電離
英語表記:ionization
イオン化と同義であるが、特に分子が解離(分子がより小さいイオンに分かれること)によってイオンになる現象。
放射線が物質中を通過する時に、そのエネルギーによって原子中の軌道電子をはじき出して、陽電荷を帯びた状態(陽イオン)と自由な電子又は電子を付加して陰の電荷を帯びた状態(陰イオン)とに解離することを電離作用という。イオン化ともいう。
放射線検出器の多くはこの電離作用を利用したものである。(エックス線(X線)、ガンマ線(γ線)、ベータ線(β線)、アルファ線(α線)等は気体をイオン化する。)
イオン化(ionization)とは、中性の原子や分子が電子を失い、または電子を得て、正または負の電荷を帯ること。
イオン化
(電離 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/01 08:49 UTC 版)
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イオン化(イオンか、英語: ionization)は、電離(でんり)とも言い、電荷的に中性な原子、分子、ないし塩を、正または負の電荷を持ったイオンとする操作または現象である。
主に物理学の分野では荷電ともいい、分子(原子あるいは原子団)が、エネルギー(電磁波や熱)を受けて電子を放出したり、逆に外から得ることを指す。(プラズマまたは電離層を参照) また、化学の分野では解離ともいい、電解質が溶液中においてや融解時に、陽イオンと陰イオンに分かれることを指す。
概要
イオン化過程の一例をあげると、ある中性原子が電子(1個あるいは数個の価電子)を放出して、別の中性原子がこれを受け取る、電子の移動が起きる。電子を受け取った原子は負電荷に帯電して陰イオンとなり、電子を放出した方は正電荷に帯電して陽イオンとなる。このとき、ふたつのイオンが得た電荷量は、移動した電子の持つ電荷量(電気素量の整数倍)に等しく、符号は逆となり、和はゼロになる。
原子が電子を放出するには、原子核がクーロン力によって電子を電子軌道に束縛している力に匹敵するエネルギーが必要で、これをイオン化エネルギーと呼ぶ。 電子は光子を吸収したり、原子同士の衝突によりエネルギーを受け取って励起され、イオン化エネルギーを超えると軌道を離れて別の原子の軌道へ移動する。移動先の原子の電子軌道に入った電子は、励起エネルギー分のエネルギーを放出して安定化する。
イオン化のしやすさ
溶液中でのイオン化傾向は、元素によってイオン化のしやすさに差があることを示している。原子の電子構造により安定化の度合いが異なるので、励起に必要なイオン化エネルギーの値や、電子を受けとる際の安定化エネルギーである電子親和力の値は、元素の種類やイオン化の進行状況の違いによってそれぞれ異なるエネルギー値をとる。
原子は、電子配置が閉殻(最外殻が満員)やオクテット(最外殻が8個)のとき最も安定する(化学反応しにくくなる)。中性原子でこれに該当するのが不活性元素であり、通常原子がイオン化する際に放出または受け取る電子の数は、イオンとなることでこの安定した配置を成立させられる数である(典型元素の場合)
例えば、アルカリ金属は陽イオンになりやすく、イオン化エネルギーも小さいが、これは不活性元素より電子が1つ多いため、+1価のイオンとなった方が安定するためである。反対にハロゲンやカルコゲンは陰イオンになりやすいが、これも不活性元素より電子が僅かに少ないことによる。
電子によるイオン化
放電によるガス(空気など)のイオン化など、分子に直接電子を撃ち込むとイオン化できる。いわゆるハードイオン化法(ハードなイオン化法)であり、フラグメンテーションが発生する。 質量分析法では熱電子衝撃法がよく利用され、化学イオン化法と対比される。 63Niなどの核放射による方法は、電子(ベータ線)によるイオン化だが、エネルギーによるイオン化でもある。
エネルギーによるイオン化
光(主に紫外線やレーザー)などによって電子を励起させ、イオン化する(吸光)。いわゆるソフトイオン化法(ソフトなイオン化法)であり、フラグメンテーションが発生しない。 質量分析法では、他にも様々なエネルギーによるイオン化手法が用いられ、ソフトイオン化法のひとつであるマトリックス支援レーザー脱離イオン化法はノーベル賞に関する報道で一般にも知られていた。 このほか、トンネル効果によるイオン化も研究されている。
溶媒中のイオン化
極性溶媒中では、溶媒分子の配向による溶媒和が起きるため、イオン結合物質は容易にイオン化(解離)し、気相や非極性溶媒中よりも安定して存在する。溶媒分子を配位する場合はより安定化する。
結晶中のイオン化
イオン結晶は、イオン相互の静電的相互作用によってイオン結合し、正負の電荷が対を作って電気的に中性となることで規則正しい結晶構造を形成することで、全体的・均一に電荷が中和され安定化している。 このとき個々の原子は、中性分子のイオン化により電子配置が安定化する現象を、結晶構造内で実現している。
代表例である塩化ナトリウムでは、ナトリウムと塩素がイオン化して電子1つを授受した状態で交互に並ぶことで、電気的にも化学的にも安定している。
関連項目
外部リンク
電離 (ionize)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:37 UTC 版)
放射線と物質との相互作用によって原子は電離される。このとき放出された電子と陽イオンとでイオン対が生成されることになるが、これらを電気的に集めて入射した放射線(電離をもたらした放射線)を検出することができる。電離反応を利用した検出器としては、比例計数管、ガイガー=ミュラー計数管、半導体検出器、電離箱、霧箱、泡箱、放電箱などがある。
※この「電離 (ionize)」の解説は、「放射線」の解説の一部です。
「電離 (ionize)」を含む「放射線」の記事については、「放射線」の概要を参照ください。
電離
「電離」の例文・使い方・用例・文例
- 低速さ中性子を数えるため、ホウ素を敷き詰めたまたは三フッ化ホウ素ガスを充満させた電離箱
- 電離粒子の追跡を記録する器具
- 個々の電離事象の数を数える測定器
- 電離事象が伝導率を上昇させる計数管
- 放射能レベル測定器の、管に収められた電離箱
- 電離放射線にさらされると光がひらめく計数管
- 素粒子からの電離放射線を検出する器具
- (与えられた周波数の)電波信号が、電離層からの反射によって、送信機から受信機まで伝わる最短距離
- 電離圏の一番低い所(上空35マイルから50マイル)で、低周波の電波を反射する
- 電離圏の一番高い所(上空90マイルから600マイル)で、自由電子の密度が最も高く、長距離の無線伝達に最も便利
- 電離層の一部(地上50マイルから90マイル)で中長波の電波を反射する
- 電離放射線によって物質から放出される電子
- かつては惑星をもった1つの恒星と考えられていたが、現在では膨張する電離ガスに包まれた高温の星であるとされている星雲で、そのガスは星の発する強力な放射線によって蛍光性の光を放っている
- 地球外起源の非常に透過性のある電離放射線
- 電離層か通信衛星によって地球に映し出される電磁波
- 電離層で反射される上空波
- 光子か電離粒子を吸収するとき燐光体で作り出される閃光
- 電離放射線の放出を伴う放射性物質の自発的崩壊
- 電離放射線から吸収されるエネルギーのSIの単位
- 人体組織に1レントゲンのX線と同じ損傷を起こす電離放射線量
電離と同じ種類の言葉
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