マルス3号とは? わかりやすく解説

マルス3号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/29 09:20 UTC 版)

マルス3号(オービター)
マルス3号のオービター
所属 ソビエト連邦
国際標識番号 1971-049A
カタログ番号 05252
状態 運用終了
目的 火星探査
観測対象 火星
計画の期間 1971年5月28日 - 1972年8月22日
打上げ機 プロトンKブロックD
打上げ日時 1971年5月28日
15時26分30秒(UTC
軌道投入日 1971年12月2日
物理的特長
質量 3,440 kg
周回対象 火星
近点高度 (hp) 211,400 km
遠点高度 (ha) 1,500 km
離心率 (e) 0.95548
軌道傾斜角 (i) 60°
軌道周期 (P) 12.79日
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マルス3号(ランダー)
モスクワ宇宙飛行士記念博物館に展示されるマルス3号のランダーの模型
所属 ソビエト連邦
国際標識番号 1971-049F
カタログ番号 05252
状態 運用終了
目的 火星探査
観測対象 火星
軟着陸日 1972年12月2日
通信途絶日 1972年12月2日
物理的特長
質量 1,210 kg
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マルス3号(Mars 3)は、1960年 - 1973年に行われたソビエト連邦マルス計画の無人の探査機である。マルス3号は、双子機マルス2号打上げの9日後に打上げられた。両探査機は、オービターランダーから構成される全く同一構造である。マルス2号が火星表面に衝突着陸した後、マルス3号ランダーは、火星表面へ軟着陸する最初の探査機となった。両機ともプロトンKロケットブロックD上段ステージに搭載されて打ち上げられた。

諸元

  • 打上げ日時:1971年5月28日15時26分30秒(UTC)
  • 打上げ時質量(燃料含む)
    • 合計:4,650 kg
    • オービター:3,440 kg
    • ランダー:1,210 kg
  • 軌道上乾質量:2,265 kg
  • 大きさ:高さ4.1 m・幅2 m(太陽電池展開時には5.9 m)

設計

マルス3号はマルス2号と同一設計を用いている。探査機は火星周回軌道上より観測を行うオービターと、火星表面へ降下するランダーから構成され、オービターは火星軌道に乗る直前にランダーを火星へ向けて分離した。

オービター

オービターは燃料の一部を喪失、計画された25時間の軌道に入ることは出来なかった。その代わり、かなり離心率の大きい長周期(12日19時間)の軌道に変更されることになった。

マルス3号オービターは、1971年12月 - 1972年3月にかけて大量のデータを送り返してきた。伝送は8月まで続いた。1972年8月22日には、火星を20周し、マルス3号がミッションを終了したことが発表された。マルス2号と合わせて、撮影した画像は60枚に及んだ。

ランダー

マルス3号降下モジュールは1971年12月2日9時14分(UTC)、火星への到着の4時間35分前に放出された。降下モジュールは、約5.7 km/sの速度で火星大気圏に突入した。空力ブレーキ・パラシュート・逆推進ロケットによってランダーは南緯45°西経158°の地点へ軟着陸し、運用を開始した。

14.5秒後の13時52分25秒に両方のデータチャンネルからの伝送が未知の理由によって停止し、以降の火星から地球への信号は届かなかった。この故障がランダーのものかそれとも中継点のオービターのものかは不明である。故障の原因は、当時発生していたコロナ放電を伴う非常に強力な火星の嵐が通信システムに損傷を与えたことによるものである可能性がある。画像の露光が少ないのもこの嵐で説明出来る。

唯一、70走査線の部分的な画像が伝送された。この画像は地平線と暗い空を写したものであったが、円形パノラマカメラで撮影された。これは、写真の視野を補正するために写真を時計回りに90°回転させなければならないことを意味する。ソビエト科学アカデミーによると、この写真では地平線とその他が識別出来ない。マルス3号ランダーからは、意味があるデータは何も送られて来なかった[1]

ランダーの再発見

2013年アメリカ航空宇宙局(NASA)は火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービター (MRO) がマルス3号着陸点付近を写した画像の中に、マルス3号のランダーと思われる物体を発見したと発表した。この物体は、2012年12月に、ロシア人の宇宙ファンを中心としたインターネット上のコミュニティが、2007年撮影のMROの画像を調査して発見した。報告を受けたNASAは2013年3月に同地点を再撮影して4月に公表した[2]

2007・2013年に撮影された2枚の画像には、それぞれパラシュート・逆噴射ロケット・ランダー本体・断熱シールドと見られる4つの物体が写っている。これらのサイズや形状はマルス3号と矛盾無く一致する。但し、2013年4月現在ではマルス3号であるとの確証には至っていない[2]

着陸場所

ギャラリー

出典

  1. ^ Pyle, Rod (2012). Destination Mars. Prometheus Books. pp. 73 - 78. ISBN 978-1-61614-589-7 
  2. ^ a b “旧ソ連の火星探査機「マルス3号」とみられる物体を発見”. AstroArts. (2013年4月16日). https://www.astroarts.co.jp/news/2013/04/16mars/index-j.shtml 2013年4月17日閲覧。 

外部リンク


マルス3号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/21 17:55 UTC 版)

マルス計画」の記事における「マルス3号」の解説

詳細は「マルス3号」を参照 打上げ日時1971年5月28日15:26:30(UTC) 打上げ質量燃料含)合計:4650kg 軌道探査機:3440kg 着陸機:1210kg 軌道上乾燥重量:2265kg 形状:高さ4.1m、幅2m太陽電池パネル広げると5.9m) マルス3号の降下モジュールは、1971年12月2日09:14(UTC)、火星到達する4時35前に切り離された。降下モジュールは約5.7km/sの速さ火星の大気突入した地上探査機空力ブレーキパラシュート、逆推進ロケットによって45°S、158°W地点軟着陸し探査開始した。しかし20秒後、原因不明故障装置止まってしまった。おそらく着陸時の激し砂塵嵐結果だと考えられている。マルス3号の着陸探査機火星表面初めての写真地球送信してきた。その間軌道探査機燃料一部失い計画され周期25時間の軌道維持することができなくなった。そのためエンジン使いマルス2号と同じ軌道傾斜角48.9°の周期12日19時間軌道まで機体押し上げた両方地上探査機小さなローバー積んでおり、地上探査機から15mの範囲スキー移動することができた。地球からの無線によるリモートコントロール操作するには遠すぎたため、自動で野障害物回避のために2本の金属製小さな棒が用いられた。両方ローバーは、土壌密度支圧強度試験するため、密度計と動的透過度計を備えていた。ローバー着陸探査機故障伴って動かなくなったマルス2号とマルス3号の軌道探査機1971年12月から1972年3月の期間の莫大なデータ地球送信したデータ送信8月まで続いたマルス2号火星362周、マルス3号は20周して、1972年8月22日ミッション終了したことが公表された。合計60画像送られ、この画像データによって表面立体地図作成され火星の重力磁場に関する知見得られた。

※この「マルス3号」の解説は、「マルス計画」の解説の一部です。
「マルス3号」を含む「マルス計画」の記事については、「マルス計画」の概要を参照ください。

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