り布団を敷いたところで、健の女が長屋に怒鳴り込んでくる。女は健がおしんの屋台出店のために大変な手間と金を使ったことでおしんを責めるが、健は「俺の片思いだ」「男は本気で惚れた女には指1本触れなくても力になりたいものだ!」と言い放つ。おしんは健の気持ちを初めて知り、いつまでも健の好意に甘えるわけには行かない、と悩む。翌日、健が謝りに来るがおしんは健の親切を丁重に断り、故郷山形に帰ると決め、雄と帰郷する。その後、髪結長谷川に竜三からおしんの消息を訊ねる手紙が届き、たかと健は訝しむ。 4年ぶりに山形に帰ったおしんにふじは喜ぶ。兄の庄治も5日に一度の風呂を勧めるが、おしんが田倉家を出てしばらく谷村家にいると聞かされると態度を変える。谷村家では小作争議で小作米は4割になり、麦飯が食べられるようになっていた。だがおしんが夕食を食べると、庄治は長男は家と親の面倒を見なければならない、おまけに兄妹が転がりこんできたら貧乏をついで長男くらい引き合わないものはないと文句を言う。庄治の嫁・とらも仏頂面。それを聞いたふじはおしんのために庄治夫妻と所帯を別にして、納屋から勝手に食料を持ち出す。とらはおしんはわがままだと庄治に愚痴り、庄治は一度嫁に行ったら石にかじりついてでも辛抱するのがおなごの道だと吐き捨てる。ふじはおしんが手紙に書かなかった佐賀での暮らしを聞いて、田倉の姑は鬼だと言う。庄治が働かないおしんに嫌味を言うとふじはとらも同じではないかと言い返す。とらが雄を折檻して泣かせる。とらの子・貞吉の飴を雄坊が取り上げたのだという。それを聞いたふじは憤慨し、納屋の米を銭に代え飴や干物を買ってくる。庄治は納屋に南京錠をつけ、鍵をとらに渡す。嫁と対立するふじにおしんは戸惑う。 おしんはおりきの世話で手の足りない農家の手伝いを始める。おしんは度々、佐賀の竜三にあてて手紙を送っていたが、手紙は全て姑・清が破り捨て、竜三の見合いを進めていた。田植えの季節になり、庄治はおしんをあてにするが、おしんは他の農家に田植えに行く約束があった。ふじは庄治に、乳飲み子を抱えたとらに田植えをさせろ、自分はやってきたと言う。言い返せない庄治はとらに田植えの支度をしろと怒鳴る。そこへおりきが加賀屋のくにが倒れたと知らせに来る。 翌日おしんは酒田の加賀屋に駆けつける。くにの最期の床で看病し続けるおしん。くにはおしんに「加代には姉も妹もいないのでどうか頼む」との言葉を残して大往生する。葬式に別居していた政男が線香を上げに来るが加代は激怒。おしんは跡継ぎを産むため復縁するよう宥める。おしんは初七日まで手伝いをする。加代はりきから佐賀でのおしんの苦労を聞いており、おしんも母と兄夫婦の確執を打ち明ける。加代はおしんに、加賀屋に借金をして主が夜逃げした酒田の空き家での商売を勧め、元手も貸すと言う。清太郎、みのもおしんの境遇に同情し大正14年初夏吉日、おしんは加賀屋の援助で飯屋・めし加賀屋を開店をする。開店した日に政男が仲人の取りなしで加賀屋に戻ってくる。加賀屋は加代が取り仕切っていたが、夫を立てるために政男に任せる。 飯屋は初日全く客が来なかった。おしんは握り飯を作って港に売りに行くが、やはり売れず、無料で港湾作業者に配って帰る。翌日おしんは店を休業して手書きで飯屋のビラを作って配る。これを見つけた政男は加賀屋の名に傷がつくと立腹、おしんを庇う加代と対立する。3日後、店を再開すると客で埋まり大繁盛となる。加代は加賀屋ですることがないからと夜遅くまで店を手伝うが、清太郎、みのは夫婦仲を心配する。政男は一度家を出た負い目もあり、加代のふるまいを静観する。 ある夜、客の1人が酒を出せと言ってくる。おしんは飲み屋ではないと断るが、加代は酒を1杯15銭で出し、飯の客よりよっぽど儲かると言う。おしんは店の空気が荒れると気が進まないが、客の求めに応じ酒を出すようになる。店を見に来た政男は、加代に気が済むまで手伝えばよいと笑顔で帰る。おしんと加代は政男の心遣いに感激する。 突然店にヤクザが乗り込んできて、酒を安く出しているせいで周囲の店の売り上げが落ちていると因縁をつけ、暴れ始める。おしんは健より習った見事な仁義をきりヤクザを驚かせる。ヤクザはおしんがハッタリで口にした健の一家と自分たちが遠縁であると感心し、酒売りを認めて貰うことが出来た。雄が麻疹にかかり、おしんは店を休んで看病する。酒田に来てからも、おしんは何度も佐賀の竜三に手紙を出すが、やはり清に破り捨てられていた。 大正14年の秋。加代は浩太が酒田に来たと話す。日本農民組合の庄内支部が酒田にできて、小作の代表として浩太が、地主の代表として政男が会ったという。政男は加代に、運動をする浩太のことを、惜しい男だと話す。おしんの手紙や竜三が問い合わせた先の返事は竜三に届かない。清は竜三に再婚を強く勧めていたが竜三は断り続けていた。 めし加賀屋に浩太がやってくる。加代は浩太におしんが飯屋を始めるまでの顛末を話し、自分が回り道させたおしんと浩太の縁を結ぼうとする。浩太はおしんに自分は雄の父親になるつもりだと告げるが、おしんの心は竜三にあった。治安維持法が制定され農民運動や労働争議が弾圧され始めたため、浩太はまた隠れて運動をしなければならなくなる。浩太は竜三の気持ちを確かめたいと佐賀へ手紙を出すが清が開封してしまう。 めし加賀屋でおしん、加代、浩太が大正15年(1926年)の新春を迎える。そこへりきがやって来て、谷村家のふじへ竜三から手紙が来ておしんの消息を教えて欲しいと書いてあったという。りきはおしんに手紙一本くらい出してやれと言うが、おしんは今まで何度も手紙を出していた。浩太は何かの手違いで手紙が竜三の手にわたっていないのではないかと疑問を投げる。 佐賀では再婚を渋る竜三に清は堪りかね、おしんは他の男と一緒になるつもりだからと浩太からの手紙を竜三に見せてしまう。竜三は自分宛の手紙をなぜ勝手に開けたかと憤慨。手紙にはおしんが竜三に何度も手紙を出したと書いてあったが清はおしんの嘘だと開き直る。それを見た恒子は竜三を呼び出し、清がこれまでに破り捨てていたおしんの手紙を裏張りして保管しておいたものを全て渡した。それを読んだ竜三は再婚をきっぱり断り、佐賀におしんと雄を呼び戻すと決心する。竜三の手紙がとうとうおしんの下へ届く。中には20円もの為替と何枚にも書かれたおしん宛の便箋が入っていた。 再び加賀屋に来た浩太は、おしんが喧嘩する客を追い出し、絡んでくる酔っ払いをあしらっているのを見て、酔客相手の商売を危ぶみ、商売代えを勧める。みのが店を訪ね、おしんに、加代が店に入り浸っていることで夫婦の暮らしが壊れてしまう、家に落ち着かせて欲しいと頼む。浩太は、伊勢で漁師をしている浩太の伯母が面倒を見てくれる魚の行商の仕事を見つけてくる。おしんは店を閉めることを決意。旅立つ前夜、おしん、加代、浩太は酒を酌み交わし、また3人で会おうと約束する。 酒田を発ち、伊勢の網元神山ひさの下に身を寄せたおしんは、雄を乗せた箱車を押し、魚の行商人としての第一歩を踏み出す。おしんの強かな商魂が功を奏し、おしんの行商は軌道に乗る。おしんの願いは、店を出し竜三を呼び寄せること。その年の暮れ大正天皇崩御。時代が大正から昭和に変わり、ひさの世話になって一年が経つ頃、浩太がおしんの様子を見に伊勢に立ち寄る。浩太は変わらず農民運動をしているが、農民運動が公に認められるようになったものの小作争議の形態が変わってきていると言う。これまでは小作が地主に小作料の引き下げを要求していたが、逆に地主が小作に小作料の引き上げを要求するようになり小作争議は泥沼状態に陥っていた。ひさは、おしんは魚の行商としての信用もつき自分の店を持てると太鼓判を押す。浩太が慌ただしく帰ったあと、おしんは竜三に家族三人で暮らしたいと手紙を出す。しかし竜三から返事はなかなか届かなかった。 おしんを気に入ったひさは田倉家が竜三を、亭主を置いて逃げたおしんのところへよこす筈がない、諦めろ、店を出すことはない、自分の下に居ろ、浩太もおしんに一人でいて欲しいのだと諭す。佐賀では竜三が考えあぐねていた。竜三は自分には甲斐性がない、おしんが行商した金で店を開くのに亭主面して乗り込めるかと、あくまで干拓に拘る。大五郎は伊勢に行く気のない竜三に、おしんを諦めるかおまえがおしんの下に行けと一喝。結局竜三は伊勢には行かないと手紙に書く。竜三からの手紙にひさは呆れるが、おしんは竜三の気持ちを踏みにじりたくないと答える。その年の夏も過ぎようという頃、ラジオで今度の嵐は大きく、九州では被害が出て長崎や佐賀では堤防が破れたと報じていた。 台風が過ぎた朝、佐賀の田倉家に、嵐の中干拓を見に行った竜三と大五郎が濡れ鼠になって戻って来る。台風 による波風と満潮の時期が重なってしまったために干拓をしていた土地は全て流され全滅した。竜三は「これまでの努力が全て無駄になった」と号泣。翌朝、竜三は佐賀を出て新しく出直すと置き手紙をして田倉家を出奔する。 竜三はおしんと雄のいる伊勢に来た。遠目から一瞥して帰ろうとするがおしんに見つかり逃走。だが俊足のおしんから逃れられる筈もなく、竜三はおしんに捕まってしまう。竜三は日本は不景気で新天地満州なら仕事がある、下関から関釜連絡船で中国大陸に渡りその後汽車で満州の大連に行くつもりだ、二人をひと目見に来ただけだと言う。夜、おしんは家族一緒に暮らすことを哀願するが竜三は単身で満蒙開拓団に加わり、土地持ちになったら迎えに来ると譲らない。涙ぐむおしんを竜三は抱き締める。 明くる日、旅立つ竜三は行商に行くおしんに付いていった。おしんが競りが行われる浜辺から行商先の町まで1里半(約6km 帰路もいれると約12km)重い箱車に荷と雄を載せて歩くと聞き、竜三はおしんの行商の過酷さに驚く。おしんは竜三と別れて行商に出るが、竜三はこっそりおしんのあとをつけた。降りしきる雨の中、行商先の山村へ通ずる長い坂道でも重い箱車を懸命に押し続けるおしんを見て竜三は男泣きしてしまう。竜三は満州行きをやめ、おしんと魚屋になることを決意する。 おしんと竜三はひさの後押しで鮮魚店・田倉魚店を開店する。暫くは仕入れと店を竜三が、行商を今まで通りおしんが担当することに決める。最初魚の名前もわからない竜三だったが、おしんに従い仕事を覚えていく。ひさは竜三が御用聞きに回っているため、おしん一人の時より売上が落ちているのではないかと心配するが、店の主人は竜三だと譲らない。 おしんは佐賀の田倉家へ、竜三と一緒に魚屋をはじめたことを手紙で報告する。受け取った清は手紙を破き竜三を伊勢から連れ戻すと声を荒げるが、大五郎は竜三とおしんの仲を裂いたのは母親のお前であり、放っておけときつく言い放つ。清は母親よりも女房かと深く嘆息する。伊勢に竜三の荷物と清の手紙が届く。手紙には「竜三は伊勢で魚屋を一生の仕事とし、佐賀に逃げ帰らないこと」そしておしんのこれまでの苦労をねぎらい、竜三を待っていてくれたことに対する感謝の気持ちが綴られていた。 昭和4年(1929年)雄の小学校入学の晴れ姿を見せようと、おしんは山形のふじに10円の為替と共に伊勢に来てほしいと手紙を出す。手紙を受け取った庄治はとらに読んでもらい、ふじに伝える。年老いて邪魔者扱いされていたふじは、口減らしをするのかと気乗りしないが庄治は行くようにと勧める。ふじが伊勢にやって来るが雄の入学式を見たらすぐ帰ると言う。庄治から手紙が来てふじを預かれと言ってきた。やはりふじと庄治夫妻は上手くいってないと知り、おしんはふじを返さない口実を思案する。 そんな時、おしんに三度目の妊娠が判明。竜三はおしんの気持ちを汲んで佐賀での死産に触れ、おしんが無事出産するまでついていてくれとふじに頼む。ふじは老いて昔のように働けない自分は穀潰しだから帰ると頑なに固辞するが、おしんはここでは大きな顔をしていればいいと懇願、竜三がふじの前で床に手をつき頭を下げるのでふじはとうとう折れて田倉家で暮らすことになる。 加代から手紙が届く。加代も妊娠しており9ヶ月だと綴られていた。おしんはこれで加賀屋も安泰だと安堵する。昭和4年10月。おしんは無事男の子を出産するが、突然ふじが倒れる。ふじを往診した医者は、大病院で詳しく検査してもらった方がいいと診断。男の子は仁(ひとし)と名付けられた。検査の結果ふじは白血病と判明。この頃の白血病は不治の病でおしんの産褥期ということもあり竜三は家族に隠す。ふじは床を離れられなくなるがおしんは無事に床を上げる。 死期を悟ったふじは故郷の家で死にたいとおしんに打ち明け、竜三はおしんに本当の病名を告げる。加代から手紙があり無事出産、希望(のぞみ)と名付けたという。おしんは母をおぶって山形に帰りたいと竜三に頼む。仁はひさに預け、竜三はおしんとふじを送り出す。おしんは庄治に迎えを頼んでいたが駅に現れなかった。おしんはふじを背負って雪の降る山道を実家へ向かう。家は庄司夫婦に物置にされていたがおしんが二人に怒鳴って片付けさせ、ふじを寝かせる。ふじの帰郷を聞いて訪ねてきたおりきとおしんに寄り添われ、ふじは故郷に降る雪を愛でながらその生涯を静かに閉じる。 おしんは伊勢に戻る。日本は世界恐慌の真っただ中。おしんは山形でおりきから加賀屋が危ないという噂を聞いていた。昭和5年(1930年)昭和恐慌。おしんがふじの訃報を加賀屋に送ったところ、加代からお供え代として10円の為替が送られてきたのでおしんは安心する。 雄が三学期を終えた頃、おしんが加代に送った手紙が返送されてくる。一緒におりきから加代の夫、政男が自殺したという手紙が来た。加賀屋に連絡を取ろうとするが電話番号は既に使われていなかった。ひさから急に呼ばれて家に行くと浩太がいた。浩太は加代がおしんを頼って伊勢に来てるのではないかと考えたという。浩太が酒田を訪ねると加賀屋が潰れ、家屋は差し押さえられ、一家は夜逃げ同然でいなくなったとおしんに説明する。加賀屋の若旦那・政男は商品相場に手を出していて、3月の大暴落で支えきれなくなっての自殺だった。 おしんは加代、浩太からの連絡を待つが何の知らせもないまま昭和6年(1931年)の春を迎える。浩太がやって来ておしんに加代が見つかったと知らせる。
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