薬剤師の免許
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/19 00:15 UTC 版)
2条 免許 薬剤師になろうとする者は、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。他国で薬剤師に相当する免許を所持していたとしても、日本国内で薬剤師として従事する場合は、日本の免許を取得する必要がある。これには、3条の定めるところにより、薬剤師国家試験に合格しなければならず、書き換え等の制度はない。 3条 免許の要件 薬剤師の免許は、薬剤師国家試験に合格した者に対して与える。 4条 絶対的欠格事由 未成年者は薬剤師になれない。2001年以前は目が見えない者・耳が聞こえない者・口がきけない者は絶対的欠格事由とされ、一律に免許が与えられなかったが、早瀨久美らの署名運動が契機となり法改正がなされ、聴覚障害者と発話障害者は欠格事由ではなくなった。2019年12月からは、成年被後見人、被保佐人を欠格事由とする規定が削除され、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、必要な能力の有無を判断することとなった。 5条 相対的欠格事由 心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者、麻薬・大麻・あへん中毒者、罰金刑以上の刑に処せられた者、薬事に関し犯罪又は不正を行った者には、免許を与えないことができる。 6条 薬剤師名簿 厚生労働省には薬剤師名簿を備え、登録番号、登録年月日、本籍地都道府県名(国籍)、国家試験合格の年月、氏名、生年月日、性別、処分歴、再教育研修歴などを登録する。 7条 登録及び免許証の交付 免許は、試験に合格した者の申請により、薬剤師名簿に登録することによって行う。従って、国家試験に合格しても、薬剤師免許に登録されるまでは免許されたことにはならない。その後厚生労働大臣は、免許を与えたときは、薬剤師免許証を交付する。 8条 免許の取消し等 厚生労働大臣は、医道審議会の意見を聴いた上で、絶対的欠格事由に該当した薬剤師の免許を取り消す。また同様にして相対的欠格事由に該当した時や、薬剤師としての品位を損するような行為があった時は、戒告・3年以内の業務の停止・免許の取消しのいずれかの処分を行うことができることとされている。2008年4月施行の法改正で新たに戒告の処分が新設されたほか、業務停止は3年が上限となった。上限が設けられたのは、業務停止が長期間に及ぶと技術の維持や日々進歩する医療技術の習得ができず、再従事する際医療の質を確保する観点から問題となるためである。 8条の2 再教育研修 免許の取消し処分を受けたのち再免許を受けようとする人や、免許停止・戒告処分をうけた薬剤師に対し厚生労働大臣は再教育研修を受けるよう命ずることができる。処分の種類や理由によって、集合倫理研修1日間相当、集合技術研修1日間相当、課題研修1日間相当、個別研修20または30日間相当のいずれかまたは組み合わせで実施される。再教育の命令を受けた薬剤師で未修了の場合は、その旨が薬剤師名簿に登録され公表されるほか、薬局の管理者となることができない。 9条 届出 薬剤師は省令で定める2年ごとに12月31日現在の氏名・住所などを、1月15日までに厚生労働大臣に届け出なければならない。これを怠ると50万円以下の罰金が課せられることがある。 この届出は、「医師・歯科医師・薬剤師調査」として取りまとめられ、就業地・年齢・性別や業務種別などの分布を明らかにすることで、厚生労働行政に活用されている。
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