ファントムハイヴ家の協力者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 18:06 UTC 版)
「黒執事の登場人物」の記事における「ファントムハイヴ家の協力者」の解説
劉(ラウ) 声 - 遊佐浩二 / 同左 上海マフィア青幇(チンパン)の幹部でイギリスの担当役。身長177cm。 外見や言動はギャングの幹部には見えない優男の青年。一人称は我(わたし)。飄々として、常にとぼけたような言動をする。表向きは中国(清)の貿易会社「崑崙(コンロン)」の英国支店長をしているが、イースト・エンド(当時の貧民街の代名詞)にアヘン窟を開くなど裏社会の商売に従事している。ファントムハイヴ家からは闇商売を黙認してもらう代わりに、東洋人街の管理を行い、情報収集など、女王の番犬の仕事に協力している。元は上海の外灘地区で頭角を表し、若くして巨大ギャング団の幹部にまで上り詰めた「租界の昇り龍」と称された男であり、自らのシマを荒らした者を許さず、しばしば恐ろしさの片鱗を見せる。 シエルが家督を継いだ時点ではまだ英国担当ではなかった。メイリンの過去編において、あらかじめシエルと文通して情報を流し、当時の英国担当者である白がシエルの命を狙うことや、彼の手駒である「梟」のことなどを前もって伝えていた。シエルを高く買っていることを公言し、「青の教団編」における彼の危機には積極的に協力する。 登場は第3話からであるが、初期段階では上記のような細かい人物像はなく、作者いわく「連載当初からもっとも変化したキャラクター」。ドラマCDで劉を担当した遊佐の演技に影響され、キャラクターが決まったという。テレビアニメ版 第1期では終盤にシエルから離反し、藍猫とともに逃亡を図る。自分を追ってきたシエルに「君の駒であることに退屈した」と吐き捨てて殺そうとしたが、それを阻んだセバスチャンによって妨害され、藍猫とともに海へ落下する。その際に死亡したかのように描写されたが、第2期では何事もなく登場し、関係も以前と同様のものに戻っている。その後、セバスチャンの頼みに応じ、記憶を失ったシエルに離反前と同じように接する。 藍猫(ランマオ) 声 - 矢作紗友里 / 同左 劉の義妹。 丈の短いチャイナドレスをまとった無表情の美少女。非常に寡黙でほぼ劉に促される形でないと喋らず、それも片言である。劉の義妹とされているが、関係は不明で常に飼い猫のように彼のもとに寄り添っている。身体能力はかなり高く、錘を武器として劉の護衛や、彼の粛清命令に忠実に従う。 「青の教団編」ではメイリンとともにノースヨークシャーの貴族の屋敷へメイドとして潜入する。 葬儀屋(アンダーテイカー) 声 - 諏訪部順一 ファントムハイヴ家の協力者。葬儀屋。正体は死神派遣協会から離れた死神。 黒装束に身を包み、不気味な声音で話す長い銀髪の男。前髪で目が隠れている。一人称は「小生」。本名は不明でそのあだ名の通り、ロンドンで葬儀屋を営む。古くからファントムハイヴ家と関係のある協力者で、葬儀屋として得た情報や検死などを請け負う。情報や作業の対価として笑いを要求するなど、セバスチャンも認める変人。「豪華客船編」で死神派遣協会から離れた死神と判明し、「歪んだ肉人形(ビザール・ドール)」に関連する出来事で暗躍する。以後はシエルに追われる立場になると同時に、シエルやファントムハイヴ家に執着する様子が描かれる。 半世紀前に死神派遣協会を脱退した死神で、協会からは「違反者」と呼ばれる。死神の特徴である黄緑色の燐光を放つ瞳を持つが眼鏡はかけていない。「死神の鎌」も大鎌の形をしたものを所持しており、補助武器として無数の卒塔婆も使いこなす。また、セバスチャンに引けを取らないほどの身体能力・戦闘能力を持つ。 死神派遣協会時代は回収課に属し、同期のオセロいわく、完璧に仕事をこなす模範的な死神であったという。しかし、70年ほど前に協会を半壊させて逃亡し、現在は伝説のお尋ね者と呼ばれる存在だった。 「豪華客船編」「寄宿学校編」の黒幕であり、「歪んだ肉人形」を制作し、魂回収後の空になった肉体にシネマティックレコードの続きを挿入したらどうなるのかに興味を持ったと嘯く。「豪華客船編」ではレコードに勝手な続きをつないだけのもので、結果は自我のないゾンビのようなものであった。「寄宿学校編」は対象にもよるがその個人のエピソードを繋ぐことで自我らしきものを芽生えさせ、少なくとも日常生活は送れていたアガレスを生み出す。しかし、その真の目的は本物のシエルの復活であり、実はセバスチャンが召喚された日(本物のシエルが死んだ日)に、密かに死体を回収して蘇生措置を続けていた。なお、シエルの祖母の毛髪をペンダントに入れて身につけていること、「ヴィンセントは灰になったために戻せない」「これ以上ファントムハイヴを失いたくない」というセリフより、本物のシエル個人ではなく、あくまでファントムハイヴ家に固執している。「青の教団編」では血液を入れ替えることで自我を持って行動できるようになった本物のシエルの復活を果たす。テレビアニメ版 第1期第18話以降において、かつてマリー・アントワネットやロビン・フッドといった有名な人物の魂を扱った伝説の死神だったことが判明する。現在は引退済みであるが、現役当時の役職は管理官クラスであり、ウィルやグレルの役職では扱えない最終兵器(デスブックマーク)については現在でも扱える。 クラウス 声 - 梁田清之 / 羽野だい豆 ファントムハイヴ家の協力者。 朗らかな壮年の紳士。古くからファントムハイヴ家と関係のある協力者で、英国問わず世界各国を歩き回り、必要な情報を提供している。第1話の登場人物もである。第1話ではシエルが欲しがってきたゲームをイタリアから運んできたことになっていたが、のちにその正体はアズーロの不正の証拠であったことが明かされる(第3話)。 ディーデリヒ 声 - 浜田賢二 ファントムハイヴ家の協力者。ドイツ人貴族でヴァイツゼッカー男爵。 肥満体の中年男。見た目に反して動きは機敏で「魔女の呪い編」ではドイツ軍の追っ手からシエルらを手助けする。後述のようにヴィンセントの同級であり、彼の寮弟となった関係が、今もファントムハイヴ家の協力者という関係に続いている。またドイツの貴族筋でかなり裕福な生活を送っている。本格的な登場は「魔女の呪い編」であるが端役としてはごく初期(第3話)にも登場しており、「寄宿学校編」でも過去回想で学生時代の姿が登場する。 かつてウェストン校の翡翠の獅子寮の監督生だった。同期に紺碧の梟寮の監督製だったヴィンセントがおり、彼にクリケットで負けたことから寮弟として彼に使役される立場となってしまう。当時は細身でやや堅物な美青年だった。また、幼少時のシエルとも面識があり、このころもまだ痩せていた。 アーサー・ランドル ロンドン警視庁(スコットランドヤード)警視総監。通称ランドル卿。 →#ロンドン警視庁 ニナ・ホプキンス ファントムハイヴ家専属の仕立て屋。 ファントムハイヴ家に代々仕えてきたという仕立て屋の家系の女性。服飾家としての腕前と知識は申し分ないが、非常に前衛的な考えを持ち、可能な限り古式や慣習を嫌った斬新なデザインを好む。しかし、奇抜に見えても、非常に実用性を重視しており、荒事を扱うファントムハイヴ家の使用人らしい動きやすさや防弾性能などに気を使っている。女性と15歳以下の少年しか興味がないことを宣言しており、シエルやメイリンには好意的に接するが、フィニとバルドには素っ気ない。また、格式を重視するセバスチャンとも反りが合わず、敵意を隠さない。 ピット 新聞記者。ファントムハイヴ家の協力者。 先代よりファントムハイヴ家に仕えている若い記者。シエルの依頼によってしばしばスクープという形で敵が隠したい出来事などを白日の下に晒す役割を持つ。元は、クズ拾いなどで生計を立てるロンドンの最底辺の労働者・泥ヒバリであったことが示唆され、ランドルより侮蔑されている。 ソーマ・アスマン・カダール 声 - 立花慎之介 ベンガル藩王国第26王子。17歳。「逆さ吊り事件編」の主要人物。 王子という立場から何不自由なく成長してきた自由奔放な青年。ともすればわがままな性格だがそこに邪気はなく、他人の言うことを鵜呑みにしたり、すぐに立場を変えたりする単純な性格。好奇心旺盛で、初めて見るものには何でも興味を示す。後述の経緯でイギリスへとやってくるが、セバスチャンに脅しに近い形で諭されたことやシエルの過去を知り、今まで何不自由なく生きてこれた自分の在り方に初めて疑問を持つようになる。基本的に空気を読まないためシエルからはうっとうしがられているが、シエルへの思いは真剣であり、「王子」というその身分を買われて頼みごとをすることもある。なお、王族育ちゆえに幼少から英才教育が施されており、名門校の授業を「簡単すぎる」と言い切るほどの博識。また初めて見聞きすることに対する理解・飲み込みも早く、シエルからは「精神年齢が低いことに目をつぶれば、万能な人間」と評される。 「逆さ吊り事件編」において登場し、英国貴族に連れ去られた最愛の女性ミーナを探すためにやってきたという。逆さ吊り事件を捜査中のシエルらと出会い、捜査に協力することになる。自分に忠誠を誓っているはずのアグニに裏切られるなど強いショックを受けるも、上記の通りセバスチャンとシエルに諭され、自分の在り方を見つめ直して成長する。最終的にアグニの目的とミーナの真実を知り、失恋に苦しみながらも、結果を受け入れることを決める。そのうえで「自立したいい男」になるべくファントムハイヴ邸に居候しようとするが、迷惑がったシエルに体よく騙され、ファントムハイヴ家の別邸(タウンハウス)の管理を任されるという形で、ここに移住する。 「名門寄宿学校編」ではモーリスに報復するための手駒として、シエルに頼まれてウェストン校に入学する。その家柄などから目論見通り深紅の狐寮に配属され、その無邪気さから当初のシエルの思惑を潰す一面もあったが、最終的にはモーリスの失脚に一役買う。同編後半のクリケット大会にも有力な選手として参加し(クリケットはインドでも人気のスポーツ)活躍する。 「青の教団編」ではタウンハウスにいたところを何者か(本物のシエル)に襲撃され、自分を守ってアグニが殺されてしまう。これに強いショックを受け、復讐することを誓う。テレビアニメ版 第2期ではセバスチャンからシエルの記憶喪失を聞かされ、それがばれないよう芝居をすることを誓ったものの、再会するなり泣いて抱きつき、アグニが必死でごまかす。 アグニ 声 - 安元洋貴 ソーマの執事(カーンサマー)。1858年8月24日生まれ。「逆さ吊り事件編」の主要人物。 常に温厚かつ冷静な青年。何不自由なく成長して自由奔放に振る舞うソーマに絶対的な忠誠を誓い、彼とともにミーナ捜索のため英国を訪れる。主人のソーマの命令に対し「御意のままに(ジョー・アーギャー)」と応じるのが決め台詞。執事としての能力は高く、 ファントムハイヴ家の使用人トリオにも的確な指導をするなど、その器量はセバスチャンと互角。また、ソーマへの信仰心による自己暗示(サマーディ)で自らを強化することができ、フェンシング勝負で悪魔であるセバスチャンと対等に渡り合えるほどの卓越した身体能力を発揮する。何百種というスパイスから最高の調合を行い、奇跡のカリーを作り出す「神の右手(カーリーの右手)」を持つ。 本名はアルシャド・サティエンドラ・イヤーと言い、司祭階級(バラモン)の生まれ。堕落した父や自身も神を信じられず冒涜と悪逆の限りを尽くし死刑命令が下るも、処刑の寸前にソーマに助けられたという経緯を持つ。以降、ソーマを「神」として慕い、上記の絶対的な忠誠心を持っていた。 「逆さ吊り事件編」の犯人であり、ミーナの本性をソーマに知らせたくないがために密かにハロルド側につき、彼の計画に従っていた。その後はカリー勝負でセバスチャンと対決し、同等の実力と評されるが、ヴィクトリアの裁量によって敗北する。それ以降、セバスチャンにとっては数少ない人間の友人の1人となっている。 「青の教団編」にて、別邸を襲撃した何者かからソーマを守るために応戦し、彼を守り抜いて退避させるも自身は全身を刃物で切り裂かれ、死亡する。1889年11月15日没。その生き様は、セバスチャンからも執事の鑑として賛美された。 ジークリンデ・サリヴァン ドイツ「狼の谷」の若き領主で通称「緑の魔女」。11歳。「緑の魔女編」の主要人物。後にイギリスに亡命し、イギリス王室およびファントムハイヴ家の協力者となる。 ドイツのニュルンベルク郊外にある「狼の谷」と呼ばれる村の領主である少女。一人称は「ボク」。まだ幼いが、聡明であり、領主としての責任が強い。英語を話せるため、シエルらと直接相対する。村人からは「緑の魔女」と崇められており、密かに古の魔女の代から継がれてきた村を覆い支配する人狼との盟約のため、もっと強力な瘴気を生み出す「究極魔法」を完成させようと日夜、魔法式の構築に勤しむ。実は魔法といった非科学的なものとは正反対の科学(化学)に精通した超天才児であり、ババ様こと実母であるサリヴァン教授が発案した「緑の魔女育成計画」によって、魔法のように科学を扱わされていた。表向き「瘴気」と呼ばれていたものは強力な毒ガスであるマスタードガスであり、それを超える「究極魔法」とは、すなわち、さらに強力な毒ガス兵器のことであった。しかし、本人は魔法というフィルターを通されることで、自身が化学兵器を作らされているとはまったく気づいていなかった。 その出自はドイツの政府機関で毒ガス兵器の研究を行っていた科学者の夫婦の娘。まだ胎児で、母が妊娠すら認識できていないときに、毒ガス事故が発生して父は死亡し、母は醜い姿となる。出生後、まだ幼い時分に、父に似た天才ぶりに気づいた母によって「狼の谷計画」が進められ、上記の通り小さな村の幼き領主となる。しかし、村人は全員、極秘計画に従事するドイツ軍人であり、容易に村から出られないようにするため、掟という建前で纏足で通常の歩行能力を奪われている。 女王の命令を受けてドイツへと調査にやってきたシエル一行を、領主の権限で客人として迎え入れる。村の外の世界に憧れつつも領主の責任感から村の掟にこだわる。同編の一連の出来事の末に、ついに「究極魔法」(サリン)を完成させるも、同時に村の正体を知ったシエルから真相を教えられる。絶望して死を受け入れようとするも、シエルより、その科学知識から「魔法のような治療薬」も作り出せると説得され、生きること、またそのためにイギリスへの亡命を決める。 イギリス亡命後は毒ガスの知識と引き換えに女王の庇護を受けるが、シエルの助言でサリンについては秘匿する。また、この際に長かった髪を切り、オカッパ頭(アリス・スタイル)になっている。以降は、興味を持ったものに対する研究生活をしつつ、ファントムハイヴ家の協力者となっており、「青の教団編」では当時まだ知られていなかった「血液型」についてシエルらに教える。 ヴォルフラム・ゲルツァー ジークリンデの執事。通称はヴォルフ。正体はドイツ軍人。「緑の魔女編」の主要人物。のちにジークリンデとともにイギリスに亡命する。 狼をイメージさせる筋骨たくましい大柄な体格の青年。主のサリヴァンのことを「お嬢」と呼び慕う。執事として、特に自由に歩けない彼女を肩に乗せて移動のサポートをしたり、護衛を行ったりする。身体能力は高く、やることも間違っていないが、作業効率が悪いとセバスチャンからは評される。その正体は「狼の谷計画」に従事するドイツ軍人(中尉)で、最悪の場合は彼女の命を取ることも命令されていた。しかし、長く彼女と行動を共にするうちに情が移り、彼女とともにイギリスへ亡命し、引き続き彼女の執事として行動する。もともとドイツ人であるため英語は不慣れで、意味が上手く通らないか乱暴な言い回しになってしまう。 幼少時から兵士として鍛えられた過去を持ち、軍人としては至近距離で放たれた弾丸すらも避けるほどの高い戦闘能力を持つ。「緑の魔女編」終盤ではジークリンデの奪還命令を受けてシエルらの追跡を行い、シエルやバルドを追い詰めるものの、やがて上官のヒルデらが証拠隠滅のためにジークリンデを殺そうとしていることに気づくと離反し、列車での脱出時にはグレーテを射殺してジークリンデとともに行動する。 アズーロ・ヴェネル 声 - 平田広明 / 鳥海浩輔 イタリア・マフィアのフェッロファミリーのイギリスを任されている幹部。 顔に大きな傷がある若い男。裏社会の人間としてファントムハイヴ家に協力していたが、実際には禁じられているドラッグの流通を行っていた。イタリアで証拠を集めたクラウスによって追い詰められる直前にシエルを誘拐して逆転を狙うが、単身で乗り込んできたセバスチャンによって壊滅させられる。
※この「ファントムハイヴ家の協力者」の解説は、「黒執事の登場人物」の解説の一部です。
「ファントムハイヴ家の協力者」を含む「黒執事の登場人物」の記事については、「黒執事の登場人物」の概要を参照ください。
- ファントムハイヴ家の協力者のページへのリンク