放射線がもたらす生物影響の仕組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 03:14 UTC 版)
「放射線障害」の記事における「放射線がもたらす生物影響の仕組み」の解説
放射線の人体への影響は、放射線と人体を構成する物質との相互作用による物理的、化学的、生物学的過程を経て引き起こされる。 物理的過程 放射線と人体との相互作用により、人体を構成する物質の分子(または原子)が電離あるいは励起を起こしイオン化する。 化学的過程 発生したイオンは細胞中の水と反応し化学的に反応性の高いラジカルや過酸化水素、イオン対などに成長する。 生物作用 発生した高い電離作用をもつラジカルなどが、生体細胞内のデオキシリボ核酸(DNA)の化学結合を切断したり、細胞膜や細胞質内のリボソームなどを変化させる。 なお、生体細胞への影響としては、2の化学的な過程を経由せず物理的過程から直接、生物作用を起こす場合もありこれを直接作用(direct action)と呼ぶ。これに対し、化学的過程を経て生物作用を起こす場合は間接作用(indirect action)と呼ばれる。 一般に、細胞分裂の周期が短い細胞ほど、放射線の影響を受けやすい(骨髄にある造血細胞、小腸内壁の上皮細胞、眼の水晶体前面の上皮細胞などがこれに当たる)。逆に細胞分裂が起こりにくい骨、筋肉、神経細胞は放射線の影響を受けにくい。これをベルゴニー・トリボンドーの法則と呼ぶ。
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