ふよう1号
名称:地球資源衛星1号「ふよう1号」/Japanese Earth Resources Satellite-1(JERS-1)
小分類:地球観測衛星
開発機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
運用機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げ年月日:1992年2月11日
運用停止年月日:1998年10月12日
打ち上げ国名・機関:日本/宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:H-I
打ち上げ場所:種子島宇宙センター(TNSC)
国際標識番号:1992007A
地球資源衛星1号「ふよう1号」(JERS-1)は、地球の全陸域を観測し、資源探査を主目的に国土調査、農林漁業、環境保全、防災、沿岸監視などの観測を行いました。 高性能の合成開口レーダ(SAR=Synthetic Aperture Radar)と光学センサ(OPS=Optical Sensors)で全地球のデータを観測し、ミッションデータレコーダに収集しました。 観測は、マイクロ波という波長の短い電波を地上に向けて発射し、戻ってきた反射波を合成開口レーダのアンテナで受信します。これによって、地表面の起伏や傾斜などを観測します。電波で観測するため、天候や昼夜を問わず観測できるのが特徴で、地球環境の監視や資源探査に利用されました。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
JERS-1は高さ約3.1m、幅約1.8m、奥行き約0.9mで、重さは約1.3t。両側に長さ約8mの羽根のような太陽電池パドルと長さ約12m合成開口レーダ用アンテナを持っています。合成開口レーダ(SAR)と光学センサ(OPS)が装備されていますが、SARはマイクロ波を照射し地上からの反射波をとらえるため、昼夜天候に左右されず、地表面の特性や起伏、傾斜などが観測できる能動型センサです。また、SARは合成開口とパルス圧縮技術により、通常のレーダに比べて格段に高い分解能を得ることができます。OPSは可視域から短波長赤外線までを7つのバンドに分け、可視域では15.3度の前方視による立体観測が可能で、短波長赤外線では岩石や、鉱物の識別に威力を発揮します。
2.どんな目的に使用されるの?
資源探査を主目的に国土調査、農林漁業、環境保全、防災、沿岸監視などの観測を行いました。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
打ち上げ後、1992年5月31日までに初期段階のチェックアウトを終了し、1992年6月1日から定常運用に移りました。海外を含む画像データ受信局に、観測データを供給し続け、1994年2月10日に当初予定された観測を終えましたが、予定されたミッション期間(打上げ後2年間)を大きく上回り、約6年半にわたってデータを取得、1998年10月12日にその運用を終了しました。運用終了後は、空気抵抗と重力のため徐々に高度を落とし、2001年12月3日22時28分に南極沖の南大西洋上空で大気圏に再突入しました。
4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
同型機ではありませんが、地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)、陸域観測技術衛星「ALOS」があります。
5.どのように地球を回るの?
高度約568km、公転周期約96分(地球を約96分で1周します)、軌道傾斜約98度の太陽同期準回帰軌道です。太陽同期準回帰軌道とは、いつもほぼ同じ時刻に同一地点の上空を通過するため、地表の観測に向いている軌道です。地球の自転によって経路がすこしずつずれていきますが、44日後には再び同じ時刻に同じ位置に戻ります(回帰周期)。
ふよう1号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/19 08:20 UTC 版)
地球資源衛星 「ふよう1号(JERS-1)」 | |
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所属 | 宇宙開発事業団 |
主製造業者 | 三菱電機 |
公式ページ | 地球資源衛星「ふよう1号」 |
国際標識番号 | 1992-007A |
カタログ番号 | 21867 |
状態 | 運用終了 |
観測対象 | 地球 |
設計寿命 | 2年[1] |
打上げ場所 | 種子島宇宙センター |
打上げ機 | H-Iロケット9号機 |
打上げ日時 | 1992年2月11日10:50(JST) |
運用終了日 | 1998年10月12日 |
消滅日時 | 2001年12月3日22:28(JST) |
物理的特長 | |
本体寸法 | 約0.9m×1.8m×3.1m[1] |
質量 | 約1300kg |
発生電力 | 約2kW |
姿勢制御方式 | ゼロモーメンタム三軸姿勢制御 |
軌道要素 | |
軌道 | 太陽同期準回帰軌道 |
近点高度 (hp) | 579.9km |
遠点高度 (ha) | 588km |
離心率 (e) | 5.81 |
軌道傾斜角 (i) | 97.67度[1] |
軌道周期 (P) | 96分 |
回帰日数 | 44日[1] |
降交点通過 地方時 | 10:30~11:00[2] |
搭載機器 | |
SAR | Lバンド合成開口レーダ |
OPS | 高分解能光学イメージャ |
ふよう1号(JERS-1:Japanese Earth Resources Satellite-1)は、宇宙開発事業団 (NASDA) が打ち上げた地球観測衛星である。
打ち上げ
平成4年(1992年)2月11日にH-Iロケット9号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた。
目的
全陸域のデータを取得し、資源探査を主目的に、国土調査、農林漁業、環境保全、防災、沿岸監視等の観測を行うことを目的とした。
特徴
日本初の合成開口レーダー搭載衛星。地表のみならず地中の岩盤なども探査可能。
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軌道
高度約570kmの太陽同期準回帰軌道 傾斜角約98度 周期約96分
成果
宇宙考古学の先駆けとしてのピラミッド基礎探査に利用され、日本の調査隊による古代エジプト遺跡の発見に貢献した。
脚注
出典
- ^ a b c d “JERS-1|一般財団法人リモート・センシング技術センター”. リモート・センシング技術センター. 2024年4月16日閲覧。
- ^ 久田安正, 鈴木孝「地球資源衛星 (JERS-1)」『計測と制御』第32巻第2号、計測自動制御学会、1993年、146-155頁、doi:10.11499/sicejl1962.32.146、ISSN 0453-4662、2024年7月2日閲覧。
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
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