ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡とは? わかりやすく解説

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ナンシーグレースローマン‐うちゅうぼうえんきょう〔‐ウチウバウヱンキヤウ〕【ナンシーグレースローマン宇宙望遠鏡】


ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/20 08:12 UTC 版)

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡
Nancy Grace Roman Space Telescope
ローマン宇宙望遠鏡のレンダリングモデル(2020年5月)
所属 NASA / JPL / GSFC
主製造業者 Harris Corporation
公式ページ roman.gsfc.nasa.gov
アメリカ合衆国
運用者 NASA / JPL / GSFC
計画の期間 5年(目標10年)[1]
打上げ場所 ケネディ宇宙センター[1]
打上げ機 Falcon Heavy[1]
打上げ日時 2027年5月(予定)[2]
物理的特長
質量 打ち上げ時 4,166 kg[3]
発生電力 ~ 2,500 W(平均)[3]
軌道要素
周回対象 太陽 - 地球の L2[4]
軌道 準ハロー軌道[4]
近点高度 (hp) 188,420 km
遠点高度 (ha) 806,756 km
搭載機器
WFI 広視野カメラ[5]
(Wide Field Instrument)
CGI ステラーコロナグラフ[5]
(Coronagraph Instrument)
テンプレートを表示
WFIRSTを太陽と地球のラグランジュ点(L2)に送るイメージCG映像。

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡[5][6]、略称 ローマン宇宙望遠鏡[6][7][8] (: Nancy Grace Roman Space Telescope[9], Roman Space Telescope[9]) は、2020年代半ばの打ち上げを目指し、日本を含む国際協力で進められているアメリカ航空宇宙局 (NASA) の広視野赤外線宇宙望遠鏡計画。Wide Field Infrared Survey Telescope (広視野近赤外線サーベイ宇宙望遠鏡[10])の頭文字を取って WFIRST という名称で計画が進められていたが、2020年5月20日、NASAは正式名称を Nancy Grace Roman Space Telescope と定めたと発表した[9]ナンシー・グレース・ローマンは、1960年代以降NASAの宇宙望遠鏡計画実現に重要な役割を果たし、特にハッブル宇宙望遠鏡の計画実現のためNASA内部や議会へ積極的な働きかけをしたことから「ハッブルの母 (Mother of Hubble) 」と呼ばれた女性科学者であった[9]

2010年全米科学アカデミーによって”今後10年間で行う天文研究”で最優先計画として推奨された。2012年にアメリカ国家偵察局から、L3ハリス・テクノロジーズに作らせた口径2.4mの主鏡の提供を受けた後[11][12]、それをベースに2016年2月17日、WFIRSTはNASAの公式ミッションに指定された[13]。2020年3月2日、WFIRSTプロジェクトは、技術上のマイルストーンをクリアし、ハードウェアの開発が可能なフェーズCの段階に進むことが認められた[14]。主鏡表面にはJWSTよりも短い波長の近赤外線領域に特化させるために銀コーティングが施されている[15]

2021年4月の時点で20個ほどしか見つかっていない恒星ブラックホールによる重力マイクロレンズ効果の観察による発見[16]Ia型超新星観測によるダークエネルギー解明[17]コロナグラフによる系外惑星直接観測、暗黒物質やその候補である「はぐれ惑星」などの発見[15]などが多数の成果が期待されている。

2021年9月29日、設計作業が完了[18]

2023年8月23日、神経系(約32,000本のワイヤーと900本のコネクタで構成)と呼ばれている、通信ケーブルとハーネスのインストールとテストが開始される[19]

2024年5月24日、コロナグラフ装置の準備が完了[20]

2024年8月9日、バイザーの展開テストが行われる[21]

2024年8月13日、広視野機器が組み立てをおこなっている、ゴダード宇宙飛行センターに到着[22]

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡の計画図

脚注

  1. ^ a b c Wide Field Infrared Survey Telescope”. JPL. 2020年5月23日閲覧。
  2. ^ Roman Space Telescope - Launch Time: NET May, 2027
  3. ^ a b WFIRST-AFTA Science Definition Team Final Report”. NASA Goddard Space Flight Center (13 February 2015). 2015年6月10日閲覧。
  4. ^ a b Observatory”. GSFC. 2020年5月23日閲覧。
  5. ^ a b c WFIRST”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2020年5月23日). 2020年5月23日閲覧。
  6. ^ a b 松村武宏 (2020年5月22日). “NASAの新宇宙望遠鏡、名前は「ナンシー・グレース・ローマン」に”. sorae.info. 2020年5月23日閲覧。
  7. ^ ローマン宇宙望遠鏡”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2020年5月23日). 2020年5月23日閲覧。
  8. ^ 三ツ村崇志 (2020年5月21日). “「ハッブル宇宙望遠鏡の母」ナンシー・グレース・ローマン博士を知っていますか?”. BUSINESS INSIDER JAPAN. 2020年5月23日閲覧。
  9. ^ a b c d "NASA Telescope Named For 'Mother of Hubble' Nancy Grace Roman" (Press release). NASA. 20 May 2020. 2020年5月21日閲覧
  10. ^ 光学赤外線天文連絡会声明 広視野近赤外線サーベイ宇宙望遠鏡WFIRSTの推進”. 光学赤外線天文連絡会 (2018年3月20日). 2020年5月21日閲覧。
  11. ^ Overbye, Dennis (2012年6月4日). “Ex-Spy Telescope May Get New Identity as a Space Investigator” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2012/06/05/science/space/repurposed-telescope-may-explore-secrets-of-dark-energy.html 2021年7月9日閲覧。 
  12. ^ Jenner, Lynn (2015年4月29日). “Q&A Session About NASA's WFIRST Mission” (英語). NASA. https://www.nasa.gov/content/goddard/qa-session-about-nasas-wfirst-mission 2018年10月9日閲覧。 
  13. ^ "NASA Introduces New, Wider Set of Eyes on the Universe" (Press release). NASA. 19 February 2016. 2020年5月23日閲覧
  14. ^ NASA Approves Development of Universe-Studying, Planet-Finding Mission”. NASA (2020年3月3日). 2020年5月23日閲覧。
  15. ^ a b NASAの新赤外線望遠鏡 “ローマン宇宙望遠鏡“ の主鏡が完成”. TOKYO EXPRESS (2020年9月18日). 2022年1月10日閲覧。
  16. ^ 重幸, 飯銅. “次世代の「ローマン宇宙望遠鏡」はブラックホールをどう探す?”. sorae 宇宙へのポータルサイト. 2021年4月19日閲覧。
  17. ^ 重幸, 飯銅. “ローマン宇宙望遠鏡はいかにしてダークエネルギーの謎に挑むのか?”. sorae 宇宙へのポータルサイト. 2022年1月10日閲覧。
  18. ^ NASA Confirms Roman Mission's Flight Design in Milestone Review”. 2021年12月21日閲覧。 “NASA’s Nancy Grace Roman Space Telescope has successfully passed its critical design review, signaling that all design work is now complete.”
  19. ^ NASA Begins Integrating ‘Nervous System’ for Roman Space Telescope - NASA” (英語). 2024年8月20日閲覧。
  20. ^ ナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡の太陽系外惑星を観測する観測装置が準備完了 ~ 地球類似の系外惑星を観測するための大きな技術的ステップ ~”. 宇宙科学研究所. 2024年8月20日閲覧。
  21. ^ NASA Tests Deployment of Roman Space Telescope's 'Visor' - NASA” (英語) (2024年8月9日). 2024年8月20日閲覧。
  22. ^ Primary Instrument for Roman Space Telescope Arrives at NASA Goddard - NASA” (英語) (2024年8月13日). 2024年8月20日閲覧。

外部リンク


ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 10:18 UTC 版)

ハッブル宇宙望遠鏡」の記事における「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」の解説

詳細は「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」を参照 2012年6月4日NRO(National Reconnaissance Office)のKH-11と推測される偵察衛星地上予備機2機をNASA供与することが米国メディアで報じられた。この偵察衛星主鏡口径は2.4mあり、ハッブル宇宙望遠鏡と同じであるがよりハイテク軽量である。視野ハッブル宇宙望遠鏡よりも100倍広く焦点距離短くなる。この地上撮影用の望遠鏡宇宙観測望遠鏡改造し2025年打ち上げる計画NASAマネージャ大学天文学者がこの光学系点検した結果ハッブル宇宙望遠鏡のものよりも優れていることが確認された。これにより、太陽系外惑星撮影や、暗黒エネルギーダークエネルギー)の存在確認役立てることができると考えられる。この望遠鏡2次鏡は、地上からの制御あるいは搭載機器制御可動させることができる。この2次鏡は6本の支柱固定されており、各支下部サーボモータ装備されており、これで焦点の微調節ができる。この供与されNRO衛星には、太陽電池アレイコンピュータ姿勢制御システム観測機器といった主要な部分含まれていないNASA15ドルをかけて口径1.5mの旧称WFIRST(広視野近赤外線サーベイ宇宙望遠鏡)を開発する予定であったが、このナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡 の開発に使うことになり、口径も2.4mに変更された。

※この「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」の解説は、「ハッブル宇宙望遠鏡」の解説の一部です。
「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」を含む「ハッブル宇宙望遠鏡」の記事については、「ハッブル宇宙望遠鏡」の概要を参照ください。

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