医師 医師の概要

医師

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/10 03:35 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
医師
ルーク・フィルズ (1843–1927)が描いた医師 [1]
基本情報
名称 医師
職種 専門職
業種 医療保健
詳細情報
適性能力 医療倫理医療技術、分析的思考
必須試験 学士(医学)(MBBS)、博士(医学)(MD)、Doctor of Osteopathic Medicine(DO)
就業分野 診療所病院
関連職業 総合診療医(家庭医)、外科医、歯科医、その他専門医
医師が腸チフスの予防接種を行っているところ。(1944年)
アフガニスタンで救急医療を行っている医師(2010年)

名称

米国では、伝統的に医師は英語で「physician」と称される。また、専門分野ごとに「内科医 (physician)」と呼ばれたり「外科医 (surgeon)」と呼ばれたりもする。欧米で医師の一般名称「physician」に対して外科医だけが「surgeon」と呼ばれている理由は、中世より「内科学」=「医学」とされており、「内科医」=「医師」であったことによる。「外科医」の仕事は初期の頃は理容師によって行われ、医療補助職として扱われており、現在の義肢装具士理学療法士等のような存在であったことから、別の名称があてられることになった。すなわち医師である内科医が診察診断を行いその処方に基づいて理髪師(外科医)が外科的治療を薬剤師が内科的治療(投薬)をそれぞれ行うという建前であった。しかし時代が進むにつれ外科医や薬剤師も独自に治療を行うようになり、彼らも医者とみなされるようになっていった。その他に、フランス語では médecin(メドゥサン)、ドイツ語では Arzt(アルツト)である。

また、博士の学位を所持しない医師をもdoctor と呼称することは、日本、英国オーストラリアニュージーランド、等で行われている。ただし、英連邦諸国では、外科医は、学位にかかわらず、今日なお「ミスター」と呼ばれ、「ドクター」とは呼ばない。本来なら「master = 修士」のさらに上位にある学位の名称である「doctor = 博士」が、医師の名称としても用いられるようになったのは、「医師制度」の発展してきた歴史的背景、および免許取得過程上要求された学位が関係している、とされている。

今日の日本では、一般に「お医者さん」「医者」「ドクター」「先生」と呼ばれる。「医師」という名称が確立し一般に広く使われるようになるのは、明治以後のことである。

船舶で勤務する者は船医、軍隊に所属する者は軍医と呼ばれる。

一般に、適切な診療能力を持たず、治療にならないことをしたり誤診をしたり医療過誤を引き起こしたりする医師は藪医者quack)と呼ばれている。

歴史

医師と患者が描かれた古代ギリシアの壺(紀元前480~470年頃のもの)

古代には病気というものに対して悪魔によるもの等と信じられていたため「医師」という職業は世界各地で現在でも宗教と密接に関わっているものが多い。

西洋において「医」の象徴とされているのはギリシア神話に登場するアスクレピオスである。アスクレピオスの杖はWHOを含めて世界各国で「医」の象徴として用いられている。

現在の西洋では、医師の社会的地位は比較的高いが、古代においてはそうではなかった。 古代ギリシアにおいては、医師は自由市民であるとは限らず、奴隷である医師もいた。自由市民は自由市民の医師が診察し、奴隷は奴隷である医師が診察した。また古代ローマにおいても、市民権は与えられたといわれるものの、医師の地位は高くなかった。これはローマにおいて往々に医師が被征服民のギリシア人が多く、更には奴隷階級とされた者も多かったためと考えられている。医師の社会的地位が高くなったのは中世のヨーロッパにおいてである。人の命に関わる重要な職業なので、専門職として特別な地位を与え、それに応じた責任が求められるようになった。

西洋においては、内科が知識主義に基づいて伸長したのに対し、外科は経験主義を基礎に伸長した。初期には床屋などから外科医となるものが多かった。

七十一番職人歌合』三十四番に描かれた室町時代の薬師(くすし)

東洋において「医」の象徴とされているのは一般に薬師如来が知られているように、日本においては「薬師(くすし)」と呼ばれた和漢薬の専門家が医師の起源となる。当時の薬学である本草学に基づき生薬を用いて診療を行った。日本の漢方医学中国の漢方医学とは16世紀頃分かれて独自の道を歩いている。律令制においては、典薬寮の下に官職としての「医師」が置かれた他、大宰府令制国にも医師が派遣されていた。

江戸時代においては士農工商の工に当たるとされたが、御典医などは士分に準ずる扱いを受けることもあった。明治時代、西洋医学を日本に導入するため西洋から医者を招いた。また「医師」という呼称が用いられるようになったのは明治時代に入ってからである。それ以前は「医者」と呼んでいた。

日本では明治維新後の1874年、医師を免許制とする制度が導入され、1876年には新たに免許を受けようとするものは洋方六科試験合格が必要となることが内務省から通達され、漢方医を志す医師であっても西洋医学を学ぶことが必須とされるようになったが[2]中国韓国ではそれぞれ中医師韓医師という医師とは別の資格が並立している。


  1. ^ In 1949, Fildes' painting The Doctor was used by the American Medical Association in a campaign against a proposal for nationalized medical care put forth by President Harry S. Truman. The image was used in posters and brochures along with the slogan, "Keep Politics Out of this Picture" implying that involvement of the government in medical care would っh affect the quality of care. 65,000 Posters of The Doctor were displayed, which helped to raise public skepticism for the nationalized healthcare campaign. [1][リンク切れ]
  2. ^ 長与健夫「医学教育制度の変革・漢方から洋学へ:浅井国幹と長与専斎の相剋を中心にして」『日本医史学雑誌』第43巻第4号、1997年、 p.p.92-95。
  3. ^ a b c Training to become a doctor”. 国民保健サービス. 2015年8月1日閲覧。
  4. ^ 医師法第6条
  5. ^ 医師法第6条
  6. ^ 医師法第7条
  7. ^ 「あやしい医者総検診 風評をもとにチェック」『朝日新聞』昭和47年(1972年)1月15日朝刊、13版、23面
  8. ^ a b c d 平成24年医師・歯科医師・薬剤師調査 (Report). 厚生労働省. (2013-12). GL08020102. http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001030962. 
  9. ^ 2004年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(厚生労働省)
  10. ^ (コラム)女性医師の仕事と育児の両立支援(内閣府 平成18年版 少子化社会白書 第3章 第1節 2 産科・小児科医療体制の確保)
  11. ^ 「医師の労働実態調査」日本医療労働組合連合会
  12. ^ a b c d e 里見清一 『医者とはどういう職業か』 幻冬舎〈幻冬舎新書〉、2016年9月30日。ISBN 978-4344984295 





医師と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「医師」の関連用語

医師のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



医師のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの医師 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS