きく3号
名称:技術試験衛星IV型「きく3号」/Engineering Test Satellite-IV(ETS-IV)
小分類:技術開発・試験衛星
開発機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
運用機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げ年月日:1981年2月11日
運用停止年月日:1984年12月24日
打ち上げ国名・機関:日本/宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:N-II
打ち上げ場所:種子島宇宙センター(TNSC)
国際表記番号:1981012A
きく3号は、主として350kgクラスの静止衛星打ち上げ用のN-II型ロケットの能力確認と搭載実験機器の実験を目的として開発されました。
スキャン型地球センサー、パルス型プラズマエンジンなどを搭載しています。スピン安定方式で姿勢を制御し、設計寿命は3ヵ月(ミッション期間)でした。
技術試験衛星IV型なのに、「きく3号」と命名されているのは、技術試験衛星III型より早く打ち上げられたからです。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
直径約210cm、高さ約280cmの円筒形で、表面には太陽電池パネルが張りつめられています。重量は約638kgです。主要ミッション機器としては、テープレコーダー、スキャン型地球センサー、ガリウムひ素FET増幅器、パルス型プラズマエンジンを搭載しています。
2.どんな目的に使用されるの?
N-IIロケットの遷移軌道投入能力の確認と打上げ環境条件の習得、大型衛星の製作・取扱技術の習得、搭載機器の宇宙環境下での機能試験に使用されました。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
搭載機器機能点検などを目的とした初期段階を1981年3月12日に終了しました。続いて定常段階に移り、搭載実験機器を用いた実験などが実施されました。1981年5月12日をもって予定の運用が終了しましたが、その後も搭載機器機能点検をときどきおこないました。太陽電池の発生電力の低下が著しくなったため、1984年12月24日に運用を停止しました。
4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
きく、きく2号、きく4号、きく5号、きく6号、きく7号(おりひめ・ひこぼし)、ETS-VIIIがあります。
5.どのように地球を回るの?
高度225kmから、3万6,000km、傾斜角28.5度、周期約10時間36分の長楕円軌道(静止衛星軌道投入のための遷移軌道)です。
きく3号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/26 14:25 UTC 版)
技術試験衛星IV型 (ETS-IV) 「きく3号」 |
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所属 | NASDA |
主製造業者 | 三菱電機 |
公式ページ | 技術試験衛星IV型「きく3号(ETS-IV)」 |
国際標識番号 | 1981-012A |
カタログ番号 | 122295 |
状態 | 運用終了 |
目的 | ロケットの性能試験 |
設計寿命 | 3ヶ月 |
打上げ場所 | 種子島宇宙センター大崎射場大崎射点 |
打上げ機 | N-IIロケット1号機(N7F) |
打上げ日時 | 1981年2月11日17:30 |
運用終了日 | 1984年12月24日 |
物理的特長 | |
本体寸法 | ⌀2,100mm×2,800mm |
質量 | 638kg |
発生電力 | 125W |
主な推進器 | パルス型プラズマエンジン ガスジェット×2 |
姿勢制御方式 | スピン安定方式 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 静止トランスファ軌道 |
近点高度 (hp) | 223km |
遠点高度 (ha) | 35,824km |
軌道傾斜角 (i) | 28.5度 |
軌道周期 (P) | 10時間36分 |
ミッション機器 | |
テープレコーダー | |
スキャン型地球センサー | |
ガリウムひ素FET増幅器 | |
パルス型プラズマエンジン |
きく3号(英語: Engineering Test Satellite - IV、ETS-IV)は宇宙開発事業団 (NASDA) が打ち上げた人工衛星(技術試験衛星)である。技術試験衛星IV型ではあるが、III型より先に打ち上げられたためにきく3号の愛称が与えられた。
目的
ミッションの目的は、大型衛星の開発技術の習得や搭載機器の機能試験、N-IIロケットの静止トランスファ軌道打ち上げ能力の確認、打ち上げ環境条件の取得であった。
特徴
宇宙開発事業団の技術を集積し、既存の設備・装置を可能な限り活用することで、ソフトウェア及びハードウェアの自主開発を行った。
搭載実験機器は各研究所からの持ち込みであり、データレコーダは宇宙開発事業団、スキャン型地球センサは航空宇宙技術研究所、ガリウムヒ素FET増幅器は日本電信電話公社横須賀電気通信研究所、パルス型プラズマエンジン(PPT)は電子技術総合研究所が開発した。
全備質量638kgのうち328kgはアポジモータ相当のダミーウェイトである。
開発
1976年度に衛星の概念設計及び予備設計を実施し、基本設計仕様を決定した。1977年度から衛星の開発に着手し、基本設計、詳細設計、プロトタイプモデル(PM)及びフライトモデル(FM)の製作・試験と開発を進めた。
運用
1981年2月11日にN-IIロケット1号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた[1]。
3月12日までの初期段階において搭載機器の機能点検を実施した。その後、定常段階へ移行し、搭載実験機器を用いた実験を行った。5月12日までに予定していた実験を終了し、その後も適宜搭載機器の点検等によるデータ取得を続けた。しかし、太陽電池の劣化による発生電力の低下から、1984年12月24日に運用を停止した[1]。
脚注
- ^ a b “技術試験衛星IV型「きく3号」(ETS-IV)”. 宇宙航空研究開発機構. 2021年12月23日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 技術試験衛星IV型「きく3号(ETS-IV)」(JAXA)
- きく3号 (JAXA宇宙情報センター) - ウェイバックマシン(2010年5月14日アーカイブ分)
- 宇宙航空研究開発機構資料編
- きく3号のページへのリンク