ADEOS IIとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > 宇宙百科事典 > ADEOS IIの意味・解説 

みどりII

分類:人工衛星


名称:環境観測技術衛星「みどりII」/AdvancedEarthObservingSatellite-II(ADEOS-II)
小分類:地球観測衛星
開発機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))/環境庁(EA)/アメリカ航空宇宙局(NASA)/フランス国立宇宙研究センター(CNES)
運用機関会社:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
打ち上げ年月日:2002年12月14日
運用停止年月日:2003年10月31日
打ち上げ国名機関:日本/宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:H-IIA
打ち上げ場所:種子島宇宙センター(TNSC)

みどりIIは、5つセンサー搭載した地球観測衛星です。
高性能マイクロ波放射計(AMSRAdvanced Microwave Scanning Radiometer)は、地表大気から自然に放射されるごく弱いマイクロ波受信することで、に関するさまざまな量(水蒸気量、降水量海面水温海上風、海氷など)を昼、夜の区別なく、また有無関わらず観測します。これによって、全地球規模水循環エネルギー循環把握するためのデータ得ます
グローバル・イメージャ(GLIGlobal Imager)は、地球表面などからの太陽反射光や、赤外放射光多く波長観測することで、生物に関するさまざまな量(クロロフィル色素有機物植生など)や、温度雪氷分布、分類などを測定します。そして、全地球規模炭素循環気候変動把握するためのデータ得ます
改良型大気周縁赤外分光計II型(ILAS-IIImproved Limb Atmospheric Spectrometer-II)は、南北半球高緯度地方大気微量成分(オゾンエアロゾルなど)の高度による分布観測します。
海上観測装置(Sea Winds)は、海上風の方向風速測定します
地表反射光観測装置(POLDERPolarization and Directionality of the Earth'sReflectances)は、地球表面エアロゾル、海で反射される太陽光偏光方向性分光特性測定します。そして温室効果ガス増加による地球輻射潜在的な影響対流圏におけるエアロゾル循環全球的な炭素循環解明行ないます

1.どんな形をして、どんな性能持っているの?
翼をひとつ広げたような一翼式(太陽電池パドル)の形をしています。本体は約6m×4m×4m太陽電池パドルは約3m×24mの大きさです。
重量は約3.7t(打ち上げ時)/約1.3t(ミッション重量)で、姿勢制御方式は、3軸姿勢制御方式採用してます。
みどりIIは宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))が開発した2つセンサーのほかに、NASACNESなどにより開発され5つセンサー搭載してます。

2.どんな目的使用されるの?
みどりIIは、みどりの観測ミッション(目的)を引き継ぐとともに地球温暖化など、地球規模環境変動研究のためのデータを取ることが目的です。さらにそうしたデータ気象漁業などへの実利用を図ること、観測技術開発高度化などを目的とします


3.宇宙でどんなことをし、今はうなっているの?
打ち上げ後予定どおり軌道に乗り高性能マイクロ波放射計や、グローバル・イメージャ、改良型大気周縁分光計II型海上観測装置地表反射光観測装置などによる地球環境観測行ないました。またこだまやアルテミスとの衛星間通信実験にも成功しましたが、太陽電池パドルからの発生電力低下する異常が発生したため、現在は運用停止になり、異常発生の原因調べられています。

4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
みどりがあります

5.どのように地球を回るの?
高度802.9km。公転周期101分(地球101分で1周します)、軌道傾斜約98.62度の太陽同期準回帰軌道です。太陽同期準回帰軌道とは、いつもほぼ同じ時刻同一地点の上空を通過するため、観測衛星向いている軌道です。また、地球の自転によって経路すこしずつずれていきますが、4日後には再び同じ時刻に同じ位置もどっています(回帰周期)。

参考文献:大林辰蔵監修日本宇宙科学19522001東京書籍斎藤成文日本宇宙開発物語三田出版会


みどりII

(ADEOS II から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/03 08:06 UTC 版)

環境観測技術衛星「みどりII」
ADEOS-II
所属 宇宙開発事業団(NASDA)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
主製造業者 三菱電機
公式ページ 環境観測技術衛星「みどりII(ADEOS-II)」
国際標識番号 2002-056A
カタログ番号 27597
状態 運用終了
目的 地球観測衛星
設計寿命 3年(搭載燃料:5年)
打上げ機 H-IIAロケット 4号機
打上げ日時 2002年12月14日
10時31分(JST)
通信途絶日 2003年10月25日
08時55分(JST)
運用終了日 2003年10月31日
先代 みどり
物理的特長
本体寸法 4m x 4m x 6m
最大寸法 28m
(太陽電池パドル展開後)
質量 3.68t(打ち上げ時)
うちミッション機器:1.23t
発生電力 5,350W以上
(寿命末期)
姿勢制御方式 ゼロモーメンタム3軸制御ストラップダウン方式
軌道要素
周回対象 地球
軌道 太陽同期準回帰軌道
高度 (h) 802.92 km
軌道傾斜角 (i) 98.62度
軌道周期 (P) 101 
回帰日数 4 
回帰精度 ±5km
降交点通過
地方時
午前10時30分±15分
観測装置
AMSR 高性能マイクロ波放射計
GLI 可視赤外イメージング放射計
ILAS-II 改良型大気周縁赤外分光計II型
SeaWinds 海上風観測装置
POLDER 地表反射光観測装置
テンプレートを表示

みどりII(みどりツー、ADEOS-II、Advanced Earth Observing Satellite II)は、日本の地球観測技術衛星。宇宙開発事業団(NASDA)が衛星を開発し、環境省NASA ジェット推進研究所(JPL)フランス国立宇宙研究センター(CNES)のセンサを搭載した国際共同プロジェクト。

2002年(平成14年)12月4日 H-IIAロケット4号機により種子島宇宙センターから打上げられた。2003年(平成15年)10月25日に太陽電池の発生電力が低下し、通信途絶して運用を終了した。衛星開発費480億円[1]。総予算額712億円(衛星開発、ロケット製作打上げ、追跡管制を含む)[2]

概要

1996年打ち上げの地球観測プラットフォーム技術衛星みどり(ADEOS)の後継機として開発され、地球温暖化オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、異常気象など、地球規模での環境変化の実態把握のためのデータを取得することを目的とした。「みどり」の名前を踏襲したが、“新生みどり”“新しい次世代のみどり”との意味から、「2号」ではなく「II」(ツー)と名付けた[3]

運用異常は、太陽電池パドルのハーネス温度が設計値では143℃程度が上限であると考えられていたが、運用異常後の検証により、計算モデルを見直すことで230℃程度まで上昇することがわかり、被覆が熱サイクルにより損傷し、回路が断線またはショートしたことで電力低下につながったことが原因の一つと推測されている[4]。先代のみどり(1996年8月打ち上げ、1997年6月運用停止)も太陽電池関連の損傷による事故だったが、これはポリイミドフィルムと接着剤の線膨張率の違いにより設計予想の2倍の熱収縮が発生して過大な張力でピンヒンジが破断し、はんだ付け部に張力がかかるようになり、熱サイクルによる疲労劣化でブランケットの破断に至ったと結論づけられており、この直接的な対策はみどりIIの太陽電池パドルに反映されていた[5]

運用史

日時は日本時間。

計画

  • 1994年(平成6年)、プロジェクト移行前審査(PR)[2]
  • 1995年(平成7年)、基本設計審査(PDR)[2]
  • 1998年(平成10年)、詳細設計審査(CDR)[2]
  • 2000年(平成12年)、認定試験後審査(PQR)[2]

運用

  • 2002年(平成14年)
    • 12月14日
      • 10:31、H-IIAロケット4号機により種子島宇宙センターより打上げ。
      • 10:47、衛星分離[6]
      • 打上げ成功を受けて「みどりII」と命名[7]
    • 12月17日 11:08、初期クリティカルフェーズを終了し、定常制御モードへ移行(姿勢制御スラスタ噴射頻度の超過、太陽電池パドル張力の規格外れ、AMSRの信号異常といった特異事象があり、予定より2日延期されていた)[6]。スラスタによる姿勢制御からホイールによる姿勢制御になる[8][9]
  • 2003年(平成15年)
    • 1月
      • 3日、ASMRランナップ(アンテナの回転)開始[8]
      • 10日
        • GLIクールダウン(所定温度へ冷却)[8]
        • クリティカルフェーズ終了[10][9]
      • 11日、SeaWindsランナップ[10]
      • 18日、AMSRによる初画像取得[11]
      • 23日、ILAS-IIによる初データ取得[12]
      • 25日、GLIによる初画像取得[13]
      • 28日、SeaWinds初画像取得[14]
    • 2月
      • 1日、POLDERによる試験データ取得[15]
      • 20日、データ中継技術衛星こだまとの衛星間通信実験に成功。GLIでチベット高原からインド地域を撮影し、日本の地上局と直接通信できない軌道上位置から鳩山局にKa帯周波数(66Mbps)でリアルタイム伝送した[16][17]
    • 3月28日から30日、ESAの先端型データ中継実験衛星ARTEMISとの衛星間通信実験に成功。史上初の日欧衛星間通信。Ka帯(26GHz帯)とS帯(2GHz帯)を使用[18]
    • 4月14日、初期機能確認段階を終了し、定常観測/校正・検証段階へ移行(打上げから1年後までを目途)[9]
    • 10月1日、宇宙開発事業団(NASDA)が統合され宇宙航空研究開発機構(JAXA)になる。
    • 10月25日、太陽電池パドルの発生電力が低下し、通信途絶。
    • 10月31日、地球観測運用の断念を発表[19]
  • 2004年(平成16年)
    • 6月21日、みどりIIの事故とH-IIAロケット6号機のトラブルを踏まえて、「開発基本問題に係る外部諮問委員会」が設置され、国内外の専門家により確実な宇宙ミッションの達成などについて助言の取りまとめを求めた[20]。(2005年3月23日報告[21]
    • 7月26日、運用異常に係る原因究明及び今後の対策がまとめられ、宇宙開発委員会にて報告された[22]

運用異常

2003年(平成15年)10月25日 7:28、みどりIIからデータ中継衛星こだまを経由して地球観測センター(鳩山局)で受信する予定だった地球観測データが受信されなかった[23]。みどりIIはこの時、太陽電池パドルの発生電力を衛星本体に送電する能力の大半を失っており、バッテリ電力によって活動する状態で、各種センサ等のヒータ類をオフにするなどした軽負荷モードに自動的に移行していた。同日8:55にバッテリ電力の低下により通信するための電力がなくなり、地上との通信が途絶、その後復旧しなかった[24]。衛星状態の解析から、衛星の三軸姿勢確立に必要な電力約1.2kWの確保が困難であると判断され、通信が復旧しても観測運用が実施できる見込みは極めて少なかった[19]

事故後の検証の結果、太陽電池パドルの電力ラインまたはハーネスに異常が生じて回路の開放または短絡が生じたものとしている[4]。その結果に至るシナリオとして、熱サイクルによるハーネス被覆の損傷や、事故2日前の10月23日に発生した大規模な太陽フレア[25]により、太陽電池パドルのMLI(サーマルブランケット)が帯電してハーネスとの間で放電を起こしたことなどが考えられ、炭化導電路が成長して持続放電に発展したとされた[26]。また、みどりIIの姿勢変動が確認されていたが、ハーネスの熱損傷によるガスが発生したと仮定すればこれも説明可能だとしている[4]

宇宙環境

2003年10月23日に大規模な太陽フレアが発生していた。アメリカ海洋大気庁気象観測衛星17号(NOAA-17)英語版のプラズマ観測データの解析により、異常が発生する直前にみどりIIが極域のオーロラ帯を通過しており、通常の10倍程度となる2000nTの大きな磁場変動を受けていたと考えられている。ただし、みどりIIに搭載された宇宙環境計測装置では高エネルギー電子陽子及びヘリウムの計測データに大きな変化はなかった[4]

時系列

日時は日本時間。

  • 2003年(平成15年)
    • 10月23日、大規模な太陽フレアが発生[4]
    • 10月25日[24]
      • 0:07、パース局(オーストラリア)でテレメトリデータを正常に受信。
      • 0:50頃、極域のオーロラ帯を通過[4]
      • 1:13、太陽電池パドルの発生電力が3分間で約6kWから約1kWに低下(解析により当日10時ごろ判明)。
      • 1:16、バッテリからの電力供給を開始。
      • 6:04、アラスカ局でミッションデータ(テレメトリを含む)を正常に受信。
      • 6:22、鳩山局でデータ中継技術衛星こだま経由のミッションデータを正常に受信。
      • 7:18、バッテリ電圧の低下を検知して軽負荷モードに移行(解析により当日15時ごろ判明)。軽負荷モードを維持するには1.7kWの電力が必要と考えられている。
      • 7:28、こだまとみどりIIの間の通信ができなかった。
      • 8:49、臨時に手配されたマスパロマス局(スペイン)で受信したテレメトリにより、みどりIIが軽負荷モードになっていることが確認された。
      • 8:55:15、マスパロマス局で信号受信中に通信が途絶。衛星の電源電圧低下によって通信機器が動作を停止した。
      • 9:23、勝浦局からみどりIIに対して、送信機オンコマンド信号を送信するが、通信復旧せず。
    • 10月31日、JAXAが運用断念を発表[27]。地球観測運用に復旧するには三軸姿勢を確立する必要があり、そのために1.2kW以上の発生電力を必要とするが、太陽電池パドルの状況から発生電力が期待できないことを理由とした[28]

検証試験

運用異常後、各種検証試験が実施された。

太陽電池パドルハーネスの熱解析

設計時点のハーネス束の熱数学モデルでは予測最高温度143℃と見込まれハーネスの許容温度200℃を下回ると考えられていたが、MLIの実行放射率を要素試験を経て見直し、モデルの節点を増加して計算したところ、最高温度が230℃まで上昇していた可能性が高いとされた[24]

太陽電池パドルハーネスの損傷発生の検証

温度予測結果を踏まえ、100℃から250℃の温度サイクルを15分周期で検証したところ、5000サイクルを経過した時点で芯線に達する被覆の損傷の発生が確認され、顕微鏡観察で被覆同士が固着している様子が見つかった。一方、微小な宇宙デブリによる損傷が生じていた可能性も否定できない[24]

太陽電池パドルハーネスの帯電の検証

NOAA-17が2006年10月25日にオーロラ帯を通過した際に観測した電子流入量を元に計算すると、みどりIIの太陽電池パドルハーネスのMLIとハーネスの間には-1200V以上の帯電電位が発生していたと考えられる。みどりIIと同等のMLIを用いた地上試験で電子照射したところ、-1200V程度の帯電が確認された。なお、みどりの観測例などから、毎週回日陰やオーロラ帯を通過する際に帯電し、1000V程度の電位差があった可能性が高いとされる[24]

太陽電池パドルハーネスの放電の検証

みどりIIと同等のハーネスを用いて、芯線が露出する損傷のある状態で2本対向させ真空チャンバ内でMLIに電位差を与えたところ、放電が発生することを確認した。また、損傷ハーネス間の単発的放電が発生した箇所の被覆が炭化され、炭化導電路が形成されて発熱を伴う短絡が持続することで、隣接する無傷のハーネスにも波及することが確認された。ハーネス束での検証では放電開始から30秒間で10回路すべての回路が短絡または開放に至る例も確認された[24]

衛星姿勢変動の評価

10月25日 1:13から1:17の間に3軸の姿勢角について、わずかな変動が生じていた。FTAによる異常部位の絞り込みを考慮して太陽電池パドルハーネスから太陽電池ブランケットの一部の範囲に力が生じた可能性が高いと考えられ、ハーネスを高温に加熱した場合に生じる発生ガス量や組成から、熱損傷によって発生したガスが噴出したことで生じた力によるものとして説明可能であると結論付けられた[24]

ミッション機器

みどりII搭載センサ

異常によって3年の運用を予定していたところ、衛星の電力系の異常によって10か月程度で運用断念となり、観測期間としては9カ月、全球観測期間は7カ月程度[19]と、センサの校正や年間を通しての気候を知るためには1年以上の観測が必要だが、運用期間はそれに満たなかった。一方で限られた運用期間の中でも、搭載された各種先進的なセンサによって世界初の観測成果が得られている[19]

AMSR(高性能マイクロ波放射計)

高性能マイクロ波放射計AMSRの改良型でAquaに搭載されたAMSR-E

地球表面および大気から放射されるマイクロ波を測定し、主に水に関する様々なデータを取得するための観測装置。NASDAが開発、三菱電機が担当[2]。これの改良版であるAMSR-Eが地球観測衛星Aquaに搭載されており[29]、AMSRとAMSR-Eにより陸域広域の土壌水分を世界で初めて定量観測し、陸域気候モデルの構築に貢献した[19]。雲を透過して全天候で海面水温を観測可能な、当時唯一のセンサであった[19]

後継機の水循環変動観測衛星しずくにはAMSR-Eの改良版のAMSR2[29]いぶきGWにはAMSR3が搭載された。

GLI(可視赤外イメージング放射計)

地球表面及び雲からの太陽反射光あるいは赤外放射光を観測し、表面温度、植生分布、雪氷分布、クロロフィル濃度、溶存有機物などを高精度に測定することを目的とした光学センサ[29]。NASDAが開発、富士通が担当[2]

世界で初めて陸海両方のエアロゾルを1km解像度で広域に観測した。世界で初めて広域の雪氷を観測し、積雪の粒径、不純物濃度などの積雪特性が観測され、粒径が極域の温暖化発現の指標になっており、また不純物である大気汚染微粒子は太陽放射の吸収によって融雪が早まり地表面の露出による温暖化の促進につながると考えられている。短波長赤外領域(資源探査や農作物生育状況把握)で250m分解能の全球観測が可能な当時唯一のセンサであった[19]

ILAS-II(改良型大気周縁赤外分光計II型)

高緯度地域の成層圏オゾン層を監視・研究するための大気センサ[29]。みどりオゾン層破壊に関する物理化学現象の科学的解明等を目的としている[29]。太陽光が地球大気を透過した際に特定波長の光が吸収されることを利用する太陽掩蔽法による分光センサで、太陽同期軌道であることから太陽と衛星との位置関係に基づき観測対象が極域に限定される[30]環境省が開発、松下技研が担当[31]、開発費35億円[12]

SeaWinds(海上風観測装置)

ADEOS搭載のNSCATを継承発展させたもので、マイクロ波の海面による散乱を受信し、これを分析することで海上風の風向、風速などを測定する[29]NASAが開発。

POLDER(地表反射光観測装置)

地球表面、雲、海、エアロゾル等で反射される太陽光の偏光、方向性及び分光特性を測定する。フランス国立宇宙研究センター(CNES)が開発[29]

その他

  • DCS
    • 海洋に設置されたブイや陸上観測システムから水温、流速、位置データなどの観測データを収集(アップリンク)し、また操縦指令を送信(ダウンリンク)するシステム。データレート10Kbps[30]
  • TEDA
    • 宇宙環境を計測し、衛星用部品と材料の劣化、誤作動、故障との関連の工学的データを取得する。きく5号きく6号に搭載した実績がある。技術データ取得装置ユニット(TDU)、汚染モニタセンサ(COM-S)で構成され、重イオン観測装置(HIT)、放射線吸収線量モニタ(DOM)、汚染モニタ(COM)、帯電電位モニタ(POM)、メモリ誤動作モニタ(SUM)を搭載する。データレート672bps[30]

バス機器

  • 通信及びデータ処理系(C&DH)
    • 2GHz帯の周波数で追跡管制所と通信し、コマンド受信、テレメトリ送信を行う。
  • 軌道間通信系(IOCS)
    • データ中継衛星(こだま、アルテミス)とS帯、Ka帯で通信し、データ中継と追跡管制を行う。
  • ミッションデータ処理系(MDP)
    • ミッションデータの選択、パケット化、多重化などを行い、DT・IOCSに伝送する。また、ミッションデータレコーダ(MDR)に伝送する。MDRは3台搭載し、MDRを切り替えながら全ての観測機器データが常に記録され、地上に伝送する際に再生される。データ記録6Mbps、データ再生60Mbps[32]
  • 直接送信系(DT)
    • X帯2波(X1バンド:60Mbps、X3バンド:6Mbps)で中高速のミッションデータを直接地上局とデータ伝送を行う。
  • 光磁気ディスク(ODR)
    • 高速大容量データレコーダ。みどりIIで初めて搭載した。システム構成としてはDTユニットに含まれる。GLI250mデータ1シーン分(観測時間4分)の記録再生に使用される。実験機器であり定常運用中も実験運用に位置づけられる。記録・再生速度60Mbps[32]
  • 電源系(EPS)
    • バス電源の供給、バッテリの充放電、爆管の点火制御(パドルやアンテナ類の展開)を担う。NiCd電池4台、32セル50Ah[33]
  • パドル系(PDL)
    • 一翼式太陽電池パドル。幅2.7m×長さ0.46mのフレキシブルブランケット50枚(セル搭載は48枚[34])で構成されブランケット部の長さ23.3mとなり、関節型マストによって軌道上で伸展する方式により、大電力、高収納性、軽量化の要求を満足している。計55,680枚の太陽電池セルを搭載。
  • 姿勢軌道制御系(AOCS)
    • 軌道投入後の三軸姿勢確立、姿勢保持、軌道制御、パドルの駆動を担う。慣性基準装置(IRU)、地球センサ(ESA)、精太陽センサ(FSSA)と、リアクションホイール(RWA)、磁気トルカ(MTQ)を搭載する。
  • 推進系(RCS)
    • AOCSからの制御信号を受けて1Nスラスタ、20Nスラスタを制御し、推力を得る。
  • 極地ユーザ送信系(DTL)
    • GLIの観測データのうち4バンドのデータ(23Kbps)をUHF帯(467.7MHz)で船舶等のユーザに送信する。海況や水温分布、海洋基礎生産力の把握に利用される[30]

地上システム

ミッション運用系システムはJAXA地球観測センター埼玉県鳩山町)に整備される。各機関の運用要求に基づき、ミッション機器の運用計画立案、直接系・データ中継衛星からのミッションデータの受信を行う[30]

海外のX帯直接受信局としてNASA局(アラスカ州ASF、ヴァージニア州WFF)、JAXAキルナ局があり、ミッションデータを受信する。アルテミスのESAフィーダリンク局としてベルギーRedu局があり、こだまの不可視域でミッションデータ、コマンドテレメトリ運用に使用される[30]国立極地研究所南極昭和基地に整備した衛星データ受信局においてGLI250mデータを受信し、媒体は南極観測船によって年1回輸送される[35]

ピギーバッグ衛星

みどりIIを打ち上げたH-IIAロケット4号機には、みどりIIを主衛星としてピギーバック衛星(相乗り衛星)3機が搭載された。

デブリ観測衛星の観測対象として

みどりIIは運用終了後も地球を周回し続けており、スペースデブリとなっている。2027年に打上げ予定のアストロスケールの衛星デブリ観測ミッションISSA-J1により、だいち(2011年運用終了)と共に近接観測される計画となっている[36]

脚注

  1. 宇宙航空研究開発機構宇宙利用推進本部事業推進部、Program Management and Integration Dept., Office of Space Applications「各国の衛星開発動向に関するデータ集」『宇宙航空研究開発機構特別資料』JAXA-SP-05-033、2006年3月31日、ISSN 1349-113X
  2. 1 2 3 4 5 6 7 環境観測衛星(ADEOS-II)「みどりⅡ」について (2003年11月7日). 2026年4月11日閲覧。
  3. [リンク切れ]
  4. 1 2 3 4 5 6 環境観測技術衛星(ADEOS-Ⅱ)「みどりⅡ」の運用異常に係る原因究明及び今後の対策について”. p. 27 (2004年7月28日). 2026年4月11日閲覧。
  5. “[https://www.mext.go.jp/content/19971001-mxt_uchukai01-000026358_5.pdf 地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS)の機能停止に係る原因究明等 について(宇宙開発委員会技術評価部会報告書概要)]”. 文部科学省 (1997年10月1日). 2026年5月3日閲覧。
  6. 1 2 JAXA|「みどりII」(ADEOS-II)の運用状況について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  7. JAXA|ADEOS-II/H-IIA・F4の打上げ結果について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  8. 1 2 3 JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)の初期機能確認段階への移行について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  9. 1 2 3 JAXA|「みどりII(ADEOS-II)」の定常観測/校正・検証段階への移行について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  10. 1 2 JAXA|「みどりII(ADEOS-II)」の状況について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  11. JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)の高性能マイクロ波放射計(AMSR)の初画像取得について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  12. 1 2 JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」搭載のオゾン観測センサ改良型大気周縁分光計II型(ILAS-II)からの初データ取得について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  13. JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)搭載グローバルイメージャ(GLI)の初画像取得について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  14. JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)の海上風観測装置(SeaWinds)の初画像公開について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  15. JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)の地表反射光観測装置(POLDER)の初画像公開について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  16. JAXA|「こだま(DRTS)」と「みどりII(ADEOS-II)」による初めての衛星間通信実験について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  17. JAXA|データ中継技術衛星「こだま」と環境観測技術衛星「みどりII」による衛星間通信実験の成功について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  18. JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)と先端型データ中継技術衛星「アルテミス」による衛星間通信実験の成功について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  19. 1 2 3 4 5 6 7 JAXA|環境観測技術衛星「みどりII」の今後の地球観測運用について”. www.jaxa.jp. 2026年4月12日閲覧。
  20. JAXA|「開発基本問題に係る外部諮問委員会」の設置について”. www.jaxa.jp. 2026年5月1日閲覧。
  21. JAXA|「開発基本問題に係る外部諮問委員会」最終報告について”. www.jaxa.jp. 2026年5月1日閲覧。
  22. 環境観測技術衛星(ADEOS-Ⅱ)「みどりⅡ」の運用異常に係る原因究明及び今後の対策について”. warp.ndl.go.jp. 文部科学省. 2026年4月16日閲覧。
  23. しきしまふげん『現代萌衛星図鑑』三才ブックス、2009年7月7日。 ISBN 978-4-86199-206-3
  24. 1 2 3 4 5 6 7 環境観測技術衛星(ADEOS-Ⅱ)「みどりⅡ」の運用異常について(その2) (2003年11月7日). 2026年4月11日閲覧。
  25. 環境観測技術衛星(ADEOS-2)「みどり2」の運用異常に係る原因究明及び今後の対策について”. www.mext.go.jp. 2026年4月11日閲覧。
  26. 三宅, 弘晃 (2011). “人工衛星に及ぼす帯電放電現象について”. 電気設備学会誌 31 (5): 348–351. doi:10.14936/ieiej.31.348.
  27. 地球観測技術衛星「みどりII」の運用断念について”. 環境省. 2026年4月11日閲覧。
  28. 環境観測技術衛星(ADEOS-Ⅱ)「みどりⅡ」の地球観測運用について-観測運用の復旧は困難であるとの判断に至った経緯- (2003年11月7日). 2026年4月12日閲覧。
  29. 1 2 3 4 5 6 7 用語集 – JAXA 第一宇宙技術部門 サテライトナビゲーター”. 航空宇宙研究開発機構. 2024年3月10日閲覧。
  30. 1 2 3 4 5 6 環境観測技術衛星ADEOS-II リファレンスハンドブック”. JAXA. 2026年5月3日閲覧。
  31. 人工衛星搭載用オゾン層観測センサー(ILAS―II)の完成について”. 環境省. 2026年5月1日閲覧。
  32. 1 2 地球観測データ利用ハンドブック- ADEOS-II 編-第 4 版 (2009年3月). 2026年5月3日閲覧。
  33. 環境観測技術衛星(ADEOS-Ⅱ)「みどりⅡ」の電源系の概要”. JAXA (2003年11月7日). 2026年5月3日閲覧。
  34. JAXA|環境観測技術衛星(ADEOS-II)「みどりII」の運用異常について”. www.jaxa.jp. 2026年5月3日閲覧。
  35. 地球観測データ利用ハンドブック- ADEOS-II 編-第 4 版 (2009年3月). 2026年5月3日閲覧。
  36. Sorae編集部 (2026年4月9日). アストロスケールが新たなデブリ観測ミッション発表 対象は退役衛星の「だいち」と「みどりII」”. sorae 宇宙へのポータルサイト. 2026年4月10日閲覧。

関連項目

外部リンク


「ADEOS II」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳

英語⇒日本語日本語⇒英語

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ADEOS II」の関連用語

ADEOS IIのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ADEOS IIのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
JAXAJAXA
Copyright 2026 Japan Aerospace Exploration Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのみどりII (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2026 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2026 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2026 GRAS Group, Inc.RSS