放射線 放射線の概要

放射線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/15 16:25 UTC 版)

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日本国内で使用されている標識。JIS標識では、黄色地に赤色である。(病院内ではJIS標識が採用されている)
多くの国々にて提示されている標識。
イギリス国内ではこの標識が設置されている。
IAEAにて制定されている標識。

なお、広辞苑には「放射性元素放射性崩壊に伴い放出される粒子放射線と電磁放射線(主にアルファ線、ベータ線、ガンマ線)を指す」[3]、とあるが、これは放射性物質放射能を問題とする文脈ではそれを指す、というくらいの意味である[注釈 4]

概要

放射性物質放射性崩壊を起こすことで不安定な原子核の構造から安定した原子核の構造に変化しようとするが、その際に粒子または電磁波の形で放出されるのが放射線である[注釈 5][注釈 6]。放射線は、直接的あるいは間接的に、物質中の原子や分子を電離または励起させる(物質にエネルギーを与える)[注釈 7]

放射線は生物にとって有害であり[4]、強度によっては死に至らせるため、放射線防護のために各国で法律が制定されている。ただし、どの程度(線量)でどのような害があるかについては様々な見解があり、その基準も国際統一されていない。

また、放射線は人間の五感では感じることができないため、必然的に放射線測定のための測定器を用いて検出や測定を行なう。生活環境にある放射線は「環境放射線」と呼ばれるが、誰しも世界平均合計で2.4[mSv]前後の自然放射線による被曝を受けていると言われる。

放射線は応用範囲が広く、工業・農業・医療その他の分野で有効利用されている。ただし、放射線の取り扱いには注意を要するため、取り扱いに関する資格がいくつか存在する[注釈 8]

放射線の種類

放射線の透過能力上からそれぞれアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線の透過能力の図。アルファ線は紙1枚程度で遮蔽できる。ベータ線は厚さ数mmのアルミニウム板で防ぐことができる。ガンマ線は透過力が強く、コンクリートであれば50cm、であっても10cmの厚みが必要になる。中性子線は挙動がほかの放射線と著しく異なり、鉛などの金属(原子番号の大きな元素)によって遮蔽することはできず、やコンクリートの厚い壁に含まれる水素原子によって遮断できる。

放射線にはその発生機構や物理的性質によってさまざまなものが存在する。放射線は、その物理的性質から大まかに電磁放射線と粒子放射線に分けることができる。

電磁放射線 (electromagnetic radiation)

主な電磁放射線:ガンマ線(γ線)X線

電磁放射線は波長が非常に短い電磁波である[注釈 9]。 公衆被曝で問題となるのは、この波長が極めて短いことで高い透過性をもった電磁放射線である[注釈 10][注釈 11]

粒子放射線 (particle radiation)

主な粒子放射線:アルファ線(α線)ベータ線(β線)電子線[注釈 12]陽子線中性子線重粒子線など

粒子放射線は質量を持った粒子の運動によって生じるものである。その物理的実体としては、原子を構成している素粒子や原子核そのものであったりする[注釈 13][注釈 14]

各放射線と物質との相互作用

電離放射線と物質との相互作用を表した図 (記号の意味は、―;粒子線、~;電磁波、○;電離作用)。上からアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線と物質との相互作用を表している。 荷電粒子線(ここではアルファ線、ベータ線)が物質に衝突すると電離が起こるが貫通力は小さい。アルファ線は放出したほうの核も運動エネルギーを持ち、反跳・リコイルなどと呼ばれる。ベータ線が電離させた電子もまた電離作用を有するがこれをデルタ線 (放射線)英語版という。更にベータ線は減速に伴って制動放射が起こる。一方、X線・ガンマ線や中性子線は電荷を持たないため、直接は電離作用をせず、間接的な電離作用も荷電粒子線に比べ小さいが、貫通力は大きい。中性子は水素などの軽元素と衝突すると反跳陽子(図中の赤丸)を生じ、この陽子が電離作用を持つ。非弾性散乱では衝突しただけでガンマ線を発生させる。また中性子捕獲が起きた場合にもガンマ線が放出される。

放射線は物質にエネルギーを与えるが、放射線の種類によってエネルギーを与える相互作用の仕組みは異なる。電磁放射線か粒子放射線か、粒子放射線の場合、電荷の有無や質量の大きさによってもエネルギーを与える機構は異なる。

放射線の検出には主に電離・励起現象が利用されるが、その他の放射線を原因として発生する二次的な現象を利用しているものもある。

電磁放射線と物質との相互作用

電磁放射線(ガンマ線、X 線)と物質との相互作用としては光電効果コンプトン散乱電子対生成レイリー(コヒーレント)散乱光核反応の5つである。とりわけ最初の3つの相互作用が特に重要である[5]

粒子放射線と物質との相互作用

物質との相互作用を考える上で粒子放射線は電子からなる放射線[注釈 15]中性子線及び重荷電粒子放射線[注釈 16]の3つに分類される[6]

電子からなる放射線と物質との相互作用
電子からなる放射線が物質を通過中に起こす相互作用としては、電離励起制動放射散乱がある[注釈 17]なお、一定の条件の下に、電磁放射線や電子が大きい原子番号の物質に放射線が入射するとカスケードシャワー[8]と呼ばれる現象が発生する[9]
中性子と物質との相互作用
中性子は電荷を持っていないということが最大の特徴である。
中性子線と物質との相互作用はただ原子核との衝突のみである[注釈 18][注釈 19]。さらに、衝突は散乱(弾性散乱、非弾性散乱)と吸収反応(中性子捕獲核分裂反応、中性子放出反応、荷電粒子放出反応など)に分類される[11]
重荷電粒子放射線と物質との相互作用
重荷電粒子放射線と物質との相互作用は主に電離励起である[注釈 20]。ほか重荷電粒子が低速であるとき原子核との弾性衝突、および相当高いエネルギーを持つとき制動放射が発生する[注釈 21][注釈 22]








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