体内動態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:43 UTC 版)
薬の動態は脂溶性や分子量や電荷などに代表される薬物の物理化学的性質と血流や臓器サイズなどの生体側の特徴で決まる。薬物の分子量が大きくなるにつれて薬物が移行可能な臓器や組織は制限される。特に脳や筋肉では毛細血管の内皮細胞が連続内皮であるために毛細血管の透過は制限される。核酸医薬の基本単位であるヌクレオチドの分子量は310~330程度であり、修飾核酸でもその値は大きく変わらないことが多い。核酸医薬では最小のもので分子量4,000程度であり、2本鎖RNAであるsiRNAの場合は分子量13,000程度になる。分子量4000程度の最小の核酸医薬であっても連続内皮の毛細血管を自由に通過することはできない。分布可能な臓器は肝臓、脾臓、腎臓、骨髄など有窓内皮、不連続内皮から構成される毛細血管のある臓器である。例外として固形がん組織では正常組織と比べて新生血管の増生と血管壁の著しい透過性の亢進があることから数十nmサイズのキャリアが固形がん組織に集積しやすいことが知られEPR効果(enhanced permeation and retention effect)といわれる。EPR効果によって高分子が蓄積しやすい固形腫瘍には核酸医薬も到達可能である。実際に静脈内や腹腔内に投与された核酸は、これらの臓器に集積する傾向がある。もうひとつの例外が筋ジストロフィーにおける筋組織である。通常は筋組織は連続型毛細血管をもつため核酸医薬は通過できない。しかし筋ジストロフィーのように筋細胞の壊死・再生が活発な病態では筋組織に効率よくオリゴヌクレオチドが取り込まれる。 分子量が約40,000以下の高分子の場合、あるいは5nm未満のサイズの場合は腎臓の糸球体濾過も体内動態を決定する過程として重要である。タンパク結合率が低い場合には、循環血液中の核酸医薬は速やかに糸球体濾過によって血中濃度が減少する。またマクロファージなどの細胞に発現するスカベンジャーレセプターなどは、ポリアニオンを認識し、これをエンドサイトーシスにより取り込み、分解することが知られている。天然型の核酸はリン酸ジエステル結合を有するポリアニオンであることから、ポリアニオンを認識する機構により除去されることが報告されている。特に100nm以上のサイズになると肝臓や肺などに存在する貪食細胞によって認識されやすく排除されてしまう。 天然型のリン酸ジエステル結合からなる核酸はヌクレアーゼにより速やかに分解される。核酸医薬の作用は量反応関係があるため分解や消失による濃度減少を抑制することは非常に重要である。核酸が体内で速やかに分解される現象の対策としてホスホチオエート化に代表される安定化誘導体が開発されてきた。また多くの核酸医薬は腎糸球体の濾過の閾値よりもサイズが小さい。したがって、血液中で血漿タンパク質と結合しない場合は速やかに腎排泄される。この過程は分子サイズに依存することからポリエチレングリコール(PEG)などの高分子修飾や高分子修飾やタンパク結合性を増大することで速やかな腎排泄の制御が可能と考えられている。
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体内動態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/27 21:56 UTC 版)
半減期は約36時間であり、臨床において通常1日1回125μgまたは250µgを投与する。消化管吸収は良好であり、経口、静注、筋注での投与が可能である。腎排泄型の薬物であり、P-糖蛋白質(P-glycoprotein)により血中から尿細管へと分泌・排泄される。そのため腎障害の患者に対する投与は不適である。ジギトキシンは有効血中濃度範囲が狭く、臨床で用いる際には薬物治療モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring、TDM)が必要となる。
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体内動態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/17 08:30 UTC 版)
腸内のみで作用し、通常の用量では血中に現れない。 血中に移行した場合は、乳汁ならびに胎児(妊婦の場合)に移行する。
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体内動態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 01:49 UTC 版)
ビタミンKは、小腸から吸収されカイロミクロンにとりこまれ、リンパを介して肝臓に移行する。肝臓では、アポリポタンパクEリセプターを介してカイロミクロンレムナントから外れる。肝臓に運ばれたビタミンKは、血液凝固に関わる因子を活性化するために利用されるほか、LDLを介して血中を移動し臓器へ運ばれる。最終的には側鎖がω酸化ならびにβ酸化され、グルクロン酸抱合体となって尿から排泄される。野菜類のビタミンKは吸収されにくく、サプリメントや植物油脂に含まれるビタミンKはよく吸収される。ビタミンKの代謝は、K1、MK-4および側鎖の長いMKで非常に異なっていて、納豆に含まれるMK-7はよく吸収され活性が高く、MK-4は半減期が非常に短い。
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