内円盤の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 04:08 UTC 版)
中心星近くから強い中間赤外線が放射される理由を説明する理論として、様々なものが提唱されており、中には、細長い楕円軌道をとる微惑星群が中心星近くで衝突を起こしたとするものや、惑星同士のジャイアント・インパクト、小惑星帯での大規模衝突など、可能性が低そうなものも存在する。 中間赤外スペクトルには、天体衝突が原因と考えられる二酸化ケイ素や、高温の炭素質の塵に加えて、彗星によくみられる、水や炭素が豊富な始原的物質の成分も現れている。例えば、からす座η星の周りで検出された水の量は、地球の全海水量の0.03%以上になる。このことから推測するに、星系の外縁部で形成された、星形成初期の姿をとどめ、氷の豊富な天体が、何らかの物理過程によって中心星近くまで移動させられ、そこで衝突を起こした可能性が高いと考えられる。 そのような、外縁天体を内側へ誘導する物理過程としては、ポインティング・ロバートソン効果や、惑星による散乱があるが、ポインティング・ロバートソン効果によって外側の塵が移動してきただけでは、内側の大量の塵を説明することはできないため、未発見の惑星が存在することが期待される。 惑星が存在するとして、中心星近くまで塵をもたらす筋書きとして、もっともらしいと考えられるものは、3つある。 太陽系の後期重爆撃期に相当するような不安定期を経て、彗星のような天体が内側へ移動してきた。 惑星の重力によって、外円盤の塵粒子や氷の粒が散乱され、移動してきた。 惑星の重力によって、星系外縁の微惑星が散乱され、内惑星と衝突して残骸を散布した。 内円盤の塵の質量は、後期重爆撃期に地球へ降り注いだとされる物質の全質量に近い。そのため、からす座η星は、太陽系の後期重爆撃期について理解を深めるための材料として、格好の観測対象とされる。 また、外縁の物質を内側へ散乱させた惑星の存在についても推定が進められており、外円盤内縁の半径からして、質量が地球の3倍から30倍くらいの惑星が、半径75から100AU、離心率0.08以下の円に近い軌道を公転している可能性がある。
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