オゾン層に関する近年の動き・フロン規制以後
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「オゾン層」の記事における「オゾン層に関する近年の動き・フロン規制以後」の解説
オゾンホールは2050年頃にふさがる 西日本新聞と日本経済新聞、読売新聞の記事によると、20世紀末に拡大し続けていた南極上空のオゾンホールは2050年頃に消失するとの予測結果を、国立環境研究所の秋吉英治主任研究員らのグループが発表したと報じている(2006年5月20日)。国立環境研究所の記者発表によると、今後しばらくは大規模なオゾンホールが残るものの、2020年頃からオゾンホールが縮小し始め、2050年頃には1980年レベルまで回復されるという結果が得られたとのこと。今の規制の中で2050年頃にオゾンホール消滅の期待が持てるものの、同時に今後数十年間に渡ってオゾンホールの大きい状態が続くという予測結果が出ている。またフロンなどがモデルの想定以上使用された場合には、オゾンホールの回復は更に遅れるとも述べられている。 フロンガス規制が効果を発揮 - オゾン層が回復中 フロンガスなどの排出規制の効果で、破壊が進んでいたオゾン層は1997年を境に回復傾向にあることが分かった(2006年8月31日)。フロンガス排出規制の効果で、破壊が進んでいたオゾン層は1997年をピークに回復傾向にあるという研究報告が、8月20日に発表された。この研究は、米ジョージア工科大学の研究チームが米航空宇宙局 (NASA) と米海洋大気庁 (NOAA) のデータに基づき行ったもの。地球の成層圏内のオゾンの量について、気球や地上に設置された機器、NASAやNOAAの衛星などから得られた25年分の観察結果を分析した。今回の研究報告によると、北極/南極上空の成層圏内のオゾンは、1979年から1997年にかけて減少が続いていたが、1997年を境に増加傾向にあるという。オゾン量の増加のうちの約半分は、成層圏上部(地表から11マイル以上)で観察されている。オゾン量の変化には、太陽の黒点周期や季節要因、成層圏内の風向きなど様々な要因が考えられるものの、この成層圏上部のオゾン量の増加は、ほぼ完全にフロンガスなどの排出規制の効果によるものだという。オゾン層破壊の人体への悪影響が最初に認識され始めたのは1980年。このレベルまでオゾンの量が回復するのは、今世紀半ばごろになる見込みだという。 南極上空のオゾンホールが過去最大に NASAなどによると、南極上空のオゾンホールが過去最大になる見込み。南半球の冬期に、南極上空の気温が例年よりも低かったことが原因。これから夏に向かう南半球では、紫外線の量が例年以上になりそうだという(2006年10月21日)。米航空宇宙局 (NASA) と米国海洋大気庁 (NOAA) は10月19日、南極上空のオゾンホールが拡大し、9月下旬には過去最大となったと発表した。オゾンは、太陽からの有害な紫外線の多くを吸収し、地上の生態系を保護する役割を果たしているとされている。特に北極・南極上空を中心に、1979年以降減少傾向にあったが、フロンガス排出規制の効果もあり、1997年を境に増加傾向にある、とNASAとNOAAは8月に報告していた。今回報告された南極上空のオゾンホール拡大には、成層圏の気温が関係しているという。NOAAのデータによると、2006年9月後半の南極上空の成層圏の気温が、華氏で約9度、平均よりも低かったという。この時期のオゾンホールの大きさは、890万〜930万平方マイル(北米大陸ほどの大きさ)から、1,060万平方マイルほどに拡大していた。対流圏および成層圏のフロンガス量は減少傾向にあるが、40年以上も大気の中に留まるため、南極地域上空での成層圏内のフロンガスの減少は、今後5〜10年の間は年0.1〜0.2%程度にすぎないという。このため年によっては、南極上空の気温変動の影響が、ガス減少の効果を上回ってしまうことがあるという。 2008年時点での最新状況・気象庁「オゾン層観測報告:2007」 気象庁の最新データ・「オゾン層観測報告:2007」/2008/04/23によると、オゾンホールが注目された1980年代を中心にオゾン量の減少が進み現在も少ない状況が継続しており、南極オゾンホールは最大面積は依然として大きいと見られている。 しかし 1980年の南極付近のオゾンホールは300万km2南極大陸比0.2倍程度であったが、2005年以後の現状では2500-3000万km2大陸比2.2倍程度に達している。(1992年には既に2500万km2に達していた) 1980年時点の世界のオゾン総量を基準に考えた場合、2005年以後の現状では-3%強となっている。(1992-2001のピーク時で-6%) 「オゾン層観測報告:2007」の図1世界のオゾン全量月平均値の推移、図5南極オゾンホールの最大面積の推移、を見ると有意な変化が著しい。 つまりいまだオゾン総量は少なくオゾンホールは大きいが1980-2001頃までのようにオゾン総量減少一途オゾンホール拡大一途な状況から停滞、若しくは底を打っており事態の悪化傾向は止まって年度ごとの振幅を繰り返しながら緩慢な回復傾向を示している状況である。
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