こうき‐じゅうばくげきき〔‐ヂユウバクゲキキ〕【後期重爆撃期】
後期重爆撃期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/03 10:11 UTC 版)
後期重爆撃期(こうきじゅうばくげきき、英語:Late Heavy Bombardment, lunar cataclysm, LHBとも)とは、天文学・地球惑星科学において41億年前から38億年前の期間を指す言葉である。ここで言う「後期」とは星間物質の集積(衝突)による惑星の誕生・成長(en:planetary accretion)の時期を前期とし、惑星形成後の衝突を示したものである[1]。
- ^ 天文学辞典 - 日本天文学会 「隕石重爆撃期」 閲覧2021-9-24
- ^ B. A. Cohen, T. D. Swindle, D. A. Kring (2000). “Support for the Lunar Cataclysm Hypothesis from Lunar Meteorite Impact Melt Ages”. Science 290 (5497): 1754–1755.
- ^ William K. Hartmann, Cathy Quantin, and Nicolas Mangold (2007). “Possible long-term decline in impact rates: 2. Lunar impact-melt data regarding impact history”. Icarus 186: 11–23. doi:10.1016/j.icarus.2006.09.009.
- ^ Strom, 1979
- ^ “Chronology of Planetary Surfaces” (英語). Planetary Geology Working Group. pp. section 3.3.1 (1981-1982). 2009年2月26日閲覧。
- ^ L. A. Haskin, R. L. Korotev, R. L. Rockow, B. L. Jolliff (1998). “The case for an Imbrium origin of the Apollo thorium-rich impact-melt breccias”. Meteorit. Planet. Sci. 33: 959–979.
- ^ 大阪市立自然史博物館 「地球と生命の誕生」
- ^ 「地球と生命の誕生・そして深海」
- ^ S. J. Mojzsis (2001) (英語). Lithosphere-Hydrosphere Interactions on the Hadean (>4 Ga) Earth. American Geophysical Union, Fall Meeting 2001 2009年2月26日閲覧。.
- ^ “Revising Earth's Early History” (英語). Science Daily (2005年12月30日). 2009年2月26日閲覧。
- ^ “Hadean time” (英語). University of California Museum of Planetology. 2009年2月26日閲覧。
- ^ “Carbonates' role in the chemical evolution of oceans on Earth & Mars” (英語). Quarterdeck Online (1999年). 2023年2月3日閲覧。
- ^ David Tenenbaum (2002年10月14日). “When Did Life on Earth Begin? Ask a Rock” (英語). NASA. 2009年2月26日閲覧。
- ^ Rachel Courtland (2008年7月2日). “Did newborn Earth harbour life?” (英語). New Scientist. 2009年2月26日閲覧。
- ^ Gogarten-Boekels, M., Hilario, E. and Gogarten, J. P. (1995). “The effects of heavy meteorite bombardment on the early evolution - The emergence of the three domains of life”. Evol. Biosphere 25: 251–264.Boussau, B., Blanquart, S., Necsulea, A., Lartillot, N., Gouy, M. (2008). “Parallel adaptations to high temperatures in the Archaean eon”. Nature 456: 942–945.
- ^ a b c R. Gomes; H.F. Levison, K. Tsiganis & A. Morbidelli (2005). “Origin of the cataclysmic Late Heavy Bombardment period of the terrestrial planets” (PDF). Nature Vol. 435. doi:10.1038/nature03676 2009年2月26日閲覧。.
- ^ T. Nakano (1987). “Formation of planets around stars of various masses. I - Formulation and a star of one solar mass”. Royal Astronomical Society, Monthly Notices 224: 107-130. ISSN 0035-8711 2009年2月26日閲覧。.
- ^ G. J. Taylor (2001年8月21日). “Uranus, Neptune, and the Mountains of the Moon”. Planetary Science Research Discoveries. 2009年2月26日閲覧。
- ^ a b c Chambers (2007). Icarus 189: 366. Bibcode: 2007Icar..189..386C.
- 1 後期重爆撃期とは
- 2 後期重爆撃期の概要
- 3 地球への影響
- 4 原因
- 5 脚注
後期重爆撃期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 07:06 UTC 版)
詳細は「後期重爆撃期」を参照 月や地球型惑星のクレーター記録は、後期重爆撃期の主要な証拠の一部である。後期重爆撃期とは、太陽系が形成されてからおよそ6億年後の、天体衝突数が増加した時期を指す。ニースモデルでは、外側の微惑星円盤が天王星と海王星によって氷微惑星の軌道が乱されると、惑星と交差する軌道に散乱させられるため、惑星への氷天体の衝突頻度が急激に上昇するとされる。また外惑星が移動することによって、外惑星と平均運動共鳴もしくは永年共鳴を引き起こす軌道位置が内太陽系を掃くように移動することとなる。小惑星帯ではこれらの共鳴によって小惑星の軌道離心率が励起されて地球型惑星の軌道と交差するようになり、岩石天体による天体衝突が増加する時期がさらに長い期間継続する。この過程で、小惑星帯からはおよそ 90% の質量が取り除かれる。ニースモデルにおいて月に到達する微惑星の数は、後期重爆撃期のクレーター記録と一致する。しかしその結果として残される小惑星の軌道分布は、現在の観測と一致しない。外太陽系においては、木星の衛星への衝突はガニメデの内部の分化を引き起こすには十分であったが、カリストの分化には不十分であった。しかし後期重爆撃期の氷微惑星の衝突が土星の内衛星へ与える影響は大きくなりすぎると考えられており、衛星からの氷成分の蒸発を引き起こしてしまうことが指摘されている。
※この「後期重爆撃期」の解説は、「ニースモデル」の解説の一部です。
「後期重爆撃期」を含む「ニースモデル」の記事については、「ニースモデル」の概要を参照ください。
後期重爆撃期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 02:28 UTC 版)
木星型惑星の移動による重力の釣り合いの変化によって、多数の小天体が内部太陽系に侵入し、それ以前の元々小惑星帯にあった物質が枯渇して現在の状態になった。これが引き金となって、約40億年前の後期重爆撃期が起こった。後期重爆撃期は数億年も続き、月や水星のような内部太陽系の地質学的に死んだ天体ではこの時の名残のクレーターを現在でも見ることができる。知られている地球上で最も古い生命の痕跡は約38億年前のもので、後期重爆撃期が終わった直後の頃に生命が誕生したと考えられているが、近年では生命は、それ以前に発生しており、後期重爆撃を生き抜いたともいわれている。。 このような衝突は、現在でこそ希だが太陽系の進化の過程では普通のことだったと考えられている。それが起き続けていることは、1994年のシューメーカー・レヴィ第9彗星の木星への衝突や、アリゾナ州にあるバリンジャー・クレーターなどから明らかである。このような衝突による天体成長のプロセスはまだ完了しておらず、いまだに地球上の生命の脅威の1つになっている。 外部太陽系の進化は、近傍の超新星爆発や、星間雲を通過することなどの影響を受けていると考えられている。外部太陽系の天体の表面は、太陽風、微小隕石、中性の星間物質等によって宇宙風化 (space weathering) 作用を受ける。 後期重爆撃期以後の小惑星帯の進化は主に衝突によるものである。十分に質量の大きな天体であれば、激しい衝突によって破砕され飛散しようとする物質の大部分を重力によって繋ぎ止め続けることができるが、小惑星帯ではそのような例は少ない。結果として多くの大きな天体は破壊され、あまり激しくない衝突を生き残った物からもしばしば新しい小さな天体ができる。衝突によって生まれた破片は小惑星族を形成する。また小惑星の周囲を回っている衛星は、母天体の重力から逃げ切れなかった物質が集まったものと考えられている。
※この「後期重爆撃期」の解説は、「太陽系の形成と進化」の解説の一部です。
「後期重爆撃期」を含む「太陽系の形成と進化」の記事については、「太陽系の形成と進化」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- 後期重爆撃期のページへのリンク