バイキング1号
分類:人工衛星
名称:バイキング1号、バイキング2号(VIKING1、VIKING2)
小分類:火星探査
開発機関・会社:アメリカ航空宇宙局(NASA)
運用機関・会社:アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:バイキング1号:1975年8月20日/バイキング2号:1975年9月9日
運用停止年月日:バイキング1号オービター:1980年8月7日、ランダー:1982年11月13日/バイキング2号オービター:1978年7月25日、ランダー:1980年4月12日
打ち上げ国名:アメリカ
打ち上げロケット:タイタンIIIEセントール
打ち上げ場所:ケープカナベラル空軍基地
バイキング1号は、アメリカの建国200周年記念日に当たる1976年7月4日に火星表面に着陸するよう打ち上げられました。その後、予定通りに1976年6月29日に火星周回軌道に入りましたが、着陸地点の選定に手間取ったので、ランダー(着陸機)の着陸は実際には7月20日になりました。ランダーには、火星の表面に生命の痕跡がないか調べる3種類の実験が積まれていて、マジックハンドで土壌を採取して分析しましたが、生命は発見できませんでした。また、ランダーにはふたつのテレビカメラが積まれ、周囲の地形を撮影し、大気の温度や気圧を毎日計測しました。この間、バイキング1号のオービター(軌道機)も、火星の上空を巡りながら地形の詳しい画像を送り続けました。バイキング1号のランダーは、1982年11月まで6年半近くにわたって活動を続けました。
バイキング2号は1976年8月7日に火星に到着し、ランダーは9月3日に着陸しました。バイキング2号のランダーとオービターの活動は1号と同じで、2号のランダーは1980年4月までデータを送信してきました。2機のランダーの送信してきた火星表面の画像は合計4500枚以上、2機のオービターの画像は2万枚以上にもなりました。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
オービター:八角柱の本体に4枚の太陽電池板の付いた形をしていました。打ち上げ重量は2,328kg。TVカメラ、赤外マッパーを装備。熱遮蔽板(エアロシェル)に収容してランダーを搭載しました。
ランダー:三角形の本体に3本の着陸脚を備えていました。ステレオTVカメラ、マニピュレーター、ガスクロマトグラフ質量分析計を装備。打ち上げ重量は663kgです。
2.どんな目的に使用されたの?
オービター:火星の地形の詳細な画像撮影。気象と気候の長期的観測。
ランダー:火星の土壌分析、生命活動の分析。火星の気象と気候の長期的観測です。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
火星表面に生命活動の痕跡の存在しないことを確認しました。また、火星の年周期の気候を観測し、土壌は珪素15~30%、アルミニウム2~7%、カルシウム3~8%を含んでいるということを分析しています。1982年には運用を終了しています。
4.打ち上げ・飛行の順序はどうなっているの?
1号は、パーキング軌道から火星への太陽中心軌道へ。途中3回の軌道修正をおこない、1976年6月19日に減速して火星周回軌道へ。6月22日にランダーの着陸地点選定のための画像撮影を開始し、ランダーを7月20日オービターと分離しました。ランダーは火星の大気圏に突入してパラシュートで減速後、レトロロケットを噴射しながら着陸しました。着陸地点はクリュセ平原の西、北緯22.483度西経47.94度でした。7月22日に最初の土壌標本を採取しました。
バイキング1号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 05:49 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動バイキング1号 Viking 1 |
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バイキング1号(オービタとランダー)
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所属 | アメリカ航空宇宙局 (NASA) |
国際標識番号 | 1975-075A |
カタログ番号 | 08108 |
状態 | 運用終了 |
目的 | 火星の探査 |
観測対象 | 火星 |
打上げ場所 | ケープカナベラル空軍基地 |
打上げ機 | タイタンIIIEセントール |
打上げ日時 | 1975年8月20日 17時22分 (EDT) |
軌道投入日 | 1976年6月19日 |
ランデブー日 | 1976年6月21日 |
運用終了日 | 1980年8月17日 |
物理的特長 | |
質量 | 883 kg |
軌道要素 | |
周回対象 | 火星 |
軌道 | 楕円軌道 |
近点高度 (hp) | 320 km |
遠点高度 (ha) | 56,000 km |
離心率 (e) | 0.8822 |
軌道傾斜角 (i) | 39.3度 |
軌道周期 (P) | 47.26時間 |
バイキング1号(ランダー) Viking 1 |
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バイキングのランダー・モジュール
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所属 | アメリカ航空宇宙局 (NASA) |
国際標識番号 | 1975-075C |
カタログ番号 | 09024 |
状態 | 運用終了 |
目的 | 火星の探査 |
観測対象 | 火星 |
最接近日 | 1976年7月20日 11時53分6秒(UTC、着陸) |
通信途絶日 | 1982年11月13日 |
物理的特長 | |
質量 | 572 kg |
バイキング1号(ばいきんぐ1ごう、Viking 1)は、NASAのバイキング計画で火星に送られた2機の探査機のうち最初の1機である。
ミッション
1975年8月20日にタイタンIIIE/セントールロケットで打ち上げられ、10ヶ月の飛行の後に火星へ到達し、軌道に入る5日ほど前から火星の全体像を返し始めた。バイキング1号のオービタは1976年6月19日に火星軌道に入り、6月21日に1513 x 33,000km 24.66時間周期の軌道に調整された。火星への着陸は1976年7月4日のアメリカ独立記念日に予定されていたが、着陸候補地の起伏が大きいことが撮影した画像からわかり、安全な場所が見つかるまで延期された。ランダーは7月20日 08:51 UT にオービタから分離し、11:56:06 UT に着陸した。
オービタ
太陽との合が始まった1976年11月5日にオービタの最初のミッションが終了し、合が終わった後の1976年12月14日から再開された。1977年2月にはフォボスへの接近が行なわれた。1977年3月11日には近点が 300km になった。ミッションを通じて小規模な軌道調整が行なわれ、1979年7月20日には近点が 357km まで大きくなった。バイキング1号のオービタの高度制御ガスが少なくなり、火星への衝突と汚染が2019年まで起きないように、1980年8月7日に 357 x 33943km から 320 x 56000km へ軌道を上げた。1485周回した後、1980年8月17日に運用を終了した。
ランダー
1976年7月20日 08:51 UT に、ランダー(と防護殻)がオービタから分離した。分離の時点で、ランダーの速度は 4km/s 程度であった。分離後にロケットを噴射して、ランダーの軌道離脱が開始された。数時間後の高度約300kmで、再突入のために方向転換した。大気圏の通過に伴い蒸発性の耐熱シールドによる防護殻で減速し、この時並行して突入時の科学実験も行なわれた。高度 6km 、速度 250m/s 程の時点で直径 16m のパラシュートが展開された。7秒後に防護殻を投棄、その8秒後に3本の着陸脚が伸張し、パラシュートにより45秒で 60m/s まで減速した。高度 1.5km で逆推進ロケットが点火され、40秒後に約2.4m/s で着陸するまで噴射された。着陸ロケットには18本のノズルがあり、水素と窒素の排気を拡散させる設計になっていた。これは、表面温度の上昇を摂氏1度以下に抑え、表面物質を1mm以上吹き飛ばさないようにである。
バイキング1号のランダーは、クリュセ平原の西部、北緯22.697度、西経48.222度、赤道半径が3397.2kmで扁平率が0.0105の準拠楕円体からの標高-2.69 kmの地点(惑星面座標で北緯22.480度、西経47.967度)へ 11:53:06 UT(火星地方時で 16:13 )に着陸した。着陸時には約22kgの推進剤が残っていた。
着陸の25秒後から、最初の表面の映像が送信されてきた。地震計を取り出すことができず、標本採取器のロックピンが動かずアームを広げるのに5日間を要したが、それ以外は、名目上全ての実験が行なわれた。バイキング1号のランダーは、バイキング画像チームのリーダーを記念して1982年1月に「トーマス・マッチ記念ステーション」と名付けられた。
1982年11月13日に地上管制から間違ったコマンドを送ってしまい通信が途絶するまで、ランダーは2245太陽日間運用された[1]。このコマンドは、ランダーの劣化したバッテリー能力を改善するために新しいバッテリー充電ソフトウェアをアップリンクしようとしていたのだが、不注意によりアンテナ指向ソフトウェアのデータ領域に上書きしてしまった。続く4ヵ月間、推定されたアンテナ位置に基づいてランダーとの通信が試みられたが、失敗に終わった[2]。
2006年に、マーズ・リコネッサンス・オービターから火星の表面のバイキング1号のランダーが撮影された。

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バイキング1号のオービタから撮影された火星の人面岩。(1976年7月25日)
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2006年12月にマーズ・リコネッサンス・オービターから撮影されたバイキング1号のランダー。
着陸場所
一般相対性理論の実験
一般相対性理論では、「重力場での時間の遅れ」が予測されている。ランダーを使ってこの現象の観測が行なわれた。火星のランダーに無線信号を送り、ランダーに信号を送り返すように指示が出された。その結果、信号の往復時間には「重力場での時間の遅れ」として予想される時間のズレがあることがわかった。
関連項目
注釈
バイキング1号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 06:32 UTC 版)
詳細は「バイキング1号」を参照 バイキング1号は1975年8月20日に打ち上げられた。1976年6月に火星軌道に到達した後、着陸に適した地点を探索し、ランダーを切り離した。 7月4日のアメリカ独立記念日に着陸する予定だったが、着陸地点の決定に時間がかかったため、実際に火星に着陸したのは1976年7月20日である。着陸時、最初に地球に送られた画像では火星の空は本来のピンク色ではなく水色だった。これは送られてきた画像の波長を適切に補正していなかったからである。
※この「バイキング1号」の解説は、「バイキング計画」の解説の一部です。
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