NASA長官とは? わかりやすく解説

NASA長官

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/04 17:44 UTC 版)

NASA長官英語: Administrator of the National Aeronautics and Space Administration)は、アメリカ合衆国宇宙機関である、アメリカ航空宇宙局(NASA)の最高職。アメリカ合衆国大統領に対して上級宇宙科学アドバイザー(senior space science adviser)としての役目を果たす。

NASAによると、長官の役割とは『NASAチームを導き、宇宙探査へのビジョンを発展させるためにそのリソースをやりくりする("lead the NASA team and manage its resources to advance the Vision for Space Exploration.")[1]』事とある。

2009年5月24日、バラク・オバマ大統領はNASA長官としてチャールズ・ボールデンを、副長官としてロリ・ガーヴァー英語版を候補に挙げた[2]。ボールデンとガーヴァーは2009年7月15日にアメリカ合衆国上院の承認を受けて長官と副長官にそれぞれ就任した[3][4][5]

初代NASA長官はトーマス・キース・グレナンで、任期中にアメリカ国内の異なった宇宙開発研究プロジェクトを統合させた[6]。任期期間が最長だった人物はダニエル・ゴールディン(9年半)で、宇宙計画に対して『より早い、より良い、より安い (faster, better, cheaper)』アプローチの先駆者として最も良く知られている[7]。長官職を2度務めたのはジェームズ・フレッチャーただ一人で、彼はチャレンジャー号爆発事故を受けてNASAに戻った[8]

NASAの副長官(Deputy Administrator)は『宇宙局の次長として役目を果たし、長官に一切のリーダーシップと立案、組織の政策の方向性を提供する責任を負う。副長官はNASAをアメリカ合衆国大統領行政府アメリカ合衆国議会、連邦政府の長、そして他の適当な政府機関、国際組織、外部組織、コミュニティーに対して説明を行う。また日々NASAの機能的なオフィスの仕事を監督する』とNASAによるシャナ・デール英語版の伝記の中に書かれている[9]

歴代長官

写真 名前 着任 退任 期間 参考資料
トーマス・キース・グレナン 1958-08-19/1958年8月19日 1961-01-20/1961年1月20日 0885/885日 [10]
ヒュー・ドライデン
(代理)
1961-01-21/1961年1月21日 1961-02-14/1961年2月14日 0024/24日 [10]
ジェームズ・E・ウェッブ 1961-02-14/1961年2月14日 1968-10-07/1968年10月7日 2792/2,792日 [10]
トマス・O・ペイン英語版
(代理)
1968-10-08/1968年10月8日 1969-03-21/1969年3月21日 0164/164日 [10]
トマス・O・ペイン英語版 1969-03-21/1969年3月21日 1970-09-15/1970年9月15日 0543/543日 [10]
ジョージ・ロウ英語版
(代理)
1970-09-16/1970年9月16日 1971-04-26/1971年4月26日 0222/222日 [10]
ジェームズ・フレッチャー 1971-04-27/1971年4月27日 1977-05-01/1977年5月1日 2196/2,196日 [10]
アラン・ラブレース
(代理)
1977-05-02/1977年5月2日 1977-06-20/1977年6月20日 0049/49日 [10]
ロバート・A・フロシュ 1977-06-21/1977年6月21日 1981-01-20/1981年1月20日 1309/1,309日 [10]
アラン・ラブレース
(代理)
1981-01-21/1981年1月21日 1981-07-10/1981年7月10日 0170/170日 [10]
ジェームス・ベッグス 1981-07-10/1981年7月10日 1985-12-04/1985年12月4日 1608/1,608日 [10]
ウィリアム・ロバート・グラハム
(代理)
1985-12-04/1985年12月4日 1986-05-11/1986年5月11日 0158/158日 [10]
ジェームズ・フレッチャー 1986-05-12/1986年5月12日 1989-04-08/1989年4月8日 1062/1,062日 [10]
デイル・D・マイアーズ
(代理)
1989-04-08/1989年4月8日 1989-05-13/1989年5月13日 0035/35日 [10]
リチャード・トゥルーリー
(代理)
1989-05-14/1989年5月14日 1989年6月30日 0047/47日 [10]
リチャード・トゥルーリー 1989-07-01/1989年7月1日 1992-03-31/1992年3月31日 1004/1,004日 [10]
ダニエル・ゴールディン 1992-04-01/1992年4月1日 2001-11-17/2001年11月17日 3517/3,517日 [10]
ダニエル・マルヴィル
(代理)
2001-11-19/2001年11月19日 2001-12-21/2001年12月21日 0032/32日 [10]
ショーン・オキーフ英語版 2001-12-21/2001年12月21日 2005-02-11/2005年2月11日 1148/1,148日 [10]
フレデリック・グレゴリー
(代理)
2005-02-11/2005年2月1日 2005-04-14/2005年4月14日 0062/62日 [10]
マイケル・D・グリフィン英語版 2005-04-14/2005年4月14日 2009-01-20/2009年1月20日 1377/1,377日 [1][10]
クリストファー・スコールズ
(代理)
2009-01-21/2009年1月21日 2009-07-16/2009年7月16日 0176/176日 [10]
チャールズ・ボールデン 2009-07-17/2009年7月17日 2017-01-20/2017年1月20日 2744日 [4][10]
ロバート・ライトフット英語版(代理) 2017-01-20/2017年1月20日 2018-04-23/2018年4月23日 458日
ジェームズ・ブライデンスタイン英語版 2018-04-23/2018年4月23日 2021-01-20/2021年1月20日 1003
スティーブ・ユルチク(代理) 2021-01-20/2021年1月20日 2021-05-03/2021年5月3日 103
ビル・ネルソン 2021-05-03/2021年5月3日 1312
ジャレッド・アイザックマン英語版(指名) 2024-12-04/2024年12月4日指名 [11]

歴代副長官

写真 名前 着任 退任 期間 参考資料
Dryden/ヒュー・ドライデン 1958-08-19/1958年8月19日 1965-12-02/1965年12月2日 2662/2,662日 [10]
Seamans/ロバート・ジーマンス・ジュニア 1965-12-21/1965年12月21日 1968-01-05/1968年1月5日 0745/745日 [10]
Paine/トマス・O・ペイン英語版 1968-03-25/1968年3月25日 1969-03-20/1969年3月20日 0360/360日 [10]
Low/George M. Low 1969-12-03/1969年12月3日 1976-06-05/1976年6月5日 2376/2,376日 [10]
Lovelace/アラン・ラブレース 1976-07-02/1976年7月2日 1981-07-10/1981年7月10日 1834/1,834日 [10]
Mark/Hans Mark 1981-07-10/1981年7月10日 1984-09-01/1984年9月1日 1149/1,149日 [10]
Graham/William R. Graham 1985-11-25/1985年11月25日 1985-12-04/1985年12月4日 0009/9日 [10]
Graham/William R. Graham 1986-05-11/1986年5月11日 1986-10-01/1986年10月1日 0143/143日 [10]
Myers/デイル・D・マイアーズ 1986-10-06/1986年10月6日 1989-05-13/1989年5月13日 0950/950日 [10]
Thompson/ジェームズ・R・トンプソン・ジュニア英語版 1989-07-06/1989年7月6日 1991-11-08/1991年11月8日 0885/885日 [10]
Cohen/アーロン・コーエン
(代理)
1992-02-19/1992年2月19日 1992-11-01/1992年11月1日 0256/256日 [10]
Dailey/ジョン・R・デイリー
(代理)
1992-11-03/1992年11月3日 1999-12-31/1999年12月31日 3173/3,173日 [10]
Mulville/ダニエル・マルヴィル
(代理)
2000-01-01/2000年1月1日 2001-11-19/2001年11月19日 0688/688日 [10]
Mulville/ダニエル・マルヴィル
(代理)
2001-12-21/2001年12月21日 2002-08-11/2002年8月11日 0233/233日 [10]
Gregory/フレデリック・グレゴリー 2002-08-12/2002年8月12日 2005-02-20/2005年2月20日 0923/923日 [10]
Gregory2/フレデリック・グレゴリー 2005-04-14/2005年4月14日 2005-11-04/2005年11月4日 0204/204日 [10]
Dale/Shana Dale 2005-11-04/2005年11月4日 2009-01-17/2009年1月17日 1171/1,171日 [10]
Garver/Lori Garver 2009-07-17/2009年7月17日 2013-09-06/2013年9月6日 1512/1,512日 [10]
Garver/Dava Newman 2015-05-15/2015年5月15日 2017-01-20/2017年1月20日 616 [10]
Lesa Roe

(Acting)

January 20, 2017 September 30, 2017 253 days [12]
Krista Paquin (Acting) 2017-09-11/2017年09月11日 2018年5月
James Morhard 2018-10-17/2018年10月17日 2021-01-20/2021年1月20日 2年 + 95日
Pamela Melroy 2021-06-21/2021年6月21日 3年 + 167日

脚注

出典

  1. ^ a b Biography of Michael D. Griffin, NASA Administrator”. NASA. 2008年7月4日閲覧。
  2. ^ Retired General Picked to Lead NASA - NYT
  3. ^ NASA - NASA Organization”. NASA. 2009年1月28日閲覧。
  4. ^ a b Presidential Appointee Positions Requiring Senate Confirmation and Committees Handling Nominations” (PDF). Congressional Research Service (2008年3月18日). 2009年1月28日閲覧。
  5. ^ Bolden and Garver Confirmed by U.S. Senate”. NASA (July 15, 2009). 2010年7月26日閲覧。
  6. ^ T. Keith Glennan biography”. NASA (August 4, 2006). 2008年7月5日閲覧。
  7. ^ Daniel S. Goldin biography”. NASA (March 12, 2004). 2008年7月5日閲覧。
  8. ^ James C. Fletcher biography”. NASA. 2008年7月5日閲覧。
  9. ^ Biography of Shana Dale, NASA Deputy Administrator”. NASA. 2008年7月4日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap List of Administrators and Deputy Administrators of NASA”. NASA. 2008年7月4日閲覧。
  11. ^ “Trump picks Musk ally Jared Isaacman to head NASA”. ロイター. (2024年12月5日). https://www.reuters.com/world/us/trump-picks-jared-isaacman-head-nasa-2024-12-04/ 2024年12月5日閲覧。 
  12. ^ Dunbar, Brian (January 8, 2015). “NASA Organization Structure” (英語). NASA. https://www.nasa.gov/about/org_index.html February 1, 2017閲覧。 

関連項目


NASA長官

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 22:34 UTC 版)

チャールズ・ボールデン」の記事における「NASA長官」の解説

2009年アメリカ合衆国大統領バラク・オバマボールデンをNASA長官に指名した2010年4月28日NASA公開した"NASA's New Era of Innovation and Discovery"と題するビデオの中で、ボールデンは「我々はサイエンスフィクションをサイエンスファクト(科学的な真実)に変えようとしている」と述べた2010年6月アルジャジーラとのインタビューで、ボールデンは、彼がオバマから与えられ3つの最大目標は、子供達科学数学への興味持たせること、NASA国際協調拡大すること、そして「恐らく最大」のものは、イスラム世界科学数学工学への貢献重要性気づく手助けをすることだと語ったボールデンは、彼のNASAでの長期的な目標は、宇宙飛行士火星に送ることだと語った。しかし、彼はNASAの主要プロジェクトへの資金減額懸念があることにも言及した2012年8月28日、彼は自身の声を火星表面放送した最初の人となった探査車にはスピーカーがついていなかったが、彼の声の伝送を受け、地球向けて送り返した。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}こんにちは。こちらはチャーリー・ボールデン。NASA長官で、現在は火星表面にあるキュリオシティローバーからの放送通じてあなた方語りかけています。歴史始まって以来人類好奇心(キュリオシティ)は、常に私たち地平線向こう新し生命新し可能性探索に向かわせてきました。私は、我々NASA家族のみならず世界中民間政府パートナーとともに火星先のステップ至れたことを喜びたい。 これは、途方もない達成です。火星探査車着陸させることは容易なことではなく他国挑戦したもののアメリカ合衆国のみが完全に成功したものです。我々の投資おかげでゲール・クレーターの観測分析から得られる知識は、火星の生命可能性だけではなく地球過去未来について多く教えてくれますキュリオシティ地球利益もたらし、また新し世代科学者探検家ひらめき与えてくれます。またそれは、遠くない未来有人ミッション実現する道を準備してくれますありがとう。 —第12代NASA長官 チャールズ・ボールデン

※この「NASA長官」の解説は、「チャールズ・ボールデン」の解説の一部です。
「NASA長官」を含む「チャールズ・ボールデン」の記事については、「チャールズ・ボールデン」の概要を参照ください。

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