みどりII
名称:環境観測技術衛星「みどりII」/AdvancedEarthObservingSatellite-II(ADEOS-II)
小分類:地球観測衛星
開発機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))/環境庁(EA)/アメリカ航空宇宙局(NASA)/フランス国立宇宙研究センター(CNES)
運用機関・会社:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
打ち上げ年月日:2002年12月14日
運用停止年月日:2003年10月31日
打ち上げ国名・機関:日本/宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:H-IIA
打ち上げ場所:種子島宇宙センター(TNSC)
みどりIIは、5つのセンサーを搭載した地球観測衛星です。
高性能マイクロ波放射計(AMSR=Advanced Microwave Scanning Radiometer)は、地表や大気から自然に放射されるごく弱いマイクロ波を受信することで、水に関するさまざまな量(水蒸気量、降水量、海面水温、海上風、海氷など)を昼、夜の区別なく、また雲の有無に関わらず観測します。これによって、全地球規模の水循環、エネルギー循環を把握するためのデータを得ます。
グローバル・イメージャ(GLI=Global Imager)は、地球表面や雲などからの太陽反射光や、赤外放射光を多くの波長で観測することで、生物に関するさまざまな量(クロロフィル色素、有機物、植生など)や、温度、雪氷、雲の分布、分類などを測定します。そして、全地球規模の炭素循環や気候変動を把握するためのデータを得ます。
改良型大気周縁赤外分光計II型(ILAS-II=Improved Limb Atmospheric Spectrometer-II)は、南北両半球の高緯度地方の大気の微量成分(オゾン、エアロゾルなど)の高度による分布を観測します。
海上風観測装置(Sea Winds)は、海上風の方向、風速を測定します。
地表反射光観測装置(POLDER=Polarization and Directionality of the Earth'sReflectances)は、地球表面、エアロゾル、雲、海で反射される太陽光の偏光、方向性、分光特性を測定します。そして温室効果ガス増加による地球輻射の潜在的な影響、対流圏におけるエアロゾルの循環、全球的な炭素循環の解明を行ないます。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
翼をひとつ広げたような一翼式(太陽電池パドル)の形をしています。本体は約6m×4m×4m、太陽電池パドルは約3m×24mの大きさです。
重量は約3.7t(打ち上げ時)/約1.3t(ミッション重量)で、姿勢制御方式は、3軸姿勢制御方式を採用しています。
みどりIIは宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))が開発した2つのセンサーのほかに、NASA、CNESなどにより開発された5つのセンサーを搭載しています。
2.どんな目的に使用されるの?
みどりIIは、みどりの観測ミッション(目的)を引き継ぐとともに、地球温暖化など、地球規模の環境変動の研究のためのデータを取ることが目的です。さらにそうしたデータを気象・漁業などへの実利用を図ること、観測技術の開発・高度化などを目的とします。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
打ち上げ後、予定どおり軌道に乗り、高性能マイクロ波放射計や、グローバル・イメージャ、改良型大気周縁分光計II型、海上風観測装置、 地表反射光観測装置などによる地球環境の観測を行ないました。またこだまやアルテミスとの衛星間通信実験にも成功しましたが、太陽電池パドルからの発生電力が低下する異常が発生したため、現在は運用停止になり、異常発生の原因が調べられています。
4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
みどりがあります。
5.どのように地球を回るの?
高度802.9km。公転周期101分(地球を101分で1周します)、軌道傾斜約98.62度の太陽同期準回帰軌道です。太陽同期準回帰軌道とは、いつもほぼ同じ時刻に同一地点の上空を通過するため、観測衛星に向いている軌道です。また、地球の自転によって経路がすこしずつずれていきますが、4日後には再び同じ時刻に同じ位置にもどっています(回帰周期)。
みどりII
環境観測技術衛星「みどりII」 ADEOS-II | |
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所属 |
宇宙開発事業団(NASDA) 現 宇宙航空研究開発機構(JAXA) |
主製造業者 | 三菱電機 |
公式ページ | 環境観測技術衛星「みどりII(ADEOS-II)」 |
国際標識番号 | 2002-056A |
カタログ番号 | 27597 |
状態 | 運用終了 |
目的 | 地球観測衛星 |
設計寿命 | 3年間 |
打上げ機 | H-IIAロケット 4号機 |
打上げ日時 |
2002年12月14日 10時31分(JST) |
通信途絶日 |
2003年10月25日 08時55分(JST) |
運用終了日 | 2003年10月31日 |
先代 | みどり |
物理的特長 | |
本体寸法 | 4m x 4m x 6m |
最大寸法 |
28m (太陽電池パドル展開後) |
質量 | 約3.68 t(打ち上げ時) |
発生電力 |
5,350W以上 (寿命末期) |
姿勢制御方式 | ゼロモーメンタム3軸制御ストラップダウン方式 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 太陽同期準回帰軌道 |
高度 (h) | 802.92 km |
軌道傾斜角 (i) | 98.62度 |
軌道周期 (P) | 101 分 |
回帰日数 | 4 日 |
回帰精度 | ±5km |
降交点通過 地方時 | 午前10時30分±15分 |
観測装置 | |
AMSR | 高性能マイクロ波放射計 |
GLI | 可視赤外イメージング放射計 |
ILAS-II | 改良型大気周縁赤外分光計II型 |
SeaWinds | 海上風観測装置 |
POLDER | 地表反射光観測装置 |
みどりIIは、日本の地球観測技術衛星II型 (Advanced Earth Observing Satellite II 略称 ADEOS II)。
概要
宇宙開発事業団(NASDA)が、2002年(平成14年)12月4日 H-IIAロケット4号機により、種子島宇宙センターから打ち上げられた。地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(1996年打ち上げ)の後継機で、地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、異常気象など、地球規模での環境変化の実態把握のためのデータを取得するのが目的としている。ADEOSの後継機として「みどり」の名前を踏襲したが、“新生みどり”“新しい次世代のみどり”との意味から、「2号」ではなく「II」(ツー)と名付けた[1]。2003年4月より、
衛星の設計寿命は3年を予定していたが、2003年(平成15年)10月25日 午前1時15分頃、衛星の太陽電池パドルの発生電力が6kWから1kWに減少し、同日8時55分頃以降、衛星との交信ができなくなり(先代みどりに引き続き)途中で運用を断念した。観測運用の断念日は2003年10月31日。
故障と運用中止について
2003年(平成15年)10月25日 午前7時28分頃、データ中継衛星「こだま」を経由した後、埼玉県鳩山町にある地球観測センターで受信する予定だった衛星の地球観測データが受信されなかった[2]。
その為、筑波宇宙センターの衛星担当の職員が衛星の状態を確認する手続きを行い、同日午前8時49分頃、衛星運用状態を確認すると、衛星の電力系に何らかの異常が発生し、観測機器等をオフにした軽負荷モード(異常発生時に、ミッション機器用ヒータやバス機器等必要最低限の機器のみオンにして消費電力を抑えた状態)に移行している事がわかった。その後すぐの同日午前8時55分頃、衛星との通信状態が乱れ始め、それ以降他の通信局でもテレメトリデータを受信することが出来なくなった。
JAXAは衛星から受信したそれまでのテレメトリデータから、太陽電池パドルの発生電力が通常の1/6である、6 kWから1kWに低下していることを突き止め、その後数ヶ月に渡り、コマンド送信や衛星状態の解析などを実施したが、衛星との交信は復旧しなかった。JAXAは衛星のテレメトリデータを解析し、故障の原因の仮説を発表した。仮説はいくつかあるが、どれも、太陽電池から太陽電池パドルと衛星を繋ぐハーネス間で、回路の短絡または開放が起こり、衛星側に送れる電力が低下したというものになっており、スペースデブリが太陽電池パドルに衝突し破断した訳ではないとしている。
観測機器

AMSR(高性能マイクロ波放射計)
地球表面および大気から放射されるマイクロ波を測定し、主に水に関する様々なデータを取得するための観測装置。NASDAが開発。 これの改良版であるAMSR-Eが地球観測衛星「Aqua」に搭載されており[3]、後継機の水循環変動観測衛星「しずく」にはAMSR-Eの改良版のAMSR-2が搭載された[3]。
GLI(可視赤外イメージング放射計)
地球表面及び雲からの太陽反射光あるいは赤外放射光を観測し、表面温度、植生分布、雪氷分布、クロロフィル濃度、溶存有機物などを高精度に測定することを目的とした光学センサ[3]。NASDAが開発。
ILAS-II(改良型大気周縁赤外分光計II型)
高緯度地域の成層圏のオゾン層を監視・研究するための大気センサ[3]。みどりオゾン層破壊に関する物理化学現象の科学的解明等を目的としている[3]。環境省が開発。
SeaWinds(海上風観測装置)
ADEOS搭載のNSCATを継承発展させたもので、マイクロ波の海面による散乱を受信し、これを分析することで海上風の風向、風速などを測定する[3]。NASAが開発。
POLDER(地表反射光観測装置)
地球表面、雲、海、エアロゾル等で反射される太陽光の偏光、方向性及び分光特性を測定する。フランス国立宇宙研究センター(CNES)が開発[3]。
脚注
関連項目
外部リンク
「ADEOS II」の例文・使い方・用例・文例
- フェーズIとフェーズIIで許容副作用を伴い効果的であることが示される治療あるいは薬品の大規模な臨床試験
- 1228年から1229年までの十字軍は、病気になった神聖ローマ帝国皇帝フレディリックIIで導いて、法王によって破門されました
- 330,000人の連合軍隊が敵火の下で絶望的な退却において、北フランスの浜辺から避難しなければならなかった世界大戦IIの陸海空共同の避難(1940年)
- 腎臓にアンジオテンシンIIができるのを阻止し、動脈を弛緩してくれる抗高血圧薬
- アンジオテンシンIIへのさきがけであるアンジオテンシンの生理学的に不活発な形態
- 高血圧を治療するのに用いられるアンギオテンシンII抑制剤
- ASCII文字セットは最も一般的に用いられている文字セットである
- 王を補足したと考えられるI歴代志とII歴代志の旧約聖書の旧名
- ウルガタ聖書(IIエスドラス書を除いて)に含まれるが、ユダヤやプロテスタント版の聖書では省略される旧約聖書の14冊
- I歴代志、II歴代志、エズラ、およびネヘマイアからの編集から成る外典
- フレディリック神聖ローマ帝国皇帝IIを破門して、聖地に対して新しい十字軍を計画していた1245年の西方教会の協議会
- キャサリンIIの愛人であり、1762年に彼女が権力を握る支援を行ったロシアの役員で政治家
- 遺伝的に第VIII因子が欠乏するために生じる血友病
- アンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変えるタンパク質分解酵素
- 血液凝固において、トロンビンは第XIII因子をフィブリンが分解しにくい凝血塊の形成を引き起こす(フィブリナーゼ)活性型に触媒する
- パーシングIIというミサイル
- SALTII条約という2国間軍縮条約
- SALTII条約という2国間軍縮条約の内容
- 宇宙開発事業団と航空宇宙技術研究所は,2004年にH-IIAロケットでHOPE-Xを打ち上げる計画をしていた。
- 72歳の映画監督と彼の息子は,9月25日,新作映画「バトル・ロワイアルII」の製作を発表するため,記者会見を行った。
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