ADEOSとは? わかりやすく解説

みどり

分類:人工衛星


名称:地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」/AdvancedEarthObservingSatellite(ADEOS)
小分類:地球観測衛星
開発機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))/環境庁(EA)/通商産業省(MITI)/アメリカ航空宇宙局(NASA)/フランス国立宇宙研究センター(CNES)
運用機関会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げ年月日:1996年8月17日
運用停止年月日:1997年6月30日
打ち上げ国名機関:日本/宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:H-II
打ち上げ場所:種子島宇宙センター (TNSC)
国際標識番号:1996046A

みどりは8つセンサ搭載した地球観測衛星です。
海色海温走査放射計(OCTSOcean Color and Temperature Scanner)は、海洋水色水温データを取る光学センサで、海洋基礎生産量や炭酸ガス循環把握、漁海況情報把握環境モニタなどに利用されます。
高性能可視近赤外放射計(AVNIR=Advanced Visible and Near-Infrared Radiometer)は、陸域沿岸域から反射される可視から近赤外域の太陽光観測する分解能光学センサで、そのデータ熱帯林破壊砂漠化水質汚染などの把握監視や、土地利用資源探査などに利用されます。
改良型大気周縁赤外分光計(ILASImproved Limb Atmospheric Spectrometer)は、南北半球高緯度地方の、成層圏オゾン監視研究するための大気センサです。
地上衛星レーザー長光吸収測定リトロリフレクター(RISRetroreflector in Space)は、地上から発射されるレーザー光地上反射し往復光路大気吸収スペクトル測定して地上局上空オゾンフロン12メタンなどを測定します
温室効果気体センサ(IMG=Interferometric Monitor for Greenhouse Gases)は、温室効果気体(二酸化炭素水蒸気メタン一酸化炭素オゾンなど)の濃度分布観測などを行ないます
NASA散乱計(NSCAT=NASA Scatterometer)は、氷におおわれていない海域(90%)の風速風向天候左右されることなく2日ごとに観測します。
オゾン全量分光計(TOMSTotal Ozone Mapping Spectrometer)は、オゾン層総量分布計測し二酸化イオウ検出により、火山爆発を知ることができます
地表反射光観測装置(POLDERPolarization and Directionality of the Earth's Reflectances)は、地球表面エアロゾル、海で反射される太陽光偏光方向性分光特性測定し温室効果ガス増加による地球輻射潜在的な影響対流圏におけるエアロゾル循環全球的な炭素循環解明行ないます

1.どんな形をして、どんな性能持っているの?
一翼式の太陽電池パドルを持つモジュール方式です。本体は約4m×4m×5m太陽電池パドルは約3m×24mの大きさです。
重量は約3.56t(打ち上げ時)。姿勢制御方式は、3軸姿勢制御方式(ゼロモーメンタム)を採用してます。
みどりは宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))が開発した2つセンサーのほかに、NASACNESなどにより開発され6つセンサー搭載してます。

2.どんな目的使用されるの?
みどりの通信システム地球温暖化や、オゾン層の破壊熱帯雨林減少異常気象発生などの環境変化年々進んでいますが、みどりは、こうした地球規模環境に関する観測データ取り地球環境監視役立てることを目的としています。また、それとともに将来型衛星開発必要な技術(プラットフォーム技術)と、地球観測などの衛星データ技術の開発などを目的としています。


3.宇宙でどんなことをし、今はうなっているの?
打ち上げ後太陽電池パドルやNACATアンテナなどを広げ定常姿勢制御モード移りその後初期軌道制御実施また、OCTS、AVNIRの初画像正常に受信することに成功するなど、初期段階において各機器正常に作動するか、機能確認試験実施しました順調に地球観測データ送り続けていたものの、太陽電池パドルに異常が発生して1997年6月に同衛星機能停止したため、以来運用停止になってます。

4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
みどりIIあります

5.どのように地球を回るの?
高度約800km。公転周期101分(地球を約101分で1周します)、軌道傾斜98.6度の太陽同期準回帰軌道です。太陽同期準回帰軌道とは、いつもほぼ同じ時刻同一地点の上空を通過するため、観測衛星向いている軌道です。また、地球の自転によって経路少しずつずれていきますが、41日後には再び同じ時刻に同じ位置戻っています(回帰周期)。

参考文献:大林辰蔵監修日本宇宙科学19522001東京書籍斎藤成文日本宇宙開発物語三田出版会


Adeos

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/11 21:28 UTC 版)

Adeos(Adaptive Domain Environment for Operating Systems)は、ナノカーネル型の Hardware Abstract Layer (HAL) であり、ハードウェアオペレーティングシステム (OS) の中間で動作する。他のナノカーネルと違う点は、OSのカーネルの一部として動作するわけではない点である。実際、複数のカーネルを上位で同時に動作させることができ、一種の仮想化技術になっている。

Adeos は複数のOSや単一OSの複数インスタンスの間でハードウェアリソースを共有する柔軟な環境を提供し、同一ハードウェア上に複数の優先順位付けされたドメインを同時に存在させることができる。

Adeos を Linuxカーネル の下に挿入することで、SMPクラスタリング、パッチを使わないカーネルのデバッグLinux によるリアルタイムシステムといった可能性が開けてくる。

他の HAL とは異なり、Adeos は Linux のローダブル・カーネル・モジュールとしてロードでき、それを使って他のOSを動作させることができる。Adeos は RTAI (Real-Time Application Interface) の一環として、リアルタイムカーネルからHALを分離しモジュール化するために開発された。

アーキテクチャ

Adeos はシグナルキューを実装している。周辺機器がシグナルを送信すると、Adeos は動作中のOSの1つにシグナルを転送し、各OSがそのシグナルを処理するか、無視するか、捨てるか、終了させるかを決定する。処理または終了されなかったシグナルは、次のOSに転送される。

関連項目

外部リンク


みどり (人工衛星)

(ADEOS から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/02 07:15 UTC 版)

地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり(ADEOS)」
所属 NASDA(現JAXA
主製造業者 三菱電機
公式ページ 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり(ADEOS)」
国際標識番号 1996-046A
カタログ番号 24277
状態 運用終了
目的 地球観測
設計寿命 3年
打上げ場所 種子島宇宙センター
打上げ機 H-IIロケット4号機
打上げ日時 1996年8月17日
10時53分(JST)
通信途絶日 1997年6月30日[1]
運用終了日 1997年6月30日[1]
先代 TRMM
後継機 みどりII
物理的特長
本体寸法 4×4×5m[2]
太陽電池パドル:約3×26m[2]
質量 3,560kg[3]
発生電力 4500 W[3]
姿勢制御方式 三軸姿勢制御方式(ゼロモーメンタム)
軌道要素
軌道 太陽同期準回帰軌道[1]
高度 (h) 796.75 km[1]
軌道傾斜角 (i) 98.5925 [1]
軌道周期 (P) 100.8分[1]
回帰日数 41日[1]
降交点通過
地方時
午前10時30分±15分[2]
観測機器
OCTS 海色海温走査放射計
AVNIR 高性能可視近赤外放射計
ILAS 改良型大気周縁赤外分光計
IMG 温室効果気体センサ
RIS 地上・衛星間レーザ長光路吸収測定用リトロリフレクタ
NSCAT 海上風測定マイクロ波散乱計
TOMS オゾン全量分光計
POLDER 地表反射光観測装置
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みどり日本地球観測プラットフォーム技術衛星Advanced Earth Observing Satellite、略称:ADEOS

概要

1996年(平成8年)8月17日10時53分に、ふじ3号とともに種子島宇宙センターよりH-IIロケット4号機で打ち上げられた。

みどりは地球温暖化オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、異常気象の発生等の環境変化に対応した観測データを取得するとともに、次世代観測システムに必要なデータ収集や軌道間データ中継技術等の開発を行うことを目的とした衛星である。

多くの新規技術が取り入れられており、運用による成果が期待されたが、打ち上げ後約6ヶ月で太陽電池パドルの破断により機能を停止。運用が断念された。

故障と運用断念について

1997年6月30日

9時46分頃に「みどり」が日本上空を通過した際、地球観測センターに観測データが受信されなかった[4][5]。衛星の状態を確認すると、衛星になんらかの異常が発生し、軽負荷モード[注釈 1]に移行していることが判明した[4][5]

11時30分頃および13時15分頃の2回にわたって沖縄宇宙通信所で衛星の状態を確認した際には、9時46分以前に一度姿勢を喪失し、地球捕捉モードに移っていることが確認された[5]。また、太陽電池からの供給電流がゼロ状態を示しており、衛星はバッテリーのみで運用されていることを示すテレメトリデータが取得された[4][5]

12時にはNASDA内に緊急対策チームが設置された[5]

スウェーデンキルナ局で16時21分および16時46分に、南アフリカハービーショーク局英語版で18時1分と18時26分の計4回にわたって衛星の状態の確認、および衛星の負荷を軽くする等の緊急コマンドを送信する作業を行った[4][6]。しかし、16時20分以降に衛星からのテレメトリデータを受信することは無かった[4][6]

キルナ局にて20時41分と21時20分に、増田宇宙通信所勝浦宇宙通信所および沖縄宇宙通信所にて21時2分および22時39分に緊急コマンドの送信及びテレメトリデータの受信を試みた[7]。しかしこれまでと同様に衛星からの応答は無かったため、運用の断念を決定した[4][7]。以降は緊急コマンドの送信を実施しない方針を決定した[7]

1997年7月1日

太陽電池パドルの過去データを調べた結果、規定値を割り込んでいないものの、6月27日から発生電力が低下している傾向にあることが判明した[7]。また、太陽電池パドルの温度の過去データについても6月23日から異常になっていることが判明した[7]。そして、事故発生後に「みどり」の軌道に変化があることが確認された[8]。14時に事故対策本部が設置され[9]、16時には第1回会合が開催された[8]

原因究明の経過

観測装置

OCTS

海色海温走査放射計(OCTS) 観測の概念図

海色海温走査放射計: Ocean Color and Temperature Scanner)とは、海洋の水色及び水温を高頻度、高感度で観測しクロロフィル濃度や浮遊物など把握を行うことを目的とした光学センサである[10]NIMBUS-7に搭載されたCZCSの観測ミッションを引き継いだ[10]。OCTSは可視近赤外域8バンド、赤外域4バンドの観測波長を持つ[10]。NASDA (宇宙開発事業団)が開発を行った。

OCTS 観測チャンネル[11]
チャンネル 観測波長帯 波長帯 分解能 観測幅 偏光感度特性 観測対象
Ch1 可視光 402-422 nm 700 m(衛星直下) 1400 km 5 % 溶存態有機物
Ch2 433-453 nm 2 % クロロフィル色素
Ch3 480-500 nm フィコビリン色素
Ch4 510-530 nm 浮遊懸濁物
Ch5 555-575 nm ヒンジポイント
Ch6 660-680 nm 大気補正
Ch7 近赤外線 745-785 nm
Ch8 845-885 nm
Ch9 中赤外線 3.55-3.85 μm - 海面温度
Ch10 8.25-8.75 μm
Ch11 熱赤外線 10.3-11.3 μm 雲 / 海面温度
Ch11 12.5-12.5 μm

AVNIR

高性能可視近赤外放射計: Advanced Visible and Near Infrared Radiometer)とは、可視・近赤外域を用いて陸域の植生などを観測する装置である[10]。NASDAが開発を行った。

AVNIR 観測チャンネル[12]
チャンネル 観測バンド 波長帯 分解能 瞬時視野角 視野角 S/N MTF
Mu1 マルチスペクトル 0.42-0.50 mm 16 m 20 mrad 5.7 度 ≧200 ≧0.25
Mu2 0.52-0.60 mm
Mu3 0.61-0.69 mm
Mu4 0.76-0.89 mm ≧0.20
Pa パンクロマチック 0.52-0.69 mm 8 m 10 mrad ≧90 ≧0.20

IMG

温室効果気体センサ: 大気中の温室効果ガスの分布の測定を行う装置。通商産業省が開発。

ILAS

改良型大気周縁赤外分光計: 極域における大気の微量成分の高度分布の測定を行う装置。環境庁が開発。

RIS

地上・衛星間レーザ長光路吸収測定用リトロリフレクター: Retroreflector In Space)とは、地上局から発射されたレーザー光を地上局に反射するためのリトロリフレクターであるである[10]。地上局上空のオゾンフロン12二酸化炭素メタン等の濃度測定が可能である。国立環境研究所が開発。

NSCAT

海上風測定マイクロ波散乱計 海上風の風向風速の測定を行う装置。NASA (アメリカ航空宇宙局)らが開発。

TOMS

オゾン全量分光計 オゾン量及び二酸化硫黄の分布の測定を行う装置。NASA らが開発。

POLDER

地表反射光観測装置 地球表面や大気で反射される太陽光の測定を行う装置。フランス国立宇宙研究センターが開発。

脚注

注釈

  1. ^ 観測機器等をの電源を切り、衛星の電力消費を最小限にするモード

出典

  1. ^ a b c d e f g ADEOS|一般財団法人リモート・センシング技術センター”. リモート・センシング技術センター. 2024年3月11日閲覧。
  2. ^ a b c ADEOSプロジェクト概要”. 宇宙航空研究開発機構. 2024年3月11日閲覧。
  3. ^ a b WMO OSCAR  ”. 世界気象機関. 2024年3月11日閲覧。
  4. ^ a b c d e f ADEOS事故経過状況”. 宇宙開発事業団 (1997年7月1日). 2003年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月11日閲覧。
  5. ^ a b c d e 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」の運用異常について”. 宇宙開発事業団 (1997年6月30日). 2003年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月11日閲覧。
  6. ^ a b 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」の運用断念について”. 宇宙開発事業団 (1997年6月30日). 2003年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月11日閲覧。
  7. ^ a b c d e 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」のその後の状況について”. 宇宙開発事業団 (1997年7月1日). 2003年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月11日閲覧。
  8. ^ a b 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」事故対策本部の第1回会合の結果について”. 宇宙開発事業団 (1997年7月1日). 2003年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月11日閲覧。
  9. ^ 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」事故対策本部の設置について”. 宇宙開発事業団 (1997年7月1日). 2003年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月11日閲覧。
  10. ^ a b c d e 用語集 – JAXA 第一宇宙技術部門 サテライトナビゲーター”. 航空宇宙研究開発機構. 2024年3月14日閲覧。
  11. ^ 松村皐月「海色海温走査放射計(OCTS)による海洋生物過程の研究」『日本リモートセンシング学会誌』第13巻第4号、日本リモートセンシング学会、1993年、355-359頁、doi:10.11440/rssj1981.13.355ISSN 0289-79112024年7月2日閲覧 
  12. ^ Earth Observation Satellite”. 宇宙航空研究開発機構. 2007年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月14日閲覧。

関連項目

外部リンク




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