じっこう‐せんりょう〔ジツカウセンリヤウ〕【実効線量】
実効線量
英語表記:effective dose
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HE =ΣWT×HT
ここで、WTは組織・臓器Tの組織荷重係数、HTは組織・臓器Tの等価線量
この実効線量は、放射線防護の目的にのみ使用されるもので、臓器または組織が放射線照射を受けたとき、これらに及ぼす影響の全身的な共通尺度を実効的な線量(生物的な効果を考慮した値:単位はSv)に換算して健康障害を評価する尺度の1つ。
また実効線量は
=体外被ばくの実効線量+体内被ばくの実効線量
で評価され、実用的には何れも実測することは困難である。
従って、体内被ばくの実効線量は、放射性物質の体内動態モデル、人体ファントムを用いて、放射能の摂取量が判ればそれぞれの線量換算係数(Sv/Bq)を掛けて計算で求める。
一方、体外被ばくの実効線量は、個人モニター(フイルムバッジ等)の測定値から1センチメートル線量当量を用いこれを利用している。
実効線量
実効線量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/13 08:55 UTC 版)
実効線量 effective dose | |
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量記号 | |
次元 | |
SI単位 | シーベルト |
実効線量(じっこうせんりょう、英: effective dose)とは、放射線被曝による個人の確率的影響(がん、遺伝的影響)のリスクの程度を表す線量概念である[注釈 1]。各臓器の受けた放射線の等価線量にその臓器の組織加重係数[注釈 2]を掛けた値の総和量として定義される[3]。単位はシーベルト(記号:Sv)が用いられる。
等価線量が各組織・臓器の局所的な被曝線量を表すための線量概念であるのに対して、実効線量は被曝の形態に関わらず個人の生物学的リスクの尺度となる線量概念である[注釈 3]。
概要
放射線障害の確率的影響のリスク(発生確率)は、放射線被曝を受けた人体の組織・臓器の等価線量だけでなく、その組織・臓器の種類に依存する[注釈 4]。そこで、等価線量のように吸収線量に放射線加重係数を掛け合わせることで放射線の生物影響を平準化したのと同様に、各臓器の等価線量にその臓器に対応した組織加重係数(tissue weighting factor)を掛け合わせて、すべての臓器について足し合わせたもの(臓器の違いによる放射線感受性の違いを平準化して一つにまとめた線量)を実効線量(effective dose)と呼ぶ。 実効線量を用いることにより、例えばラドンの吸引などによる肺だけの内部被曝と、宇宙線などからの全身被曝を足し合わせすることができるようになる。つまりは、内部被曝や外部被曝という異なる形式の被曝を、1つの値でその被曝の程度を表現できる点が特徴である[5]。
なお、組織加重係数は、確率的影響(ガン及び遺伝的影響)に対する各臓器・組織の相対的な放射線感受性の程度を表したものであり、確定的影響についてはあまり考慮されていない[注釈 5]。したがって、実効線量で問題としているリスクとはあくまで確率的影響のリスクのみである[注釈 6]。
定義
実効線量(effective dose)E は、人体の臓器 T の等価線量を HT、組織加重係数を wT とするとき、
実効線量と同じ種類の言葉
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