オゾン層(おぞんそう)
オゾン層とは、成層圏のうち、上空10~25kmの範囲を指す。地球全体をやわらかく覆い、太陽から降り注ぐ有害な紫外線を阻止し、地上の生物を守ってくれる。
大気中のオゾンの量は、ミリアトム・センチメートル(m atm-cm)という単位で測る。この単位は、上空に存在するオゾンを集めて、標準状態 (0度1気圧) に換算したときの厚さを表する。日本付近では、通常250~450ミリアトム・センチメートルである。
オゾンの量が極端に少なくなり、オゾン層にポッカリと穴が開いたところを「オゾンホール」と呼ぶ。
オゾンホールは、1980年代のはじめに南極で発見された。毎年9月下旬から10月上旬にかけて最も大きくなるという性質がある。また、北極でも同様のオゾンホールが観測されている。
2000年 9月現在、南極のオゾンホールの大きさは南極大陸の2倍にも広がり、過去最大となっている。
オゾン層の破壊は、皮膚ガンの誘発に代表されるように、人体に与える影響が大きく、地球規模の環境問題として関心が高まっている。日本では、オゾン層保護法を1989年に施行し、オゾン層を破壊する原因とされたフロンガスの使用が規制された。
しかし、それまで冷蔵庫や半導体の洗浄に使われていたフロンが大気中をいまだに上昇しており、オゾン層の傷は回復していない。
(2000.09.14更新)
オゾン層
オゾン層
大気中のオゾンは、その90%が地上から10~50km上空の成層圏と呼ばれる領域に集まっており、「オゾン層」と呼ばれている。
地球をとりまくオゾン層は、太陽光に含まれる紫外線のうち有害なものの大部分を吸収しているが、このオゾン層が特定フロンなどの物質により破壊されることにより地上に到達する有害紫外線の量が増加し、人の健康や生態系などに悪影響が生じるおそれがあると懸念されている。
オゾン層
オゾン層(そう)
オゾン層
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/08 01:30 UTC 版)
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※高度は中緯度の平均 / 表 |
オゾン層(オゾンそう、英: ozone layer、ozonosphere)は、地球の大気の層の一つ。
定義
地球の大気中でオゾンの濃度が高い部分のことである[1]。オゾンは、高度約10–50 kmほどの成層圏に多く存在し[2]、特に高度約25 kmで最も密度が高くなる[1]。
一般的には、大気中のオゾンの9割が存在する成層圏の高濃度オゾン帯を指し、高度10–50 km付近とされる[3]。以下、いくつかの定義を挙げる。
- 高度10–50 kmの成層圏
- 国連環境計画 (UNEP) のQ&A集[4]、およびそれを基に作成された環境省の資料[3]など
- 高度15–60 km
- アメリカ気象学会の用語集による[5]
- 大気境界層(高度約1 km)より上の大気オゾンの層
- オゾン層の保護のためのウィーン条約[6]
ちなみに、オゾン濃度が最も高いのは高度20 km付近で、1立方センチメートル (cm²) あたり約10¹³個(= 10兆個)のオゾン分子が存在する。また、オゾンの混合比(乾燥空気に対する質量比)が最も高いのは高度30 km付近で、9–10 ppmである[5]。
オゾン層の発見
1839年にスイスの化学者クリスチアン・シェーンバインがオゾンを発見し、その特有の臭いから、ギリシャ語で "臭い" を意味する "ozein" に基づいて命名した。1879年にマリー・アルフレッド・コルニュが太陽光のスペクトル観測において、300 nm付近より短い波長の紫外線が地表付近で観測されず、大気による紫外線の遮蔽があることを発見した。1881年にアイルランドの化学者ウォルター・ハートレイは、実験室内で300 nmより短い波長の紫外線がオゾンにより強く吸収されることを発見し(ハートレー帯吸収)、大気による紫外線隠蔽の原因はオゾンであると提案した。1913年にジョン・ウィリアム・ストラット(レイリー卿)は下層大気では紫外線の吸収が無いことを発見した。そして、同1913年には、シャルル・ファブリとアンリ・ビュイソンの2人のフランス人科学者によって「オゾン層」の存在が発見された。1920年には、ゴードン・ドブソンが科学的測定によってオゾン層の存在を証明した[7][8][9]。
オゾンの発生

成層圏内では、酸素分子が、太陽からの242 nm以下の波長の紫外線を吸収して光解離し、酸素原子になる反応が進行する。この酸素原子が酸素分子と結びついてオゾンとなる。また生成したオゾンは320 nm以下の波長を持つ紫外線を吸収し、酸素分子と酸素原子に分解するという反応も同時に進行する(反応式のMは主に窒素や酸素の分子で、反応のエネルギーを受け取るという役割をしている)。
オゾン生成のプロセス
各反応素過程は以下の4つの式で示される。h はプランク定数で、hν は振動数 ν の光の光子が持つエネルギーを表している。(それぞれの式における ν は、酸素分子やオゾン分子の吸収帯に対応する太陽からの紫外線の振動数に当たる。)
- 自然界でオゾンを生成する唯一の反応
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外部リンク
- 環境省 オゾン層等の監視結果に関する年次報告書
- 国立環境研究所 オゾン層の破壊 -過去・現在・未来-
- 気象庁 オゾン層観測報告
オゾン層
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 06:37 UTC 版)
「ニンバス (人工衛星)」の記事における「オゾン層」の解説
人工衛星ニンバスが地球のオゾン層の観測を始める以前から、オゾン層の生成と破壊に関するメカニズムはある程度理解されていた。オゾン層の生成に関してはよく知られており、一方で地上での実験からハロゲンがオゾンを破壊することも知られていた。観測気球によって成層圏オゾン濃度の時系列的な変化が明らかになり、気象現象か季節変動によるものとされた。しかし、こうしたオゾン層に対する個々の知見がどのように全球規模で結びついているかは、わかっていなかった。 科学者たちはNASAの航空機による実験を行い、冷蔵庫やスプレー由来のフロン類のような化合物がオゾン層を破壊していることを証明した。ニンバス4号には、オゾン観測機器が搭載された。次いで、ニンバス7号の観測が1978年から1994年にかけて行われると、そうしたフロン類が毎年冬に南極に出現するオゾンホールを生成していることが明らかになってきた。さらに、その年によって差異はあるものの、オゾンホールが年々拡大していることもわかった。人工衛星ニンバスによる観測はオゾンホールのメカニズムを明らかにしたのである。
※この「オゾン層」の解説は、「ニンバス (人工衛星)」の解説の一部です。
「オゾン層」を含む「ニンバス (人工衛星)」の記事については、「ニンバス (人工衛星)」の概要を参照ください。
オゾン層
出典:『Wiktionary』 (2021/12/12 03:40 UTC 版)
この単語の漢字 |
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層 |
そう 第六学年 |
漢音 |
発音
名詞
翻訳
- アイスランド語: ósonlagið (is) 中性
- アラビア語: طَبَقَة اَلْأُوزُون (ar) (ṭabaqat al-ʾūzūn) 女性
- イタリア語: ozonosfera (it) 女性
- 英語: ozone layer (en), ozone shield (en)
- オランダ語: ozonlaag (nl) 女性
- ギリシア語: στρώμα του όζοντος (el) 中性, οζονόσφαιρα (el) 女性
- スウェーデン語: ozonlager (sv) 中性
- スペイン語: capa de ozono (es) 女性
- チェコ語: ozonová vrstva (cs) 女性
- 中国語: 臭氧層 (cmn), 臭氧层 (cmn) (chòuyǎngcéng)
- 朝鮮語: 오존층 (ko) (ojon-cheung)
- デンマーク語: ozonlag (da) 中性
- ドイツ語: Ozonschicht (de) 女性
- ノルウェー語:
- ハンガリー語: ózonréteg (hu)
- フィンランド語: otsonikerros (fi)
- フランス語: couche d'ozone (fr) 女性, ozone (fr) 男性
- ペルシア語: لایهٔ اوزون (fa) (lâye-ye ozon)
- ポーランド語: ozonosfera (pl) 女性, warstwa ozonowa (pl) 女性
- ポルトガル語: (ブラジル) camada de ozônio (pt) 女性, (ポルトガル) camada de ozono (pt) 女性
- マレー語: lapisan ozon (ms)
- モンゴル語: озоны давхарга (mn)
- ロシア語: озо́новый слой (ru) 男性
「オゾン層」の例文・使い方・用例・文例
- オゾン層を破壊しない
- オゾン層破壊物質
- オゾン層の破壊は地球上に住んでいるすべての人に危険をもたらす
- 成層圏のオゾン層の破壊
- フロンガスだけでなくハロン分子もオゾン層を破壊する。
- 今日オゾン層は希薄になりつつある。
- もしオゾン層がなければ、私たちは危機に直面しているだろう。
- この図はオゾン層の機能を説明している。
- ここで現在行われているオゾン層の将来についての論議は、ほとんどが利益追求と政治中心のものです。
- オゾン層をこれ以上の破壊から守るために私たちはもっと多くのことをすべきだ。
- オゾン層の破壊は環境に影響を及ぼす。
- 温室効果やオゾン層の破壊は人類の未来にとってただ事ではない.
- 科学者たちはオゾン層破壊の諸原因をただしてきた.
- オゾン層は、太陽が出すいくつかの有害な光線を妨害する
- (極地付近の)オゾン層の中でオゾンが周期的に失われる区域
- オゾン層が破壊されて穴になっている部分
- このような気球は,ロケットのかわりに地球のオゾン層の観測に使われることになる。
- 気球はロケットよりも安く,ゆっくり上昇するので,オゾン層のより詳細な調査が可能になる。
- 例えば,オゾン層を監視したり,大気中の二酸化炭素の量を測定したりするのに適した場所なのです。
オゾン層と同じ種類の言葉
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