にせんいち‐マーズオデッセイ【二〇〇一マーズオデッセイ】
2001マーズ・オデッセイ
名称:2001マーズ・オデッセイ(旧名マーズ・サーべイヤー2001オービター)
小分類:火星探査
開発機関・会社:アメリカ航空宇宙局(NASA)
運用機関・会社:アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:2001年4月8日
打ち上げ国名:アメリカ
打ち上げロケット:デルタII
打ち上げ場所:ケネディ宇宙センター
2001マーズ・オデッセイは、2001年にNASAが打ち上げを行なった最初の火星探査ミッションです。2001年10月24日に火星に到着し、 大気抵抗を利用する「エアロブレーキング」で減速して2002年1月に火星周回軌道にのり、2月から観測を始めました。ガンマ線分光計による観測で、火星の南極と北極を覆う二酸化炭素の氷(ドライアイス)の下に大量の水が存在していることを示すデータが得られました。また、南極地域の地表から約1m下に、米国の大きな湖であるミシガン湖の水量と同じくらいの氷が存在することを示すデータも得ています。しかし、 それ以外の火星地表はとても乾燥した状態にあることが観測によってわかりました。「マーズ・グローバル・サーベイヤー」や「マーズ・ローバー」のデータを地球に送信する中継衛星としての役割も果たし、第1次ミッションを終えたマーズ・オデッセイですが、引き続き2006年9月までの第2次ミッションを行なっています。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
本体は長さ2.2m、高さ1.7m、幅2.6mの箱形で、重さは725kgです。 本体には太陽電池パネルとパラボラアンテナが付いており、先端からガンマ線分光計のアームが伸びています。 搭載された計測機器は、地表の鉱物や水素を探査するガンマ線分光計(GRS)や熱放射撮像カメラ(THEMIS)の他、火星が帯びている放射能を計測する火星放射線環境測定器(MARIE)などです。
2.どんな目的に使用されたの?
地表の組成や浅い地層の水素を調査することにより、火星に水がある証拠を発見するのに使用されました。 また、いつか有人探査を行なうときのための調査として、火星にある人体に有害な放射線の量を測定しました。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
2001年11月2日から火星地表面の赤外線写真などの試験撮影を開始し、2002年2月から火星周回軌道上で本格的な火星のマッピングを開始しました。1枚で20km四方の火星表面の写真を火星全域にわたって15,000枚以上撮影します。
4.打ち上げ・飛行の順序はどうなっているの?
2001年4月7日にケープ・カナベラルからデルタIIロケットにより打ち上げられ、6カ月後の10月24日に火星軌道に到着しました。その後は火星大気によって減速する「エアロブレーキング」という方法で火星周回軌道に乗り、2002年1月に火星上空110kmの円軌道にのりました。
5.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
同じく火星周回軌道上から火星探査を行なうものとしては、NASA「マーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)」、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「のぞみ」、欧州宇宙機関(ESA)の「マーズ・エクスプレス」があります。
2001マーズ・オデッセイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/06 04:33 UTC 版)
2001マーズ・オデッセイ 2001 Mars Odyssey | |
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![]() 2001マーズ・オデッセイ | |
所属 | アメリカ航空宇宙局(NASA) |
公式ページ | 2001 Mars Odyssey |
国際標識番号 | 2001-014A |
カタログ番号 | 26734 |
状態 | 運用中 |
目的 | 火星の探査 |
観測対象 | 火星 |
打上げ場所 | ケープカナベラル空軍基地 |
打上げ機 | デルタII 7925 |
打上げ日時 |
2001年4月7日 11時2分22秒 (EDT) |
軌道投入日 |
2001年10月23日 22時30分 (EDT) |
物理的特長 | |
最大寸法 | 2.2m x 1.7m x 2.6m |
質量 | 725kg(推進剤含む) |
発生電力 | 太陽電池 750W(火星軌道上) |
姿勢制御方式 | 3軸姿勢制御方式 |
軌道要素 | |
周回対象 | 火星 |
軌道半長径 (a) | 3785km |
離心率 (e) | 0.0115 |
軌道傾斜角 (i) | 93.2度 |
軌道周期 (P) | 1.964時間 |
観測機器 | |
GRS | ガンマ線分光計 |
THEMIS | 熱放射撮像カメラ |
MARIE | 火星放射線環境測定器 |
2001マーズ・オデッセイ(2001 Mars Odyssey)は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) による火星探査機。主に火星地表の組成を調べる。元々のミッション名は「マーズ・サーベイヤー2001・オービター・ミッション」。
概要

ミッション目的は、火星の表層の水の痕跡の発見、地表の鉱物の分布、放射線測定など。
基本ミッション終了後も稼動を続け、後の火星探査機「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」や「フェニックス」の通信を中継なども行っている。(「マーズ・エクスプレス」の着陸機「ビーグル2」の通信も中継する計画であったが、ビーグル2が着陸に失敗したため利用されなかった)
観測により、次の興味深いデータも得ることが出来た。
- 南極と北極を覆う二酸化炭素の氷の下に大量の水が存在している可能性を示すデータ。
- 南極地域において、地表から約1メートル下に大量の氷が存在する可能性を示すデータ。
- 両極以外の地域においては乾燥が激しいこと。
名称は映画2001年宇宙の旅(原題 2001: A Space Odyssey)に由来している。
NASAは2010年9月までのミッション延長を承認している。これにより、年単位での時間の変化に伴う地表、雲の変化の測定、より詳細なマッピングなどを行うと共に、火星地表へ到着した「スピリット」および「オポチュニティ」の地球との通信中継を行っている。
マーズ・サイエンス・ラボラトリーの着陸時のリアルタイム中継に利用された。なお、搭載されている推進剤は2015年まで使用可能である。
主な搭載機器
- ガンマ線分光計 (GRS)
- 熱放射撮像カメラ (THEMIS)
- 火星放射線環境測定器 (MARIE)
略歴

- 2001年4月7日 デルタIIロケットでケープカナベラル空軍基地より打上げ
- 2001年10月23日 火星周回軌道への投入に成功
- 2002年2月19日 火星観測を開始
- 2003年10月28日 火星放射線環境測定器が太陽のフレアにより故障
- 2004年8月 第1次ミッションを終了
- 2006年9月まで第2次ミッション (extended mission)。長期にわたる火星の気象の観測、およびマーズ・エクスプロレーション・ローバーの通信中継。
- 2006年9月再度のミッション延長[1]大幅に延長されて実施されているMERミッションの通信中継。
- 2010年12月15日17時55分 (PST) マーズ・グローバル・サーベイヤーが持っていた火星の観測期間の記録(1997年9月11日 - 2006年11月2日)を抜く3340日目(地球日)の観測に入る[2][3]。
- 2012年6月8日 - X軸リアクションホイールが故障。セーフモードに入る。
脚注
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
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