体内摂取の経路と排出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:25 UTC 版)
「プルトニウム」の記事における「体内摂取の経路と排出」の解説
プルトニウムを嚥下して消化管に入った場合、そのおよそ0.05 %程度が吸収され、残りは排泄される。吸収された微量のプルトニウムは骨と肝臓にほぼ半々の割合で蓄積され、体外へは排出されにくい。生物学的半減期(体内総量が当初の半分になるまでの期間)はウランやラジウムと比べても非常に長く、一説には骨に50年程度、肝臓に20年程度といわれる。放射線有害性は全てのα線源核種と同じであり、Pu のみが特別というものではない。 最も有害な取り込み経路は、空気中に浮遊するプルトニウム化合物粒子の吸入である。気道から吸入された微粒子は、大部分が気道の粘液によって食道へ送り出されるが、残り(4分の1程度)が肺に沈着する。沈着した粒子は肺に留まるか、胸のリンパ節に取り込まれるか、あるいは血管を経由して骨と肝臓に沈着する。そのため、他のα線・β線放射物質による内部被曝と同様に、国際がん研究機関(IARC)より発癌性があると (Type1) 勧告されている。また、動物実験では発癌性が認められているが、人においてはプルトニウムが原因で発癌したと科学的に判断された例はまだない。α線源であるため、国際放射線防護委員会(ICRP)が定める線量係数では 239Pu の経口摂取で2.5×107、吸入摂取で1.2×10−4 と定められ、131I(経口摂取2.2×10−8)や 137Cs(経口摂取1.3×10−8)よりも1 Bq当たりの人体への影響が大きいと想定されている(一般には、α線はβ線よりも20倍の危険性があるとされている)。
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