フラッペロンとは? わかりやすく解説

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【フラッペロン】(ふらっぺろん)

flapperon
flap高揚力装置)と、aileron補助翼)を組み合わせた造語
その名のとおり、2種類動翼役割兼ねる。
差動させると補助翼働きをし、同調させるフラップ役割を果たす
近年ではF-8やF-16などに採用された。

主翼後縁フラップ補助翼分けるとフラップ面積限られてしまうことから、面積大きなフラップ必要な場合用いられる
ただしフラップとして使っている間は補助翼として働かなくなってしまうので、その際ロール操縦スポイラーテイルロンに頼ることとなる。

また、純粋なフラッペロンは補助翼として使う場合ロール効果の割に抗力大きいといった難点がある。
これを解決するため、F/A-18などではこれを2つ分け内側フラップ外側をフラッペロンとして使うという対策とっている。

大型機では逆にエルロンリバーサル対策として、内側にフラッペロンを設け外側補助翼フラップ配するという設計が多い。

関連エレボン


フラッペロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/30 04:44 UTC 版)

ボーイング777のフラッペロン
キットフォックス モデル3(1991年製造)のフラッペロン
ICPサバンナ モデルS(2010年製造)のフラッペロン(ユンカー・フラッペロン)
ボーイング777のフラッペロンの作動

フラッペロン(flaperon, フラップ〈flap〉とエルロン〈aileron〉の混成語)とは、航空機の翼に取り付けられた、フラップとエルロンの両方の機能を持つ動翼である。小型のホームビルト機のように、構造を簡単にするためにフラッペロンを採用しているものが多い。一方、大型の民間航空機には、フラップとエルロンの間にフラッペロンを装備しているものもある。

実用

フラッペロンは、通常のエルロンと同じように機体のロール(傾き)を制御することに加えて、左右両方を同時に下げることによりフラップとしての機能も果たすことができる。

フラッペロンを装備する航空機も、通常の航空機と同じく、エルロンとフラップの操作機構をそれぞれ別個に装備している。ただし、フラップの操作機構は、フラッペロンの作動範囲を制御するように働く。パイロットによるフラッペロンの操作は、これら複数の操作機構を通じて伝達され、ミキサーと呼ばれる機械装置により混合される。フラッペロンを使用した方が、エルロンとフラップの両方を使うよりも構造を簡素化できる傾向にあるが、ミキサーという複雑な装置が必要となる[要出典]

デニー式キットフォックスのように、機体の迎え角が大きい場合や対気速度が遅い場合の空気流を安定させるため、フラッペロンを(隙間フラップのように)主翼の下に間隔を開けて取り付ける機体もある[要出典]。主翼の後縁部の下側にヒンジで取り付けられたこのフラッペロンは、ユンカース Ju52 旅客機や第2次世界大戦中の代表的な急降下爆撃機であるユンカース Ju87 シュトゥーカなどの1930年代のユンカース社製航空機に多く用いられていたドッペルフリューゲル(2重翼の意)方式と似ていることから、ユンカー・フラッペロンと呼ばれる場合もある[要出典]

研究

航空機の動翼(エルロン、エレベーター、フラップおよびフラッペロン)の機能を融合させ、重量、費用、抵抗、慣性を低減して操縦性を向上させるとともに構造の単純化を図り、敵のレーダによる補足を困難にしようとする研究が進められている。UAV(unmanned aerial vehicle, 無人航空機)や最新の戦闘機などには、これらの研究の成果が生かされている [要出典]

現在行われている研究には、フレキシブル・ウイング(flexible wings)や境界層制御(fluidics)などがある。

フレキシブル・ウイング(flexible wings)

フレキシブル・ウイングは、飛行中に翼面の大部分の形状を変更することにより、空気の流れを変える方式である。一例として、NASAが開発したX-53の能動空力弾性翼(Active Aeroelastic Wing)がある。また、軍用機および民間機の双方に関して、アダプティブ・コンプライアント・ウイング(Adaptive Compliant Wing)が研究されている[1][2][3] 。これは、ライト兄弟が開発して特許を取得した「たわみ翼」への回帰であるとも言えよう。

境界層制御(fluidics)

境界層制御とは、空気の循環を制御することにより、機体に作用する力を生成するものである。わずかなジェットや空気流により、空気流を偏向して大きな力を生み出し、機体の方向を変えることができるため、大きくて複雑な機械部品を小さくて単純な境界層制御システム(空気流を吹き出すスロット)に置き換えることができる[4][5][6]。境界層制御を用いることにより、重量やコストを低減(最大50%)し、慣性力を小さくして操縦性を向上させるとともに、機構の単純化を図ることができる[要出典][要説明]

脚注

  1. ^ Scott, William B. (27 November 2006), “Morphing Wings”, Aviation Week & Space Technology, http://www.aviationweek.com/aw/ 
  2. ^ FlexSys Inc.: Aerospace”. 2011年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月26日閲覧。
  3. ^ Kota, Sridhar. “Mission Adaptive Compliant Wing – Design, Fabrication and Flight Test”. FlexSys Inc., Air Force Research Laboratory. 2012年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月26日閲覧。
  4. ^ P John (2010). “The flapless air vehicle integrated industrial research (FLAVIIR) programme in aeronautical engineering”. Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Part G: Journal of Aerospace Engineering (London: Mechanical Engineering Publications) 224 (4): 355–363. doi:10.1243/09544100JAERO580. ISSN 0954-4100. http://journals.pepublishing.com/content/m9r3684g2874w026/. [リンク切れ]
  5. ^ Showcase UAV Demonstrates Flapless Flight”. BAE Systems (2010年). 2010年12月22日閲覧。
  6. ^ “Demon UAV jets into history by flying without flaps”. Metro.co.uk (London: Associated Newspapers Limited). (2010年9月28日). http://www.metro.co.uk/news/842292-plane-jets-into-history-by-flying-without-flaps 

関連項目


フラッペロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 01:26 UTC 版)

高揚力装置」の記事における「フラッペロン」の解説

詳細は「フラッペロン」を参照 フラップエルロン兼ねたもの。アメリカ海軍機などではドループエルロンとも呼称する。 フラップとして使用しない水平飛行中は左右のフラッペロンは上下逆方向動作してエルロンとして働き離着陸時にフラップとして使用する場合左右同調して下向き角度動作してフラップとして働く。フラップ動作をしている場合エルロンとしての効果発揮できないが、戦闘機であれば昇降舵左右差させられるテイルロンであることが多く、また大型民間旅客機は内翼部独立したエルロン別個に持っていることが多いため、エルロンとしての効果はそれらが受け持つ。 F-16以降開発され戦闘機ではフラッペロンが使用されていることが多い。F/A-18シリーズハリアー IIなどは、外翼部がフラッペロン・内翼部単純フラップスロッテッドフラップとなっていてより高い揚力得られるようになっているB777A380など最近旅客機エルロン高揚力を得るためにフラッペロンが採用されている。コンコルドのようにカナード持たない無尾翼デルタ翼機の場合後縁動翼フラップとして使用することができないため、エルロンエレベーター兼ねたエレボン呼ばれフラッペロンとは呼べない。

※この「フラッペロン」の解説は、「高揚力装置」の解説の一部です。
「フラッペロン」を含む「高揚力装置」の記事については、「高揚力装置」の概要を参照ください。

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