漫画家・アシスタント
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三蔵山 龍(みくらやま りゅう) 演 - 小日向文世 単行本売り上げ部数30万部以上を誇る『バイブス』の看板漫画家。デビューから40年、第一線を退くことなく活躍し続ける大御所であるが、偉ぶることもなく穏やかで温和な性格であり編集者やアシスタントに慕われている。ただし、仕事に対しては大変厳しく自己管理を徹底している。アシスタントのネーム指導にも熱心で、仕事に厳しい人柄からアシスタントに対するネーム評価も厳しいが、その難関を超えてプロデビューした“三蔵山門下生”は皆ヒット作を持つ実力派の人気漫画家となっている。 アシスタントの神原が、デビューの機会を得られないことへの不満を爆発させ送りつけたFAXを見て、デビュー以来初めて休載するほどの精神的ショックを受けるが、心のアドバイスにより立ち直った。その後は従来の手描きの作画方法に加えデジタル機器も取り入れ、精力的に作品を送り出している。 「ドラゴン急流」は、“ドラゴンシリーズ”の一篇。およそ30年にわたるシリーズで累計発行部数は800万部を突破している。その功績を認められ「ドラゴン急流」は第73回近代芸術文化賞・マンガ部門大賞を受賞した。受賞記念パーティーの壇上で本作品の完結を以ってシリーズに終止符を打つと表明。「すわ引退か」と、どよめく会場に三蔵山は、新たな作品を執筆することを高らかに宣言。後進の漫画家や新たな才能に敬意を示した上で、老年になった自分もまだまだ挑戦し続けるのだと目を輝かせて言葉にした。 心については、作家の才能を見抜いて伸ばす力を高く評価している。 作中作「ドラゴン急流」および各ドラゴンシリーズの作画担当はゆうきまさみ。 高畑 一寸(たかはた いっすん) 演 - 滝藤賢一 デビュー作「ツノひめさま」が10年の長期連載を誇る人気漫画家。人気実力ともに申し分なく、作品はアニメ化され、海外にもファンが多い。所有しているクレジットカードは最上位グレードのブラックカードで、スタイリッシュな調度品で整えた部屋に住み、外食は高級食材を扱う有名店を選ぶ。それらの潤沢な生活ができるのは漫画を描き続けているからと言う自覚はあり、そのためか原稿を落とすことはほとんどない。 しかし、ひとたび私生活が乱れるとそのまま仕事に影響が出る傾向にあり、過去にも恋人とのトラブルが「ツノひめさま」の展開に悪い影響を与えたこともある。現在も同棲中の恋人・梨音に振り回され、彼女が高畑の気を引こうと家出するたびに『バイブス』編集部も巻き込み大騒ぎとなる。ブランド好きで浪費家の梨音のおねだりには値札を見ることなく何でも買い与えている。 ライバル誌である『週刊エンペラー』の見坊から「本当に描きたい漫画を描きましょう」と勧誘され、それを知った五百旗頭に「『ツノひめさま』は“本当に描きたい漫画”ではない」と告白し、梨音を追い出してまで『エンペラー』への移籍に意欲を見せる。しかし『エンペラー』用のネーム構想をどんなに巡らせても「ツノひめさま」が脳裏から離れない。自分の内心に息衝き、創作意欲を湧き上がらせる「ツノひめさま」が“本当に描きたい漫画の上を行く漫画”だと気づき、最終的には見坊の勧誘を断った。 作中作「ツノひめさま」の作画担当は河合克敏。 成田 メロンヌ(なりた メロンヌ) 演 - 要潤 漫画界一と評判のイケメン漫画家。下ネタも少々含むシュールなナンセンスギャグ漫画を描いているが女性ファンも多い。豪気で大胆な絵柄やギャグと対極にあるような、繊細で落ち込みやすい性格の持ち主。週の大半を仕事場で孤独な作業に追われて過ごしていることもあり、世間の風潮や感覚、読者の求めているものを掴みきれず、分かりにくい独自のギャグを盛り込んだ漫画を送り出していた。その結果、読者アンケート順位は下がり続け6週連続最下位を記録、ついに打ち切りを宣告された。そのことで一時は担当の壬生といさかいを起こしたが、打ち切りの原因を分析し進言した壬生と和解し心機一転、新作に意欲を見せるようになる。新作「豆は豆でも大きいほうだ!!」の連載が決定、それに伴いCOMITIA会場の『バイブス』ブースでサイン会を行った。その表情には以前のような明るさが戻っていた。 作中作「黄昏ボンベイ」の作画担当はのりつけ雅春。 八丹 カズオ(はったん カズオ) 演 - 前野朋哉 漫画家。三蔵山の元アシスタント。かつて『コミック FLOW』に読切作品「タンポポに乗せて」が掲載されてプロデビューをしたが、雑誌が廃刊になったため憂き目をみる。その当時からの担当編集者である菊地の力添えもあり、『バイブス』に移籍して連載を始めることになった。妻と幼い子供がおり、慎ましやかな生活を送っている。1話で師匠の三蔵山から尋ねられ「オワコン」の意味を教えるが、三蔵山が一部の読者から「オワコン」と評されていたことは知らなかった。『バイブス』では「タンポポ鉄道」を連載中。絵柄は穏やかで柔らかいタッチ、ストーリーも突飛なものではないため瞬発的な人気を得られず低迷していた。しかし心温まる内容である。2話では、作品を一読した営業部部長の岡の心を動かし、今期一推し作品のひとつに加えられた。心や小泉の営業努力もあって、口コミで評判が広がり単行本の売り上げも右肩上がりに伸びて、重版出来に繋がった。 作中作「タンポポ鉄道」「タンポポに乗せて」の作画担当は村上たかし。 中田 伯(なかた はく) 演 - 永山絢斗 新人漫画家。アルバイトの傍ら独学で描いた漫画原稿を様々な出版社に持ち込んでいたが、完成度の低い絵柄のため断られ続けていた。その原稿を『バイブス』編集部に持ち込んだ際、漫画家に必要な天性の才能・素質が備わっていると直感した心が担当に付くこととなる。 画力は粗削りで技術も未熟、作画に必要な知識もほとんど持っていないが、本人に自覚はなかった。そのため壬生は陰で「中田ド下手伯」と呼び揶揄する。しかしストーリーの練り方や独特のタッチは読む者を惹きつけ、原稿を見た三蔵山も「下手なのは絵だけ」と高く評価。三蔵山の下で作画技術を学びつつ、持ち込み原稿を新人賞向けに練り直すことになる。 完成作は『バイブス』新人賞選考会議の場で、画力の低さ・相反する完成度の高いストーリーのため評価が分かれたが、紛糾の末に新人賞に決定。漫画家を目指す自身に根気よく手を差し伸べ続け、新人賞へ導いてくれた心を「女神」と呼び感謝の笑顔を見せた。後日『バイブス』本誌に掲載された新人賞受賞作を、他の掲載作と読み比べてようやく自身の未熟さに気づき、掛け持ちしていたバイトを辞めて三蔵山のアシスタントに専念し漫画を描くために必要なスキルを身につける決意をした。 非常に複雑な家庭環境で育ったことが示唆されており、そのため感情の起伏に乏しい。他人に心を閉ざし、率直すぎる辛辣な発言で周囲を傷つけることも多い。特に母親≒女性に対してトラウマがあり、面倒見の良い女性に戸惑いと拒否を示す。 大塚シュートの作品を「つまらない凡作」と言い放つ一方で、沼田のネームを高く評価しており、大塚がプロデビューを果たし沼田が漫画家を諦めたことに納得がいかず、思い悩みスランプに陥る。これを機に、周囲の人に目を向け個性を観察することを意識的に行う。街中に出てスケッチを試みる努力も重ねた。「ピーヴ遷移」の主要女性キャラクターにふさわしい容姿や設定が思い浮かばず行き詰まっていたが、偶然興都館ロビーで出会った後田アユにインスピレーションを受けて克服。新連載会議に提出できる原稿に仕上がった。連載決定の報告を受けた際には喜びのあまり奇声をあげ、「生きてて良かった」と涙を浮かべた。 「ピーヴ遷移」は連載開始直後から話題となり、半年が過ぎるころには『バイブス』の人気作品のひとつに数えられるようになった。しかし中田自身はアンケート順位や評価に興味がなく、編集部が手配したアシスタントも半ば放置して作画に没頭し続ける。睡眠も食事もほとんど摂らず、心身を削るような仕事ぶりを案じる心の助言も聞き入れずに口論になるが、自らの頑なさは自覚しており、三蔵山の元を訪れ苦悩を吐露した。説教でもなく叱責するでもない三蔵山のさりげないアドバイスの言葉や視野の広さに感じ入るものを見出し、自分の心根と向き合う。 「ピーヴ遷移」コミックス第1巻は発売前から期待の声が高く、発売記念サイン会の開催が決定するものの、中田自身は当初は乗り気でなかった。しかし会場に設置されたブースや歓喜の表情で待つファンを目の当たりにして、自身の作品に対する世間の評価を肌で感じ、ようやく心の助言が腑に落ちる。サイン会終了後、同日開催された三蔵山の授賞パーティーに駆け付け、三蔵山の受賞の挨拶に感銘を受け、自身も自己管理を怠らず、長くプロの漫画家でありたいと願うに至った。「ピーヴ遷移」は順調に売り上げを伸ばし、僅か数日で重版出来が決まった。 作中作「ピーヴ遷移」の作画担当は松田奈緒子(持ち込みver.)、ひなた未夢(新人賞ver.)。 東江 絹(あがりえ きぬ) 演 - 高月彩良 新人漫画家。大学のサークル活動でBL漫画を描いており、またウェブコミック投稿サイトでも「キヌー」のペンネームで活動していた。画力は高いが、設定やネームなどの構成力に難がある。真面目な努力家だが自分に自信がなく、その性格ゆえにプロデビューは叶わない夢だと思っていたが、心との出会いを機にプロデビューを志すようになる。しかしネームに行き詰まり、就職するべきか漫画家を志すか苦悩している折、「キヌー」に目を付けていた安井から、人気小説「ガールの法則」のコミカライズでデビューするよう持ちかけられ、母親との確執も相まってプロとしての一歩を踏み出したい焦りと、心が経験の浅い新人編集者である事への不安から、安井の申し出を受け入れる。数か月後、中田伯と同じ号に掲載され同期デビュー。安井の手腕も功を奏し、コミカライズ版「ガールの法則」は順調に売り上げを伸ばすが、安井の一方的かつ無機的な態度から、自分は酷使されるだけの道具でしかないと思うようになり、次の仕事を用意した安井の申し出を断り、決別する。親身になってくれていた心の手を放したことを後悔しており、心と再会した際に謝罪する。その後は派遣社員として仕事をしながら、漫画を描き続けている。 作中作「東の賢者と西の銃」「ガールの法則」の作画担当は白川蟻ん。 大塚 シュート(おおつか シュート) 演 - 中川大志 新人漫画家。本名は大塚翔。『バイブス』編集部に自ら持ち込んだ作品が見込まれ、五百旗頭が担当として付くことになり、サッカー漫画「KICKS」でプロデビューを果たす。「KICKS」第一巻が書店に並んだ際には「この光景を忘れない」と感激の声を発した。しかし、評価を気にしてネットで検索したところ「良い人しか出てこない偽善漫画」など、芳しくない感想を見たことでスランプに陥る。しかし「僅かでも他人の良いところを見出そうとする」彼自身の前向きな性格の現れから成るものだとわかり、今まで通り自分に正直な漫画を描き続けると自らを奮い立たせる。 作中作「KICKS」の作画担当は田中モトユキ。 古館 市之進(ふるだて いちのしん) 演 - ティーチャ(めいどのみやげ) 新人漫画家。78歳という老齢で、元は林業を営んでおり、老後の余生にかつて憧れた漫画家への道を選んだ異例の新人。大手出版社数社に持ち込みをしては断られ続けており、『バイブス』でも対象読者層向けの作品ではないと判断した心に丁重に断わられた。しかし、老齢であっても“新人”には変わりなく、可能性の芽を摘むのは漫画編集者としてあるまじきことだと思いなおした心から、中高年層向けの雑誌を扱う他社をリストアップしたメモを手渡される。数ヶ月後、古舘の漫画は口コミで人気に火が付き異例のヒット作となった。和田は、古舘が以前『バイブス』へ原稿を持ち込んだ老人だと知ると、地団駄を踏んだ。 作中作「すうべにいる」の作画担当は松田奈緒子とおおつぼマキ。 加藤 了(かとう りょう) 演 - 横田栄司 かつて同社の雑誌『コミックFLOW』に連載し安井が担当していた人気漫画家。元々は別の雑誌に連載を持っていたが、安井の情熱に負けて『コミックFLOW』での連載を引き受けた。安井とはお互いに信頼し合っていたが、同誌の廃刊をきっかけに亀裂が生じ、安井を担当から外すことを条件に連載漫画の移籍を承諾した。 主に野球漫画を手掛ける。 作中作の作画担当はおおつぼマキ。 牛露田 獏(うしろだ ばく) 演 - 康すおん 20年前にタイムスリップもののギャグ漫画「タイムマシンにお願い」を大ヒットさせた天才漫画家。本名は後田博。当時は高級クラブで札束をばらまくほど裕福だったが、その後は新たな作品を出せずにフェードアウトした。築いた富を株の投資の失敗などで蕩尽したために生活は困窮しており、生活保護を受けながら、娘のアユと二人でアパート暮らしをしている。しかしプライドを捨てきれず酒浸りの毎日で、永年の不摂生のために真っ直ぐな線すら描けなくなっており、娘からも愛想を尽かされている。 「漫画は紙で読むものである」という考えに固執しており、また、自身のヒット作である「タイムマシンにお願い」を「俺の魂」と称するほど大切にしているため、同作品の電子書籍化の使用許諾を和田が懇請しても、頑なに拒み続けた。しかし娘アユを通して亡妻祥子が自分の漫画を愛していた事を思い出し、また15年前の亡妻の言葉を偶然知った和田から聞かされて感極まり、ついに電子書籍化を承諾、娘とも和解する。 作中作「タイムマシンにお願い」の作画担当は、藤子不二雄A。 山縣 留羽(やまがた るう) 演 - 内田淳子 10年ぶりに新作を発表した人気少女漫画家。巷では「少女漫画界の神」とも呼ばれており、ファンからの愛称は「るうるう」。書店員の河は「山縣の漫画で人生が変わった」と声にして憚らないほどの熱烈なファンである。それを聞いた小泉が彼なりの言葉でその逸話を綴り、先輩経由でファンレターを送った。後日、山縣自ら勤務中の河のもとを訪れ、河を感極まらせる。 作中作「100万オトメバイブル」「音の作法」の作画担当は、いくえみ綾。 井上 桂二(いのうえ けいじ) 『バイブス』のライバル誌『週刊エンペラー』で大人気漫画「ヒッチポッチ」を連載する漫画家。 元は『バイブス』で五百旗頭と組んで連載していたが、五百旗頭と共に立ち上げた「ヒッチポッチ」の企画を前編集長に却下されたため、企画ごと『エンペラー』へ移籍した。そして「ヒッチポッチ」の大ヒットにより『エンペラー』を代表する看板作家となる。 沼田 渡(ぬまた わたる) 演 - ムロツヨシ 三蔵山のチーフアシスタント。大学時代に新人賞を獲得し、漫画家を志望して20年近く、幾度も編集部に作品やネームを持ち込んでいるが連載に繋がらず燻っている。しかし漫画の世界から離れる覚悟もないため、アシスタントの仕事を続けている。 画力向上のため三蔵山のアシスタントとなった中田の才能を目の当たりにし、長年プロデビューできない自分との差に思い悩む。 ある日盗み見た中田のネームに圧倒され、その才能に恐怖を覚え、彼のネームノートを心ならずも汚してしまったばかりか、師の三蔵山に心の動揺を見抜かれてしまう。その後も中田には嫉妬のため冷たい態度で接するようになるが、長年描き溜めていたネームノートを、中田に勝手に読まれた時、嫌いなはずの彼だけが、今まで誰も読み取ってくれなかった作品の本質を見抜いたばかりか、自分にはまだ描けない作品だと絶賛されたことにより、中田の漫画に対する姿勢に自分は敵わないことを悟り、40歳の誕生日にアシスタントを辞めて、漫画への未練を断ち切り実家の酒屋を継ぐ。のちに、酒のイベントで知り合った女性との結婚が決まる。 三蔵山の近代芸術文化賞受賞記念パーティーには、実家で扱っている日本酒の中で一番上等な酒「純米大吟醸酒“粋心”」の樽酒を持って駆けつけた。 棚橋(たなはし) 演 - 今井隆文 三蔵山のアシスタント。同時期放送のテレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』第7話にも、本作とのコラボレーションの一環として登場している。 栗山(くりやま) 演 - 椿直 三蔵山のアシスタント。 神原(かんばら) 演 - 松嶋亮太 三蔵山のアシスタント。漫画家を志しているが、三蔵山から認められないためデビューの機会が得られず、フラストレーションが鬱積し、第1話時点ではネーム制作もアシスタント仕事も雑になっている。三蔵山のように何年も連載枠を押さえている漫画家がいるために、新人に掲載のチャンスが巡ってこないのだと三蔵山を逆恨みし、仕事場を飛び出してしまう。不満は攻撃的な感情に置き換えられ、その矛先は三蔵山に向けられ、三蔵山の悪評を書き連ねたインターネット掲示板のコピーを仕事場のFAXに送り付け、三蔵山を精神的に追い詰める。 田町 幹夫(たまち みきお) 演 - 斎藤司(トレンディエンジェル) 職業は自称「絵師」。『バイブス』編集部に自ら作品を持ち込む。10年前に一度ライバル誌『週刊エンペラー』に読み切りが掲載され担当がつくが、連載漫画の掲載には至っておらず、業を煮やして『バイブス』編集部を訪れた。態度が横柄であり、自分に連載のチャンスが訪れないのは、出版社側に見る目が無いのだと決め付けている。 新橋 タモツ(しんばし タモツ) 演 - 足立理 漫画アシスタント。『バイブス』編集部に自ら作品を持ち込む。しかし何を聞かれても返事が曖昧で、編集者と漫画家のコミュニケーションを重視する心からは不安視された。 中田のアシスタント 演 - 田中聡元、船崎良
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