薬剤師の業務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/19 00:15 UTC 版)
19条 調剤 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。これには3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰則規定がある。ただし、一定の条件下の医師・歯科医師と、獣医師については、自己の処方せんにより自ら調剤するときはこの限りではないとする例外規定がある。 「調剤」の範囲については明確に定義されておらず曖昧さが残っており、ピッキング行為などグレーゾーンと呼ばれた業務に非資格者が従事するなどの問題が生じていた。このため2019年に医薬・生活衛生局総務課長通知により考え方が整理され、最終監査を薬剤師が行えばピッキング行為については無資格者が行っても差し支えないこととされ、水剤・散剤・軟膏等の計量・混合に関しては、薬剤師が直接実施しなければならないこととされた。 20条 名称の使用制限 薬剤師でなければ、薬剤師又はこれにまぎらわしい名称を用いてはならない。 21条 調剤応需義務 調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならないとされている。これと同様の規定は医師・歯科医師・獣医師にもある。なお、調剤を拒む場合の正当な理由の一例として、薬務局長通知では、疑義照会ができない場合・冠婚葬祭・急病・医薬品の調達に時間がかかる場合・災害・事故が挙げられているほか、リタリンなどの流通管理が実施されている医薬品で、処方できない医師からの処方である場合や取り扱えない薬局の場合も該当するとされている。 22条 調剤の場所 薬剤師は、薬局以外の場所で、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、病院などの調剤所、災害時などは例外規定で調剤が認められている。さらに2007年4月施行の法改正では、在宅医療への対応として、患者の自宅や老人ホーム等で一部調剤業務の実施が認められることとなった。この場合は、計量・混合・粉砕といった業務は薬局内で実施することとされており、実務上はあらかじめファックス等で処方せんを受信し、患者のもとで原本確認を実施のうえ薬剤を交付することになる。 23条 処方せんによる調剤 医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。 24条 疑義照会義務 「疑義照会」も参照 処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。 25条 薬剤の表示 薬剤師は、薬袋などに患者の氏名、用法、用量などを表示しなければならない。 25条の2 情報の提供及び指導 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。従来本項は「情報提供義務」であったが、2014年6月施行の法改正で「情報の提供および指導」と改正され、一方的な情報提供だけでなく、薬剤師の立場からアセスメントを実施し、指導を実施することも求めている。 26条 処方せんへの記入 薬剤師は、調剤したときは、その処方せんに、調剤済みの旨・調剤年月日などを記入し、かつ、記名押印し、又は署名しなければならない。 27条 処方せんの保存 薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなつた処方せんを、調剤済みとなつた日から3年間、保存しなければならない。 28条 調剤録 薬局開設者は、薬局に調剤録を備え、調剤済みとならなかった場合、一定の事項を記録し、3年間、保存しなければならない。 28条の2 薬剤師の氏名等の公表 厚生労働大臣は、国民による薬剤師の資格の確認などのため、薬剤師の氏名などを公表する。現在のところインターネット上で登録年・氏名・性別および処分に関する情報が検索できる。
※この「薬剤師の業務」の解説は、「薬剤師法」の解説の一部です。
「薬剤師の業務」を含む「薬剤師法」の記事については、「薬剤師法」の概要を参照ください。
- 薬剤師の業務のページへのリンク