きく1号とは? わかりやすく解説

きく1号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/03 08:00 UTC 版)

きく (人工衛星) > きく1号
技術試験衛星I型「きく1号(ETS-I)」
所属 NASDA
主製造業者 日本電気
公式ページ 技術試験衛星I型「きく1号(ETS-I)」
国際標識番号 1975-082A
カタログ番号 08197
状態 運用終了
目的 人工衛星運用技術の習得
設計寿命 3ヶ月
打上げ場所 種子島宇宙センター
大崎射場大崎射点
打上げ機 N-Iロケット1号機(N1F)
打上げ日時 1975年9月9日14:30
運用終了日 1982年4月28日
物理的特長
本体寸法 ⌀800mm×800mm(26面体)
質量 82.5kg
発生電力 30W
姿勢制御方式 スピン安定方式
軌道要素
周回対象 地球
軌道 略円軌道
近点高度 (hp) 963km
遠点高度 (ha) 1,093km
軌道傾斜角 (i) 47度
軌道周期 (P) 106分
ミッション機器
STEM 伸展アンテナ実験装置
打ち上げ環境測定装置
衛星環境測定装置
姿勢測定装置
距離及び距離変化率測定装置
テンプレートを表示

きく1号技術試験衛星I型英語: Engineering Test Satellite - IETS-I)は、宇宙開発事業団(NASDA)による初めての人工衛星である。開発・製造は日本電気

1975年(昭和50年)9月9日に種子島宇宙センターからN-Iロケット1号機によって打ち上げられ、1982年まで運用された。

命名時は単に「きく」だった[1]が、現在では号数を付けて「きく1号」と表記されることが多い。また、打ち上げ前後では英名称が「JETS-I」と表記されることがあった[1]が現在では使用されない。

目的

N-Iロケットの性能確認、人工衛星の軌道投入・姿勢制御・追跡・運用等の人工衛星打ち上げ技術の習得、打ち上げ時の機械的環境条件及び軌道投入後の姿勢変化、衛星内外の環境の測定を目的としている。また、初の実用衛星である電離層観測衛星に搭載する伸展アンテナについて事前に技術データを取得する。

運用史

開発

  • 1970年、概念設計開始。
  • 1971年12月、製作発注が行われた。
  • 1973年度、プロトタイプモデル(PM)の製作と認定試験が終了した。
  • 1974年度、フライトモデル(FM)の製作及びPMのプロトフライトモデル(PFM)への改修、さらにこれらの受け入れ試験が行われた。
  • 1975年1月末、NASDAへ納入された。PFMはその後4月から6月まで射場において射点設備やロケットとの整合性試験や運用訓練などに用いられた。

運用

  • 1975年
    • 9月9日、N-Iロケット1号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた[2]。打ち上げ時の環境測定は増田、勝浦、マーシャルの各追跡局でデータが取得された。また、第3段と衛星の分離時における衛星の姿勢変動などのデータもマーシャル局で取得された。
    • 9月11日、第25周回から増田局における距離及び距離変化率の測定による追跡実験を開始した。また、第28周回から伸展アンテナの展開実験を行い、伸展性が確認された。
    • 10月13日、第46周回からは勝浦局の測定による追跡実験も行われ、システムの性能が確認された。
    • 衛星打ち上げ後3ヶ月間で全ての実験は良好に実施され、その後も衛星信頼性データや日照条件の変化に伴う熱設計の確認など、後の衛星設計に重要なデータの取得を長期間にわたって実施した。
  • 1982年4月28日、運用を終了した[2]

脚注

  1. ^ a b 宇宙開発事業団年報 昭和50年度版』宇宙開発事業団、1977年3月。doi:10.11501/12702570https://dl.ndl.go.jp/pid/12702570/1/11 
  2. ^ a b 技術試験衛星I型「きく1号」(ETS-I)”. 宇宙航空研究開発機構. 2021年12月23日閲覧。

関連項目

外部リンク





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「きく1号」の関連用語

きく1号のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



きく1号のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのきく1号 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS