バグズ2号乗組員
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「テラフォーマーズ」の記事における「バグズ2号乗組員」の解説
艦長、副艦長を含む15人の若い男女で構成されている。全員が「火星の厳しい環境下での任務遂行」の名目で「バグズ手術」を受けている。手術の成功率の低さ故に多額の報酬と引き換えに手術を受けた者が多く、前科者や高額の債務等のやむをえない事情で参加することになった者が大半を占める。U-NASAから事前に言い渡されていた建前上の任務はゴキブリの駆除と清掃となっており、緊急時のためと事前に訓練を受けていた。作戦終了時の帰還生存者は2人。 小町 小吉(こまち しょうきち) 声 - 木内秀信 第1部での主人公。身長187cm、体重87kg(1部)→体重90kg(2部)。屈強な体格と逆立てた黒髪といういでたちの大柄な22歳の青年。日本の千葉県出身。気さくな性格で、バグズ2号の他の乗組員とは積極的にコミュニケーションをとっていた。幼少期から空手を習っており腕が立つ。 15歳の時に幼馴染の奈々緒が義父から虐待を受けている現場に遭遇し、思わず彼を殴り殺してしまう。その殺人の罪で少年刑務所に入所し、エリートだった家族とは絶縁された。出所後、奈々緒の後を追いバグズ手術を受けた。バグズ2号の任務では辛くも生き残り、蛭間一郎と2人のみ地球に帰還した。奈々緒を深く愛し、地球に帰ったら同居する約束をしていた。奈々緒の死で願いは叶わなかったものの、その後数十年に渡って彼女のために戦い続けている。 第2部の2620年では42歳となり、顎鬚と薄い口髭を生やしている。空手の鍛錬も続けており、六段の腕前を持つ。U-NASAに残留しており、火星探索チーム総隊長にまで出世。アネックス1号艦長兼日米合同第一班班長となる。マーズ・ランキングは3位(アシモフと同率)。専用武器は彼の毒を解析して開発された対人大雀蜂毒解毒薬『針便鬼毒酒(じんべんきどくしゅ)』。対テラフォーマー用ではなく、敵対した人間と交渉するために使うもの。 国家間の代理戦争と化した火星任務にて、様々な思惑に翻弄されながらも艦長として奮闘する。最後は燈やミッシェルを火星から無事脱出させることに成功するが、ジョセフとの戦闘で左腕を切断され、心臓にもダメージを受けを死の寸前にまで至る。劉のスペア心臓を与えられて一命を取り留め、重要捕虜として中国軍に身柄を回収された。 第3部では中国軍の雷博士の部下となっている。義手を装着し、黒装束に仮面のようなヘルメットという姿で登場した。戦闘技術は変わらず記憶や人格も正常だが、中国軍凱将軍の能力で枷をはめられている。凱将軍の取引により、ゴビ砂漠にある地下実験場で蛭間・燈と戦う。 手術ベースはオオスズメバチ。人為変態時はオオスズメバチの習性にならい非常に獰猛になる。空手とスズメバチの能力を合わせることで並外れた戦闘力を獲得しており、両腕から生える毒針を使いテラフォーマーの集団を圧倒する。第2部では腕から毒針・毒液を射出したり肘からオオスズメバチの大顎を刃状に生やす等、本人曰く「修行」の成果で能力面にも磨きがかかっている。「過剰変態」するとパワーが大きく強化される他、腕や踵にも大顎が出現し背中には翅が生える。 実写映画版では概ね原作に近い設定だが、スラム街出身であることや父を殺してしまった奈々緒の罪を被り犯罪者となった点などが異なる。火星行きと引き換えに罪を帳消しにする話を持ち掛けられ、志願した奈々緒に同行する形でバグズ計画に参加する。 秋田 奈々緒(あきた ななお) 声 - 川澄綾子 黒髪のロングヘアで、前髪は眉の上で切り揃えている22歳の女性。身長168cm、体重54kg。日本出身。少々口は悪いが根は優しい。 少女期より母親の再婚相手から虐待を受けていたが、幼馴染の小吉に助けられた。義父は多額の借金も残していたため、それらを返すためにバグズ計画に参加する。第2部の主人公、膝丸燈の「親」の一人であるとされる。 火星に到着後に遭遇したテラフォーマーと会話をしようと不用意に近づいた際、能力を発動させることなく首を折られ後に死亡した。 手術ベースはクモイトカイコガ。鋼鉄の強度を持つ1000mの糸を紡ぐことができる。昆虫の持つ「脳の死亡後も体が動いたりフェロモンを出すことがある」という特徴からか、死亡後に遺体から糸を伸ばし小吉を導くような描写があった。 実写映画版では小吉が死刑に処せられるのを防ぐためにバグズ計画に参加したという設定に変更されている。テラフォーマーに襲われ死亡した後、安置されていた遺体が蛾の姿に変異した状態で小吉たちの前に現れ、彼らが生き残る手助けをした。 ティン 声 - 橋詰知久 短髪で右目と鼻と左頬に切り傷があるタイ出身の21歳の男性。身長179cm、体重68kg。ミャンマー国境沿いにある山岳地帯出身。名前の「ティン」はタイ語で「燈し火」という意味を持ち、2部の燈と何らかの関係があることが示唆されている。ムエタイの達人。 冷静な性格。戸籍を持たず、乗組員で一番の貧乏人と称している。10歳のころに人身売買に出された幼馴染の少女プロイを探すため、都会へ出てストリートチルドレンとして生きていた。しかし数年後、プロイは既に感染症により命を落としていたことを知り落胆する。 手術ベースはサバクトビバッタ。人為変態時には脚部が発達し、バッタの脚力・ジャンプ力を獲得する。戦闘時には自身の習得しているムエタイを活かしてテラフォーマーの体を切断する威力の足技を繰り出す。「過剰変態」では、翅を発現させた群生相へ変化。空を飛ぶことが可能になり、獰猛さと脚力が更に増す。 スキンヘッド型との戦闘時に内臓を負傷したことで変異が解消できず、今際の際にはほぼ全身がサバクトビバッタに変容してしまった。最期は力を使い果たし、小吉と一郎に言葉を残し死亡した。 実写映画版ではこのキャラクターを基にした元キックボクサーの「武藤仁」と言う人物が登場する。 蛭間 一郎(ひるま いちろう) 声 - 杉田智和 荒れた肌に不細工な顔をした18歳の男性。日本出身。身長170cm、体重87kg(1部)→151kg(2部)。 一見肥満体のような体つきだが骨太で筋肉量が多く非常に屈強な肉体をしており、加えて強靭な精神力と優れた頭脳を合わせ持つ。11人兄弟の長男であり、年の離れた幼い弟妹(弟6人、妹4人)がいる。父の死後、家族を養うためいじめも意に介さず苦学し大学に受かるものの、その矢先に担任教師によって女子生徒を妊娠させた事件のスケープゴートにされ、大学合格取り消しと退学処分を受けた。その後、バグズ手術の対価で得られる大金で実家を支えるために計画に参加した。ウッドとともに本多博士と内通し、テラフォーマーの卵鞘を持ち帰ることを任務としていたが失敗。小吉やティンらと共にスキンヘッド型のテラフォーマーと交戦し、生き残って地球に帰還する。 第2部の2620年では38歳の若さで第502代日本国内閣総理大臣になっている。各国上層部の傀儡政権として若い蛭間が担ぎ上げられたが、国内の支持率は高いという。M.O.手術とテラフォーマーから得られる利益を独占しようとする各国に対し巧みに立ち回った。地球でテラフォーマーが行動を開始した際にも迅速に対応している。かつて自分が貧しさから仲間を裏切る行為に手を染めたことを後悔しており、自身もまた総理の執務室にバーベルを持ちこむなど、いつでも戦えるように体を鍛えている。 第3部では中国の工作員に襲われ意識不明の重体に陥る。M.O.能力者による襲撃であったため、予め各国上層部で示し合わせていた通り表向きには急死したことにされる。その隙をついたテラフォーマーが日本に総攻撃を始めるも、後に弟の手を借り自身のバグズ能力で強引に復活。即座に自衛隊・警察を総動員して迎撃する。しかし、結果的に米軍・中国軍を始めとする多国籍軍の介入を防ぐことはできなかった。また、新首相となった〈神肝達〉のジェイソンにより過去の裏切り行為を国民に暴露されてしまう。その渦中、凱将軍に持ちかけられた取引で小吉を救うためゴビ砂漠の地下実験場に自ら出向いた。小吉に過去の謝罪と現在の心情を吐露したうえで、力ずくでも連れ帰ろうとする。 手術ベースはネムリユスリカ。「クリプトビオシス」と呼ばれる仮死状態になると急激な温度変化や放射線・真空状態などあらゆる過酷な環境に耐えることが可能になる。水をかけられるなど水分を得ると何事もなかったかのように蘇生する。ヒトとネムリユスリカの神経組織を共存させた手術は当時の技術水準を超えており、「バグズ手術の次の可能性を示す4人」の内の1人とされている。 実写映画版では天才ハッカーという設定に変更されている。貧しい家族を養うために打ち込んでいた研究を企業が買ってくれると決まった矢先、教授に嵌められ成果を奪われた挙句大学も追われてしまったため、バグズ計画に参加する。原作と違い、体型は普通。 ドナテロ・K・デイヴス 声 - 小山力也 アメリカ出身の30歳の男性。バグズ2号艦長。身長188cm、体重90kg。 宇宙飛行士を目指していたが、父親である「バグズ1号計画」司令官M・K・デイヴス が過去U-NASAに反逆してテラフォーマーの情報を公表しようとした結果死刑になっていたことからその道を閉ざされていた。そのため、「参加すれば宇宙へ行ける」バグズ計画に危険を承知で志願した。乗組員全員の事情と能力を一応把握しており、乗組員の中で唯一バグズ1号が知的生命体により攻撃を受けた可能性があることを伝えられていた。 手術ベースはパラポネラ。自分の100倍近い大きさの相手も持ち上げることができ、世界最強の昆虫と称される。人為変態時は頑強な身体に加えテラフォーマーのボディを素手で簡単に破壊できる怪力を発揮できるようになる。 隊員達をバグズ1号まで逃すための囮となるが、大量のテラフォーマーとの戦闘で力を使い果たす。最後は裏切ったウッドによって射殺された。 第2部から登場するミッシェル・K・デイヴスは彼の実娘。原理は不明だが奇跡的な確率でバグズ能力が遺伝しており、ミッシェルは生まれながらにして人並み外れた能力を持つことになる。 実写映画版ではこのキャラクターを基にした「堂島啓介」と言う人物が登場する。寄せ集めの乗組員の中では唯一正規の宇宙飛行士だが、かつて理不尽な上司を殴って半身不随にさせてしまい、出世の道を閉ざされていた。 張 明明(チョウ ミンミン) 声 - 高垣彩陽 バグズ2号副艦長。ツインテールの髪型が特徴。中国出身の27歳の女性。身長170cm、体重56kg。 幼少期に極貧の境遇で過ごしたことから「国を変える」という信念を抱いて軍に入隊。U-NASAにスパイとして潜入するも、発覚して捕えられ本国との取引の結果計画に参加することになる。 手術ベースはハナカマキリ。人為変態時は腕部がテラフォーマーの身体を容易に切断できるカマキリの腕に変化する。戦闘では蟷螂拳を使って戦う。 デイヴスからバグズ2号から車で脱出した後の指揮を任され、小吉とティンとともに生きのびたものの、進化したスキンヘッド型との戦闘で自身のカマキリの腕をもぎ取られ、瞬殺された。 第2部の主人公、膝丸燈の「親」の一人。生前バグズ計画参加の裏で本多に卵子を提供しており、それを元に燈が生みだされている。アネックス計画第四班の劉は幼少時の弟分であり、お互いに強い愛着を抱いていた。 実写映画版ではこのキャラクターを基にした「大張美奈」と言う人物が登場する。かつて付き合っていた男のせいで火星に追いやられることとなった。普段の髪型は原作と異なるが、変態時には原作と同じような髪型に変化する。 ヴィクトリア・ウッド 声 - 小清水亜美 眉尻を細く整え、左の前髪を染色しているやや男性的な喋り方をする19歳の女性。身長159cm、体重45kg。南アフリカ出身。 13歳のころに父親を感染症で亡くし、兄弟とともに親戚中をたらい回しにされ、貧しい暮らしをしていた。12歳の時に缶詰の蓋で施された女性器切除(FGM)を気にして売春を行わず、死体などを盗むことにより生活していた。 手術ベースはエメラルドゴキブリバチ。人為変態時は毒針となった両手の人差し指の爪をテラフォーマーに刺すことで操ることができる。 裏切りを画策している本多側の人間であり、火星でも携帯の通信機で連絡を取っていた。本多の計画とは別に、自身の能力でテラフォーマーを操って権力を獲得し力ある者に復讐するという野心を持っていたが、持ち帰ろうとした卵から孵ったスキンヘッド型には能力が通じず、殺害された。 実写映画版ではこのキャラクターを基にした元警察官の「森木明日香」と言う人物が登場する。押収した現金に手を出したことが原因で職を失い、計画に参加することになる。 ゴッド・リー 声 - 津田健次郎 薄く顎鬚を生やした、やや長髪の26歳の男性。身長180cm、体重80kg。マントを羽織り、頭にはバンダナをしている。体にはカメラが内蔵されており、ニュートンはそれにより火星の情報を得ていた。イスラエル出身。 捨て子だった所を武装勢力に拾われ、以降ずっと戦火の中で育った経験から斜に構えた所がある。 手術ベースはミイデラゴミムシ。人為変態時は過酸化水素とハイドロキノンを体内で合成し両掌にある孔から超高温の爆炎ベンゾキノンを放出することができる。 自分の命に価値が無いと思っており、捨て身な行動が目立つ。テラフォーマーの巣を突き止めるため単独で調査に向かうものの、爆炎がテラフォーマーには効かず、殺害された。 小説『THE OUTER MISSION』では妻帯者であったことが語られており、娘のジャニスが登場している(#『THE OUTER MISSION』の登場人物)。 実写映画版では中東の紛争地区で戦っていた純日本人と設定されている。無敵の兵士として名を馳せていた元テロリストであり、不死身の男「ゴッド・リー」と呼ばれていた。 テジャス・ヴィジ 声 - 竹内栄治 緩くパーマのかかった淡い色の長髪に黒く太い眉毛、厚い唇、浅黒い肌という風貌の26歳の男性。身長175cm、体重65kg。インド出身。 手術ベースはメダカハネカクシ。人為変態時は口が細く尖り、ジェット噴射のごとくガスを噴射する。 大量のテラフォーマーに囲まれたバグズ2号から車で逃走する際に動力代わりに能力を使い、乗組員を無事逃走させたが、噴出する際にテラフォーマーに首を捻じ切られ死亡した。 実写映画版ではこのキャラクターを基にした連続殺人犯の「手塚俊治」と言う人物が登場する。 マリア・ビレン、ジャイナ・エイゼンシュテイン、トシオ・ブライト、ルドン・ブルグスミューラー、ジョーン・ウェルソーク、陽 虎丸(ヤン フワン) 声 - 水樹奈々(マリア)、下山田綾華(ジャイナ)、上田燿司(トシオ)、櫻井トオル(ルドン)、佐野康之(ジョーン)、木島隆一(陽) 成す術もなくテラフォーマーに殺されたバグズ2号乗組員。手術ベースはマリアがニジイロクワガタ、ジャイナがクロカタゾウムシ、トシオがオニヤンマ、ルドンがマイマイカブリ、ジョーンがゲンゴロウ、陽がオケラ。 実写映画版ではマリアを基にした元売春婦の「連城マリア」、ジャイナを基にした元売春組織のリーダーである「大迫空衣」、陽を基にした暴力団員「虎丸陽」、ジョーンを基にした暴力団員「吉兼丈二」、トシオを基にした「総田敏雄」、ルドンを基にした「町岡隆太」が登場。
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