ひかり‐ファイバー【光ファイバー】
光ファイバー(ひかりふぁいばー)
ガラスやプラスチックを引き伸ばしてできる繊維状の通信線である。反射や屈折という光の性質を利用し、光信号に変換した情報をもれなく伝達することができる。
光ファイバーの最大の特長は、電話線として使われている銅線(同軸ケーブル)よりも大容量の情報を高速通信できるということである。なぜなら、銅線を伝達する電気信号に比べ、光ファイバーを伝達する光信号の方が一度に多くの情報を送ることができるからである。
例えば、ISDNを使ってインターネットに接続すると、通信速度は64kbps(毎秒64キロビットのデータを送受信)となる。一方、光ファイバーを使うと、最大で10Mbpsの通信速度が得られ、ISDNの約150倍と格段に速くなる。
すると、動画や音楽といったマルチメディアを楽しむことはもちろん、本格的な映画さえも自宅のパソコンで快適に楽しむという使い方が可能になるとされている。
現在のところ、中継点までは光ファイバー網の整備が進んでいる。しかし、加入者系の光ファイバー網を全国的に整備するには、もうしばらく時間がかかると予想されており、一般家庭にまで普及するのはまだまだ先のことのようである。
(2000.11.25更新)
光ファイバー
光ファイバ
別名:光ファイバー
【英】optical fiber
光ファイバとは、通信に使用されるケーブルの一種で、データを光信号に変換して伝送するケーブルのことである。データ伝送速度の速さ、一度に伝送できるデータ量の大きさ、共に非常に優れていることを最大の特徴とする。
光ファイバは、「コア」と呼ばれる素材を中心として、「クラッド」と呼ばれる素材でコアの周囲を包んだ構造をしている。コアの素材には石英ガラスや高純度のプラスチックが用いられる。コアとクラッドの屈折率の違いからクラッドとコアとの境界面で光が全反射することによって、光は失われずにケーブル内部を透過して進んでゆく。
銅線に電気信号を通すことで通信を行なうメタルケーブルは、外部の電気信号によって干渉を受け、ノイズが混入したり信号が減衰したりしやすいといった難点がある。束ねられて隣接したメタルケーブルや、雷、電源など、信号損失の機会は多い。他方、光ファイバは、ケーブル内部が完全に遮断されているので、信号の漏れや損失、外部からの混入などをほぼ完全に阻止することができる。複数の光ケーブルを一本に束ねても、光ケーブル同士が相互に干渉することはない。データが低減しないため、増幅器などを用いる必要なく超遠距離通信を行なうことができる。
また、光の波長が極めて細かい特性を活かして、光信号は電気信号に比べてはるかに大量のデータを一度に伝送できるメリットもある。光ケーブル1本につき、メタルケーブルの約1000倍の情報を送ることができるとされる。
光ファイバケーブルは、素材に石英系ガラスを用いたシングルモード光ファイバと、同じくプラスチック素材を用いたマルチモード光ファイバの二種類に大別される。シングルモード光ファイバは、極めて高い透過屈折率を持ち、高速・大容量のデータ伝送を実現するが、大きな屈曲に対応できないなど、取り扱いが難しいという難点がある。シングルモード光ファイバは、主に都市と都市を結ぶような基幹系ネットワークのような、高い性能が要求される用途に利用される。他方マルチモード光ファイバは、転送速度に劣り長距離伝送に対応できないという難点があるが、取扱いが比較的簡単であるというメリットがある。マルチモード光ファイバは主にLANケーブルやAV機器のデジタル入出力ケーブルなど、家庭や一般のオフィスで利用されている。
日本とアメリカを結ぶ国際電話回線やNTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズなどの主要基幹回線は、すでに光ファイバが導入されている。すべての家庭まで光ファイバを敷設しようというFTTH(Fiber To The Home)サービスも実現の動きが着々と進んでいる。ちなみに、敷設されたものの使用されていない状態の光ケーブルはダークファイバと呼ばれている。(メタルケーブルでは、同様の状態がドライカッパーと呼ばれる)。
※画像提供 / 日立電線株式会社
光ファイバー
光を伝送するためのガラスまたは樹脂の繊維。直径数十ミクロン、ないし数百ミクロンの太さで、屈折率の大きなコア部を中心として、周囲には屈折率の小さなクラッド部がある。この屈折率の差によって、光はコアとクラッドの界面で全反射を繰り返し伝達される。電線よりも多くの情報を細いケーブルで伝達できるため、光通信用の伝導ケーブルとして近年多用されるようになった。高速道路では、路側に情報ボックスと呼ばれる直径20~30mmのパイプを埋設し、そのなかに光ファイバーを収めている。道路管理用光ファイバーとして、道路状況の把握、災害時の通信確保など道路管理の高度化をはかっている。
参照 情報ハイウェイ光ファイバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/28 14:57 UTC 版)
光ファイバー(ひかりファイバー、中: 光導纖維、英: optical fiber)とは、離れた場所に光を伝える伝送路である。optical fiberを逐語訳して光学繊維(こうがくせんい)とも呼ばれる[1]。
注釈
出典
- ^ 斎藤和彦, 「プラスチック光学繊維」『高分子』 1973年 22巻 8号 p.436-441, doi:10.1295/kobunshi.22.436。
- ^ “世界初の標準外径19コア光ファイバを開発し、伝送容量の世界記録を更新”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2023年4月28日閲覧。
- ^ 大河原 2008
- ^ a b c 須藤, 横浜 & 山田 2006
- ^ 岩崎 & 福井 2006, p. 126
- ^ 光ファイバ、dB、減衰および測定の概要シスコシステムズ、2008年1月24日
- ^ 関 壮夫、根岸 博、「光線通信方式ノ改良」、特許第125946号
- ^ http://www.sikhfoundation.org/people-events/dr.-narinder-kapany-the-man-who-bent-light/
- ^ Prathap, Gangan (March 2004), “Indian science slows down: The decline of open-ended research”, Current Science 86 (6): 768-769 [769]
- ^ Bellis 1998
- ^ 板垣 2008
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- ^ DE patent 1254513, Dr. Manfred Börner, "Mehrstufiges Übertragungssystem für Pulscodemodulation dargestellte Nachrichten.", issued 1967-11-16, assigned to Telefunken Patentverwertungsgesellschaft m.b.H.
- ^ US patent 3845293, Manfred Börner, "Electro-optical transmission system utilizing lasers"
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- ^ NAS 1996
- ^ 長井 2006
- ^ “VAD法の開発”. NTT技術資料舘. 2011年2月2日閲覧。
- ^ “光増幅器”. 映像情報メディア学会. 2018年2月12日閲覧。
- ^ Mears & Reekie 1987
- ^ 日本セラミックス協会 2006
- ^ 総務省 昭和60年版 通信白書
- ^ “光ファイバ接続の基礎知識”. 住友電工 Optigate. 2019年9月10日閲覧。
- ^ [ http://www.kuraray.co.jp/products/plastic/psf.html 放射線検出用光ファイバー]
- ^ “The Top 10 Competitiveness Enterprises in the Optical Communications Industry of China & Global market in 2019” (英語). 2022年2月12日閲覧。
- ^ “【2022年版】光ファイバーケーブル製造メーカー12社一覧”. メトリー. 2022年2月12日閲覧。 “一部商社などの取扱い企業なども含みます”
光ファイバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/07 18:26 UTC 版)
詳細は「光通信」を参照 現代の光による通信の伝送路としては、光ファイバーが最も一般的である。光ファイバーの送信機には、一般的に発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(レーザーダイオード)が使用される。光ファイバーでは、可視光線ではなく赤外線がより一般的に使用される。これは、赤外線の波長の方が減衰や分散が小さくなる特性が光ファイバーにあるためである。信号の符号化は通常、単純な強度変調(英語版)であるが、歴史的には光位相変調や周波数変調が実験室で実証されていた。
※この「光ファイバー」の解説は、「光による通信」の解説の一部です。
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光ファイバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 18:30 UTC 版)
「ブロードバンドインターネット接続」の記事における「光ファイバー」の解説
2021年3月現在、日本の光ファイバーの未整備世帯は残り39万世帯(0.7%)となっている。光ファイバー未到達でFTTN接続やマイクロ無線中継、ADSL等を用いて通信を行ってる主な地域は以下となる。 離島 新潟県岩船郡粟島浦村(粟島) 鹿児島県鹿児島郡十島村(吐噶喇列島) 沖縄県島尻郡南大東村(南大東島)/北大東村(北大東島) その他 長野県下伊那郡売木村/泰阜村 福井県今立郡池田町 奈良県吉野郡天川村 広島県山県郡北広島町 広島県世羅郡世羅町 山口県熊毛郡上関町 山口県阿武郡阿武町 また未整備世帯率が50%を超える地域には以下がある。 宮崎県西諸県郡高原町 北海道厚岸郡浜中町 大分県国東市 高知県土佐郡大川村 上記以外にも光ファイバの通っていない離島や陸の孤島は多数存在する(広島県の情島など)。2021年3月時点で、離島に住む世帯のうち7.6%の世帯は光ファイバーの利用が不可能となっている。
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光ファイバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 04:48 UTC 版)
※この「光ファイバー」の解説は、「全反射」の解説の一部です。
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光ファイバー
「光ファイバー」の例文・使い方・用例・文例
- 光ファイバーケーブルは人間の髪の毛ほどの細さの小さなガラスでできている。
- 日本は光ファイバーの研究ではなはだしく立ち遅れしている.
- 光ファイバーの、または、光ファイバーに関する
- 盲腸から結腸まで全体の結腸を検査する細長い光ファイバーの内視鏡
- 光速で大量の情報を伝送できる、光ファイバーでできたケーブル
- 光ファイバーケーブルを用いた通信システム
- S状結腸を調べるための内視鏡(柔軟な光ファイバー・プローブ)
- 光ファイバー通信という,光信号の伝送方式
- 世界的に各種の通信回線を一本化し,デジタル伝送,光ファイバーを使う広域通信網
- 光IC,光メモリー,光ファイバーを組合わせて利用するコンピューター
- HiOVISという,光ファイバーケーブルを使った多チャンネル型放送と完全双方向CATVのシステムを研究する実験プロジェクト
- 光ファイバーを利用した通信網
- 光ファイバーの芯線を束ねたケーブル
- 同軸ケーブルや光ファイバーケーブルを使ってテレビ番組を加入者に配信するシステム
- 光ファイバーを使って,投影された内部の細かい像を観察する装置
- 光ファイバーという,光信号の伝送に使うガラス繊維
光ファイバーと同じ種類の言葉
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