医学・薬学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 14:18 UTC 版)
倫理規定やガイドラインが作られる前には、国家や研究グループが主導する人体実験や研究者による自己実験が公然と行われていた。 ヘレニズム時代のアレクサンドリアでは、死刑囚を人体実験に用いていたという説がある。プトレマイオス1世とプトレマイオス2世は死刑囚の生体解剖を許可し、その理由として、死刑囚は社会に対して大きな負債を背負っていると解釈されたからであり、また常に新しい医学的知識を獲得する必要があったからだとしている。 ヘロフィロスとエラシストラトスはアレクサンドリアで600人もの囚人を生体解剖したとしてケルススやテルトゥリアヌスに批判された。ケルススは、生体解剖を「残酷で無意味」として否定した。もっとも、ヘロフィロスらが実際に人体実験をしたという確かな証拠は存在せず、歴史家の中には疑問視する者もいる(エラシストラトスに批判的だったガレノスが生体解剖については一言も言及していない点など)。 13世紀のアルメニアでは、死刑囚の生体解剖が行われていた。アルメニアの科学者・哲学者であるホヴァンネス・イェルゼンガッツィによれば、血管と血液循環および各器官との関係を調べるため、死刑囚はあらかじめ断食によって弱らされ、大量のワインを飲まされて酩酊状態になったところで生きたまま解剖されていたという。 フランスでは国王ルイ11世が死刑囚の生体解剖を許可した。死刑囚は全裸で手術台に縛りつけられ、麻酔なしで生きたまま解剖された。死刑囚の解剖によって多くの医学的知識が得られ、ルイ11世は医学の進歩に貢献したとして称賛されたという。 現代でも医療機器の開発では動物実験を重ねた後、治験により人体での安全性を確認した後に承認が得られる。 手術により人体から切除した臓器を実験に利用することもある。医療技術の発展により、切除後も一定時間機能を維持することができるようになったことで、詳細に調査できるようになった。 エドワード・ジェンナーによる、種痘の実験 マックス・フォン・ペッテンコーファーによる、コレラ菌自飲実験 毒ガスの開発 - 第一次世界大戦中、試作品が実践に投入され、反応を観測、改良が行われていた。 ソビエト秘密警察による化学兵器開発(英語版) - グラグ(ラーゲリ)に収監されていた囚人に対し、無味無臭かつ司法解剖によって特定されない化学兵器の開発のための実験が行われた。 アトミック・ソルジャー グアテマラ人体実験 華岡青洲による、全身麻酔の実験 茂原下痢症の原因解明における実験 九州大学生体解剖事件 新潟大学におけるツツガムシ病原菌の人体接種問題 海軍生体解剖事件 関東軍防疫給水部による生物兵器の実験的使用 アメリカ軍病理学研究所(英語版)による人体の浮力調査 オットー・ウィフテルレ - 自ら発明した素材と装置で製造したソフトコンタクトレンズを自身の目でテストした。
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