アグニとは? わかりやすく解説

アグニ【(梵)Agni】

読み方:あぐに

古代インド神話火の神人間と神の媒介者で、太陽稲妻などになって暗黒邪悪を滅ぼす。仏教では火天(かてん)をいう。阿耆尼(あぎに)。


アグニ

火天

アグニ

名前 Agni

アグニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/04 01:47 UTC 版)

アグニ神。18世紀細密画より

アグニ: अग्नि [agni])は、インド神話火神

解説

赤色の体に炎の衣を纏い、二面二臂で七枚の舌を持つ姿で描かれることが多い。ディヤウスプリティヴィーの息子とする説もあるが、ブラフマーの創造した蓮華から誕生したとする説や、太陽または石から生まれたとする説もある。また、誕生後すぐに両親を食い殺したともいわれる。妻はスヴァーハーで、一説によるとスカンダも彼の息子であるという。アーリア人拝火信仰を起源とする古い神だと考えられ、イラン神話アータルと起源を同じくする。火のあらゆる属性の神格化であるが、特に儀式における祭火として重視される。供物は祭火たるアグニに投じられて煙となり天に届けられ、神々はアグニによって祭場へ召喚される。すなわち彼は地上の人間と天上の神との仲介者であり(これはブードゥー教のレグバ〈Legba〉と似る)、『リグ・ヴェーダ』においては最初に名前が呼ばれており、冒頭で讃歌が捧げられ、インドラに次いで多くの讃歌が捧げられるなど極めて重視される。

また彼は天上にあっては太陽、中空にあっては稲妻、地にあっては祭火など、世界に遍在する。家の火・森の火、また心中の怒りの炎・思想の火・霊感の火としても存在すると考えられた。また人間や動物の体内にあっては食物の消化作用として存在し、栄養を全身に行き渡らせて健康をもたらし、ひいては子孫繁栄や財産(家畜)の増大などももたらすとされた。

後にはローカパーラlokapāla〈世界の守護神〉)八神の一柱として、東南の方角を守護するとされた。だが、後期になると影が薄くなり、叙情詩『ラーマーヤナ』においてラーヴァナによって尻尾に火を付けられたハヌマーンの治療をした程度である。仏教では火天(かてん)と呼ばれる。

ヒッタイト文書に見られる神格アクニ(Akni)はアグニからの借用だとする説もある(Johann Tischler, Hethitisches Etymologisches Glossar, Lieferung 1, Innsbruck: 1977)。

言語学

サンスクリットagní-インド・ヨーロッパ祖語 *h₁ngʷ-ni- から派生したものと考えられ〈アグニ〉のほか〈火〉も表し、これと同源の語にはロシア語 огонь (ogon')〈火〉(< スラヴ祖語 *ògņь) やラテン語 ignis〈火〉などがあり[1]、後者は動詞 ignīre過去分詞 ignītus を経て英語 ignite〈火をつける〉の語源ともなった[2]

脚注

  1. ^ Derksen, Rick (2008). Etymological Dictionary of the Slavic Inherited Lexicon. Leiden Indo-European etymological dictionary series. 4. Leiden: Brill. p. 364. NCID BA85999306 
  2. ^ 小学館ランダムハウス英和大辞典 第2版 編集委員会 編 編「ignite」『小学館ランダムハウス英和大辞典』(第二版)、1994年。ISBN 4-09-510101-6 

参考文献

関連項目


アグニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/16 07:41 UTC 版)

火神を盗め」の記事における「アグニ」の解説

インドランキーマという盆地建設され原子力発電所中国チベット自治領との国境から数十キロの距離にある。

※この「アグニ」の解説は、「火神を盗め」の解説の一部です。
「アグニ」を含む「火神を盗め」の記事については、「火神を盗め」の概要を参照ください。

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