月 (暦) ローマ暦に由来する名称と日数

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月 (暦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/21 15:55 UTC 版)

ローマ暦に由来する名称と日数

英語フランス語などの各月の呼称も、古代ローマで制定されたローマ暦の名称を引き継いでいる。ローマ建国の初代王ロームルスによって定められた最初の暦は紀元前735年に始まったロームルス暦であり、一年を人間妊娠期間から決められたと言われる304日とし、それを10か月に分けて各月を決めた。最初の4か月にギリシア神話ローマ神話の神々の名を当て、続けて「5番目の月」「6番目の月」(以下同)という番号を振った[17]

しかしこの暦では季節とのずれが激しく[注 1]、特に農業従事者からは不満が多かった。そのため2代目の王ヌマ・ポンピリウスは2か月を追加し、太陰暦の354日を基準としながら偶数を嫌う当時の迷信からこれに1日を加えた355日を一年とするヌマ暦を紀元前700年ごろに導入した。だがこれでも年間10日程度のずれが残った。閏月 (Merdedonius[9]) や閏日を挿入して対応したが、やがて貴族神官らが勝手に置閏を行うようになり、暦は不統一でばらばらな状態に陥った[17]

ガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)はローマ内戦で逃れたグナエウス・ポンペイウスを追ってエジプトに遠征し、クレオパトラ7世と協調して勝利を収めた。この際、彼はソシゲネスから暦を学びローマに持ち帰った。これを基礎に紀元前47年に制定された、一年を太陽暦365日(閏年は366日)とし、新年冬至に近いJanuarius の初日からとした暦がユリウス暦である。1か月は30日または31日が交互になるよう定め、超過分はヌマ暦で最終月だったFebruarius(2月)を29日(閏年は30日)と少なくして調整した。この際、元老院はシーザーを称え「第5の月」(Quintilis) の呼称を「ユリウス」 (Julius)へ改訂する決議をした[5]

その後、ローマ帝国初代皇帝となったアウグストゥスは支配下の元老院を操作して、誕生月であった[9]「第6の月」 (Sextilis) を自らの名 (Augustus) に改称させた。この際、Julius より日数が少ないことを嫌って Februarius から1日を移して31日とし、以後の各月を30日と31日が交互に来るよう変更を施した。このような流れから、7月と8月に「大の月」が続くこと、「8」の接頭辞OCTを持つ月が10月という様に意味が2か月ずれた4つの月(9・10・11・12月)、そして2月の日数が少なく閏の調整に使われるという現在に通じるそれぞれの「月」が定まった[4][5]

ロームルス暦
由来(日数)
ヌマ暦
由来(日数)
ユリウス暦
(日数)
アウグストゥス
改訂 (日数)
英語 フランス語 スペイン語 イタリア語 ドイツ語
1月 Januarius
ヤーヌス(29)
←(31) ←(31) January (Jan.) janvier enero gennaio Januar
2月 Februarius
フェブルウス(28)
←(29/閏30) ←(28/閏29) February (Feb.) février febrero febbraio Februar
3月 Martius
マルス(31)
←(31) ←(31) ←(31) March (Mar.) mars marzo marzo März
4月 Aprilis
アプリリス(30)
←(29) ←(30) ←(30) April (Apr.) avril abril aprile April
5月 Maius
マイア(31)
←(31) ←(31) ←(31) May mai mayo maggio Mai
6月 Junius
ユーノー(30)
←(29) ←(30) ←(30) June (Jun.) juin junio giugno Juni
7月 Quintilis
第5の月(31)
←(31) Julius(31) ←(31) July (Jul.) juillet julio luglio Juli
8月 Sextilis
第6の月(30)
←(29) ←(30) Augustus(31) August (Aug.) août agosto agosto August
9月 September
第7の月(30)
←(29) ←(31) ←(30) September (Sep.) septembre septiembre settembre September
10月 October
第8の月(31)
←(31) ←(30) ←(31) October (Oct.) octobre octubre ottobre Oktober
11月 November
第9の月(30)
←(29) ←(31) ←(30) November (Nov.) novembre noviembre novembre November
12月 December
第10の月(30)
←(29) ←(30) ←(31) December (Dec.) décembre diciembre dicembre Dezember

なお、皇帝の名前を「月」の名称とする慣例はその後も行われ、皇帝ネロがAprilis(4月)を「ネロネウス」へ、皇帝ドミティアヌスが September (9月)を「ゲルマニクス」(カリグラとして有名な皇帝)、October(10月)を自らの名とする変名が行われた。しかしこれらは皇帝の死後元に戻された。一方、2代皇帝ティベリウスはSeptember(9月)をその名に変えようとする元老院の決定を「皇帝が13人になったらどうする」と覆したことが知られる[5]


注釈

  1. ^ 天文や天文台についての質問:国立天文台では、冬の2か月に相当する期間は時間としての経過はあるが「暦」が無い空白として取り扱われたと説明する。

脚注

  1. ^ a b c d 岡田ら (1994)、pp.70-72、四季と暦、月と暦
  2. ^ 「【月】」 『日本語大辞典』(第一刷)講談社、1989年、1291頁。ISBN 4-06-121057-2 
  3. ^ 佐藤 (2009)、pp.77 - 81、世界統一暦の試み
  4. ^ a b 質問3-7 1月1日はどうやって決まったの?”. 国立天文台. 2011年12月20日閲覧。
  5. ^ a b c d 池内 (1999)、3.俺は北極星のように不動だ、pp.44-47、改暦の歴史
  6. ^ 青木 (1982)、序章 月と時、pp.1-2、月のみちかけ
  7. ^ 「【年】」 『日本語大辞典』(第一刷)講談社、1989年、1507頁。ISBN 4-06-121057-2 
  8. ^ a b 青木 (1982)、序章 月と時、pp.3-4、太陰太陽暦
  9. ^ a b c 馬嶋玄敏「暦法・とくに置閏法についての一考察」『研究紀要』第7巻、奈良女子大学、1965年、 15-20頁、 ISSN 03891704NAID 1100010304802020年6月4日閲覧。
  10. ^ 月と地球の軌道”. 北海道大学理学部地球惑星科学科. 2011年12月20日閲覧。
  11. ^ 7月22日皆既日食”. 国立天文台. 2011年12月20日閲覧。
  12. ^ a b 松本晃治/国立天文大学電波研究部. “やさしい海洋潮汐モデリング (PDF)”. 東京大学地震研究所. 2011年12月20日閲覧。
  13. ^ 井本正介「制限三体問題とサロス周期」『福井工業大学研究紀要. 第一部』第25号、福井工業大学、1995年、 275-281-275-281頁、 ISSN 0286-8571NAID 1100004848482020年6月4日閲覧。
  14. ^ 2000年1月1日 12:00 TT;Derived from ELP2000-85: M. Chapront-Touzé, J. Chapront (1991): Lunar tables and programs from 4000 B. C. to A. D. 8000. Willmann-Bell, Richmond VA; ISBN 0-943396-33-6
  15. ^ 青木 (1982)、第4章 単位と天体暦、p.165、三 一年の長さ 一年の日数
  16. ^ 沼澤茂美、脇屋奈々代 『宇宙』成美堂出版、2007年、50頁。ISBN 978-4-415-30019-1 
  17. ^ a b 池内 (1999)、3 俺は北極星のように不動だ、pp.42-43、ローマの暦
  18. ^ 岡田ら (1994)、p.297、原始的な暦法、ボントク・イゴロット族の暦
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 岡田ら (1994)、pp.297-298、原始的な暦法、アイヌの暦
  20. ^ 岡田ら (1994)、p.298、原始的な暦法、イロコイ族の暦
  21. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 『アイヌの民俗』更科源蔵1982
  22. ^ アイヌ民族の有用植物”. 北海道立衛星研究所. 2011年12月20日閲覧。
  23. ^ a b c 岡田ら (1994)、pp.15-28、和風月名の由来
  24. ^ a b 岡田ら (1994)、pp.299-300、太陰暦、イスラム暦
  25. ^ 岡田ら (1994)、pp.301-302、太陰太陽暦、ユダヤ暦
  26. ^ 岡田ら (1994)、pp.315-317、太陽暦、マヤ暦
  27. ^ 佐藤悦夫. “マヤのカレンダー”. 富山国際大学現代社会学部. 2013年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月2日閲覧。
  28. ^ 民法 第6章 期間の計算”. 民法条文解説.com. 2011年11月2日閲覧。
  29. ^ 計量法(平成四年五月二十日法律第五十一号)”. 総務省. 2019年12月23日閲覧。
  30. ^ a b 暦の基礎知識”. 筑波大学附属図書館. 2011年11月2日閲覧。
  31. ^ 二十四節気”. 国立天文台. 2011年11月2日閲覧。

脚注2

  1. ^ 暦象年表2009


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