実効線量とは? わかりやすく解説

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じっこう‐せんりょう〔ジツカウセンリヤウ〕【実効線量】

読み方:じっこうせんりょう

放射線が人の健康に与え影響を表す線量人体各組織臓器受けた等価線量組織荷重係数乗じ全身について合計したもの。放射線被曝管理使用される単位シーベルト


実効線量

読み方じっこうせんりょう
英語表記effective dose

組織臓器組織荷重係数
生殖0.2
骨髄0.12
結腸0.12
0.12
0.12
膀胱0.05
乳房0.05
肝臓0.05
食道0.05
甲状腺0.05
皮膚0.01
表面0.01
残り組織臓器0.05
実効線量(HE:Sv)は、ICRP勧告したもので1990年勧告からは実効線量(旧名称は、実効線量等量)と読み替えられ、日本でも法令改正により2001年4月からこの読み取り入れられる
  HE WT×H
ここで、WT組織臓器Tの組織荷重係数、H組織臓器Tの等価線量
この実効線量は、放射線防護目的にのみ使用されるもので、臓器または組織放射線照射受けたとき、これらに及ぼす影響全身的な共通尺度実効的な線量生物的な効果考慮した値:単位Sv)に換算して健康障害評価する尺度1つ
 また実効線量は
   =体外被ばくの実効線量+体内被ばくの実効線量
評価され実用的に何れも実測することは困難である。
従って、体内被ばくの実効線量は、放射性物質体内動態モデル人体ファントム用いて放射能摂取量が判ればそれぞれの線量換算係数(Sv/Bq)を掛けて計算求める。
一方体外被ばくの実効線量は、個人モニターフイルムバッジ等)の測定値から1センチメートル線量当量用いこれを利用している。

実効線量

放射線による身体への影響、すなわちがんや遺伝的影響起こりやすさは組織臓器ごとに異なる。組織ごとの影響起こりやすさを考慮して全身均等に被ばくした場合同一尺度被ばく影響を表す量を実効線量という。 実効線量を表す方法として、ある組織臓器等価線量に、臓器ごとの影響対す放射線感受性程度考慮した組織荷重係数をかけて、各組織臓器について足し合わせた量が用いられる。 実効線量(Sv)=Σ(等価線量Sv)×組織荷重係数)    Σ:カッコ内の計算値を合計すること。

実効線量

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 14:40 UTC 版)

実効線量(じっこうせんりょう、: effective dose)とは、放射線被曝による個人の確率的影響(がん、遺伝的影響)のリスクの程度を表す線量概念である[注釈 1]。各臓器の受けた放射線の等価線量にその臓器の組織加重係数[注釈 2]を掛けた値の総和量として定義される[3]。単位はシーベルト(記号:Sv)が用いられる。




  1. ^ 1990年勧告にてそれまで使用されていた「実効線量当量(effective dose equivalent)」に代わって用いられるようになった[1]
  2. ^ weighting factorの日本語訳は、1990年勧告では"荷重係数"とされたが、weightは"加重"であり、"荷重"はloadであることから、2007年勧告にて"加重係数"に変更された[2]。この記事では"加重係数"に統一する。
  3. ^ 外部被曝と内部被曝の線量を足し算したり、全身被曝と部分被曝の線量を足し算することができるのが実効線量の特徴である[4]
  4. ^ 例えば赤色骨髄と肝臓で同じ等価線量であっても、それぞれの臓器の放射線誘発ガンの生じる可能性は異なる。すなわち、同量の等価線量であっても、被曝を受けた部位によって、その人が抱える放射線による確率的影響(主にガン)の発生リスク(発生する確率)は異なってしまう。
  5. ^ 放射線防護上は確定的影響の発生は0に抑えることが目標の一つであり、また日常的な被曝で確定的影響が問題となることは基本的に無い[6]
  6. ^ すなわち、実効線量によって被曝状況が示されているのであれば、気にするべき放射線障害は原則ほぼ確率的影響(ガン及び遺伝的影響)だけである。
  1. ^ ICRP 1991.
  2. ^ ICRP 2007.
  3. ^ 草間 1995.
  4. ^ 草間 1995, p. 45.
  5. ^ 草間 2007, p. 24.
  6. ^ 草間 2005, p. 21.
  7. ^ SOURCES AND EFFECTS OF IONIZING RADIATION, Annex A, UNSCEAR Report 200840頁表A1 閲覧2011-7-20
  8. ^ ICRP 2007年基本勧告に基づく外部被ばく線量換算係数の計算 RISTニュース No.47、財団法人高度情報科学技術研究機構、2009年
  9. ^ a b 外部被ばく及び内部被ばくの評価法に係る技術的指針 I.外部被ばく 3.不均等被ばくの評価方法について(2002年3月7日時点のアーカイブ) 科学技術庁放射線審議会、1999年
  10. ^ ICRP 2007, B.4.
  11. ^ 個人線量計 原子力百科事典ATOMICA
  12. ^ 「サーベイメータ(α線、β線、γ線、中性子等)」の用語解説 原子力百科事典ATOMICA
  13. ^ 1センチメートル線量当量 原子力百科事典ATOMICA
  14. ^ 放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則(昭和三十五年総理府令第五十六号)第二十条第2項第一号”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年7月1日). 2019年12月27日閲覧。 “2019年9月1日施行分”
  15. ^ 粟井一夫, 川越康充, 菊地透, 諸澄邦彦, 山口一郎, 渡辺浩, 富樫厚彦「関係法令等検討小委員会報告 (学術交流委員会報告)」『日本放射線技術学会雑誌』第57巻第4号、日本放射線技術学会、2001年、 393-410頁、 doi:10.6009/jjrt.KJ00001357556ISSN 0369-4305NAID 110003439442
  16. ^ 国際放射線防護委員会の勧告(ICRP Pub.60)の取り入れ等による放射線障害防止法関係法令の改正について 別紙3 科学技術庁原子力安全局放射線安全課長通知、2000年10月23日
  17. ^ 「預託線量」原子力百科事典(アトミカ)
  18. ^ 放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号) 別表第2
  19. ^ 用語・略語集日本放射線腫瘍学会
  20. ^ 頭部血管肉腫診療ガイドライン (PDF)
  21. ^ ケロイド再発予防における術後照射の生物学的効果線量:線量効果関係日本放射線腫瘍学会


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