ゆり3号a/3号b
名称:放送衛星3号「ゆり3号a/3号b」/Broadcasting Satellite-3a/-3b(BS-3a/BS-3b)
小分類:通信放送衛星
開発機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
運用機関・会社:通信・放送衛星機構(TSCJ)
打ち上げ年月日:BS-3a・1990(平成2)年8月28日/BS-3b・1991(平成3)年8月25日
運用停止年月日:BS-3a・1998(平成10)年4月/BS-3b・1998(平成10)年11月
打ち上げ国名・機関:日本/宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:BS-3a・H-Iロケット7号機/BS-3b・H-Iロケット8号機
打上げ場所:種子島宇宙センター(TNSC)
国際標識番号:1990077A(BS-3a)/1991060A(BS-2b)
ゆり3号a/3号bは、ゆり2号a/2号b同様、沖縄、小笠原などの離島を含む日本全土の一般家庭向け直接衛星放送(DBS)サービスに利用されています。ゆり2号a/2号bと比較して高出力化(100~120w以上)、多チャンネル化(2~3チャンネル)、長寿命化、国産技術の大幅採用(放送用アンテナ・中継器・AKMなど)という特徴があります。
ゆり3号aは、太陽電池パドル6枚のうち、高圧用の4枚の中の1枚がショートによって不調になり、供給できる高圧用電力が3/4に低下しました。ゆり3号aは、太陽電池出力が3/4でも、1年半は3チャンネル中継器がすべて作動できると推定されましたが、平成3年3月におきた数10年ぶりの大きな太陽フレアによって放出された放射能によって太陽電池が大きく劣化し、1991年の夏至には3チャンネルのうち、2チャンネルしか放送できない事態になりました。このため、すでに寿命の過ぎていたゆり2号bを再活用し、この問題に対応しました。
実用通信・放送衛星では、万一に備えて軌道予備用を含め、同種衛星を打ち上げますがゆり2号の補完衛星BS-2Xの打ち上げが失敗したため、BS-3Hを1991年4月にアトラスIロケットで打ち上げました。しかしロケットの不具合によって打ち上げは失敗。ただちにBS-3Nの名称で次の補完衛星を調達し、1994年7月にアリアン44Lロケットで打ち上げられました。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
約130cm ×160cm ×320cmの展開型太陽電池パドルを有する箱型で、重量は約550kgです。
3チャンネルの放送用中継器(出力各120ワット、他に予備用TWTA3式)、1チャンネルの広帯域中継器(出力20w)、放送用アンテナ1基を搭載しています。姿勢制御は三軸姿勢制御方式(バイアスモーメンタム)で、7年の設計寿命を持っています。
2.どんな目的に使用されるの?
ゆり2号を引き継ぎ、沖縄・小笠原などの離島を含む日本全土への一般家庭向け直接衛星放送(DBS)サービスをおこない、増大かつ多様化する放送需要へ対処するために使用されました。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
ゆり3号aは、初期段階の追跡管制と機能確認試験を終了したのち、1990年11月28日に通信・放送衛星機構へ引き渡されました。
ゆり3号bは1991年10月24日に通信・放送機構(TAO)に引き渡され、NHKや日本衛星放送会社(JSB)などの利用機関によって運用されました。また、ゆり3号aの予備機であるゆり3号bの1チャンネルはハイビジョン普及のため放送事業者によって利用されました。
4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
ゆり、ゆり2号a/2号bのほか、補完衛星としてゆり3N号(BS-3N)があります。
5.どのように地球を回るの?
高度3万6,000km、傾斜角0度、周期24時間の静止衛星軌道です。ゆり3号a、ゆり3号bともに東経110度です。
ゆり3号a
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/06 01:35 UTC 版)
ゆり3号a | |
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1/8縮尺模型、NHK放送博物館展示品。
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所属 | NASDA |
主製造業者 | 日本電気 |
公式ページ | ゆり |
国際標識番号 | 1990-077A |
カタログ番号 | 20771 |
状態 | 運用終了 |
打上げ場所 | 種子島宇宙センター |
打上げ機 | H-Iロケット7号機 |
打上げ日時 | 1990年8月28日 18:05 JST |
運用終了日 | 1998年4月 |
物理的特長 | |
本体寸法 | 直径: 1.60 m 高さ: 3.20 m |
質量 | 550 kg |
姿勢制御方式 | 三軸姿勢制御方式 |
軌道要素 | |
近点高度 (hp) | 177 km |
遠点高度 (ha) | 37,905 km |
軌道傾斜角 (i) | 28.8 度 |
軌道周期 (P) | 672 分 |
搭載機器 | |
放送用中継器 | 3チャンネル(出力各120ワット、他に予備用TWTA3式) |
放送用アンテナ | 1基 |
ゆり3号a (BS-3a) は、宇宙開発事業団 (NASDA) が打ち上げた静止放送衛星である。開発・製造は日本電気が担当した。
打ち上げ
1990年(平成2年)8月28日にH-Iロケット7号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた。
目的
ゆり2号 (BS-2) を引き継ぎ、沖縄・小笠原などの離島を含む日本全土への一般家庭向け直接衛星放送 (DBS) サービスをおこなうことを目的とした。
特徴

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トラブル
- かねて不具合のあった太陽電池が1991年(平成3年)3月にあった大規模な太陽フレアの影響で劣化し、夏至のころには3本ある中継器のうち2本しか動作させられなくなった[1][2]
- そのため急きょ同年5月から8月のゆり3号bの運用開始まで、すでに役割を終えていたゆり2号bを再登場させ、NHK衛星第2テレビジョンの深夜~早朝の放送時間帯でゆり2号bからの放送を行った。(NHK衛星第1テレビジョンはゆり3号aからの放送を継続、WOWOWはこの時間帯は放送休止となった)
軌道
- 静止衛星軌道/静止位置 東経110度
脚注
- ^ BSアナログ放送では1チャンネルで1つの中継器を利用する
- ^ 「ゆり3号」, 『宇宙情報センター』, JAXA, 2015年02月10日閲覧
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
- ゆり3号aのページへのリンク