グジャラートとは? わかりやすく解説

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グジャラート【Gujarat】

読み方:ぐじゃらーと

インド西端にある州。カーティアワール半島占め古くから西アジア・アフリカとの交易が盛んで、国外多く移民送り出した近年重化学工業発展している。州都ガンディナガル

グジャラートの画像
グジャラート州の位置

グジャラート州

(グジャラート から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/22 07:34 UTC 版)

グジャラート州
Gujarat
ગુજરાત

紋章
ガンディーナガル
グジャラート州の位置 インド内)
座標: 北緯23度13分00秒 東経72度41分00秒 / 北緯23.2167度 東経72.6833度 / 23.2167; 72.6833
インド
行政区 26
創立 (en 1960年5月1日
州都 ガンディーナガル
最大都市 アフマダーバード
知事 アチャリヤ・デッヴラト英語版
首相 ブペンドラバイ・パテル英語版
議会(議員数) 一院制 (182)
人口
密度
60,439,692 (9位)
308/km2
標準時 IST (UTC+5:30)
面積 196024 km2 (6位)
ISO国名コード IN-GJ
公式サイト www.gujaratindia.com

座標: 北緯23度13分00秒 東経72度41分00秒 / 北緯23.2167度 東経72.6833度 / 23.2167; 72.6833

グジャラート州(グジャラートしゅう、グジャラート語: ગુજરાત  ['gudʒəɾɑt̪][ヘルプ/ファイル]、英語:英語: Gujarat)は、インドの北西部[1][2]にあるの一つ。またこの地方の歴史的名称でもある。州の面積は196,024平方キロメートル(75,755平方マイル)で1,600キロメートルの海岸線を有する。6,000万を超える人口はそのほとんどがカーティヤーワール半島に居住している。2019年のGDPは16兆3000億ルピー(2,000億ドル)であり、インドの州の中で第4位の経済規模である。

歴史

古代

グジャラート地方は、古来から西アジアとの重要な交易地であって、インダス文明の港湾都市とされるロータルや近年発見されたドーラヴィーラなどが栄えた。

北インドデカン地方の諸王朝の間でしばしば係争地になった。1世紀には、サカ族サータヴァーハナ朝が争った。8世紀から9世紀には、北インドを支配したプラティハーラ朝とデカン地方を支配したラーシュトラクータ朝がグジャラートの領有をめぐって争った。

イスラームの侵攻

12世紀の寺院

10世紀にはイスラム原理に基づくガズナ朝のインド侵攻が始まり、1025年にはマフムードによってソームナート英語版の豊かなヒンドゥー寺院を徹底的に略奪した[3]

13世紀にはデリー・スルターン朝ハルジー朝)のもとでムスリム(イスラーム教徒)がグジャラートを征服。

1407年にムザッファル・シャー1世がデリー・スルターン朝(トゥグルク朝)から自立して、グジャラート・スルターン朝を樹立。アフマド・シャー1世の代に、アフマダーバードを首都にして栄えた。

1509年ディーウ沖海戦

1573年アクバルによってムガル帝国に併合された。

独立後

イギリス支配時代のグジャラート地方は、イギリス領インド帝国のボンベイ管区の一部となった。この管区の中には現在のグジャラート州西部のカッチ王国、東部のバローダ国、カーティヤーワール半島(サウラーシュトラ)の諸王国など多数の藩王国があった。独立後にボンベイ管区はボンベイ州となり、1956年から各州を言語別に再編する事業が始まり、ボンベイ州はカッチ王国を前身とするカッチ州、サウラーシュトラ諸王国を前身とするサウラーシュトラ州を併合したが、1960年にはボンベイ州はグジャラート語を話す地方からなるグジャラート州と、マラーティー語を話す地方からなるマハーラーシュトラ州に分割された。

2002年2月27日ゴードラー列車襲撃事件英語版グジャラート動乱英語版(2月 - 6月)。2003年インド人民党(BJP)のハーレン・パンディア英語版州歳入担当相が暗殺された。

地理

衛星写真に見るグジャラート州

グジャラートは、「グジャラート族英語版の地」という意味である。

地図上では、アラビア海に突き出たサウラシュートラ半島(カーティヤワール半島)とその付け根部分にあたり、インド亜大陸の北西の付け根でもある。サウラシュートラ半島の北のカッチ湾をまたいで、カッチ湿地英語版カッチ大湿地およびカッチ小湿地英語版)があり、半島の南にはカンバート湾(カンベイ湾)が広がる。

グジャラート州は、真南から真西を海に囲まれ、北にラージャスターン州、東にマディヤ・プラデーシュ州、東南にマハーラーシュトラ州、北西にパキスタン領のシンド州との国境がある。

州全体で起伏が少なく、冬はほとんど晴れ、比較的乾燥し、日中29℃、夜間12℃である。夏は日中41℃、夜間29℃と暑く乾燥しているが、6月中旬からのモンスーンで気温がやや低下し、湿度が増す。モンスーンにより大量の降雨があり、洪水を引き起こす。

地方行政区分

グジャラート州の地方行政区

主要都市

政治

州議会

州議会の定数は182議席で、2022年12月1日から5日にわたって行われた州議会選挙の政党別議席配分は以下の通りとなる。

州首相

氏名 在任期間 党派
ジブラージ・ナラヤン・メフタ英語版 1960年5月1日 - 1963年9月19日 インド国民会議
バルワントライ・メフタ英語版 1963年9月19日 - 1965年9月19日
ヒテンドラ・カナイヤラル・デサイー英語版 1965年9月19日 - 1971年5月12日
ガンシャム・オザ英語版 1972年3月17日 - 1973年7月17日
チマンバイ・パテル英語版 1973年7月17日 - 1974年2月9日
バブバイ・J・パテル英語版 1975年6月18日 - 1976年3月12日
マーダブ・シン・ソランキ英語版 1976年12月24日 - 1977年4月10日
バブバイ・J・パテル英語版 1977年4月11日 - 1980年6月6日 ジャナタ党
マーダブ・シン・ソランキ英語版 1980年6月7日 - 1985年7月6日 インド国民会議
アマルシン・チャウダリ英語版 1985年7月6日 - 1989年12月9日
マーダブ・シン・ソランキ英語版 1989年12月10日 - 1990年3月3日
チマンバイ・パテル英語版 1990年3月4日 - 1994年2月17日 ジャナタ・ダル
ハハビルダス・メフタ英語版 1994年2月17日 - 1995年3月14日
ケスハブハイ・パテル英語版 1995年3月14日 - 1995年10月21日 インド人民党
スレッシュ・メフタ英語版 1995年10月21日 - 1996年9月19日
シャンカルシン・ワゲーラ英語版 1996年10月23日 - 1997年10月27日 Rashtriya Janata Party
ディリップ・パリク英語版 1997年10月28日 - 1998年3月4日
ケスハブハイ・パテル英語版 1998年3月4日 - 2001年10月6日 インド人民党
ナレンドラ・モディ 2001年10月7日 - 2014年5月22日
アナンディベン・パテル英語版 2014年5月22日 - 2016年8月7日
ビジェイ・ルパニ英語版 2016年8月7日 - 2021年9月12日
ブペンドラ・パテル英語版 2021年9月13日 - (現職)

経済

農業

農産物では綿花タバコ落花生ナツメヤシサトウキビコメなどの生産が盛んである。郊外では酪農業も行われ、乳製品の産地でもある。

1994年2019年には蝗害が発生し、農作物に大きな被害が出た。2019年の発生の際には殺虫剤による駆除が行われたが、地域にはなどの金属を打ち鳴らして追い払う風習が残されており、古くから大きな被害に悩まされてきたことが伺われる[4]

工業

グジャラート州は、インド国内で工業生産が最も盛んな州であり、国内の約4割を占めている。石油・化学や鉱工業の他に、船舶解体、自動車繊維などの工業がある。 エッサール・グループのハジラ製鉄所があり、年間1,000万トン規模の生産量を誇っていたが2017年に破産。再建に向けて売却手続きが進められている[5]

石油・化学

特に化学工業、製薬工業が盛んで、ジャームナガルにあるコンビナートリライアンス・インダストリーズ精油所であるen:Jamnagar Refineryエッサール・グループen:Essar Oil、等)では、インドの石油化学製品の約7割、医薬品の約4割が同省で生産されている。また農薬を含むリン化学製品は、世界でも有数の製造地のひとつとなっている。全長1,670キロメートルにもおよぶ海岸線はインドの州の内最長である。伝統的に製塩業も盛んで、現在もインド全体の塩の約8割が同州で生産され、石灰石から製造されるソーダ灰も約9割が生産されている。地元の石灰石はセメント製造にも用いられている。

鉱工業

鉱産資源では、石灰石の他、方解石石膏マンガンボーキサイト瑪瑙長石ケイ砂カーネリアンを産し、褐炭等の化石燃料も州内で採掘されている。海外との宝石取引の拠点ともなっており、スーラトダイヤモンド取引は盛んである。

投資誘致

2003年よりバイブラント・グジャラート(Vibrant Gujarat)[6]という国際投資サミットを隔年で開催しており、海外からの投資誘致に成功している。

住民

民族

近代には、「インド産業の父」と呼ばれるジャムシェトジー・タタや「インド独立の父」と呼ばれるマハトマ・ガンディーがこの地方で生まれた。英語圏の東アフリカ、米英に移民として出たものも多く[7]、これら地域のインド人はグジャラート出身者あるいはその子孫である場合が大半である。第18代インド首相ナレンドラ・モディもこの地方出身である。

言語

グジャラート語ロマ語カッチ語シンド語ビリー語ガミット語英語版ウルドゥー語マールワーリー語マラーティー語パンジャーブ語タミル語テルグ語ベンガル語カンナダ語オリヤー語マラヤーラム語

宗教

ヒンドゥー教徒(89.1%)、ムスリム(9.1%)、ジャイナ教徒(1.0%)、シク教徒(0.1%)、キリスト教徒(0.5%)[8]

ジャイナ教寺院

脚注

出典

  1. ^ http://wingsbirds.com/tours/india-west-gujarat-rann-kutch/
  2. ^ http://www.gujaratindia.com/about-gujarat/history-1.htm
  3. ^ ジョージ・C・コーン(著)、鈴木主税(訳)、浅岡政子(訳)『世界戦争事典 改訂第2版』河出書房新社、2014年9月29日、147頁。ISBN 978-4-309-22614-9 
  4. ^ バッタが大量発生、過去25年で最悪の農業被害 インド北西部”. AFP (2019年12月26日). 2020年2月26日閲覧。
  5. ^ 新日鉄住金とアルセロール・ミタル、印エッサール共同買収へ”. 日刊工業新聞 (2018年3月3日). 2018年4月28日閲覧。
  6. ^ Vibrant Gujarat Global Summit”. iNDEXTb (2022年1月1日). 2022年11月2日閲覧。
  7. ^ グジャラート語参照
  8. ^ Indian Census

関連項目

外部リンク


グジャラート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 04:22 UTC 版)

インドの風力発電」の記事における「グジャラート」の解説

グジャラート州政府再生可能エネルギーの利用力を入れたため、ここ数年風力発電容量急増している。公式のデータによると、州の風力発電容量6年の間に10倍にもなった。ONGC Ltd.はグジャラートの都市ブジに51MWの風力発電所設置した2017年Vibrant Gujarat Summit了解覚書には再生可能エネルギープロジェクト1兆ルピーもの価値があるとある。

※この「グジャラート」の解説は、「インドの風力発電」の解説の一部です。
「グジャラート」を含む「インドの風力発電」の記事については、「インドの風力発電」の概要を参照ください。

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