自立生活の理念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/11 02:37 UTC 版)
「自立」という言葉には、自力で生活を成り立たせる、自分で自分の面倒を見る、といった、経済自立・身辺自立のイメージがあり、誰もがそうあるべきという社会規範ともなっていた。自立の規範は、障害者にリハビリテーション訓練を促す理由となり、自立の見込みがなければ施設や病院で保護されるべき、という論理を正当化してきた。 「自立生活(Independent Living)」とは「自立とは自己決定である」という考え方である。従来の障害者支援の考え方では日常生活動作の達成が自立の目安とされてきたが、自立生活の理念では、障害者が自分の人生や生活の場面で自分で選択していれば、介助者に介助されていても自立していることになる。この事を示す自立生活運動の中でよく使われる例え話に、2時間かかって自分で服を着るよりも、介助を受けて15分で着替え社会参加するほうがより自立していると言える、というものがある。 自立生活とは自分の人生の管理であり、なんらかの不利益や過失が生じた場合には本人が責任を負うことも意味する。自立生活運動の理論構築に参加した社会学者ガベン・デジョング(Gerben Dejong)は、従来の障害者支援は障害者が失敗することを許容してこなかったが、人間は失敗を経験することで成長すると指摘し、障害者がリスクを侵す権利を持つことを主張している。また、デジョングは障害者は保護や免除といった病人役割を脱し、コンシューマーになるべきと主張した。自立生活センター(以下、CILと呼ぶ)では、従来のボランティアによる介助者ではなく、障害者がクライアントの立場から有償のアテンダントを雇う形式を取っている。 CILのシンクタンクである障害者自立生活問題研究会(ILRU)は、1985年から1986年にかけてCIL利用者に対して自立生活の状況把握についてアンケートを行い、その結果を自立生活の概念として次の3点に整理した。 ライフスタイル選択の自己決定と自己管理の権限を障害者本人がもつ 自立生活に必要な能力をもつ 施設や病院ではなく,地域の中で通常に生活する
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