形状・構造
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A300の最大の特徴として、250席から300席級というサイズの旅客機を双発機として実現したことがあげられる。A300は、客室内に2本の通路をもつワイドボディ機である。片持ち式の主翼を低翼に配置した単葉機であり、左右の主翼下に1発ずつターボファンエンジンを備える。尾翼も低翼配置で垂直・水平尾翼ともに胴体尾部に直接取り付けられている。降着装置は前輪式配置で機首部に前脚、左右の主翼の付け根に主脚がある。A300第1世代の機体全長は53.62メートル、全幅は44.84メートル、全高は16.53メートルである。 A300の胴体は真円形断面で外径が5.64メートル、胴体長はA300B2/B4で52.03メートルである。A300の胴体外径は巡航時の抵抗を抑えるため、同時期に開発されたワイドボディ機のDC-10(6.03メートル)やL-1011(5.97メートル)よりも細い。胴体構造は円形断面のフレーム(円框)と前後方向に延びる縦通材、そして外板の組み合わせで強度を保つセミモノコック構造である。フレームは21インチ(53センチメートル)間隔で配置され、1座席列に最低1か所の窓が確保できるようになっている。A300は胴体尾部がかなり細長くなっているのが特徴で、離着陸時に引き起こし角を十分にとれるよう尾部下面を大きく跳ね上げた形状となっている。これにより客室後部の床は、後方に向かって僅かに上り勾配がつけられている。尾部を長くしたことで尾翼面積が小さく済み、巡航時のトリム抵抗低減などの利点があるとされたが、発展型のA300-600では胴体の平行な部分を延ばして尾部構造は短縮されている。 主翼はテーパーのついた後退翼である。主翼は胴体と一体となった中央翼と左右の片持ち翼で構成される。片持ち翼は、翼幅方向に延びる桁を複数配置し、前後の桁と上下の外板とで箱型を作り応力を分担する箱型応力外皮構造である。A300の片持ち翼は、エンジンパイロンのやや外側を境に外翼と内翼に分けられ、外翼は2本桁構造、内翼は3本桁構造となっている。A300の主翼外板は外翼部と内翼部で分割して継ぎ手で繋ぐ方式を採用し、複雑な曲面の製造を避けている。フェイルセーフ性を確保するため747、DC-10、L-1011といった他のワイドボディ機では翼幅方向には継ぎ目を設けていないが、主翼の製造を担当したホーカー・シドレーは当時、翼幅にわたる一枚式の外板を製造できる設備をもっていなかったため、製造方法をシンプルにできる構造が採用された。 主翼平面形の主なパラメータを見ると、全幅が44.84メートル、主翼面積が260平方メートルでアスペクト比は7.7である。25パーセント翼弦における後退角が28度と比較的浅い一方、翼厚比は10.5パーセントとやや厚めである。浅い後退角は低速時の操縦性を向上しやすいほか、翼根部の曲げモーメントの低減にも繋がり、厚い翼厚比と合わせて構造強度上有利であり構造重量の低減が図られている。 主翼の翼型には開発当時の最新技術である「リア・ローディング翼型」が採用されている。この翼型の翼断面は前縁が大きな丸みを帯び、上面は比較的平らで下面は後縁がえぐられたような形状である。高亜音速や遷音速で飛行すると、機体の飛行速度がマッハ1以下でも翼面上を流れる空気は局所的に音速を超えることがある。音速を超えた気流は大きな負の圧力を示し、翼を引きつけるよう作用する。しかし、この気流は翼面上の後方に向かって最終的に飛行速度まで減速するため、音速以下に戻るところで衝撃波が発生して抵抗の急増や飛行性の急変を起こす。巡航状態におけるリア・ローディング翼型の圧力分布は、翼上面の前縁付近に負圧が最大になる地点(すなわち流速が最大になる地点)があるがそのピークは従来のピーキー翼型と比べて低く、翼表面の流速が音速を超えても抵抗が急増しない。続く上面の圧力分布は翼弦長の中程までほぼ一定で、そこから後縁に向けて穏やかに低下する。一方翼下面では、一旦負圧が上昇するが後半部のえぐりにより流れが減速されて上面との圧力差が確保されるため、翼弦上の後方で多くの揚力を得ることができる。この翼型の特性は、1960年代にアメリカ航空宇宙局 (NASA) が開発したスーパークリティカル翼型と基本的に同じであるが、翼の設計を行ったホーカー・シドレー社は、NASAとは独立にリア・ローディング翼型の開発に至ったとしてスーパークリティカル翼型の一種とは認めていない。リア・ローディング翼型は衝撃波の発生を遅らせ揚力係数を増加できることから、後退角と翼厚比を同じくした場合に従来の翼型よりも高速で飛行できる。しかし、欧州域内を結ぶ短中距離機として開発されたA300では高い巡航速度は不要とされ、前述の通り後退角を減らし翼厚比を大きくする設計がなされた。主翼の空力設計が優れていたことが、A300が成功した要素の一つとも言われる。 同じアングルから見たA300(上)とその発展型A330(下)。A300では主翼付け根の胴体下側には翼胴フェアリングがほとんど無い。一方、後にA300をベースに開発されたA330はA300と共通の胴体断面を持つが、胴体延長と重量増加に対応して主翼が新設計となり翼胴フェアリングが追加されている。 中央翼が貫通する胴体部分は、胴体のモノコック構造をそのまま通しているが与圧はされていないため、中央翼の上面に与圧を受けられるよう5本のトラス・ビームを通している。A300の主翼は低翼配置であるが、客室床の位置が比較的高いことから中翼に近い形で取り付けられている。これにより胴体の円筒内に主脚やエアコン装置を収納するスペースが確保できたため、胴体下側に翼と胴体の表面を滑らかに繋ぐフィレット(翼胴フェアリング)が張り出していない。 主翼には動翼として、高揚力装置、エルロン、スポイラーを備える。 高揚力装置には前縁に基本的にスラット、後縁にファウラーフラップを備える。スラットは主翼のほぼ全幅にわたり配置され片翼あたり3分割されている。他機ではスラットが途切れるエンジンパイロン部分についても、A300ではパイロンを避ける切り欠きを入れてスラットを通すことで揚力を稼いでいる。A300B1およびA300B2-100以外では離着陸性能を向上させるため前縁の翼根部にクルーガー・フラップが追加されている。スラットの展開角度は、着陸時には揚力係数が最大となる25度、離陸時には揚抗比が最大となる16度である。後縁のフラップは、展開時に2本の隙間が現れるダブルスロット型ファウラーフラップである。フラップは内翼部と外翼部で2分割され、後縁全幅の84パーセントを占める。このフラップは、まず後方に移動し、その後回転しつつ滑り降りるように展開される。フラップの後ろ側1枚はタブと呼ばれ、前側の1枚よりもさらに折れ曲がる機構を用いている。エアバスでは、この方式により簡単な機構で性能を高くできるとしていた。全開時には翼弦長が25パーセント増え、フラップが下がり始める前に7割まで展開される。フラップは、着陸時には揚力係数が最大となる25度まで全開になり、離陸時には揚抗比を稼げる16度までの展開となる。 エルロンは低速度エルロンと全速度エルロンの2枚を備える。全速度エルロンは内翼部フラップと外翼部フラップの間に、低速度エルロンは外翼側フラップより翼端側に配置されている。エルロンリバーサルを防ぐため、翼端側の低速度エルロンはスラットやクルーガー・フラップが展開されている時のみ作動する。全速度エルロンは、フラップの作動と連動してフラップと同様の効果を発揮するフラッペロンとしても働く。 主翼上面にはスポイラーが配置されている。スポイラーは片翼あたり7枚で、内翼側フラップの前方に2枚、外翼側フラップの前方に5枚である。内舷側から数えて4枚は、グラウンドスポイラー(空力ブレーキ参照)としてのみ機能し、外弦側の3枚はフライトスポイラーとしても働く。エルロンとスポイラーの横操縦能力の分担は、高速飛行時では80パーセントが全速度エルロン、20パーセントがスポイラーによって行われ、低速では全速度エルロンと低速度エルロンがそれぞれ36パーセント、スポイラーが28パーセントを分担しているとされる。 水平尾翼は水平安定板と1枚式の昇降舵で構成される。逆キャンバー(後縁がそり上がる形状)の翼断面を持ち、翼幅が16.94メートル、翼面積が69.5平方メートルである。ピッチ方向のトリム調整(釣り合う姿勢の調整)ができるよう水平安定板自体が可動式となっており、油圧モータでボールスクリュージャッキが駆動されて+3度から-12度まで角度をとれる。垂直尾翼は垂直安定板と1枚式の方向舵で構成される。片側エンジン停止時の操縦性と横風時の着陸性能などを考慮して方向舵面積が大きく、同時に横方向の動安定を満足するよう垂直安定板も大きいため、翼面積は45.2平方メートルである。尾翼も箱型応力外皮構造で、垂直尾翼の下半分は3本桁でそれ以外は2本桁構造、舵面は板金構造である。 エンジンはパイロンにより主翼下に1発ずつ吊り下げられている。A300のエンジンポッドは補器やパイロン取り付け面も含めてDC-10-30と同じで、違いは配管等の僅かな配置程度である。胴体尾部には補助動力装置 (APU) としてガスタービンエンジンが搭載されている。APUも当初はDC-10と同じものが採用されたが、A300にはやや大きすぎたことから、後により軽量・低騒音・低燃費のAPUに変更された。 燃料タンクは主翼外翼の桁間全体が充てられ、左右それぞれのエンジンに燃料を供給するほか、左右タンク間での燃料移動も可能である。タンクは内舷側と外弦側に2分割されており、翼の強度的な負荷を抑えるため内側タンクの燃料から使用される。APUへの燃料供給も翼内のタンクから行われる。A300B4では中央翼の桁間にも燃料タンクが設けられた。さらに、A300B4-200では、後方貨物室に搭載可能なLD-3貨物コンテナ2個分に相当する追加燃料タンクがオプション設定されている。 降着装置は引き込み式で、前脚は2輪式で前方へ格納、主脚は4輪ボギー式で内側へ格納される。主脚の車輪はアンチスキッド機能付きの油圧ディスクブレーキを有する。主脚のタイヤとブレーキはB2からB4への重量増に対応して次第に強化されている。尾部にはテールスキッドを備え、離着陸時に尾部が地面に接触してしまった際にはショックを吸収できるようになっている。 A300の主要構造部材の大部分はアルミニウム合金が使用されている。主要部分の一部にはスチールやチタン合金も用いられているが、マグネシウム合金は一切使われていない。主翼の縦通材と外板はリベット接合で、胴体については外板とフレームはリベット、外板と縦通材は接着により接合されている。DC-10では接着は腐食の問題があるとして主構造部材には全く使用しなかったのと対照的に、エアバスでは腐食対策を十分に施すことで接着も採用された。また、費用対効果が見合う部品には一体削り出しも多用された。そのほか、二次構造部材の一部には複合材料も採用されている。たとえば、垂直安定板の縁部、翼胴フェアリングおよびトラックレールのフェアリングなどにはガラス繊維強化プラスチック (GFRP) が用いられ、水平安定板の翼端の一部には炭素繊維強化プラスチック (CFRP)が用いられている。
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形状・構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 08:33 UTC 版)
A340は、客室内に通路を2本もつワイドボディ機で、片持ち式の主翼を低翼位置に配した単葉機であり、主翼下にターボファンエンジンを4発備える。水平尾翼は低翼に配置され、胴体尾部には補助動力装置としてガスタービンエンジンが内蔵されている。降着装置は前輪式配置であり、仕様によっては中央脚を備える。第1世代となるA340-200/-300は、姉妹機のA330との共通性を最大化するように設計された。後に開発された第2世代となるA340-500/-600では、胴体の延長、主翼や尾翼の拡大、エンジンの変更などの改良が行われた。 A340の胴体断面には、A300で開発された直径5.64メートル(222インチ)の真円断面の設計がそのまま用いられ、胴体長を延ばすことで収容力が増やされた。A340で最も胴体が短いのはA340-200で全長は59.4メートルである。型式名の数字が大きくなるほど胴体長も長くなり、最も胴体が長いA340-600は全長が75.36メートルと747-8が完成するまでは世界で最も全長の大きいジェット旅客機であった。長い胴体を持つA340-500/-600では、地上でのタキシング時の操縦に注意を要することから、パイロットの操縦を支援するため、垂直安定板の頂部にカメラが設置され操縦席のディスプレイに画像を表示する機能が追加された。 表1: 主翼平面形の主要諸元翼幅 (m)翼面積 (m2)1/4翼弦での後退角 (度)A340-200/-30060.30 361.6 30 A340-500/-60063.45 439.4 31.1 出典:浜田 2013a, p. 96、浜田 2013b, p. 97 A340の主翼は、テーパーがついた後退翼で翼端にウィングレットを有する。翼平面形の主なパラメータは表1の通りで、第1世代(A340-200/-300)と第2世代(A340-500/-600)とでサイズが異なる。747-200と比べると、ほぼ同じ翼幅で翼面積は3分の2程度であり、アスペクト比が大きい翼である。 主翼の翼型は、基本的に前半部が厚く後半部は薄いが、胴体側の付け根から翼端まで連続的に変化している。特に、外翼では後半部が大きくえぐれたような形をしており、これはリア・ローディングと呼ばれる翼の後半でも揚力を発生させられる翼型の工夫である。第1世代の主翼について最大翼厚を翼弦長で割った翼厚比を見ると、連続的に細かく変化しており、翼の付け根の15.25パーセントが最大で、内翼部と外翼部の境では11.27パーセント、外翼部の端で9.86パーセント、ウィングレット部で10.60パーセント、平均で12.8パーセントである。これらの主翼の特徴は、主翼内の燃料タンク容積を最大化する設計だと推定されている。 第2世代の主翼は全くの新設計というわけではなく、第1世代の主翼構造の前桁と前縁との間にテーパーがついた追加構造体を差し挟むことで翼弦方向が拡大された。また、第2世代の主翼では、翼端側が延長されたほか、ウィングレットがわずかに大型化され取付角も変更されている。主翼の拡大により、翼内の燃料タンク容積が第1世代と比べて38パーセント増えている。 主翼の動翼は、高揚力装置、エルロン、スポイラーで構成され、両世代の間で寸法などに違いはあるものの枚数や配置は同じである。高揚力装置の配置は、前縁にスラットが7枚、後縁にフラップが2枚である。スラットは翼端に向かってテーパーが付けられているほか、胴体側の1枚と残りの6枚とで駆動系が分けられている。フラップは1枚式で比較的簡素なファウラー型フラップである。エルロンは後縁の翼端側にのみ2分割されたものが配置され、内舷側には高速用エルロンを持たない。フライ・バイ・ワイヤの導入によってエルロンは、本来の役割に加えて離着陸時にはフラップの役割、着陸後はグラウンドスポイラーの役割も果たすように制御される。スポイラーは6枚はあり、エアブレーキとグラウンドスポイラーとしての役割を持つほか、外側の5枚はロール操縦にも用いられる。 尾翼についても第1世代と第2世代では異なり、第2世代では大型化されている。第1世代の水平尾翼はA340/A330用に新規設計されたもので、可動式の水平安定板と1枚の昇降舵で構成され、翼幅は19.4メートルである。第1世代の垂直尾翼はA310のものに若干の補強が加えられたが、生産治具は同じものが用いられた。垂直安定板と1枚の方向舵で構成され、高さは8.3メートルである。小型のA310と同じ垂直尾翼は大型機のA340では相対的に小さいことになり、エンジンが1基停止して左右の推力のバランスが崩れた際に、それを打ち消すだけのモーメントを方向舵で発生させるのに若干の時間を要することになる。エアバスでは、操縦システムでこれに対応しており、エンジンが停止した場合に主翼のスポイラーやエルロンを自動的に制御してモーメントを調整する機能が搭載されている。第2世代の水平尾翼は、再設計されて第1世代よりも面積が拡大され、翼幅は22.39メートルである。第2世代の垂直尾翼は、A330-200用に開発された尾翼の高さを0.5メートル短縮したものが用いられ、第1世代のものより0.5メートル高い。水平尾翼の方向舵と垂直尾翼の昇降舵は、第2世代でもそれぞれ1枚式である。 両世代ともに水平安定板の内部には燃料タンクが設けられ、主翼タンクとの間で燃料を移動させ、機体の重心位置を制御するシステムが搭載されている。このシステムはA310で実用化されたものと同様のもので、機体姿勢を維持する際に発生するトリム抗力を抑制することができる。 降着装置は機首部に前脚、左右主翼の付け根に主脚が配置されているほか、仕様によって胴体中央部に中央脚を備える。A340シリーズ全体で共通して主脚は4輪ボギー式で内側への引き込み式、前脚は2輪式で前方に格納される。前脚はA300/A310の設計がそのまま用いられた。主脚はA340/A330用に新規設計されたもので、機体の大型化に対応して脚柱が延長されている。このため、地上では前脚より主脚が高くなり、やや機首が下がった姿勢を取る。中央脚は、A340-200/-300ではオプションであり2輪式で後方へ引き込まれる。重量が増加したA340-500/-600では中央脚は標準装備となり、4輪式に強化され、引き込み方向が前方に変わった。また、この中央脚には機体の動きに合わせて受動的に向きを変えるように操向機能が追加された。主脚と第2世代の中央脚にはアンチスキッド機能付きのカーボンディスクブレーキが装備されている。 胴体が長い機体では、胴体後部が地面に接触しないよう、離陸時の引き起こし角に制限があるが、引き起こし角は大きい方が離陸性能が向上する。そこで、エアバスではロッキング・ボギーと呼ぶ主脚を開発し、A340/A330で採用した。この方式は、ボギー式の車輪とストラットの組み合わせにより主脚前側の車輪だけを持ち上げて可能な限り後ろ側の車輪を滑走路に接地させるものであり、これにより機体引き起こし角を大きくとれるようになった。ロッキング・ボギー主脚での引き起こしでは、接地している後輪が支点となり大きな荷重がかかるが、一方で引き起こし角が大きくなることで主翼の揚力も大きくなるため、実際に車輪にかかる負担は増大しないとエアバスは述べている。 レーダーや通信機器といった電装品、座席やギャレーなどの内装品、そしてエンジンを除いたA340の構造材料の構成は、重量比で金属が80パーセント、複合材料が18パーセント、その他の材料が残り2パーセントである。金属の中で使用比率が最も高いのはアルミニウム合金で全体の67パーセント、続いて鉄鋼が7パーセント、チタン合金が6パーセントである(重量比)。A340の第2世代では、胴体外板や配管に新しいアルミニウム合金が採用されたほか、複合材料の使用部位が拡大されている。A340に使用されている複合材料には、炭素繊維強化プラスチック (CFRP)、アラミド繊維強化プラスチック (AFRP)、ガラス繊維強化プラスチック (GFRP)があげられ、主な使用部位は以下のとおりである(†はA340-500/-600から追加された使用部位)。 CFRP: 翼胴フェアリング、主翼動翼、トラックレールのフェアリング、ウィングレット、エンジンのカウリング、方向舵、昇降舵、垂直安定板、水平安定板、降着装置の格納扉、後部圧力隔壁†、胴体の縦通材† AFRP: 機首のレドーム GFRP: 垂直安定板の前縁と固定部後縁 また、スーパープラスチック成形と拡散接着とそれぞれ呼ばれる2つの新技術が機体製造工程の一部に採用された。
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形状・構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 00:57 UTC 版)
A321は片持ち翼の主翼を低翼に配置した単葉機である。全長は44.51メートル、全高は11.76メートル、全幅はウイング・チップ・フェンス装備型が34.10メートルでシャークレット装備型が35.80メートルである。左右の主翼下にパイロンを介して1発ずつターボファンエンジンを備える。尾翼は通常配置で、垂直尾翼と水平尾翼はともに胴体尾部に直接取り付けられている。降着装置は引き込み式の前輪式配置で機首部に前脚、左右の主翼の付け根に主脚がある。前脚および左右の主脚はそれぞれ2輪式である。 主翼は基本的にA320と共通としつつA321では構造が強化されたほか、後縁のフラップがA321専用の設計である。主翼はテーパーがついた後退翼で、25パーセント翼弦での後退角は25度、アスペクト比は9.4である。 主翼には高揚力装置として前縁にスラット、後縁にダブル・スロッテッド・フラップ(二重隙間フラップ)を備える。スラットは片翼あたり5枚で、ほぼ全幅にわたり配置されている。フラップはパイロンの位置を境に内翼と外翼に2分割されており、その外側に補助翼がある。主翼上面には片翼あたり5枚のスポイラーがある。スポイラーはロール操縦にも用いられる。 翼端装置として誘導抵抗を減らす効果のあるウィング・チップ・フェンスまたはシャークレットを備える。ウイング・チップ・フェンスは鏃状の整流板で、シャークレットはウイングレットのように翼端を上に曲げた形状を有する。開発当初はウイング・チップ・フェンスが標準装備であったが、のちにシャークレット仕様が開発され、A321neoではシャークレットが標準装備となった。また、既存の機体にシャークレットを後付けすることも可能である。 胴体断面はA320と同一で、幅は3.95メートル、高さが4.14メートルである。胴体長は全長と同じ44.51メートルである。A320と比較すると、主翼の前方で4.27メートル、後方で2.67メートル、合わせて6.94メートル胴体が長い。 尾翼もA320と共通設計であり、水平尾翼は水平安定板と昇降舵、垂直尾翼は垂直安定板と方向舵で構成される。垂直尾翼と水平尾翼は複合材料製であり、炭素繊維強化プラスチック (CFRP) やガラス繊維強化プラスチック (GFRP) が用いられている。主翼の動翼や降着装置の扉などにも複合材料が使用されている。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 13:36 UTC 版)
717は低翼配置の主翼を持つ単葉機であり、エンジンは胴体尾部の左右に1発ずつ配置され、垂直尾翼の上に水平尾翼が配置されたT字尾翼を持つ。717の尾翼やエンジンの配置はDC-9シリーズの流れが受け継がれたものである。胴体断面もDC-9から引き継がれたもので、2つの円を組み合わせたダルマを逆さにしたような断面を持ち、最大幅が3.34メートルである。機体の寸法はDC-9-30と同程度であり、全長が37.81メートル、全幅は28.45メートル、全高は8.92メートルである。 717の主翼はテーパーがついた後退翼で、翼端にはウィングレットを持たない。この主翼はDC-9-34の主翼と基本設計は同様で、前縁・後縁ともに直線で構成されたシンプルな平面形を持ち、翼面積は92.97平方メートル、25パーセント翼弦での後退角は24.5度、翼厚/翼弦比は11.6である。717で変更された点としては、取り付け角が1.3度増やされているほか、使用部材に新アルミ合金などの新素材が採用されている。 降着装置は前輪配置で、前脚と主脚ともに2輪式である。 717には長胴型や短胴型といった派生型は開発されなかったが、最大離陸重量を増加させたHGW型と呼ばれる仕様が設定されている。標準型の最大離陸重量は49,845キログラムであり、HGW型では54,885キログラムとなる。HGW型では中央翼(胴体)内に燃料タンクが追加され、重量増加分はこの燃料に充てられる。106名の乗客と手荷物を搭載した場合の航続距離は、標準型が1,430海里(2,648キロメートル)、HGW型が2,060海里(3,815キロメートル)となる。HGW型ではエンジンの推力も強化されている。
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形状・構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 05:50 UTC 版)
A330は、客室内に通路を2本もつワイドボディ機で、主翼を低翼位置に配した単葉機であり、主翼下にターボファンエンジンを2発備える。 水平尾翼は低翼に配置され、胴体尾部には補助動力装置としてガスタービンエンジンが内蔵されている。降着装置の配置は前輪式である。A330の最初のモデルとなったA330-300は、姉妹機となったA340との共通性を最大化するように設計された。後に開発された長距離型のA330-200では、胴体の短縮、垂直尾翼の大型化、中央翼内へのタンク増設などが行われている。 「エアバスA340#形状・構造」も参照 A330の胴体断面には、A300で開発された直径5.64メートル(222インチ)の真円断面がそのまま用いられている。全長は、A330-200が58.82メートル、A330-300が63.69メートルである。 A330の主翼は、テーパーがついた後退翼で翼端にウィングレットを有する。翼平面形の主なパラメータは表1の通りで、747-200と比べると、翼幅はほぼ同じながら翼面積は3分の2程度であり、アスペクト比が大きい翼である。主翼の翼型は、基本的に前半部が厚く後半部は薄いが、胴体側の付け根から翼端まで連続的に変化している。特に外翼では、翼の後半でも揚力を発生させられるリア・ローディングと呼ばれる翼型の特徴を持っている。主翼について最大翼厚を翼弦長で割った翼厚比を見ると、連続的に細かく変化しており平均値は12.8パーセントである。 表1: 主翼平面形の主要諸元翼幅 (m)翼面積 (m2)1/4翼弦での後退角 (度)A330-200/-30060.30 361.6 30 出典:(浜田 2013a, p. 96) 主翼の高揚力装置の配置は、前縁にスラットが7枚、後縁にフラップが2枚である。スラットは翼端に向かってテーパーが付けられているほか、胴体側の1枚と残りの6枚とで駆動系が分けられている。フラップは1枚式で比較的簡素なファウラー型フラップである。後縁の翼端側に2分割されたエルロンが配置され、内舷側には高速用エルロンを持たない。フライ・バイ・ワイヤの導入によってエルロンは、本来の役割に加えて離着陸時にはフラップの役割、着陸後はグラウンドスポイラーの役割も果たすように制御される。スポイラーは6枚はあり、エアブレーキとグラウンドスポイラーとしての役割を持つほか、外側の5枚はロール操縦にも用いられる。 A330の水平尾翼はA340第1世代(A340-200/-300)のものと同一で、A330/A340用に新規設計されたものである。可動式の水平安定板と1枚の昇降舵で構成され、翼幅は19.4メートルである。水平安定板の内部には燃料タンクが設けられ、主翼タンクとの間で燃料を移動させ、機体の重心位置を制御するシステムが搭載されている。このシステムはA310で実用化されたものと同様のもので、機体姿勢を維持する際に発生するトリム抗力を抑制することができる。 垂直尾翼はA330-300ではA310の尾翼と基本的に同一のものが用いられ、若干の補強を加えられたが生産治具は同じものが使用された。垂直安定板と1枚の方向舵で構成され、高さは8.3メートルである。A330-200では垂直安定板と方向舵が拡大されて高さが8.8メートルとなり、後に9.3メートルに変更されている。 降着装置については、機首部に前脚、左右主翼の付け根に主脚が配置されている。A330シリーズ全体で共通して主脚は4輪式、前脚は2輪式である。主脚はA330/A340用に新規設計されたものである。胴体長が長い機体では離陸時に後部胴体を地面に接触させないように、引き起こし角に制限があるが、引き起こし角は大きい方が離陸性能が向上する。そこで、エアバスではロッキング・ボギーと呼ぶ主脚を開発した。この主脚は、ボギー式の車輪とストラットの組み合わせにより前方の車輪だけを持ち上げ、可能な限り後方の車輪を滑走路に接地させるものであり、これにより機体の引き起こし角を大きくとれるようになった。A330/A340の前脚はA300/A310のものが流用されたが、これによって前脚と主脚の長さが異なることになり、地上ではやや機首下がりの姿勢を取る。貨物専用型のA330-200Fでは、地上姿勢を水平にするため、前脚の取り付け位置が変更されている(後述の「A330-200F」節を参照)。 A330の主翼構造は基本的にアルミニウム合金製で、胴体の縦通材や外板にもアルミニウム合金が用いられている。また、A330で使用されている複合材料には、炭素繊維強化プラスチック (CFRP)、アラミド繊維強化プラスチック (AFRP)、ガラス繊維強化プラスチック (GFRP)があげられ、主な使用部位は以下のとおりである。 CFRP: 翼胴フェアリング(翼と胴体の表面を滑らかに繋ぐ覆い)、主翼動翼、トラックレールのフェアリング、ウィングレット、エンジンのカウリング、方向舵、昇降舵、垂直安定板、水平安定板、降着装置の格納扉 AFRP: 機首のレドーム GFRP: 垂直安定板の前縁と固定部後縁
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形状・構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 06:20 UTC 版)
A319は片持ち翼の主翼を低翼に配置した単葉機である。全長は33.84メートル、全高は11.76メートル、全幅はウイング・チップ・フェンス装備型が34.10メートルでシャークレット装備型が35.80メートルである。左右の主翼下に1発ずつターボファンエンジンを備える。尾翼は通常配置で、垂直尾翼と水平尾翼はともに胴体尾部に直接取り付けられている。降着装置は前輪式配置で機首部に前脚、左右の主翼の付け根に主脚がある。降着装置は引き込み式で、前脚は2輪式、主脚も左右それぞれ2輪式である。 A319の主翼はA320のものと同一である。主翼はテーパーがついた後退翼で、25パーセント翼弦での後退角は25度、アスペクト比は9.4、翼面積は122.6平方メートルである。 主翼には高揚力装置として前縁にスラット、後縁にファウラー・フラップを備える。スラットは片翼あたり5枚で、ほぼ全幅にわたり配置されている。エンジン・パイロンの付け根を境にフラップは内翼と外翼に2分割されており、その外側に補助翼がある。主翼上面には片翼あたり5枚のスポイラーがある。スポイラーはロール操縦にも用いられる。 翼端装置として誘導抵抗を減らす効果のあるウイング・チップ・フェンスまたはシャークレットを備える。ウイング・チップ・フェンスは鏃状の整流板で、シャークレットはウイングレットのように翼端を上に曲げた形状を有する。開発当初はウイング・チップ・フェンスが標準装備であったが、のちにシャークレット仕様が開発され、A319neoではシャークレットが標準装備となった。また、既存の機体にシャークレットを後付けすることも可能である。 胴体断面はA320と共通設計であり、外寸は幅は3.95メートル、高さが4.14メートルである。胴体長は全長に等しく33.84メートルである。A320に対して主翼の前側で4フレーム(2.13メートル)、後ろ側で3フレーム(1.60メートル)短縮されている。 尾翼を含めた尾部構造もA320と完全に共通である。水平尾翼は水平安定板と昇降舵、垂直尾翼は垂直安定板と方向舵で構成される。 A320と同様に複合材料が採用され、尾翼の主構造材や外装のほか、主翼の前縁、スポイラー、フラップレールのフェアリング、降着装置扉などに利用されている。
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