国立国会図書館 サービス

国立国会図書館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 14:00 UTC 版)

サービス

国立国会図書館のサービスは、以下の3本の柱から成り立っている。

国会へのサービス
立法の際に必要となる資料の収集と分析、提供を行う。
行政・司法へのサービス
各府省庁と最高裁判所に支部図書館を設置し、図書館サービスを行う。
国民一般へのサービス
一般利用者が直接、またはほかの公共図書館などを通じて間接的に受けるサービス。また、地方議会や公務員へのサービスもここに含まれる。

「国会図書館」という名称から明らかなように、国会へのサービスを第一義とするが、国民一般へのサービスも国立国会図書館の重要な要素である。国民へのサービスは日本の国立中央図書館としての機能であり、納本制度に基づく国内出版物の網羅的収集や全国書誌の作成が行われる。また、図書館間協力や国際協力にも力を入れており、国際協力では資料の国際交換、資料の貸出・複写・レファレンスサービス、日本語図書を扱う外国人司書の研修などを行っている。

一般利用者へのサービス

一般利用者へのサービスは、来館利用、利用者の身近にある図書館などを通じた間接的な利用、そして後述するインターネットを通じた電子図書館サービスの提供などから成り立っている。

国立国会図書館の各サービスポイント、すなわち東京本館、関西館、国際子ども図書館などを利用者が直接訪れる来館利用では、利用に許可の必要な貴重書や特別の事情があって利用の制限されている資料を除き、国立国会図書館の所蔵する膨大な資料が利用者の求めに応じて提供される。国立国会図書館の所蔵する資料は現在では3館に分散しているが、それぞれに取り寄せて来館利用することが可能である。

間接的な利用では、一般の図書館利用者が最寄の図書館では入手できなかった資料を網羅的なコレクションを持つ国会図書館から図書館間貸出で取り寄せたり、最寄の図書館では解決できなかったレファレンスサービス(図書館員の行う参考調査)を国立国会図書館に依頼したりすることができる。

図書館間貸出は、利用者の身近にある公共図書館、大学図書館や各種の資料室(ただし国立国会図書館の図書館間貸出制度に加入申請し、承認を受けた機関のみ)を窓口として、国立国会図書館の資料を利用できる制度である。ただし、借り出し先の図書館の館外に持ち出すことも貸出先での複写もできない。また、貸し出すのは昭和23年の設立以降に国会図書館が受け入れた和洋の図書に限られ、損耗の激しい資料や貴重書のほか、貸し出しに向かない本は貸し出さない[37]

国立国会図書館は資料の保存を大原則としているため、個人に対する貸出を行っていない。

国立国会図書館オンライン (NDL ONLINE)

国立国会図書館オンライン(正式名称:国立国会図書館検索・申込オンラインサービス)は、2018年1月5日よりサービスを開始した、国立国会図書館の所蔵資料の検索と申し込みができるシステムである。閲覧の申し込みについては入館中のみ可能で、それ以外の場所ではできない。国立国会図書館が所蔵する資料であれば、インターネット経由で書誌情報を検索・ダウンロードできる[38]。2024年に「国立国会図書館サーチ」に統合された[39]

2017年12月27日までは「国立国会図書館蔵書検索・申込システム(NDL-OPAC)」として運用されていた。

国立国会図書館サーチ

国立国会図書館サーチ(NDL Search) は、国立国会図書館が提供している検索サービスである。2012年1月より正式にサービスを開始した[40]。国立国会図書館が所蔵する資料のすべてを探すことができるほか、都道府県立図書館、政令指定都市の市立図書館の蔵書、国立国会図書館やほかの機関が収録している各種のデジタル情報などを探すことができる[41]

2023年8月、国立国会図書館オンラインの機能を統合した新しい国立国会図書館サーチのシステムが発表され、2024年1月5日付けで移行された[42]

国会に対するサービス

国立国会図書館の国会に対するサービスは、資料の提供、貸し出しなどの一般的な図書館サービスに加えて、議会図書館に特有の立法調査を兼ね備えている[43]

東京本館と国会議事堂内の国会分館には国会議員専用の議員閲覧室があり、本館議員閲覧室には議員研究室も付設されている。また、国会議員と国会職員に対しては国会分館を中心に貸し出しサービスも行われており、図書館への貸し出しと異なって貸し出しの冊数制限も存在しない。

国立国会図書館の組織において、国会に対するサービスの主体となるのは国立国会図書館法第15条によって規定された調査及び立法考査局(「調査局」と略称される)である。調査局は、同法の規定に基づいて、国会のための調査や立法に関連する資料の収集・提供を行うこととされている。

このために調査局には国会のための調査を行う部門と立法関連の資料提供サービスを行う部門が置かれている。調査部門の各課はおおむね国会両院の常任委員会の構成に対応する主題別に細分されており、国会議員の問い合わせに応じて調査を行う立法レファレンス業務や、時事的な問題についての予備調査を行う。

また、調査局は国立国会図書館の国民向けサービスのための資料収集・整理とは独立して資料の収集・整理も行っており、最新の情報を収集して立法業務の補佐に役立てている。このほか、調査局を通じて行われる国会向けのサービスには国立国会図書館の一般の所蔵資料のうちの議会・法令関係資料の管理・提供や法令の索引作成、国会会議録のデータベース化などがあり、これらは国立国会図書館の閲覧室、出版活動、インターネット送信などを通じて、一般の国民に対しても提供されている。

行政・司法に対するサービス

国立国会図書館のサービス対象のもうひとつの柱は国の行政・司法に対してである。これらに対し国立国会図書館は図書館サービス資料の貸し出し、複写、レファレンスなどの図書館サービスを行っているが、その窓口となるのが国の行政・司法の各部門に設けられた支部図書館である。行政・司法各部門の附属図書館(支部内閣府図書館、支部最高裁判所図書館など)は、設置母体の省庁の刊行物を収めたり業務上必要な資料を収集し所蔵しており、それぞれの省庁の予算によって運営されるが、同時に制度上で国立国会図書館の支部図書館として国立国会図書館の組織に包括されている。また、支部図書館同士は国立国会図書館の中央館を中心にネットワークを形成し、各省庁出版物の相互交換、資料の相互貸借、図書館職員の共通研修などを行う。

行政・司法各部門支部図書館の館長はそれぞれの事務官・技官から任命されるが、その任命権は立法府の職員である国立国会図書館長に与えられている。このように三権をまたぐ支部図書館制度は世界の国立図書館の中でもきわめて珍しく、国立国会図書館のもつ大きな特色のひとつである。


  1. ^ 議員の調査研究に資するため、別に定める法律により、国会に国立国会図書館を置く。
  2. ^ この法律により国立国会図書館を設立し、この法律を国立国会図書館法と称する。
  3. ^ 会計検査院図書館、人事院図書館、内閣法制局図書館、内閣府図書館(本府庁舎と中央合同庁舎第4号館に分かれている)、日本学術会議図書館、宮内庁図書館、公正取引委員会図書館、警察庁図書館、金融庁図書館、消費者庁図書館、総務省図書館、総務省統計図書館、法務図書館、外務省図書館、財務省図書館、文部科学省図書館、厚生労働省図書館、農林水産省図書館(農林水産政策研究所分館・農林水産技術会議事務局つくば分館の2分館あり)、林野庁図書館、経済産業省図書館、特許庁図書館、国土交通省図書館(国土技術政策総合研究所分館・国土地理院分館・北海道開発局分館の3分館あり)、気象庁図書館、海上保安庁図書館(海洋情報部分館の1分館あり)、環境省図書館、防衛省図書館。
  4. ^ 当初は200人程度だったが、後に400 - 800人 - 1000人程度に段階的に拡大している。
  5. ^ 当初は16時以降のみだったが、2021年6月1日以降は9時30分 - 10時30分も同様の処置を行っている。
  6. ^ 国立国会図書館デジタルコレクション
  7. ^ 近代デジタルライブラリー(2016年5月3日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  8. ^ アーカイブされたコピー”. 2010年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月11日閲覧。 近代デジタルライブラリー - 国立国会図書館
  9. ^ インターネット資料収集保存事業トップ”. 国立国会図書館. 2023年7月23日閲覧。
  10. ^ 2002年に「インターネット資源選択的蓄積実験事業」を試験的に立ち上げると[57]、2006年には「インターネット情報選択的蓄積事業」に改称し事業化した[58]
  11. ^ 当館の言う「公的機関」とは、国、自治体、国公立大学などと位置づける。国とは国の機関、それに準ずる独立行政法人等や国立大学法人)、自治体とは地方公共団体(都道府県、政令指定都市、市町村)とそれに準ずる公立大学法人等の法人と分類される。
  12. ^ 近年は、12月27日頃~1月6日頃が休館日になっている。
  13. ^ 国立国会図書館資料利用規則第31条で複写範囲を規定している。
  14. ^ 食堂の再開後は、売店に移動して販売を継続している。






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