衛人操縦士
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谷風 長道(たにかぜ ながて) 声 - 逢坂良太 本作の主人公。シドニアの最下層部(地下)で、祖父の斎藤ヒロキと二人きりで生活していた。祖父の死後3年が過ぎた頃、食料の備蓄が尽き、祖父の遺言を破って上層部に向かい、食糧庫から米を盗もうとして捕らえられる。その後、小林の庇護の下、衛人操縦士の第628期訓練生となった。出生等に関する素性は極秘扱いとされ、ごく限られた人間しか知らない。 現行のシドニア人と異なり光合成ができないため、積極的な食物の摂取を必要とする。その一方、瀕死の重傷を負い心肺停止の状態に陥っても短時間で蘇生、骨折も数日で完治する驚異的な治癒能力を持つ。 歴史的名機である「継衛」を訓練生ながらに与えられ、同機の専属操縦士として実戦を経験する。戦闘では判断力と行動力に優れ、独断専行気味ながらも多数の戦果を挙げ、谷風班として、仄煉、勢威一郎、科戸瀬イザナと共に、槍手として班長に抜擢され、繰り返し行われたガウナとの戦いに勝利し、シドニア船員にエースパイロット・シドニアの騎士として認められる様になる。機体番号は「704」(訓練生時はTS谷-028)。異性からの人気も高く容姿も整っているため、第1回水城乗員人気投票の男性部門において落合と勢威に次ぐ3位にランクインしている。 祖父と二人で隔絶した環境で長く暮らしていたため、シドニアを含めた社会生活における基本的な知識が無く、性格も子供のように純朴。同年代の同性、異性と交流した経験もなく、他者の心の機微に鈍感な面があり、気の遣い方も下手を通り越している。だが、祖父との二人暮らしが長かったため、仲間やシドニア世界の事はかけがえのない大切なものと信じており、仲間が危機に陥ったときには我が身を省みずに助けようとする勇敢さの持ち主でもある。 その正体は、「第四次奇居子防衛戦」の英雄であるヒロキのため、14年前に小林の指示で作られた換装用クローン。不老不死を始めとし禁忌とされていた遺伝子改造の数々を施された特別製の体を持つ。ヒロキは自身の換装用としてのクローンの存在を良しとせず、成長途中の長道を奪って居住区外へ逃亡。以後ヒロキによって長道は育てられることになった。 衛人の操縦士としての技術をヒロキから教え込まれ、6歳の時点で仮象訓練装置では師であるヒロキの記録を超えるまでに成長していた。 不死の船員会以外の者が不死であってはならないため、生還率の低い対ガウナ戦への全参加を条件づけられていた。長道をそのように生み出させた当人であり事情を知る数少ない人物である小林からは、不憫に思われ色々と手助けされているが、本人はその事情を知らなかった。不死の船員会で全作戦参加を要求したメンバーが殺害された後は、全参加を解かれ初めての控えを体験する。そして改めて衛人操縦士の生還率の低さを痛感し、控えでありながら作戦に途中で参加するなどヒロキのようなベテランパイロットへと成長していく。 融合個体かなた解体時に落合の謀略によって意識不明の重傷となる。意識を取り戻したのは大シュガフ船攻撃艦隊の出発後であったため、そのまま残存戦力の少ないシドニア防衛の任についた。その後訪問した小林により、過去のいきさつと自分の出生の秘密を知り、メンバーの再編された最上位船員会の一員に就任した。 大シュガフ船総攻撃作戦のさなか、小シュガフ船29隻との遭遇という第一艦隊の危機を救う為、二零式衛人「却衛」で恒星レムへ向かう。第2攻撃艦隊をシュガフ船の追撃から救出し、重体のつむぎを連れて第1攻撃艦隊に向かう。そしてつむぎを培養漕に送り、無数のガウナを駆逐、第1攻撃艦隊の窮状を救う。そして半自立式転換機構とそれ付着していたガウナを取り込んで完成体となった落合(融合個体2号)と恒星レム内部で決戦に挑む。落合は倒したが、重力放射線射出装置の攻撃で損傷を受けた却衛は装甲に隙間ができてしまいレムの熱に死を覚悟した谷風は自動操縦によって半自立転換機構を攻撃艦隊に送ろうとしていた。その状況を知ったつむぎは培養漕から飛び出し、谷風の元にいき隙間のできた装甲を自らのエナでふさぎ谷風の命を救ったが、つむぎはレムの熱に焼かれ蒸発し、谷風に再び大きな心の傷を残す事となった。大シュガフ船破壊という作戦は成功裏に終わり、谷風と攻撃艦隊、観測艦隊はシドニアへの帰路を進む事になった。 後にレムに植民後、ユレによって再生されたつむぎと結婚、長閑(のどか)という娘を授かり、大シュガフ船によってテラフォーミングされたセブンで環境局に勤める。 星白 閑(ほしじろ しずか) 声 - 洲崎綾 第628期衛人操縦士訓練生副代表。長道らと同時に正規操縦士に任命される。機体番号は「702」(訓練生時はTS星-336)。 長道が初めて上層部に出たとき以来、たびたび顔を合わせる。カビザシ回収任務の際にガウナの攻撃で乗機が暴走してしまい、シドニアへの自力帰還が不可能になる。自らも帰還不能になることを承知で助けに来た長道と共に、数日間の漂流生活を余儀なくされた。この一件をきっかけにして長道に淡い恋心を抱き、関係を深め始めた。しかし連結型ガウナの討伐戦で、岐神に陥れられた長道を助けようとしてガウナに捕食され、戦死した。星白最期の言葉は「いや」であったが、後に紅天蛾本体が損傷したエナを修復する際に呼び起こされる記憶から、さらに「死にたくない」と述べていたことがわかり、ガウナに捕食され殺害される直前まで死に怯えていた様子が伺える。 その死は後に、長道の心に深い傷を残す。 星白の死後に後述のエナ星白が回収され外生研に保管される。長道はこれが単なるエナであると釘をさされても頻繁に会いに行っていた。さらにエナ星白が融合個体の生産を目的に外生研から姿を消した後も、ノコギリクワガタに関するつむぎの発言から星白のことをふと思い出すなど、長道自身は星白に特別な想いを抱いていたようである。 アニメ版では米を盗んで逃走中に岐神に殴り倒された長道を交番まで運んだりと原作よりも関わり合うシーンが追加されており、またよく笑うなど表情も豊かになっている。エナ星白 ガウナがエナで再現した星白。2つの個体がシドニアに確保された。外見だけでなく内部も再現されており、構造は人間と同じになっている。また、不完全ながら星白の記憶や人格の再現もされているらしく、長道の姿に反応する他、本体を持たなくても触手や外装を自分の意思で操り、自ら言葉を発し、長道を外生研に呼び出した。カビに反応し、長道を見ている時以外はカビザシ格納庫方向を見ている。 一体は自由浮遊ガス惑星を破壊した際に出現した衛人型ガウナ(ガ491)から長道によって回収されたもので、後に岐神開発にて融合個体の母体にされた。 もう一体は惑星ナインにて偵察部隊救出の際に、継衛のコックピット内に侵入してきた紅天蛾(ガ490)の本体を破壊して回収されたものである。先の個体同様、落合(岐神)が母体への転用を提案したものの却下され、しばらくは東亜重工にて厳重に保管されていた。後に身体を失ったつむぎと融合するが、融合したエナ星白はすぐに会話するようになり、数ヶ月後には身体的特徴まで変化した(具体的には左右の眼球の色調差や乳房の大きさの変化であるが、特に後者をつむぎ本人は気にしていた)。なお、星白閑の記憶や人格については、「完全になくなったわけではないが、曖昧でよくわからない」というつむぎの話で締めくくられていた。アニメでは「紅星白」と字幕が付けられていた。 科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) 声 - 森谷里美 / 豊崎愛生(TVアニメ) 衛人操縦士訓練生。長道らより少し遅れて正規操縦士に任命される。機体番号は「723」(訓練生時はTS科-291)。 居住区で暮らし始めた長道にできた最初の友人。男性でも女性でも両性具有でもない、相手に合わせて性別が変化する「中性」と呼ばれる性別未分化者。生殖の相手がいなくても単性生殖で自分のクローンを産む事が出来る。容姿も中性的で、身長は長道とほぼ同じ。制服は女子用に準じており、スカートの代わりにキュロットを着用し、オーバーニーソックスに女子用のロングブーツを履いている。更衣室は男子用を使用しているが、板で仕切られている。またラピュタの湖で泳いだ際はスクール水着に似たワンピースタイプの水着を、重力祭では丈の短い浴衣を着用している。 身を挺して仲間を守る勇気と優しさを持っている。鈍感な長道を異性として意識している星白や緑川纈、つむぎを前にして複雑な心境を覗かせ、特に長道に積極的にアプローチする緑川纈とバッティングすることが多い。後に長道がつむぎを居住区へ連れ出し告白するが、その時には二人の関係を理解して祝福した。暗い所が苦手で、緑川纈や長道と共にMSCFへの潜入を試みた際には混乱し、近くにいた長道の顔を形が変わるほど殴ってしまう(原作では長道の腕を義手で握り潰し、出血させる)。 原作、アニメ版ともに戦闘時の負傷で右腕と左足を失い、生体再生には時間が掛かるというユレの判断で機械式の義肢を付けるようになるが、原作では正規操縦士昇格後の初陣で味方機に擬態した紅天蛾の奇襲による負傷、アニメ版ではガ550戦で窮地に陥ったつむぎを救おうと接近を試みたところに機体が小型ガウナと激しく衝突して負った重傷によるものと、時期と負傷に至る経緯が異なる。その為、アニメ版では調整不足で長道の腕を握り潰すといった、つむぎ登場以前の義手に纏わるコミカルシーンが変更もしくはカットされている。後には義手の指を増やして10本指になり、器用に操ることもできるようになる(普段は2本を一つにまとめて5本指のようにして使っている。またアニメ版では最初から10本指のタイプを装着している)。さらに、脳が義肢やそのシステムの扱いに慣れることで、高い情報処理能力(操縦士服のハッキングなど)を持つようになる。 外周壁にある長道の家に同居するようになり、オカリナ攻略戦の後辺りから体が女性化し始め、乳房はすぐに纈よりも大きく発達したが、ユレ曰く「遅いほう」だったらしい。第1回水城乗員人気投票では男女総合部門において1位になったものの、本人は複雑に感じている。また、女性化で体型が変わったことが原因でエラーを起こした操縦士服をハッキングして無理やり装着しようとして長道の目の前で破裂させてしまい、ヘルメットや機構部など情報処理に特化した白地に黒のラインが入ったものに新調される。 大シュガフ船総攻撃では、その技能で大シュガフ船の主本体の走査を行うため、観測艦隊として惑星シックスへ向かう。 その後、男性に身体改造した纈と付き合うようになり、再建された新シドニアで新天地を求めて旅に出る。 岐神 海苔夫(くなと のりお) 声 - 櫻井孝宏 第628期衛人操縦士訓練生代表。長道らと同時に正規操縦士に任命される。機体番号は「701」(訓練生時はTS岐-001)。 衛人の仮象訓練装置における成績は第1位。訓練生時代から作戦時には班のリーダーを務めており、上層部に出てきたばかりの長道を一撃で昏倒させたこともある。名門の出身でプライドが高い。岐神家は岐神開発を経営する有力者で、海苔夫は9代目に当たる御曹司。外面は優等生的な体裁を取り繕っているが、その実高慢で陰謀家。選民思考の持ち主で、長道やイザナに対し「亜人種ども」と罵るなど差別意識も見られる。また原作では女性同伴のときが多くプレイボーイの側面も窺えるが、いずれもアニメ版ではカットされている。 かねてより名機「継衛」に思い入れがあり、子供の頃から既に不必要で公式記録にも残らない一七式仮象訓練装置の訓練を密かに重ねていた。いずれは継衛を駆って撃墜王の名を継ぐという思惑もあり、突然現れて同機の操縦士となった長道とはたびたび衝突する。正規操縦士に任命された際にはこれまでのことを水に流す素振りを見せるが、内面では継衛を駆って活躍する長道に嫉妬しており、連結型ガウナの討伐戦の最中に小細工を仕掛けて陥れた。その行為が原因で星白を死なせるが、表向きは星白の死やエナ星白の登場に対しても平静を装っていた。なお、アニメではエナ星白の登場に際しかなりの動揺を見せており、PTSDによる戦力外化により作戦への参加拒否を続けていた。 そんな中、岐神の姓には「邪神を止める」意味が込められており、岐神家は過去に大事件を引き起こした落合の知識が保存された「落合の補助脳」を代々守ってきたことを知る。そして、復活した東亜重工により岐神開発は経営が縮小され、役目はその墓守りだけになることを悟る。衛人操縦士を辞めることを決意してまもなく、長道の自らを糾弾するわけでもなく共に操縦士としてシドニアを守ろうという言葉に涙を流し、様々なことの憂いからか、岐神家の者でも立ち入りが許されない落合の研究室に海蘊と共に侵入してしまう。その結果、落合に意識を乗っ取られる。 長らくその状態が続いたが、融合個体かなた暴走時にエナにより身体が潰され重態となる。昏睡中に落合がかなたの予備本体に移されたことで解放され、頭部を除いて身体に機械化処置を施された状態で意識を取り戻す。その人格についてユレが安全を確認した後、訓練生として操縦士に復帰した。自信家であった性格は、自身の行動によってシドニアに多大な被害を出してしまった事からか鳴りを潜めている。 大シュガフ船総攻撃作戦中、多数の小シュガフ船がシドニアと第一艦隊の両方面に迫る最中、第一艦隊の救援に向かう谷風に代わりシドニアを防衛するため、普通の操縦士では操縦できない「継衛改二」の使用を佐々木に申し出る。そして、その強い意志と仮象訓練の成績に納得した佐々木から改二を託され、レム方面へ向かう谷風を「シドニアは任せろ」と送り出し、長い年月を経て谷風の願いに応えた。この時、落合に乗っ取られていたことから読み取ったその思惑「落合は今でも変わらず人類の存続を望んでいる」だが「それはシドニアを救う事ではない。自分自身が究極の生命体となってこの宇宙で永遠に生き続けることこそが、人類という種族全体の救済になると本気で信じている」旨を伝えた。岐神班として防衛隊の主戦力として戦い、シュガフ船の主本体を破壊しシドニア防衛に成功する。そして大破したシドニア修復の指揮を執る事になった。 のちに新シドニアの衛人隊の隊員となって、稲太郎と共に新たな旅に出る。 原作者・弐瓶勉によると「海苔夫、海蘊という名前にはシドニアでは失われた海藻を栽培する技術への憧憬が込められたもので、決してギャグではない」とのこと。
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衛人操縦士
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シドニア軍で衛人を操縦する戦闘要員。正規操縦士は、各種施設の優先利用権や大掛かりな葬儀等の特権を与えられている。一方で生還率は半分以下、初陣では更に低いとされており、慢性的に人手が不足している。物語中盤以降はGCPDSの登場や一九式衛人の配備、長道の要請によるコックピットの新素材化などによって生存率も上がり、ベテランパイロットも増えてはいるが、それでも一定数の死者が出ている。その他、操縦士は幹線移動機関の傍に住まなければならない。このため、長道も基地直通エレベータが設置されている近くの物件を選んでいる。
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