月 (暦) 月 (暦)の概要

月 (暦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/27 00:12 UTC 版)

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記号 m, mon
暦法
時間
SI 2.551 × 106 前後
定義 1朔望月前後(28 - 31日)
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概念

時間単位の「月」は、日次経過を知る際に天体相(満ち欠け)の様子を見ることで容易に認識できることから生じた。新月から次の新月までの周期を指す1朔望月が約29.530 589であることから30日(大の月)もしくは29日(小の月)を1か月としていた[6]。この周期単位を用いる太陰暦では、1は約354.4日となってしまい、季節の循環を司る太陽天球を一巡する周期である365.2422日[7]と比べて、3年で1か月程度ずれが積み重なる。このため、閏月を適宜加える太陰太陽暦が作られた[8]。しかし、どのように閏月を設定すべきかという置閏法の問題が残った[8]。一年を太陽の運行から定める太陽暦は、ナイル川氾濫太陽年の周期で起こる古代エジプトで発明され、古代ローマのユリウス暦に取り込まれてヨーロッパに広まり、改暦を経たグレゴリオ暦として世界中に広まり、時間の「月」はその基準を天体の月から太陽へ移されることになった[9]

天文学的な月

定義

地球上からの観察において、月が太陽の位置に対して一巡する周期を朔望月または太陰月と言う。太陽 - 月 - 地球が直線に並ぶ(新月)から次の朔まで、または太陽-地球-月が並ぶ(満月)から次の望までの期間を指す[1]。これに対し、遠方にある恒星の位置に対して月が一巡する周期を恒星月と言い、月が地球を一周する公転期間でもある[10]。地球上から見て、月の軌道が黄道に対して昇る方向で交わる点(昇交点)に来る周期を交点月と言う[11][2- 1]。月が春分点を通過する周期は分点月と言われる[12]

月が近地点の位置に来る周期を近点月と言う[12]。これら月の周期の間には、223朔望月 = 239近点月 = 242交点月 = Ts(6585.5376日) という尽数関係があり、このTsサロス周期として古くから知られている[13]

朔望月は約29.530 589日、恒星月は約27.321 662日である。それらの周期は一定ではなく、年月の進みによって僅かずつであるが変化していく。その計算式は下記の通りである[14]

朔望月 29.530 588 853(日) + 0.000 000 002 162 × Y
恒星月 27.321 661 547(日) + 0.000 000 001 857 × Y
交点月 27.212 220 817(日) + 0.000 000 003 833 × Y
分点月 27.321 582 241(日) + 0.000 000 001 506 × Y
近点月 27.554 549 878(日) − 0.000 000 010 390 × Y

ここで、Y は、J2000.0(2000年1月1日12時(地球時TT))からのユリウス年数である。例えば、2017年1月1日の朔望月は、29.530 588 853(日) + 0.000 000 002 162 × 17 = 29.530 588 890 日 = 29日12時間44分02.8801秒となり、2000年1月1日の朔望月 29.530 588 853 日 = 29日12時間44分02.8769秒と比べて、0.0032秒だけ長くなる。

将来

一方、地球の自転は摂動や潮汐などの影響によって段々と減速している事も知られている[15]。そして、月の公転期間との差異が徐々に縮まり、約50億年後には一致して地球と月は常に同じ面を向け合うようになるとの説もある[16]。こうなると1朔望月は1日となり、地球上のほぼ半分からしか月は見えなくなる。

暦月

では、月は日の整数倍となる。暦によって、また同じ暦でも月により長さは異なる。太陰暦太陰太陽暦では、ある月相(原則として)のころの日初を、月の始まりとする。そのため、1か月は平均すれば1朔望月に等しい。朔望月の日数には端数があるため、個々の月には30日の月(大の月)と29日の月(小の月)がある[1]。一年は原則として12か月だが、太陰太陽暦では約2.713年に一度の閏年閏月が加わり13か月になる。太陽暦は朔望に対応した単位を持たない。そのため月を置く必然性はないが、朔望とは無関係な「月」を持っている。




注釈

  1. ^ 天文や天文台についての質問:国立天文台では、冬の2か月に相当する期間は時間としての経過はあるが「暦」が無い空白として取り扱われたと説明する。

脚注

  1. ^ a b c d 岡田ら (1994)、pp.70-72、四季と暦、月と暦
  2. ^ 「【月】」『日本語大辞典』講談社、1989年、第一刷、1291頁。ISBN 4-06-121057-2
  3. ^ 佐藤 (2009)、pp.77 - 81、世界統一暦の試み
  4. ^ a b 質問3-7 1月1日はどうやって決まったの?”. 国立天文台. 2011年12月20日閲覧。
  5. ^ a b c d 池内 (1999)、3.俺は北極星のように不動だ、pp.44-47、改暦の歴史
  6. ^ 青木 (1982)、序章 月と時、pp.1-2、月のみちかけ
  7. ^ 「【年】」『日本語大辞典』講談社、1989年、第一刷、1507頁。ISBN 4-06-121057-2
  8. ^ a b 青木 (1982)、序章 月と時、pp.3-4、太陰太陽暦
  9. ^ a b c 馬嶋玄敏「暦法・とくに置閏法についての一考察」『研究紀要』第7巻、奈良女子大学、1965年、 15-20頁、 ISSN 03891704NAID 1100010304802020年6月4日閲覧。
  10. ^ 月と地球の軌道”. 北海道大学理学部地球惑星科学科. 2011年12月20日閲覧。
  11. ^ 7月22日皆既日食”. 国立天文台. 2011年12月20日閲覧。
  12. ^ a b 松本晃治/国立天文大学電波研究部. “やさしい海洋潮汐モデリング (PDF)”. 東京大学地震研究所. 2011年12月20日閲覧。
  13. ^ 井本正介「制限三体問題とサロス周期」『福井工業大学研究紀要. 第一部』第25号、福井工業大学、1995年、 275-281-275-281頁、 ISSN 0286-8571NAID 1100004848482020年6月4日閲覧。
  14. ^ 2000年1月1日 12:00 TT;Derived from ELP2000-85: M. Chapront-Touzé, J. Chapront (1991): Lunar tables and programs from 4000 B. C. to A. D. 8000. Willmann-Bell, Richmond VA; ISBN 0-943396-33-6
  15. ^ 青木 (1982)、第4章 単位と天体暦、p.165、三 一年の長さ 一年の日数
  16. ^ 沼澤茂美、脇屋奈々代『宇宙』成美堂出版、2007年、50頁。ISBN 978-4-415-30019-1
  17. ^ a b 池内 (1999)、3 俺は北極星のように不動だ、pp.42-43、ローマの暦
  18. ^ 岡田ら (1994)、p.297、原始的な暦法、ボントク・イゴロット族の暦
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 岡田ら (1994)、pp.297-298、原始的な暦法、アイヌの暦
  20. ^ 岡田ら (1994)、p.298、原始的な暦法、イロコイ族の暦
  21. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 『アイヌの民俗』更科源蔵1982
  22. ^ アイヌ民族の有用植物”. 北海道立衛星研究所. 2011年12月20日閲覧。
  23. ^ a b c 岡田ら (1994)、pp.15-28、和風月名の由来
  24. ^ a b 岡田ら (1994)、pp.299-300、太陰暦、イスラム暦
  25. ^ 岡田ら (1994)、pp.301-302、太陰太陽暦、ユダヤ暦
  26. ^ 岡田ら (1994)、pp.315-317、太陽暦、マヤ暦
  27. ^ 佐藤悦夫. “マヤのカレンダー”. 富山国際大学現代社会学部. 2011年11月2日閲覧。
  28. ^ 民法 第6章 期間の計算”. 民法条文解説.com. 2011年11月2日閲覧。
  29. ^ 計量法(平成四年五月二十日法律第五十一号)”. 総務省. 2019年12月23日閲覧。
  30. ^ a b 暦の基礎知識”. 筑波大学附属図書館. 2011年11月2日閲覧。
  31. ^ 二十四節気”. 国立天文台. 2011年11月2日閲覧。

脚注2

  1. ^ 暦象年表2009




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