木星の衛星とは? わかりやすく解説

木星の衛星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/14 01:10 UTC 版)

木星とガリレオ衛星(合成画像)

本項では、木星衛星(もくせいのえいせい)について述べる。2024年2月23日現在知られている木星の衛星の総数は95個[1]で、そのうち57個が命名されている[2][3][4]。太陽系の惑星の中では土星に次いで2番目に報告された衛星の総数が多い。また、未発見の小さな衛星が存在する可能性もある。

1999年以降に発見された衛星の多くは長楕円軌道だったり、逆行していたりする。これらは直径が平均 3 km 、最大のものでも 9 km 足らずで、木星に捕獲された太陽系小天体だと思われるが、これらについてはごくわずかなことしか知られていない。

発見

1610年に、木星の最初の衛星4個(ガリレオ衛星)が発見された。それから4世紀の間に、地上からの観測でさらに衛星9個が発見された。

1975年テミストが発見されたが、軌道を確定する十分な観測がないまま見失われた。

1979年ボイジャー1号が3つの衛星を発見し、衛星の総数は16個となった(テミストを除く)。

1999年以降

1999年10月6日に小惑星探査プロジェクトのスペースウォッチにより小惑星「1999 UX18」が発見されたが、やがて実は木星の新衛星だったことが判明した。この衛星はカリロエと命名された。

2000年11月23日から12月5日にかけ、スコット・S・シェパードデヴィッド・C・ジューウィットに率いられたハワイ大学のチームが木星の小さな衛星の組織的な捜索を始めた。同チームはマウナケア天文台群にある13基の望遠鏡のうち2つ(1つは日本のすばる望遠鏡)に世界最大級のCCDカメラを取り付け、2000年だけでテミストの再発見を含む衛星11個を発見した。ディアについては存在を疑問視する意見もあったが、2010年から2011年にかけての観測で存在が確定された[5]

2001年12月9日から11日の捜索では11個、2002年にはわずか1個だったが、2003年2月5日から9日の捜索でさらに衛星23個が発見された。

2010年9月7日S/2010 J 1、翌9月8日にはS/2010 J 2という新衛星2個が発見された。公転周期はJ1が約2年、J2が約1.6年とされる[6]

2011年9月27日チリラスカンパナス天文台マゼラン望遠鏡で、木星に新たな2つの衛星が周回していることが撮影された。それぞれS/2011 J 1S/2011 J 2と仮符号が付けられた。この2つの新衛星は不規則衛星に分類される逆行衛星群の一部で、木星からの距離が遠く、公転軌道も傾斜した楕円状という。衛星直径はいずれも1キロほどで、公転周期はそれぞれJ1が約580日、J2が約726日[7]

2017年、スコット・S・シェパードらの率いるカーネギー研究所のチームは、チリのセロ・トロロ汎米天文台で冥王星以遠の惑星を探索したが、偶然木星も観測範囲内にあったために合わせて衛星を探索することとし、この結果12個の衛星が確認された[8]。これらの発見は、2017年7月2日に2個、2018年7月17日に10個が小惑星センターを通して公表された。この中には、3つの逆行衛星群を横切って順行するバレトゥードーも含まれる。これによって木星の衛星は79個となった[8]

2021年6月初旬、アマチュア天文家の Kai Ly がカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡によって撮影されていた画像の中にまだ未発見の衛星が写っているかもしれないと思い分析を行っていたところ、2003年2月に撮影された画像の中に木星の80番目の衛星が写っていたことを発見した[9]。その後、同年11月15日に公表された小惑星電子回報 (Minor Planet Electronic Circular) にて正式にS/2003 J 24と命名された[10]

分類

木星の不規則衛星。横軸は軌道長半径 / 100万 km、縦軸は黄道面に対する軌道傾斜角 / °。

一般に惑星の衛星は、離心率軌道傾斜角が小さい規則衛星と、それらが大きい不規則衛星に分けられる。木星の衛星では、内側の8つが規則衛星である。また、内側の21個は順行衛星、それ以外は逆行衛星である。逆行衛星は、捕獲された小天体だと考えられている。なお、古くに名づけられた衛星や特殊な軌道を持つ衛星を除き、順行衛星は語尾が‐a、逆行衛星は語尾が‐eと名づけるよう決められている。

1979年ボイジャーによる発見からしばらくの間、知られていた16の衛星は4個ずつ4つのグループ(内部群、ガリレオ衛星、ヒマリア群、外部逆行群)に整然と分けられていた。しかし1999年以降、新しい小さな衛星が多数発見されたことで分類は複雑になった。現在発見されている衛星は、7つの主なグループと、いくつかの孤立した衛星に分けられている。

規則/不規則 順行/逆行 グループ 衛星数
規則衛星 順行衛星 アマルテア群 4
ガリレオ衛星 4
不規則衛星 テミスト
ヒマリア群 9
カルポ群 2
バレトゥードー
逆行衛星 アナンケ群 26
カルメ群 30
パシファエ群 18
アマルテア群(内部群)
直径200 km以下、軌道半長径20万 km以下、軌道傾斜角0.5°以下の4つの小さい衛星。現在の位置で形成されたのではなく、外から取り込まれたものであるとの報告がある[11]
ガリレオ群(ガリレオ衛星)
軌道半長径が20万 kmから400万 kmの、ガリレオ・ガリレイによって発見された4つの大きな衛星(いくつかは太陽系で最大級)。
ヒマリア群
軌道半長径が1100万 - 1200万 km、軌道傾斜角が1.6°という狭い範囲(27.5°±0.8°)に「密集」している。離心率は0.11から0.25と幅広い。
カルポ群
軌道長半径が1700万 km前後、軌道傾斜角が50°強。長らくカルポにしか見られない独自の軌道であるとされてきたが、S/2018 J 4 の発見により、スコット・S・シェパードはこの2つを併せて独自の衛星群として扱っている[4]。しかし、両者の軌道長半径と軌道傾斜角は似通っているが、離心率には大きな差がある。
アナンケ群
軌道半長径が平均2127万6000 km、軌道傾斜角が149.0°±0.5°、離心率が0.216 - 0.244の、境界が明瞭でないグループ。
カルメ群
軌道半長径が平均2340万4000 km、軌道傾斜角が165.2°±0.3°、離心率が0.238 - 0.272(S/2003 J10は例外的に大きな離心率を持つ)のグループ。
パシファエ群
軌道半長径が平均2362万4000 km、軌道傾斜角が151.4°±6.9°、離心率が0.156 - 0.432(最も大きく分散していることに注意)。

アマルテア群、ガリレオ群以外のグループは、それぞれ共通の起源を持つと考えられている。

衛星の一覧

木星の衛星
順序 確定番号 名前 直径/幅
(km)
質量
(kg)
軌道
傾斜角
(度)(4)
離心率 軌道
半長径
(km)(3)
公転周期
(日)(3)
発見
(年)
1 XVI メティス 60 × 40 × 34 1.2 ×1017 0.000 0.0012 127,690(1) 0.294780(2)
(7.08時間)
1979 アマルテア群
2 XV アドラステア 26 × 20 × 16 7.5 ×1015 0.000 0.0018 128,690(1) 0.29826(2)
(7.11時間)
1979 アマルテア群
3 V アマルテア 262 × 146 × 134 2.1 ×1018 0.360 0.0031 181,170(1) 0.49817905(2)
(11.92時間)
1892 アマルテア群
4 XIV テーベ 110 × 90 1.5 ×1018 0.901 0.0177 221,700(1) 0.6745(2)
(16.23時間)
1979 アマルテア群
5 I イオ 3660.0
× 3637.4
× 3630.6
8.9 ×1022 0.050 0.0041 421,700(1) 1.769137786(2) 1610 ガリレオ衛星
6 II エウロパ 3121.6 4.8 ×1022 0.471 0.0094 671,034(1) 3.551181041(2) 1610 ガリレオ衛星
7 III ガニメデ 5262.4 1.5 ×1023 0.204 0.0011 1,070,412(1) 7.15455296(2) 1610 ガリレオ衛星
8 IV カリスト 4820.6 1.1 ×1023 0.205 0.0074 1,882,709(1) 16.6890184(2) 1610 ガリレオ衛星
9 XVIII テミスト 8 6.9 ×1014 15.346 0.2006 7,391,645 129.827611 1975
(2000)
?
10 XIII レダ 20 1.1 ×1016 27.210 0.1854 11,097,245 238.824159 1974 ヒマリア群
11 VI ヒマリア 170 6.7 ×1018 29.590 0.1443 11,432,435 249.726305 1904 ヒマリア群
12 LXXI Ersa 3 30.61 0.094 11,483,000 252.0 2018 ヒマリア群
13 LXV Pandia 3 28.15 0.180 11,525,000 252.1 2017 ヒマリア群
14 X リシテア 36 6.3 ×1016 25.771 0.1132 11,653,225 256.995413 1938 ヒマリア群
15 VII エララ 86 8.7 ×1017 30.663 0.1723 11,683,115 257.984888 1905 ヒマリア群
16 LIII ディア 4 9.0 ×1013 26.169 0.2058 12,570,575 287.931046 2000 ヒマリア群
17 XLVI カルポ 3 4.5 ×1013 56.001 0.2736 17,144,875 458.624818 2003 カルポ群
18 (lost) S/2003 J 12 1 1.5 ×1012 142.680 0.4449 17,739,540 482.691255 2003 ?
19 LXII バレトゥードー 1 34.014 0.2219 18,980,000 532.01 2017
20 XXXIV エウポリエ 2 1.5 ×1013 144.694 0.0960 19,088,435 538.779839 2001 アナンケ群
21 LX Eupheme 2 1.5 ×1013 146.363 0.2507 19,621,780 561.517739 2003 アナンケ群
22 LXXII S/2011 J 1 2 1.5 ×1013 165.318 0.2534 23,446,000 736.35 2011 カルメ群
23 LV S/2003 J 18 2 1.5 ×1013 147.401 0.1570 19,812,575 569.728015 2003 アナンケ群
24 LII S/2010 J 2 1 150.4 0.307 20,307,150 588.1 2010 アナンケ群
25 XLII テルクシノエ 2 1.5 ×1013 102.844 0.2685 20,453,755 597.606695 2003 アナンケ群
26 XXXIII エウアンテ 3 4.5 ×1013 123.649 0.2000 20,464,855 598.093368 2001 アナンケ群
27 XLV ヘリケ 4 9.0 ×1013 120.908 0.1375 20,540,265 601.401918 2003 アナンケ群
28 XXXV オーソシエ 2 1.5 ×1013 101.861 0.2433 20,567,970 602.619143 2001 アナンケ群
29 LXVIII S/2017 J 7 2 143.4 0.215 20,627,000 602.6 2017 アナンケ群
30 LIV S/2016 J 1 1 139.8 0.141 20,650,845 602.7 2016 アナンケ群
31 LXIV S/2017 J 3 2 147.9 0.148 20,694,000 606.3 2017 アナンケ群
32 XXIV イオカステ 5 1.9 ×1014 127.043 0.2874 20,722,565 609.426611 2000 アナンケ群
33 S/2003 J 16 2 1.5 ×1013 149.279 0.3185 20,743,780 610.362159 2003 アナンケ群
34 XXVII プラクシディケ 7 4.3 ×1014 132.099 0.1840 20,823,950 613.904099 2000 アナンケ群
35 XXII ハルパリケ 4 1.2 ×1014 143.944 0.2441 21,063,815 624.541797 2000 アナンケ群
36 XL ムネメ 2 1.5 ×1013 147.647 0.2214 21,427,110 640.768660 2003 アナンケ群
37 XXX ヘルミッペ 4 9.0 ×1013 149.058 0.2290 21,182,085 629.809040 2001 アナンケ群
38 XXIX スィオネ 4 9.0 ×1013 116.088 0.2526 21,405,570 639.802554 2001 アナンケ群
39 LXX S/2017 J 9 3 152.7 0.229 21,487,000 639.2 2017 アナンケ群
40 XII アナンケ 28 3.0 ×1016 149.526 0.3963 20,815,225 613.518491 1951 アナンケ群
41 L ヘルセ 2 1.5 ×1013 139.842 0.2379 22,134,305 672.751882 2003 カルメ群
42 XXXI アイトネ 3 4.5 ×1013 143.251 0.3927 22,285,160 679.641347 2001 カルメ群
43 LXVII S/2017 J 6 2 155.2 0.557 22,455,000 683.0 2017 パシファエ群
44 XXXVII カレ 2 1.5 ×1013 133.342 0.2011 22,409,210 685.323873 2001 カルメ群
45 XX タイゲテ 5 1.6 ×1014 140.521 0.3678 22,438,650 686.674715 2000 カルメ群
46 LXI S/2003 J 19 2 1.5 ×1013 140.956 0.1961 22,709,060 699.124764 2003 カルメ群
47 XXI カルデネ 4 7.5 ×1013 119.572 0.2916 22,713,445 699.326904 2000 カルメ群
48 LVIII Philophrosyne 2 1.5 ×1013 109.168 0.0932 22,721,000 699.676116 2003 パシファエ群
49 (lost) S/2003 J 10 2 1.5 ×1013 115.021 0.3438 22,730,815 700.129403 2003 カルメ群
50 (lost) S/2003 J 23 2 1.5 ×1013 137.576 0.3931 22,739,655 700.537990 2003 パシファエ群
51 XXV エリノメ 3 4.5 ×1013 143.354 0.2552 22,986,265 711.964625 2000 カルメ群
52 XLI アオエデ 4 9.0 ×1013 112.763 0.6012 23,044,175 714.656754 2003 パシファエ群
53 XLIV カリコレ 2 1.5 ×1013 141.240 0.2042 23,111,825 717.806112 2003 カルメ群
54 LXVI S/2017 J 5 2 164.3 0.284 23,232,000 719.5 2017 カルメ群
55 LXIX S/2017 J 8 1 164.7 0.312 23,232,700 719.6 2017 カルメ群
56 XXIII カリュケ 5 1.9 ×1014 137.125 0.2140 23,180,775 721.020662 2000 カルメ群
57 XI カルメ 46 1.3 ×1017 120.659 0.3122 23,734,465 747.008062 1938 カルメ群
58 XVII カリロエ 9 8.7 ×1014 131.895 0.2644 24,356,030 776.543335 1999 パシファエ群
59 XXXII エウリドメ 3 4.5 ×1013 143.033 0.3770 23,230,860 723.358859 2001 パシファエ群
60 LXIII S/2017 J 2 2 166.4 0.236 23,303,000 723.1 2017 カルメ群
61 XXXVIII パシテー 2 1.5 ×1013 144.112 0.3289 23,307,320 726.932963 2001 カルメ群
62 LI S/2010 J 1 1 163.2 0.320 23,314,335 723.2 2010 カルメ群
63 XLIX コレ 2 1.5 ×1013 137.371 0.1951 23,238,595 776.02 2003 パシファエ群
64 XLVIII キレーネ 2 1.5 ×1013 115.507 0.4116 23,396,270 731.098603 2003 パシファエ群
65 LVI S/2011 J 2 2 1.5 ×1013 153.597 0.3493 23,124,000 718.37 2011 パシファエ群
66 XLVII エウケラデ 4 9.0 ×1013 118.384 0.2829 23,483,695 735.199980 2003 カルメ群
67 LIX S/2017 J 1 2 149.2 0.397 23,547,105 734.2 2017 パシファエ群
68 (lost) S/2003 J 4 2 1.5 ×1013 98.660 0.3003 23,570,790 739.293961 2003 パシファエ群
69 VIII パシファエ 60 3.0 ×1017 143.037 0.2953 24,094,770 764.082032 1908 パシファエ群
70 XXXIX ヘゲモネ 3 4.5 ×1013 150.314 0.4077 23,702,510 745.500007 2003 パシファエ群
71 XLIII アルケ 3 4.5 ×1013 146.289 0.1492 23,717,050 746.185469 2002 カルメ群
72 XXVI イソノエ 4 7.5 ×1013 118.554 0.1665 23,832,630 751.646937 2000 カルメ群
73 (lost) S/2003 J 9 1 1.5 ×1012 135.452 0.2762 23,857,810 752.838751 2003 カルメ群
74 LVII Eirene 4 9.0 ×1013 117.922 0.3071 23,973,925 758.341296 2003 カルメ群
75 IX シノーペ 38 7.5 ×1016 146.657 0.2468 24,214,390 769.779665 1914 パシファエ群
76 XXXVI スポンデ 2 1.5 ×1013 112.409 0.4432 24,252,625 771.603566 2001 パシファエ群
77 XXVIII アウトノエ 4 9.0 ×1013 129.073 0.3690 24,264,445 772.167762 2001 パシファエ群
78 XIX メガクリテ 5 2.1 ×1014 143.760 0.3078 24,687,240 792.436947 2000 パシファエ群
79 S/2003 J 2 2 1.5 ×1013 157.291 0.4100 28,347,000 980.53 2003 アナンケ群
80 S/2003 J 24 2 162.105 0.2549 23,088,000 715.90 2003 カルメ群
81 S/2018 J 2 3 29.404 0.1184 11,467,500 250.88 2018 ヒマリア群
82 S/2011 J 3 3 28.659 0.1758 11,797,000 261.77 2011 ヒマリア群
83 S/2016 J 3 2 164.066 0.2360 22,213,500 676.37 2016 カルメ群
84 S/2021 J 1 2 149.753 0.2461 20,667,000 606.99 2021 アナンケ群
85 S/2021 J 2 150.114 0.3413 21,140,600 627.96 2021 アナンケ群
86 S/2018 J 3 164.900 0.2731 22,826,600 704.56 2018 カルメ群
87 S/2021 J 3 150.104 0.3557 21,495,700 643.85 2021 アナンケ群
88 S/2021 J 4 164.547 0.1585 22,946,700 710.13 2021 カルメ群
89 S/2021 J 5 163.175 0.2002 22,831,800 704.80 2021 カルメ群
90 S/2021 J 6 166.499 0.3625 23,427,200 732.55 2021 カルメ群
91 S/2018 J 4 53.178 0.0573 16,504,300 433.16 2018 カルポ群
92 S/2016 J 4 146.255 0.1986 23,664,100 743.69 2016 パシファエ群
93 S/2022 J 1 165.434 0.1915 22,015,500 667.34 2022 カルメ群
94 S/2022 J 2 165.390 0.1820 22,413,200 685.51 2022 カルメ群
95 S/2022 J 3 144.452 0.2722 20,912,400 617.82 2022 アナンケ群

衛星の仮称

アマルテア (Jupiter V) からレダ (Jupiter XIII) までは1975年に国際天文学連合 (IAU) によって正式に命名されたが、このうちVIからXIIまでについてはそれまで現在の名称とは違う名が付けられていた。それらは当時の天文年鑑にも掲載されており、一種の非公式な仮称として用いられていたと思われる。

これらの仮称の多くにはゼウス(木星)が長であるオリンポス神族の名が使われており、クロノス土星)が長であるティターン神族の名が土星の衛星に使われたのに対応していた。しかし、以前に名づけられていた小惑星の名と重複していたため、重複しない名前がIAUにより選ばれた。

番号 現在の正式名称 '75以前の仮称
V アマルテア
VI ヒマリア ヘスティア
VII エララ ヘラ
VIII パシファエ ポセイドン
IX シノーペ ハーデス
X リシテア デメテール
XI カルメ パン
XII アナンケ アドラステア

一時的な衛星となった彗星

木星は、その強い重力で彗星を一時的に捕獲し、衛星にすることがある。この中で最も著名なのは、1994年に衝突した衛星、シューメーカー・レヴィ第9彗星である。木星の周回軌道に乗っていることが実際に観測されたのはこの彗星のみだが、ほかにも軌道計算により、以下のような彗星が衛星になったと見られている。

作品

X星
1965年の映画『怪獣大戦争』に登場。13番目の衛星という設定(公開当時に発見されていた衛星は12個)。

出典

  1. ^ 惑星の衛星数・衛星一覧”. 国立天文台 (2023年1月31日). 2023年1月31日閲覧。
  2. ^ 木星に2つの新衛星を発見、総数69個に”. AstroArts (2017年6月12日). 2017年6月13日閲覧。
  3. ^ Planet and Satellite Names and Discoverers”. Gazetteer of Planetary Nomenclature. 国際天文学連合. 2016年3月10日閲覧。
  4. ^ a b Scott S. Sheppard. “Moons of Jupiter”. Earth and Planets Laboratory. Carnegie Science. 2023年1月31日閲覧。
  5. ^ MPEC 2012-R22 : S/2000 J 11”. Minor Planet Electronic Circular. 小惑星センター (2012年9月11日). 2014年8月20日閲覧。
  6. ^ 木星に新しい衛星を2個発見 65個に”. AstroArts (2011年6月3日). 2012年2月5日閲覧。
  7. ^ 木星で新たに2つの衛星を発見”. National Geographic News (2012年2月3日). 2016年3月10日閲覧。
  8. ^ a b 木星に12個の新衛星、1個は「幹線道路を逆走」 全部で79個、「でも決してありふれた発見ではありません」と研究者”. National Geographic News (2018年7月19日). 2018年7月19日閲覧。
  9. ^ Jeff Hecut (2021年7月8日). “Amateur Astronomer Discovers New Moon of Jupiter”. Sky and Telescope. 2021年11月16日閲覧。
  10. ^ MPEC 2021-V333 : S/2003 J 24”. Minor Planet Electronic Circulars. Minor Planet Center (2021年11月15日). 2021年11月16日閲覧。
  11. ^ すばる、木星の近傍を回る衛星の起源に迫る

関連項目


木星の衛星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 06:49 UTC 版)

仮説上の天体」の記事における「木星の衛星」の解説

「木星の衛星」も参照 1643年カプチン修道会のスキルレウス (Schyrleus) は、木星5つの(ガリレオ衛星に次ぐ5~9番目の)衛星発見した主張しウルバヌス八世の星々名づけた。なお彼は同じ年に火星にも衛星「発見」している。 1975年コワルらはテミスト発見した軌道を見失い2000年シェパードらが再発見するまで、未確認第14番衛星とされていた。

※この「木星の衛星」の解説は、「仮説上の天体」の解説の一部です。
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  • 木星の衛星中2番目に大きいもの
  • 木星の衛星中最大のもの
  • イオという,木星の衛星
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