しぜん‐ほうしゃせん〔‐ハウシヤセン〕【自然放射線】
自然放射線
英語表記:natural radiation
自然放射線は、宇宙線のほかウラン、トリウム、ラジウム、カリウム-40のような自然界にある放射性核種からの放射線をいう。
この自然放射線の量を「バックグランド」とも呼ぶ。
自然放射線は、大地に含まれる天然の放射性核種の含有量により、地域によって大きな差がある。
原子力利用や放射線発生装置の人工利用によって発生する放射線と区別して用いられる言葉である。
(自然放射線に対して、人工放射線と言う用語は正確な用法でない。)
(英語でartificial radiation とは言わない、ただし人工放射性核種と言う用語はよく用いられる。)
地質の違いによる自然放射線の例

自然放射線
自然放射線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/11 03:35 UTC 版)
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自然放射線(しぜんほうしゃせん)とは、人間の活動とは無関係に自然界にもともと存在している放射線の総称である[1]。自然放射線による被曝の内、人間の活動により増幅された放射線による被曝は人工被曝に分類される場合もある。
概説
自然放射線の分類方法は幾通りもある。例えば、その起源に着目して分類するならば、(1)宇宙線、(2)天然放射性核種(主に原始放射性核種)からの放射線の二つに分類することができる[1]。
人間は宇宙線から年間ほぼ390 μSv(マイクロシーベルト、= 0.39 mSv)、地殻・建材などに含まれている自然放射性核種から年間480 μSv(= 0.48 mSv)の外部被曝を受けている[2][3]。そして体内に存在している自然放射性核種(カリウム40、炭素14)から年間ほぼ290 μSv(= 0.29 mSv)の内部被曝を受けている。これらに加え、空気中に含まれているラドンから年間約1260μSv(= 1.26 mSv)の被曝を受けている。これらを合わせた自然界からの年間被曝線量は世界平均で2400μSv(= 2.4 mSv)前後[4][5]、日本においては2100μSv(= 2.1 mSv)とされている(2011年推定値)[6]。
自然放射線のうち、自然放射性核種(天然放射性核種)からのものに着目すると、《体内被曝》および《地殻からの体外被曝》がそれに相当し[2]、その大部分はカリウム40によるものである。カリウムは環境中に多量に存在しており、生物にとって必須の元素である。天然のカリウムのうち0.01%強がカリウム40であり、生物がカリウムを取り込む時には必ずカリウム40も体内に摂取される[2]。カリウム40に次ぐ被曝をもたらしている自然放射性核種は、ラドンの核種[注 1]である[2]。
宇宙線によるもの
宇宙から飛来する放射線の量とされる数値は資料によって異なっており、市川の文献では年間ほぼ300 μSv(= 0.3 mSv)、ジョゼフ・ヴァイスの文献では年間2.5 mSv(= 2,500 μSv)[7]、『放射線利用の基礎知識』では0.39 mSv(= 390 μSv)[8]などとされる。
高度が高くなると宇宙からの放射線は空気という遮蔽物が減るために、1,500mごとに約2倍になる。国際線のジェット機では国内線より長時間高高度を飛行するために比較的強く放射を受ける。通常の飛行高度は1万m程度なので[9]、これらの値から計算してみれば

自然放射線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 06:31 UTC 版)
天然に存在する放射性核種には、一般に中性子、ミューオンやガンマ線といった宇宙線、およびそれらと大気中の物質との相互作用で生成されるトリチウムや炭素14などや、地中や建物内部に微量に含まれる40Kやウラン系列、トリウム系列およびそれらの娘核種などが挙げられる。ウラン系列やトリウム系列は崩壊の過程でラドンを経るので、空気中にはそれらによる放射性ラドンも微量に含まれている。宇宙線起源の放射線は地磁気の影響で高緯度ほど高い。大地由来の自然放射線の線量は、地殻に含まれる放射性物質の量が一定でないため、場所によって異なる。宇宙線は空気中で吸収されるが、空気の密度が低ければ吸収量も減ると考えられるので、一般に、高度が高い場所では宇宙線起源の環境放射線の強度が特に強いと考えられている。特に高度1500mおきに放射線の強度は2倍になるといわれる。 自然放射線の被曝量は世界平均2.4ミリシーベルト(mSv)と推定されるが、地域により1mSvから十数mSvと被曝量に大きな開きがある。これは大きく地殻組成等の影響で、ホットスポット以外にも比較的線量の高い地域がある。ブラジルのグァラパリでは10mSvを超える場所もあり、極端なところではイランのラムサールでは260ミリグレイ(注意、シーベルトではない。線量単位)が測定されるホットスポットもある。UNSCEARの2008年の報告によると、人口79.9万人のラムサールでは年間被曝量は3mSvから10mSv以上の間であり、大半の49.5万人は5mSv未満の被曝だが人口の4分の1にあたる20万人が年間10mSv以上被曝と推計される。 日本では最小の神奈川県の0.81mSvから最大の岐阜県1.19mSv (大気中のラドンからの被曝量を含まない)と幅がある。日本では低線量の木造建築によりラドンからの年間被曝量は0.4mSvと推定される。
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