群生相
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バッタは蝗害を起こす前に、普段の「孤独相」と呼ばれる体から「群生相」と呼ばれる移動に適した体に変化する。これを相変異と呼ぶ。 群生相の孤独相に対する外見上の特徴は、 孤独相に比べて暗色になる。 翅が長くなる。 足が短くなる。 頭幅が大きくなる。 胸部の上が孤独相は膨らんでいるのに対し、群生相はへこんでいる。 (電子顕微鏡で見ると)触角の感覚子の数が減少している。 などが挙げられる。行動上の特徴は、 群生相の個体は互いに近づこうとする(孤独相の個体は互いに離れようとする。ただし、孤独相のバッタも群れに入れると群生行動を共にする)。 産卵前期間が増加し、羽化後生存日数が減少し、産卵回数、産卵数が減少する。 孤独相の時には食べなかった植物まで食べるようになる。 などが挙げられる。 群生相、孤独相はそれぞれ生まれつきのものである。ただし両親の遺伝子の組み合わせによるものではなく、親が暮らした集団の密度によるものであり、それも親がフェロモンのような分泌液の刺激を受けたわけではなく、別の個体との接触が主な原因と言われている。また、はっきりと2型に区別できるものではなく、程度の差がある。集団生活をしている親からは、集団の密度が高いほど、より群生相が強い子が産まれる。逆に集団密度が低くなると孤独相に近い子が生まれる。この特徴は世代を超えて累積的に遺伝する。 相変異の原因物質は、ホルモンの一種で、11種類のアミノ酸からなる[His7]コラゾニン (H-corazonin) というポリペプチドである。H コラゾニンだけで群生相になるかどうかはよく分かっていないが、少なくとも体色の黒化、前翅長、後脚腿筋、胸部の変化、触覚の感覚子の減少といった、外見上の変化があることが実験的に確かめられている。ただし、行動上の影響についてはむしろ否定的な実験結果が出ており、相変異の原因についてまだ十分には解明されていない。
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群生相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 23:04 UTC 版)
中央アジアやアフリカなどで群生相が発生すると大群をなして移動するようになり、飛蝗(ひこう)と呼ばれる。飛蝗は田畑の作物を襲って1日程で全滅させてしまうこともある。詳細は蝗害参照。日本でも沖縄県などでこのバッタが飛蝗と化し、作物に大きな被害が出たことがあった。ある研究によると、近距離に4匹以上集まると、4-ビニルアニソール(4VA)という化合物を出し、周囲のバッタが集まり群れが形成されることが確認された。 群生相 群れ 特徴 食草の幅が広くなる 肉食性が強まる 気が荒く攻撃的になる 飛翔能力が高く、長距離移動に適している 前翅が長い 後翅が短い 後脚が短い 前胸背上縁が放物線を描かなくなり平らになる 体色が黒っぽくなる 呼吸量が多い 脂肪含有率が高い 産卵数が少ない 近年、日本では下記の大発生が記録されている 1978年 栃木県南那須町 1986年 鹿児島県馬毛島 2005年 沖縄県伊平屋島 2007年 関西空港 2011年 沖縄県下地島
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群生相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 04:08 UTC 版)
タイワンツチイナゴは、インドでのみ群生相が観測された。直近の大蝗害は 1901年から1908 年まで続いた。最後に記録された群生相は1927 年であり、以後、この地域の農業のパターンは変化した。群生相は、西ガーツ山脈の森林地帯で11月から3月までの冷涼な時期を過ごした。季節風が吹き始めた5月に、群は北東に移動してグジャラート、インドール、ナグプール、ハイデラバード、東ガーツ山脈に入り、 500,000平方キロメートル (190,000 sq mi)もの地域を覆った。6月に雨が降らなかった場合、群は風に乗って移動し続け、時にはオリッサ、ビハール、ベンガルまで移動した。雨が降ると群れは分裂し、雌が卵を産んで、成虫は死んだ。卵塊は通常、草地、野焼き後のキビ畑、畑の間の畔などの重粘土質の土壌(バーティゾル、Vertisol)中に産み付けられた。卵は数週間後に孵化し、成長して翅のある成虫になると、草を食べたり、実ったキビなどの作物に移動した。10月と11月に吹く北東風により運ばれた若い成虫は主に昼間に摂食し、夜間に移動して西ガーツ山脈に戻った。
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